山人生、万事塞翁が馬

■嵩じて

私は個人で行く雪山が嵩じて、長野県山岳総合センターのリーダー講習に参加したのが本チャンクライマーへのスタートです。講習も終わり、さぁ山岳会へ!と相成ったのですが、6件検討したが、どこも高齢化でふさわしい会がなかった…。仕方ないので、中でも、比較的マシと思われた会に所属した。

会に所属する前に、個人的に山の師匠鈴木さんに出会った。鈴木さんはほかの会の代表者だった。私の山の考えのほとんどはこの最初の師匠の鈴木さんに教わったものだ。会は教わったことの実践の場という感じ。

そのあとで、クライミングジムで、別の会の新人Sさんと意気投合した。彼のほうも、同年代で、鶴瓶で行くことができるパートナーを求めていたから、ちょうどよかった。

それで、彼の属していた会のほうにも、ただで参加させてもらうのは悪いと思い、入会することに。これでダブル入会ということになった。私は平日で、山の師匠から教わり、それを土日に会の若い人に広めることができて、ちょうどよいという恰好だ。

しかし、相方の彼とは3か月程度で早々に決裂…。アルパインをスタートして初年度で、まだ3Pに2時間半もかかっているのに、北岳バットレス四尾根に行きたいと言い出したのだ。当初、私は快諾したのだが、それは3年後などの目標のつもりだった、…ら、違ったのだ…、今夏って話。

困り果てた私を救うため、自分のホームの会の先輩が、6月に4尾根偵察に連れて行ってくれた。下部岸壁は融雪でラクがすごかった。とても稚拙なノロノロクライミングで行くところではない。

しかも、このとき梨大の1年生君たちに出会った。わたしらと同じくらいのスキルで向こうのほうが年齢が半分のため、予備体力は上。その彼らで、4尾根、なんと13時間もかかっていた…。40代初心者が行っていたら、やっぱり遭難だと確信した…。

ところで、相方がいた会には、愛人と呼ばれている会長とだけしか登らない女性がいた。その女性が、なぜか私の相方を内緒でルートに誘った。相方は私にも話を通してくれ、私の感情にも配慮してくれたが、問題なのは女性のほうで、会長に黙って内緒で…だと言う…。それじゃ浮気だ…。しかも、私と相方に片棒を担がせて…。私は青くなった。いいのか?

と思っていたら、今度は私をハイキングに行きましょうと誘ってきた。え?!と思ったが、ハイキングなら親睦だし、断ったら角が立つだろうとOKした。

ところが、なんとハイキングではなく白根三山の縦走。

私としては彼女と行く意味がないうえ、テント泊2泊なんて御免だった… というのは、この人は3年オールセカンドの丸抱えで会長に本チャンに連れていかれており、アプローチも確認せずによく、歩荷も会長が担いでやり、の高待遇で登ってきた人なので、歩荷が弱そうで、しかも分岐で道を間違えることで有名で、同行者としては、ものすごく面倒が多そうな人だったからだ。

それに一般ルート無雪期の北岳なんて、私は山1年目に単独で済ませており、行くなら一人で行きたい…一人で山と向き合えるからだ。というので、お断りした。すると、お怒り。

会長からも文句が来た。なんと愛人呼ばわりされたことが気に喰わないんだと。

しかし、この会長さんは愛人待遇の女性パートナーを作っているのは3代目で、それは、よその会の人も、山の関係者、みんなが知っている事実だった。みんな、なんで素人の女性ばっかり手を出すの?と思っていたらしいので、事の成り行きを面白半分で見ていたようだ。私は皆の好奇心の犠牲者にされ、トバッチリを食った形だった…。

でも、ま、いいや~と思った。というのは、相方が全然4尾根をあきらめないから。その会長が無理と言い、私の師匠が無理と言っても、全然今年中に4尾根に行くと言って聞かず、私が困り果てたからだった…。

しかも、その会長さんに、なぜ愛人を会のほかの人と組ませないのか?を聞いたら、その愛人パートナーに怪我をしてほしくないから、だと。

え?!じゃ私なら怪我をしてもいいのか? あなたが組ませたくないと評価している連中と私は組んでいるんですけど!しかも、バンバン落ちている!と、私は発言の意味を知って青くなった…。

新人同士の落ちれないビレイで落ちて死ぬ新人は多いのだ…。

そのころ、私のピンチを救う、いい具合に、その会に、もっと若くて登れる女性がやってきた。美人でやる気満々の彼女に、男性陣は全員メロメロ。相方もその女性と組みたいようだったので、渡りに船だった。これで分かれるのに罪悪感を持たずに済む。

相方に押し切られて4尾根に行き、死ぬ羽目に合うくらいなら、登らないほうがましでしょう。しかも、たかだか4尾根程度で。

というので、晴れてシングルになった☆ 

ほっとしたのも、つかの間。今度は、自分のホームの会で、災難が降ってきた…阿弥陀北稜だ。

八ヶ岳の入門バリエーション…新人が一年目に連れて行ってもらう山…の、阿弥陀北稜を、赤岳単体ですら登れないメタボのNさんが登る募集をかけた。それに登攀力ゼロの30代新人Mさんが手を挙げた。…というので仕方なく、登れる先輩2名が引っ張り出される形になった。

…これはN安さんの策略に会が引っかかった形だった。Nさんは、まだ50代だが、山やとしては、終わっており、全盛時代もたかだか4尾根止まりだった人で、もうメタボで普通の赤岳でも息切れしていた。ので、最初から阿弥陀北稜はどうか?というところ。冬の赤岳なんて、普通の新人でも小さすぎて2周3周できそうな具合の山だからだ。山梨の人は日帰り。

登れる先輩2名がお目付け役で入った瞬間に、もう一名増えた…ので、私はパートナーと鶴瓶で登る予定だったが、宿泊だけを合同という計画だった…ので、総勢7名になった。

私は、もう7名の時点で行きたくなくなった…八ヶ岳の厳冬期は、寒さが核心だし、スピードイコール安全だからだ。いくら別パーティでも…後ろは5人の大所帯。大丈夫だろうか?私はこのとき、運よくパートナーに不幸が出て、行かずに済んだ。

この山行は計画時点で無理があり、たかだか北稜程度に、一泊してテントを張り、一升瓶を担いでいく大宴会をするそうだった…宴会の翌日本チャン。これは…と危険を察知したので、先に本チャンやってから、宴会したらどうか?と計画段階で進言したが、無視された。

案の定、当日は、かなり冷え、八つのベテラン、ミキヤツガイドが敗退にした北稜を、ラッセル泥棒してついて行った隊は、そのまま前進し、山頂付近でNさんが動けなくなり、介抱するのに、時間がくって、3名が凍傷に。だから言わんこっちゃないと思ったんだが…。

この会に入会を誘ってくれた一番尊敬していた先輩は、この山には不参加で、さすが、リスク管理能力があると思った…山そのものではなく、会でのサバイバルということだ。

この阿弥陀北稜が引き金で、Nさんの恨みを買い(逆恨みと思うが)、しかも、この山行で、会で唯一のアイスクライミングのパートナーだったK村さんが凍傷。つまり、今年度のアイスのパートナーを私は失ったことになった…。ので、会は退会。

尊敬している先輩曰く、肩の荷が下りたようで、当会には赤岳主稜を登れる先輩はいません、ということだった…超納得した。

実は、赤岳主稜以前に広河原沢左俣を会に提案したのだが、それが実力不足でダメだったからだ…私が師匠に連れて行ってもらった山の復習だったのだが、当然、初心者ルートだ…それすらできない会であった…。まぁ仕方ないよな。なにしろ、20年所属しても地形図を知らない人がほとんどの会だったから。

というので、仕方ないと思い、独力でパートナーを探すことに。赤岳鉱泉のアイスキャンディフェスに参加。

すると、後輩のO君ができた。なんと23歳♪ 雪中泊していた私のテントを訪ねてきてくれた♪

ラッキーだ~と思ったら、実はそうでもなかった(笑)。

というのは、彼は初心者だったので、ゲレンデ練習が必要だったのだが、東京方面から来ると、アプローチで登る時間が押す…ので少し無理をして、美濃戸までの林道を走ったら、お腹をこすってしまったのだ。それで車を買い替え。150万円也(笑)。

他にも色々あった…沢のハーネスでアイスに来て、トップロープで落ちて、ハーネスがちぎれるとか(笑)。振られ止めをバイパスして懸垂してきて、と言ったら、振られ止めのところで懸垂のセットを解除しちゃうとか…ああ~あれは怖かったなー。しかも、アイスの初級ルートに連れて行ったら、本番で、「僕、懸垂下降初めてなんです」と言われてドッキリ。下山後、大慌てで最初からロープワークを教えた。人工壁から一から。

しかし、大学生と組んでいるということで、小滝で出会ったよその会の会長さんが、気の毒に思ってくれ、なんとアイスの師匠を紹介してくれた♪

O君には、その後春になって外岩もやったことがないというので、私と同様にアルパインの岩場でマルチデビューしてもらい、それには私の先輩のIw田さんにも出動してもらい、あれやこれやと面倒を見て、エリート教育した。確保理論などは、印刷もこちらでして読み合わせし、レスキュー訓練も師匠に頼みこんでやってもらい、都岳連でやっている以上の内容をやったと思う。

さて、これで来シーズンは私の初級ルートの課題である黄連谷右への道のりも見えてきたかな~と思っていたら…。

O君を師匠に紹介し、他会の人も交えての合同のアイスクライミングに行かせたら、なんと…林道で、彼は後ろから師匠の車にオカマを掘ってしまい、修理代30万円。本人の車は廃車。ザックがフロントガラスにふっとんだ吹っ飛んだそうである…。この事故で、師匠はむち打ちになった。若い間に保険料が上がるとかわいそうなので、保険を使わなかったので、師匠は自腹で車を修理。

師匠がむち打ちになり、首がいたいので、長時間のビレイはさせられず、私のこの年のリード練習はお預けということだった。アイスのリードは時間がかかり、ビレイヤーの負担が重いからだ。

そして、O君が披露してくれたのは、超ダラリンビレイ。超ガッカリ… もう今まで何を勉強してきたの…、という具合。彼にはこれ以上ないくらいの丁寧な指導をした上に、彼は東工大院生で秀才だったので、期待が大きかった。頭がいくら良くてもこんなビレイをするんだと、この時はかなりがっかりした。私のアイスルートはまた遠のいた。

結局、このシーズンはトップロープしか練習不可能だと理解…したので、少し思案して、ならば、成果をまとめるには、コンペに出るのが良いだろうと結論した。

それがコンペに出た理由だ。普通はアルパインの人はコンペには興味がない。…結果は全然良くなく、アルパインでの落ちない登りが災いして、8人中の5位。しかもマスターではなくビギナーですからね。まぁ、普通の人ってことです。それでも、ゲレンデでは中高年リーダーが目を見張る、こなれた登りだ。1シーズンに40回も登った。成果は、相沢55m4級をピンクでリード。5級アイスの20mマスターでリード。でシーズンが終わった。

翌シーズンに韓国のアイスへ行ったら、遠征で行っていたラオスの石灰岩3Dクライミングと似ており、サクサク登れた。しかし海外遠征中にリスクテイキングはできないので、リードはなし…。60mを3回登ってもTRなら、もうパンプしなかった。

というわけで、アイスではゲレンデの氷瀑のサイズが、ただ大きくなっていくばかりで、アイスのルート経験が溜まっていない。

本来バランスの良い成長が必要だと思う…いいのだろうか?ということで、今年はトワンソンポッポは、機会は作ろうと思えば作れたが、見送ることにした。滝を大きくするよりも、優しい初級ルートの経験値を積むほうが大事かなと思う。

しかし、アイスアックスを一振りもしないのは、積み上げた登り慣れが無くなってしまうというのも困るなぁ…ので、まぁ何とかはしないといけないが…フリーで強くなれば、アイスのほうがムーブは簡単なんで、気にしないでもいいのかなぁ…

というわけで、私は自分のビレイを安心して任せられるセカンドが欲しい…。今は、安心できるビレイヤーは師匠や、先輩だけということになっており、先輩頼みで、後輩が育っていない…。後輩系は、まぁ育てるたびに色々と事情でダメになっている系。今年も2名…ハズレだった…でも、色々と学ぶことはある。復習しないと人は忘れるものだし。

まぁ、海外も含めていいなら、相方になってくれている人もいる。が、タイとカナダでは…。日常的にザイルを結べるわけではない。今年もラオスで会いましょう、状態だ。国際的と言えば国際的だが…

私は後輩のO君に会ったとき、無所属だった。そのため、O君も会への所属には否定的。

が、会というのは受け皿として必要だと思い、YCCやブナ、やまねを紹介した。わたしもO君が入りやすいように、と、やまねに一時、所属した。

一応、師匠の会に入っても良いよ、とも師匠には言ったのですが、地理的に離れていたし…。古い会は、例会出席を条件とするところが多い。が、例会、前の会の時に律義に出ていた感覚からすると、出ても何も決まらない。時間の無駄になっている。

O君のことは、その後、私の先輩に引き継いだ?ような形になりましたが、山やとしてはイマイチだったみたいでした…。久しぶりに会うなり、彼はダメだと言われました。そうかぁ。

夫の転勤で再度転地することになり、ああ~一から再出発か~ということで、転勤先で、会を色々と検討しました。

が、やはりどこも高齢化です。会山行を見ると、私が単独で行けるところに合宿している。

一緒に登れる人がいない…と頭を抱えている間は、師匠がてきとうに韓国への遠征でお茶を濁してくれました…。

さらには、偶然にも、前の会の先輩が転勤で来てくれて、私のクライミング人生は好転しました。

さらにごく最近、師匠クラスのベテラン開拓者と知り合いになり、開拓を指南してくれているので、本当に助かっています。

というのが、これまでの私の会経歴?もしくは、山人生の概略です。

本当に山あり、谷あり、です。人生万事塞翁が馬、というのは、私の山人生のためにある言葉かね?と思ったりします。

■ 大事なこと

私のこれまでの経験をまとめて、大事なことは

1)個人山行である程度登って、一人で登れる一般縦走やハイキングは終わってから山岳会に入会するようなタイプの人であることが重要。

逆に言えば、自分一人で行ける山も終わらず、「誰かと一緒に行きたい」というような人は絶対に伸びない。

2)私は有料の講習に出たが、そういう熱意がある人が見込みがある

3)会は必要。在籍するだけでも。

4)新人一人に先輩は2名必要

5)昔の教え方を教わりつつ、現代の成長の仕方をするべし…つまり師匠の山の考え方のフレームワークは学びつつ、技術的には人工壁に通ってマスターする。

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