Wednesday, January 28, 2026

【EM】その登攀に「魔法」はかかっているか

 その登攀に「魔法」はかかっているか

「もし、結果が100%分かっているなら、

 それは冒険ではなく、単なるスポーツだ」

彼はそう断言します。

今の世の中、

答えは、どこにでも落ちています。

ウェブザべすれば、正解のムーブが載り、

SNSを見れば、誰かの完登動画が流れてくる。

しかし、

彼が追い求めているのは

そんな「答え合わせ」ではありません。

彼にとってのクライミングの本質。

それは、

「不確実性」の中に身を置き続けること、です。

誰も行ったことがない場所。

誰も触れたことがない岩。

数日間、成功するかどうかも分からない。

その「ミステリー」の中に身を置き、

判断を一つずつ積み上げていくプロセス。

それこそが、

クライマーたちが愛してやまない「冒険」の正体です。

そこで重要になるのが、

「どのように登るか」というスタイルの純粋性です。

ボルトを打てば、誰でも登れるでしょう。

固定ロープを張れば、不確実性は消えるでしょう。

しかし、それでは「魔法」が解けてしまうのです。

自らに厳しい制約を課し、

己の肉体と精神だけで壁に向き合う。

不自由さを受け入れることで初めて、

登攀に真の価値と、震えるような興奮が宿ります。

もちろん、

それは「無謀なギャンブル」ではありません。

彼は誰よりも知的に、

リスクを管理しています。

雪崩、セラックの崩落。

自分の技術では制御できない「客観的リスク」を徹底的に排除する。

「運」には、1ミリも頼らない。

ホワイトアウトの中でも生還できるのは、

長年積み上げてきた「技術」と、

研ぎ澄まされた「直感」があるからです。

彼が自身の本を指して

「ドラマ(悲劇)がない」と言う理由。

それは、

徹底した準備によってリスクを支配し、

不可能な冒険を「予測可能な成功」へと導くこと。

それ自体が、彼の美学だからです。

最後に。

彼は、混雑する有名な山を避けます。

ベースキャンプに他のチームがいるだけで、

「魔法が解けてしまう」と感じるからです。

誰にも邪魔されない静寂の中で、

ただ、山と、自分だけが対峙する。

あなたは最近、

自分だけの「冒険」をしていますか?

ネットに書いてあった通りだった

予定調和のクライミングに、

飽き飽きしてはいませんか?

さらに詳しく知りたい人はこちらの動画をご覧ください。

https://www.youtube.com/watch?v=DUN_2_MeHjE


【リリース】初のKindle本を出版いたしました

 ロープとクライミングの物理的なリスクについて、まとめた本をKindl出版いたしました。

この出版の理由は、本当に読んでほしいクライミング初心者に、このブログ発信では届かないためです。

このブログ読者がかなりコアなクライマーだけだと気が付いたからです。

2017~2018年ごろ、Googleの検索アルゴリズムが変わったようです。

それ以前は私のブログは常に上位ヒットしていたのにしなくなりました。

そのため、よりリスク管理に敏感になってもらいたい初心者に届きやすいよう、Kindle本へ移行しました。Kindle無料で読めます。

トップロープは下が危険だということすら知らないで昨今の人は岩場に来ます。クライミングの場合、無知はそのまま死亡事故につながることがあります。


Saturday, January 3, 2026

ウエリ・スティック:彼は愛された。そして憎まれ、そして死んだ。


この動画は、世界最高の登山家の一人と称されながら、そのキャリアの中で大きな賞賛と激しい批判の両身を浴び、悲劇的な最期を遂げたスイスの登山家ウーリー・ステック(Ueli Steck)の波乱に満ちた生涯をまとめたものです。

主な内容は以下の通りです。

1. 「スイス・マシーン」の誕生

  • 驚異的なスピード: ウーリーは、アイガー北壁をわずか2時間47分で駆け上がるなど、通常の登山者が数日かけるルートを驚異的な速さでソロ(単独)登頂することから「スイス・マシーン」という異名を持ちました [05:48]。

  • 独自の哲学: 徹底的なトレーニングと、無駄を削ぎ落としたアルパイン・スタイルにより、登山界の常識を塗り替えました [04:15]。

2. エベレストでの乱闘事件(2013年)

  • 衝突の経緯: エベレストでロープを張る作業をしていたシェルパたちの指示を無視して登り続けたと見なされ、深刻な対立が発生しました [13:05]。

  • 文化的な摩擦: 仲間がシェルパを侮辱する言葉を発したこともあり、数十人のシェルパに岩を投げつけられるなどの暴行を受け、死の脅迫を受ける事態に発展しました [18:46]。

  • 名声の失墜: この事件により、ウーリーは「特権意識を持った傲慢な西洋人登山家」というレッテルを貼られ、世界中から激しい批判を浴びることになりました [21:48]。

3. アンナプルナでの疑惑と栄光

  • 前人未到の快挙: 名誉挽回をかけて挑んだアンナプルナ南壁の単独登頂に成功し、登山界のアカデミー賞と言われる「ピオレドール賞」を受賞します [25:32]。

  • 疑惑の目: しかし、頂上での写真やGPSデータが不十分だったことから、一部のコミュニティから「本当に登頂したのか」という疑いの目を向けられ、精神的に追い詰められました [30:28]。

4. 悲劇的な最期(2017年)

  • 突然の事故: 2017年4月30日、エベレストとローツェの無酸素縦走という新たな挑戦に向けた高度順応中、ヌプツェの壁で約1,000メートルの滑落事故により亡くなりました [36:03]。

  • 皮肉な結末: 彼にとっては「朝のジョギング」のようなルーチンワークに近い比較的簡単な場所での事故であり、40歳という若さでの死は世界中に衝撃を与えました [38:14]。

まとめ

動画は、ウーリー・ステックを単なる記録保持者としてではなく、**「賞賛と批判の板挟みになりながらも、情熱に従って限界に挑み続けた一人の人間」**として描いています。彼が登山界に残した功績と、その裏にあった人間味のある葛藤、そして野心がもたらす光と影を浮き彫りにしています。

詳細はこちらの動画で確認できます:https://www.youtube.com/watch?v=LGbHQ_Wfu8o