Monday, June 8, 2015

都岳連のレスキュー講習

■ 都岳連のレスキュー講習

土日は都岳連のレスキュー講習に行ってきました。私は講習で習ったり、自分で講習会を主催したりして、

 ・自己脱出
 ・宙吊りの登り返し
 ・3分の1の引き上げシステム
 ・ザック搬送

までは、知識があるのですが、その後、クライミングに行ったりしても、こういう技術は、必要なく無事済みました。
 
今まで知っていたところは 基本的に ”自立したセカンド”、つまり

 自分で自分をなんとかする技

でしたが、連れて行ってもらいやすい自分になるため、です。

ところが、最近の山の世界は人材難で、連れて行ってもらうことだけでなく、例え未熟でも、誰かに教えてあげることを視野に入れざるを得ないですから、そうなると、否応なく、最低限の責任感として、連れて行く

 相手を何とかする技

も必要みたいだ…、というわけで出てきました。新たに習ったのは

 ・介助懸垂
 ・振り分け救助
 ・カウンターウェイト
 ・ロープ連結の通過
 ・斜張り

です。特にカウンターウェイトは、去年からやっておきたかったので、機会が得れて良かった。被っているところで、落ちたら、岩に手が届かない。そうなると多少でもいいから、引き上げないと、復帰できません。

各技術についての詳細は、また別にまとめるとして、全体的に気が付いたことは

 1)ダブルで登っていても、ダブルロープ1本に二人がぶら下がるということ

 2)救助専門の人はギアを充実させていると言うこと

 3)一度システムを組み立ててみないと、ちょうど良い距離の調節、ちょうど良いフリクションの調節など大変だと言うこと

の3点です。

■ ロープ1本に二人分の体重

岩登りでは、通常、ダブルロープをクライマー双方が一本ずつ持参していると思いますが、落ちて、レスキューになった場合、そのダブルの1本に2人ともがぶら下がります。

例: ダブル8.5mm一本に、私(48kg)とパートナー(65kg)がぶら下がる

    = 8.5mmロープに100kg以上の重さ(静荷重)がかかる

です。

つまり、

レスキューを視野に入れると、ダブルロープは一本で二人分の体重が支えられることを前提に選ぶ

ことになります。

■ ギア

今回は、

 ・PAS (またはそれに準ずるもの)
 ・タイブロック 
 ・ダイニーマスリング

を前提としているシステム構築でした。デイジーやスリングで代用した人もいましたが、PASが推奨されていました。またタイブロックも同じです。

こうしたギアは、流行り廃りがあるもののようです。最近クライミングを始めた人は、みなPASをセルフビレイ用のランヤードに薦められます。

タイブロックは、フリクションノットで代用できますが、あると、楽なギアとして、小さいし、軽いので普及しています。

私は簡易アセンダーも持っているので、プルージック登攀(ギアでの登り返し)は楽でした。やっと出番がでていました。このアセンダーは、自分が被った壁で墜落して、宙吊りから登り返しをしないといけない事態に陥った時のために買いました。

ギアや技術については、新しい古いが色々言われますが、本質的なことは、確実さ。古くても確実な方が、新しくて不確実より良い、というのが私の立場です。

かといって、最近始めた人が古いギアを買い求める必要はないし、逆に既にギアを持っていて十分役立っている人が、無理に、新しいギアにする必要もなく、古いか新しいかは本質ではないと思います。

もちろん、古くて擦り切れたハーネスを本当に実戦で擦り切れることを証明するまで使う必要はないですが(笑)。そのような事例が『生と死の・・・』に載っていました。

ただ新しいギアはギアとしての強度がまだ新しいゆえに強く、また使いやすさで改良がくわえられたもの、というのは本当です。ただ、逆に新しくても、クライマーの技術の後退に合わせて、退化したギアもあります。

■ 慣れの正体

システム構築は慣れが必要です、と良く言われます。

その慣れの正体ってなに?

これは、ただ普通にビレイするとか、つるべで登るとか、懸垂でロープを投げるとかも同じで、慣れということの正体は、

 ・ギア同士の干渉を避ける
 ・ロープの交差や干渉を避ける
 ・長さの調節
 ・フリクションの調節

のために 

 ・やり直しが発生して時間がかかる、を避ける
 
というようなことです。

例えば、一番単純な例で、セカンドとして終了点についたときに、どこにセルフを掛けるか?という些細な点があります。

大体新人さんは、次にシステムを作る時に、そのセルフが邪魔な所に着けてしまいます。たとえば、メインロープの上です。

そうすると登り出す時にまたいだり、くぐったりと、邪魔になり、それならセルフの付け替えをしたほうが楽だね、となり、リスクも増え、時間もかかってしまいます。

それが もたつく、ということの正体です。

慣れていれば、最初からメインロープと干渉しない場所に、セルフを取るわけです。

ただ一般には、初めての時は、登ることで精神的にアップアップで、セルフをどこに取るのが後でやり直しが発生しないか、というようなことまで、頭が回らない。

■ アップアップの一回目を本番にしない

こうした”そんなことまで頭が回らないよ~の一回目”は、誰でもアップアップになる。

それ自体は、大事な学びの経験です。

アップアップで、問題点を洗い出して、それを解消して…と繰り返して行くことが、スキルアップにつながります。

ところが問題は、

その”アップアップの一回目”が、いきなり北岳バットレス四尾根、という人が、大量に発生していること

で、それが大渋滞につながっています。

やはり”アップアップの一回目”は、近場の岩場でのゲレンデ練習であるべき。

ある程度、アップアップ状態でアタフタしているという段階をクリアしてから、山の中の岩場は経験するべきかと思います。

言うなれば、リハーサルと本番ですね。 本番の舞台で、リハーサル風景を見せない、というようなプライドを持つのは大事かも知れません。

これはフリーのマルチでも同じことが発生しているようです。

■ まとめ

このようなレスキュー講習は、リハーサルvs本番という関係で言うと、リハーサルで何をすればよいか?を知るための講習です。

本に書いてあることを、自分達で実行するのでは、なかなか、

 ・これでいいのかしら?
 ・そもそも本に書いてあることが今のデファクトスタンダードか?

などが分からず、不安はぬぐえません。

確実な筋から、

 一応の型

を教わってくることは大事なことだと思います。

あと、用語は、これからは英語に統一方向だそうです。それは国際化の流れと言うことらしいです。


 

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