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Tuesday, April 27, 2021

Be The Love You never received

■Be The Love You never received 

受け取らなかった愛になりなさい…

これが私がクライミングでやっていることです。

私はお金を払って山岳総合センターで雪上確保から講習を受けて、山の技術を受け取りました。”何が分からないかも、現時点ではわからないな”と自覚があり、そして山の技術を学びたいのだと、強い自覚があったから、です。そこに必要な知識を持っている講習があれば、人は学びに行きます。

しかし、教え方が… まずロープに対する信頼を作るために、ロープに体重を預けてみる、なんて丁寧なステップはなかったです。

ので、講習生はいつまでたっても、

 セルフにはずっと体重を預けているほうが安全、

ということが分からないわけで、私の講習仲間や大学山岳部とかだった人でも危なくて、三つ峠くらいでも連れて行けない…。それは、

 平地の安全と足場がないところの安全は違う

からです。そこを教えそこなって、講習が進むので、行く山や、やることが高度になっても、肝心の基礎が…で、事故につながります。

私が自分で登った山で最も高度なのは、たぶん、積雪期の阿弥陀北稜単独、で、この程度だと一日2回、登ったり降りたりできそうな、楽勝系テクニカルルートの入門ですが…それでも大学山岳部でも遭難して大ニュースにしていますからね…要するに大事なのは、

理解

で

 体力ではない

ってことです。

ではなぜ、山やは体力に結論を求めてきたのか? 体力、体力、と結論を体力に求めるのは、単純に事故った時の生存率を高める、というだけです。つまり、そもそも、事故らないテクニックではない。雪山で耐える能力ってだけです。

しかし…それと同じ保険…つまり体力…を、事故ってもヘリを呼ぶだけで済む現代の岩場でのクライミングでやっている…日本の山の世界のおじ様連中…時代錯誤がここにもあります。

アプローチゼロ分の岩場で体力いくらあっても…関係ないですよね。それより、現代の若者の事故原因は

 自分でセルフを外してしまって落ちている

んですよ?保科ガイドでは、すでに3例くらい出ています。ガイド山行ですら、そうですからね…

いくら指導者の能力が高くても、

 自分で自分を落とす奴は守れない


っていう意味です。言われてみたら、そりゃそうだ、です。なので大事なことは、

 平地での安全と高いところでの安全は全く違う

と最初に叩き込むことです。

これが、自分が受け取らなかった愛、です。




Monday, April 26, 2021

ローワーダウンとラッペルの教え方

■ ローワーダウンとラッペルの教え方

ロープに体重を預けても安心だ

と言うことを教えるには、

平地、

を使います。

具体的手法は以下です。

1)ビレイヤーがコントロールするローワーダウンを平地で教える(バディの関係を直感的に納得させる)=命は相手の手中にある

2)グリグリで自分でコントロールしながらローワーダウンすることを教える(つまりラッペル)

=命は自分の手中にある

3)同じことをATCで教える ダブルストランドで。

=命は自分の手中にある

以上で、懸垂やローワーダウンで、

自分の責任で自分の命を守ることができるクライマー

が一日で作れます。

14歳でも、これでやれば、降りれませーん、なんてことにはなりません。20代の男子でも、降りれませーんになっていますからね。あるいはコンペの選手でも懸垂下降ができない選手がいます。

そんな無責任クライマーを作ったのは、大人の無責任、です。

まずは、全部平地、でやることが大事です。ギアにも、ロープにも信頼がないのですから、フェールセーフが必要です。

次に、本当の懸垂下降の場所に連れて行き、高度感、を体験させ、

 高度感に対する対応力

をつけてもらいます。高度感があって怖い、というのは、懸垂下降をし始めた途端に減じます。高度は下がるからです。

ぶら下がっていれば安全、

という感覚を持つのは、立っていれば安全という平地感覚とは全くかけ離れた非日常感覚ですので、当然、しばらくかかります。壁をトラバースする感覚なども、実感してもらいます。

(ギアや懸垂セットへの信頼の量)>(見せかけの恐怖) 

ということを納得するのが大事です。

ここで、セルフを2か所取る、というのも大事です。

リアリティがある設定でないとセルフの大事さは、なんとなくしか、分かりません。

初心者にとっては、まずは、自分が岩場で、快適に怖がらずに過ごせないと、ビレイなど人の分の命の責任を持つことなど、不可能でしょう。

Wednesday, January 8, 2020

トンデモ事例は、古い山ヤが作っている

■結び替えができていなかった若い兄さん

人工壁小瀬の試験では、若い男性と組みました。試験では、私が〇〇会所属です、というと、顔パスでした…。私はこの日のために練習に練習を重ねて、参加しているのに。私にとって、結び替えと5.9の正しいリード、そして正しいビレイは、ちゃんとチェックしてくれなきゃ嫌!な技術だったので、顔パス待遇だったことが心外でした。

おかげで、組んだお兄さんは、ちゃんとした結び替えを習ったのは、その試験が初めて、という状態だったのに、ついででスルーで合格。試験官、そんなでいいのか?と思いましたが、年配の人には意見できないでしょう。

案の定、その後、そのお兄さんをたまたま、岩場で見かけたときに、メインロープをハーネスから解いて、結び替えしており、それだと、ロープを落としたら、一貫の終わりです…誰かがロープをあげてくれるまで、セルフにぶら下がって過ごすことになります。

その状態を見て、責任の一端を感じたので、お兄さんには、ちゃんとその時に結び替えの方法を教えました。

しかし…、その人、中山尾根で墜落したんですよね。 

その日たまたま、私は、講習会仲間の伊那のほうの山岳会の人と3人でジョーゴ沢から硫黄岳を詰めるという初級アルパインをやっているところでした。

ジョーゴ沢アイスルートと中山尾根では、5階級くらいの技術差があって、中山尾根は中級者の課題です。ジョーゴ沢に私たちを送るのですら、伊那のほうの会は、ビーコンを持たせたんですよ。まぁ、要らないのは分かっていましたが、会が心配するから持って行きました。鉱泉でビーコンチェックしている私たちを、プロガイドの方たちがふしぎそーに見ていました。

私たちパーティと中山尾根のお兄さんとでは、そっちの兄さんの方がむしろ初心者なくらいだったと思います。

しかし、山梨では、そういうことが普通で、男性の間では、いきなり阿弥陀南稜とかです。雪なんて、一般縦走ですらしたことがない人が、です。雪をやったことがない人はすぐ分かります。素手の濡れた手で金属ギアを触る。くわえようとした人にすら会いました。唇、取れても知らんよ、もう。

そんなこんな、山梨時代…。

九州に来てからは、トンデモ事例は、岩バージョンです。

「九州ではトップロープ支点は作らなくて、残置ビナに直掛けでいい」

とか。

これは、クライミングジムの店長に言われました。そして、その店長さんは、〇〇山の会という古い伝統あるアルパインの会で、そう年配のオジチャンたちから教わったそうです。

原因と結果の法則。原因を作っているのは、さて、誰でしょう?

Tuesday, June 25, 2019

オンサイトの美学

■ 美学と現実 建て前と本音

オンサイトが一番いいスタイルと言うのは、クライマーだったら誰でも知っていると思う。

しかし、その哲学を主張する人の意見に感化されて、そのまま取り入れることが可能な人と不可能な人がいると思う。

ので、真に受けないようにしないといけない。

1)環境 落ちれるビレイヤーかどうか?
2)体格 165cm標準体格に合わせてピンが打たれている
3)標準体力 ガバがガバでなかったりとか、一般的に想定されている基準値から自分が離れている場合は要注意 例:握力17kg

エイプレシオも関係があるそうだし、指のパワーと言うのは体格のばらつきよりもより小さいみたいなので、指パワーvs体格では体格が大きなクライマーは不利だ。

というので、クライミングのスタイルで何を大事にするかは各人の哲学で、各自が勝手にやればいいという話だが、それをほかの人に適用する…押し付ける場合は、用心が必要だ。

押し付けには自分の主張も含まれる。オンサイト、ヨーヨースタイル、レッドポイント、ピンクポイント、マスターリード、ぬんがけリード、などなど、自分が一番楽しいスタイルで登っていればいいと思う。

押し付けられた人にとっては、ものすごく危険になることがある。

例として

1ピン目を掛けれるなら、どんなルートでもリードで取りついても良い

ということを言われたので、そのようにしていたら、1ピン目で落ちてキャッチしてもらえず、そのままグランドし、流血して背負われて救急車に乗り、7針縫うことになった。1ピン目掛けたあとのフォールだから、責任はビレイヤーにあるが、誰の責任かと問うても不毛だ。

事故があると、損をするのは、クライマー界全体であり、岩場が禁止になることもある。

ので、一番大事なことは事故を起こさないことだ。

ので、過度に自分の哲学を披露するのは、押し付けとすれすれになることが多いので、やめましょう。

昔の強つよクライマーももはやリードしていません。力量が下がると、分かるようになるようですが、力量が下がる前は分からないものです。相手の体躯、パワー、知識と経験、とすべて相手の立場に立ってモノが見れるわけでないので、基本的に相手は、その人ができるベストの行為をしているとみて間違いなしです。

つまりトップロープだから頑張っていないという指摘は当たっていません。誰がより頑張っているか、競争にならないようにしないと。

リードする力量がない人がリードで落ちて、ビレイ力量がない人がビレイヤーでキャッチできなかった場合、変にこだわらずに、トップロープにしていればよかった…、と言うことになります。

もちろん、トップロープで、ノーテンで登ったことをオンサイトと称してしまうような基本的な間違いは教えてあげたらいいのですが、トップロープしかしない人がそれで楽しいのであれば、それでいいのではないかと思います。

見ていて、もっと良いスタイルで登れるので、もったいないなとは思いますが。

それとこれは別でしょう。リードへ進むには、ビレイヤーと言う環境が要ります。ちゃんとしたビレイヤーは天からの賜りものです。


Saturday, June 15, 2019

クライミングガイドの問題点

■ 初心者の行くところがない

日本では、”クライミングガイドについてクライミングのイロハを学ぶ”というルートが確立されていないですが、それは現状のクライミングガイドが、クライミングを教えるやり方が、横柄で間違っているから、と思います。

商業ベースでやっているのに、旧来の山岳会のやり方を踏襲しているのでは?と思います。

例:「こんなことも知らんのか」→ 知らないから教わりに来てるんでしょ!

「5.10aでは、あなたたちには、アップにならないわね(ムフフ)」→ 当然でしょ、初心者なんだから!

「回収してきてください」→「どうやって?」教えてあげるのが仕事でしょう

つまり、技術的なことを教えないです。教わる側が知っていることと前提にしてきます。

そして、最近の人はレベルが低いと言います。

■ ほとんどの人は白紙できます

私は、教える側は、もはや経験豊富です。

『アウトドアクライミング』などの本も世の中にはちゃんと出ていますが、基本、読んでこない人が99%です。私のように、『日本登山体系』を読んで、講習に来る人はめったにいません。

そういう前提知識がないことを当然と思って講習は組まないといけないです。しかし、そうなっていないです。

■ 新しい仕組みがない

山岳会、という仕組みは、もう機能しなくなってから20年くらいたっているようですが、新しい仕組みを誰も提案していないようです。

私が一番いいな、と思ったのは、都岳連の岩講習です。

しかし、それすら、講師が蔑まれていて、驚きました。山に行かない人がレスキューを教えるなという批判です。しかし、山に現役で行く人は、初心者相手の講習なんか、まどろっこしくて誰もやりたがらないです。

講習会講師は不足していますし、講師になること自体が名誉という扱いなので、出世の階段を上がるように、山岳会で、下働きをした人だけが、講師の名目を得れるような日本的システムになっていますので、いつまで経っても、ブーリンを自慢してしまいます。

もうブーリンは新人には教えないでいいです、って話になっているハズなのに、おれはブーリンでアンザイレンするね、がベテランの証になっています。ブーリンが国際的に採用されなくなったのは理由があります。世界は、より安全を採用するようになった。

そもそも、誰もやりたがらない講師をしてくれている人が、山に行けなくなったのは、講習を教えるので手いっぱいで、山に行く時間が無くなったのではないかと思います…。

教えるというのは大変な作業で、ちょっとしたことであっても、復習が必要です。私も新人を抱えていると、自分の登攀に向けて努力する時間が無くなり、下手くそになります…。つまり、トップクライマーでいたい人は、人に教えることに時間を使いたくありません。

講師をして、そのために山に行けなくなったことで、業界で蔑まれるなら、ただでさえ報われない新人相手の講習をやってくれるベテランは、さらにいなくなります。

お金を取っているクライミングガイドですら、ロープワークやリスク管理を、きちんと教えるのは、安全とは何か?という思想を相手に伝えることなので、大変、手がかかり、嫌がります。

というわけで、上手く行かないネガティブループに入っている日本の外岩クライミング業界。

一方、インドアボルダリングジムとスポーツクライミングの人口の爆発的増加を見れば、クライミングしたい若い人は、いっぱいいることは明らかでしょう。

ただ受け入れる側が、変化を拒んでいるだけに見えます。

昔は特権であったので、それを手放すのが怖い、ということです。

しかし、LCCでも、同じでしたが、既存の航空会社は既存客を奪われると言ってLCCを否定しましたが、結局のところ、業界全体の業績が伸びて、既存の航空会社も売り上げが上がりました。

つまり、単純に古い業界の体質というのは、

変化への恐れ

でしかないのです。

Sunday, April 14, 2019

ヨセミテのクライミング解説

エルキャップフリーソロのオノルド君とドーンウォールのフリーでのトミー・コードウェル・・・どちらも凄いですが、そのすごさが分かりにくいのが現代の事情です。

そのすごさを一般の人にも分かるように解説している解説が出ましたので、お知らせします。

http://cliff.world.coocan.jp/topics/topics.htm?fbclid=IwAR28F0l3qKZ_tPqaV75l215tPGOBPK0bXPDB83uo16hT-4ApVV8LlUDqJoY

Thursday, November 15, 2018

トップロープからリードへの移行

■TR->リード

”トップロープで登れたから登れるはず”というのは違うかもしれない。

トップロープで登れたら、ハイ次はリード、

とすると、リードに必要な”余力”が備わっていないかもしれない。

例えば、私が初めてリードした西湖の岩場のような”ハーケンでランニングを取っている5.8”を5.8がギリギリグレードの人に勧められるか?というと、勧められない。

少なくとも、私は後輩に勧めはしないだろう。落ちた場合に、ハーケンでは…(汗)。

足で登れる垂壁に、まだ手で登っている人でも、完登できるからリードでどうぞ、と言えるか?と言うと、中間支点が、その人にとって遠くない課題を選ぶべきだと思う。

というのは、私自身がそのような状態の時に、リードを強要されて、たぐり落ちしたことがあるから。たぐり落ちはもっとも危険。人工壁ですら危険だ。しかし、やってはいけないと分かっていても、クリッピングが遠ければ、バランスが悪化し、そうなってしまう。

またクリッピング体制を作る練習も必要で、トップロープであっても、リードを意識した登りをしていない状態から、いきなりリードへ進むのはいかがなものか?と思う。

リードを意識した登りを身に着けるのには、疑似リードが最適で、疑似リードをすっ飛ばしてリードしても、リードとトップロープがどう違うのか…
・ボルトを目指して登りルートから離れないという点や、
・クリップ体制を作ってからクリップすること、
・スタティックな動き
などの意識づけができないのではないか?と思う。

■ 万年セカンド

私の最初の師匠の鈴木さんは、どんなに易しくてもリードすることが大事、という価値観の人で、それは、万年セカンドを自分の会で作ってしまった反省から出た信念だったと思う。

いかに万年セカンドを作らないか?というのは難しい。

が、早すぎるリードで怖がらせることがマイナスに働くことは確実だ。

私も新人さんに、楽しくリードする経験を積んで、クライミングの楽しみを発見して欲しい。

そこへの移行は…? 言葉で言って聞かせるべきだろうと思う。

■ 事例

事例として自分を考えてみる。

私がリードへ進むのに、背中を押す後押しが必要だったこともあった…例えば三つ峠の一般ルートの隣あたりのやつ…登れないと思っていたら、登れた。岩田さんと登っていたころだ。初めてのクラックオンサイト。アイス5級のリード。

それらを勧めてくれた人の脳裏には、おそらく、私が思考しているようなことがあったはずで、私のリードを成功へ導くために、色々な計算があったはずだ。

それが非言語で言語化されていないのが、もっとも大きな弊害なのかもしれない。

それは、

1)そろそろリードできる能力が身についたという判断
2)適したルート
の2点に凝縮されるのだが、中身は

1)リードできる能力
・ムーブにゆとりがある
・たぐり落ちが発生しないゆとりがある
・足がきちんと使えている
・クリッピング動作が正しい
・バランスで登れている
・終了点でどうしたらよいか分からなくならない
・やってはならないことを分かっている(足をロープの下にいれると落ちたとき頭が下になるなど)
・1ピン目、2ピン目までは決して落ちてはいけないと分かっている
・トラバースでは降られる

2)適したルート
・支点が強固である
・支点がその人にとって遠くない
・終了点が強固である
・その人にとって難しすぎない
・フェイス、オーバーハング、スラブ、クラック、などのクライミングの要素的な部分で、その人の課題に適している(初心者はスラブから)

他にもあるかもしれない。

人工壁でのリードは、こうした要素一つ一つを、意識に落とし込むるためのものだ。人工壁では、トップロープができたら、すぐにリードに進んでよい。が、それは、こうした要素のうち、どれが意識づいていないか?を洗い出すためだ。そのために恐怖心が使える。

怖いということは何かが身についていないということだと思う。

■ 試行錯誤して学ぶ 

こうしたことを私は失敗を通じて学ぶ学び方をしていると思う…。

人工壁に通っていた時代には、だいぶ怖い目にあった。
二つの山岳会に入っていたが、人工壁時代を共にした会Aでは、危険な目に合わせて、それで辞めていく人はふるい落とす派、のようで、今考えても、よく初心者同士のあぶなっかしい落ちれないビレイで、バシバシ落ちていたよなーと思う。私はどっかぶり苦手で最初のころは最初のハングで頻繁に落ちていたからだ。ビレイしてくれていた人も初心者で、リードしたら終了点でどうしたらよいか分からなくなっていた。

一方の会Bは、暖かく見守る派で、私が絶対登れるからと自信満々の5.5ですら、先輩がちょんちょんとチョークをつけてくれた(笑)。信用されていない。この会では、私以外の新人は3年たっても5.10Aは難しいようだった。TRオンリーしかさせてくれない会だった。たぶん、怪我をさせたくないと思うとそうなるのだろう。つまり、先輩は誰も私のビレイヤーを買って出てはくれない。ので、こんなところに居たら一生リードできないと思って、やる気がある人は、ほかにビレイヤーを探し始めてしまう。結局、他会の人と組まざるを得なくなる。他会の人とは日常的にクライミングを共有できないので、結局、危険を排除しきれなくなる。

どっちも両極端で、危険を排除しきれていない。大事なことは、どちらにも陥らず、安定的な成長をすることだ。

(リードという行為に対して初心者時代)は、(ビレイスキルが確実な人…往々にして先輩)にビレイしてもらうべきだ。

ビレイが初心のビレイヤーと組むときは、ビレイがあやふやなので、クライマーは限界グレードには挑戦すべきではない。

それでもって、落ちても安心な高さに来たら落ちてみることも考えに入れる。落ちないクライマーとばかり登ると、ビレイヤーはキャッチ経験を積めないからだ。

■ 紙からSNSへ

以上のようなことは、私が思うには、昨今の人は、かみ砕いて教えないと、多分、分からないのではないか?と思う。

分からないヤツは来なくていい、という排他的な態度ではなくて、たぶん、どこかに書いたものがある、読みたい人は読めるというのが大事なのだろうと。

というのは、昔の人に話を聞くと、みんなたくさん山書や雑誌を読んでいたらしいからだ。読んで自然に理解したのだろう。

しかし、現代では、だれも紙の本を読まない。読むのは、SNSかブログ。情報の伝播の仕方が違ってきているのに、山の世界では、それに追いついていないだけなのかもしれない。

■ 関連記事

リードへ進ませる要件

頑強な男性でも1ピン目でたぐり落ちしている事例

Tuesday, May 15, 2018

山をどう教えたらいいかわからないのでは?

■山をどう教えたらいいか分からない?

昨今の登山者レベルの低下とそれに伴う遭難者の増大は、”結果”ですので、原因が何かあるはずです。

山を教える人も教え方が分からないんじゃないか?と思うのですが…? 

というのは、昔の人の教え方って、教えるんではなく、盗め、ということで、非言語コミュニケーション主体だからです。

■ 事例

登山のガイドブックを買ってきたら、難易度1の山に行きます。大抵は3時間くらいの山です。3時間かかるときは、山頂に12時にいるとしたら、9時に登山口を出発しないといけないというのは、誰でも分かりますよね。下りも3時間と仮定すると(そうならないことが多いですが)、往復は6時間かかります。

もし、12時までにたどり着けそうにない時は、12時で辞めて下ります。また来ればいいのです。

同じのでもいいし、別のでもいいし、また同じようなサイズの山をすればいいだけです。

繰り返している間に体力もつくでしょう。12時山頂だと、夏だと暑くてやってられないから、6時に登山口に行って9時山頂ということなども思いつくでしょう…

登れたら、4時間の山に行けばいいわけです。

日帰りでは、基本的に×2になるため、一日に使える昼間の時間帯は限られており、日の出から日の入りまでの12時間程度しか使えないので、せいぜい片道6時間が限界となり、あまり大きな山に行けないので、もっと長い時間、山にいたいなぁと残念に思うようになり、そうなると、縦走がスタートします。

個人的な意見ですが、そうなる前に縦走しなくていいと思います。縦走だと、長い時間山にいることができて、大変、満足度が高くなります。

縦走が始まると、山で自分の快適性を上げるための工夫が始まると思います。ザックの詰め方や快適なウエアなども、ほかの人はどうしているのかなぁと調べたり、読んだりするうちに自分のスタイルが身に付きます。

快適に担げる荷の重さも人それぞれなので、自分のスタイルが明らかになるでしょう。重くても、お酒は絶対な人もいれば、フルーツは外せない、という人もいるはずです。

日本では、縦走は小屋をつなぐと大変お金がかかるので、自然とテント泊という流れになります。

テント泊縦走は重いので、軽さを求める人はツエルト泊になりますし、実際、ツエルトで事足りることがほとんどです。

そうした縦走を楽しんでいる間に勝手に体力はついていきます。

もう少し大きな山に行きたいと思ったら、その山に行くには、自分にはロープワークや読図の知識が欠けていることを自然の成り行きで自覚するようになると思います。その時が勉強のしどき、です。

そこで講習会などに参加します。機が熟してから、いく。

そうすると、学んだことがしっかり身に付きます。

そのころには雪山に行くための基礎知識も、すでについており、体力も十分でしょう…

ということになっていると思います。

大事なことは、急かされず、間のステップを端折らず、途中経過、プロセスを楽しんでゆっくり成長することです。

発酵でも急いで発酵させたお酒はおいしくないです。低温でゆっくり発酵させたお酒のほうがおいしい。

山やも同じことで、自分のパートナーに、と急こしらえの山ヤを作るようなことは、あまり感心しません。

登れても下れない、後ろをついて歩けても自力下山できない、という半人前山やが出来上がってしまいます。

なので、俺の背中を見て盗め、は、もう現代には無理なのです。

説明し、
やってみせ、
連れて行って、後ろを歩いてやらねば、人は育たない。

《岳沢小屋のブログ》
http://www.yarigatake.co.jp/dakesawa/blog/2018/05/post-1190.html

経験値は役立たない
https://stps2snwmt.blogspot.com/2019/05/blog-post_27.html

Monday, April 23, 2018

蛮勇vs地頭力

山の世界では、蛮勇がもてはやされる…これは山の本の影響。

勇気は大事だが、蛮勇である必要はない。

蛮勇とは、今風に言えば、イケイケってこと。

むしろ、山に必要なのは、地頭力、だ。

リスクを、とことん考えて、現実的に、どうしたらリスク回避できるか?を考えつくす力のこと。

例えば、アイスリードが課題だとしよう。

その時、自分に必要なのは何か? 

いくら易しい三級アイスでも、もろいアイスは、適さない。仮に敗退が起こった時に、アイススクリューを残置したくなければ、アバラコフを作れる技術が必要だ。アバラコフを作るには、最低20cmくらいの厚みの氷は必要だ。

などなど、お尻から考えて、今何が必要か?が分かる。

そういう、リスクを因数分解する思考能力のほうが、よく考えもせずに、勇気だけで取りつく、蛮勇よりも重要。

リスクを因数分解する能力=地頭力。

死なないために山ヤは、地頭力を鍛えましょう。

Thursday, October 5, 2017

ピオレドール賞の評価ベース

ピオレドール章(登山界のアカデミー賞)の評価ベースとして求めるもの、という文章を見かけた。次の項目が掲げてある。(リスト化当方)

1)登攀スタイル
2)探究精神
3)傾倒の度合い
4)技術的困難度
5)危険性の回避
6)最小限の道具
7)パートナーの尊重
8)現地の人や他チームの尊重
9)環境へのローインパクト
10)次世代の尊重

■ 山登りの価値観

ピオレドール賞の存在感は一般登山者の間ではかぎりなく薄い(笑)。ほとんどの登山者が知らない。

けれども、山登りの人は、なんとなくでも、世界の高峰があり、先鋭的な登山の世界のことも、遠くのどこかにはある、と感じていると思う。

山に世界で伝統的に価値があるとされてきた考え方に触れることは、とても重要なのではないだろうか?

■ 項目

登攀スタイルとは?極地法やアルパインスタイルといこと。手短に言えば、大人数か、少人数か。

探究精神…探究心と言うのは冒険的要素と言うことだと思います。未知の要素。

傾倒の度合い、と言う項目があるのには、驚きました。傾倒している方がより良い、ということらしい。

技術的困難度… 難しいほうが価値があるのは、普通ですね。

最小限の道具… 道具が少ないほうが良いと言う価値観が伝統的にあります。なので、ウルトラライトな考え方は山の伝統とも一致すると思われます。

パートナーの尊重… セカンドも大事ってことでは(笑)。セカンドを大事にしましょう。

現地の人や他チームの尊重…我先に、というのは、無しです。

ローインパクト…当然ですね。しかし、現代はハイインパクトに偏り中です。山小屋はハイインパクトです。特に稜線にあれば、ハイインパクトです。テントはローインパクト。大人数はハイインパクト、少人数はローインパクト。

次世代の尊重… 忘れさられていることが多いような? 冒険の余地を残すと言う風に書かれていますが、開拓の余地を残すという事と思います。また手つかずの自然を守っていくということにもつながると思います。




Saturday, August 12, 2017

男性初心者を育てる難しさ

去年の今頃のことを考える。小川山でテント泊していたんだが…。ちょっとした事件があった。パートナーのことだ。

私は、山では、ホントに男性と女性では危険の認知力が違うと思う。おそらく、女性は子供を守ると言う本能を与えられているので、危険認知が、男性の数倍早い。

Kさんという講習生の同期がいた。一緒にアイスしたりして楽しく登っていたんだが、無雪期になって沢シーズンに入ると…出てきた行くところリストは、ものすごい難しい沢山行ばかり…。当時の沢の師匠に見せると、初心者が行くには危険極まりないところばかりだそうだった…。ので、それを彼にフィードバックすると怒ってしまったのだ。ので、彼とは山に行かないことになった。

山をまだ良く知らない男性山ヤとのパートナーシップの解消はこういうケースが多い。

皆、行きたいところが、”いきなり高度”すぎる。”段階を踏んだ成長”ということを全然理解していない。

それで、私の方から 

 「無理強いされて死ぬくらいならパートナー解消」

となってしまう。Kさんの時も、この事例で、私は沢の師匠になってくれる人を見つけていたし、二人で門下に下ろう(笑)と思っていたのだが、彼は、師匠に付くなど、男の沽券にでもかかわるとでも思っていたのか、沢登りに師匠が必要とは、予想だにしていないのだった…

で、けんか別れしたのだった。私が見つけた人は、素晴らしすぎる沢経験が豊富な師匠だったからだ。彼にはその価値がワカラナイのだった…。

テント泊では、その喧嘩の事情を誤解した人が、私がKさんと登らなくなったことについて、否定的なことを言ったのだった。事情をよく知りもしないで。

■ 男子は難しい

男子というのは、ホントに山にたいして自信が一杯過ぎて、難しいです。 

大学生のO君も同じでした。 私は間違って、初級のアイスのルートにセカンドで彼を連れだしてしまったのです… 連れて行って見ると、「懸垂下降したことありません」。

懸垂下降と言うのは、アルパインでは最初に習う技です。ないとどこへも行けない。

ですから、したことがないということは、まったくのゼロ初心者、と言う意味です。敗退ができない人は、どのようなルートにも行くことが許されないのですから…。

ですから、この時のこのセリフで、私は、ハッとすべてを理解し、このルートのあとは、人工壁に連れて行き、バックアップがついた超安全モードの初心者向け、懸垂下降から、支点の作り方、セカンドの確保のセット、つるべ、基本的なムーブまで、色々教えたのでした…。これらはすべて私が有料で学んだことです。

さらに岩場もデビューしてもらわないと、ルートはないので、岩場デビューまで、先輩に頼み込んで、面倒を見たのです。山岳会も知人や友人のつてで彼の年齢にあっていそうなところを探し一緒に例会に行ったくらいです。アイゼントレのための岩トレもしてあげました。自分には必要ないけれど、後輩を安全に山に連れて行くためには、先輩の義務みたいなものです。

それでも、やっぱり、彼はビレイを習得してこなかったのです…。知り合って1年が過ぎ、彼にはリード壁での技術習得が必要だと言ってあったのに、彼のビレイを見ると、去年のままでした。

ビレイと言うのは、意識が分かります。ただ持っているだけでいいという教わり方をしてしまった人など悲劇です。

外のアイスからビレイを入門するのは、初心者に誤解を与える非常に大きなリスクで、アイスではだらりんビレイがだいぶ許容されています。落氷があるからです。しかも、アイスで通常リードするのは、絶対に落ちないベテランと決まっています。なぜなら、それだけ墜落が許されないからです。なので、結果としては、ビレイは形骸化します。つまり、落ちないから誰でもいいし、だらりんだろうがなんだろうが、クライマーとしてはリスクは変わらないので気にせず登る、ということになります。

しかし、初心者は、それがアイスだけの、またベテランがリードするときだけの特別な事情とは、まだ分かっていないので…そのようなビレイを常用するようになると、非常に危険です。フリーでは全く許されないビレイ、人工壁だと完全にアウト、と言うようなビレイをします。

私はパートナーは欲しいですがビレイができないような人は、さすがに無理。どのようなクライマーでもビレイが確実なビレイヤーを求めるのは贅沢ではなく、ただの必要最低限ですので、この子はかなり大事に育てた人でしたが、やっぱり無理だな~と思いました。

男子には、誰か大人の男性が、きっちり山ヤになるにはどういう責任が附随するのか、教えてくれないとダメです。 

じゃないと、ただロープ持っているだけで、俺ってイケてる~って思っちゃうのです…。

なにしろ、アイスクライミングや岩登りは、周囲の人間には全く理解されておらず、ギアを持っているだけで、鼻高々になれる活動だからです…

一般に、山登り自体が、全体的にそんな面があります。ギアが特殊なので、特殊な感じを漂わせています。平たく言えば、知らない人からみたら、なんか凄そう…

ですから、余計に、謙虚な姿勢で臨む必要があると思います…。

■ 過去の経験から学んだこと

私はこれらの経験から何を学んだのでしょうか?

1)事情を知りもしないのに 予断で判断するのは失礼だということ

私はKさんとのことを一方的に悪人扱いされ、嫌な思いをしました。Kさんと一緒に登れないのは私だけではなく、たとえ男性でも初心者だったら無理です。命がいくつあっても、足りないことになってしまいます。自分で自分の命を守るのは自己責任なので、Kさんと登っていないのは、私は正しく自己責任を取ったということになります。

2)ビレイくらい確実な人をパートナーに欲しいと思っていること

私はビレイが良く何度も墜落を止めている経験がすでにあるなので、私自身にも、私の墜落を止めてくれると信頼できる人をパートナーに欲しいと思っています。それくらいは最低限の条件で。

3)ビレイヤーを育てるのは、男性は男性同士で。

女性に対しては男性は甘えが出るので、ダメなのではないかと。言って聞かせて分からない場合、対処法がなくなります。

一般に若い男性は、根拠なく、女より自分が上と思っています。もちろん、体力は上でしょうが、危険だよ、と指摘されたとき、理解する頭脳が停止状態になるようです。

たぶん、運転が危険だと指摘されると腹が立つのと同じなのでは?

4)ビレイヤー育ては、最初が肝心

ビレイを習得すると言う面で、落ちることがないアイスクライミングでビレイデビューすると言うのは、最悪の選択肢です。

やはり墜落が当然のように繰り返される人工壁でバンバン落ちるのをバンバン止めるというのが大事なことのように思います。

5)手放す

言って聞かせても分からない人だったら、いくら自分が一杯自分の時間を使って育てた人でも、執着を手放して、あきらめる必要があります…

時間を返してほしいと言うような気持ちになったりもしますが…その分の時間で、普通に遊びに行けたりもしたはずですから…

手放すということを学ぶ良い機会なのだ、ということなのでしょう。

6)要らないプレゼントはあげない

O君がそもそも、ビレイを習得したがっていたか?というと… もしかしたら、違ったのかもしれません。

そうなると、私が先輩を引っ張り出して岩トレしたり、色々した努力は彼にとっては、あまりあり難いことではなかったかもしれません。事実、お礼を言われたことがなかったような???

ということは、擦れ違いのプレゼントということです。

すれ違いのプレゼントは悲しい… 相手が頼んできたときだけ、プレゼントをあげる、ということが大事なこと、

特にこの辺は女性と男性では話が違います。

女性は、相手のニーズを察して、相手が言葉にする前に差し出すことを思いやりのある態度と考え、そのように行動します。相手のニーズを先回りするのです。

男性はそうではなく、自分が頼んだことでない限り、やってもらった、とは思いません。

以上が、これらパートナー候補者2名から、経験から、学んだことです。





Friday, July 14, 2017

クライミングの色々

■ クライミングと一口に言っても…

昨今、クライミングブームらしいのですが…

アルパインクライミング
フリークライミング
スポーツクライミング
ボルダリング
インドアクライミング
アウトドアクライミング

…とぜーんぶ違います。で、新人さんには、それを説明するのは大変なので、勝手に理解してほしいのです。たぶん、クライミングが楽しくなると、勝手に本を読みたくなってくるというか、そういう知識の渇望期みたいなものに入るはずなのですが…

それも周囲に先輩が居ない状況だと難しいカモ?と思わないでもない…

ので、ちょっと努力してみます。

フリークライミングがすべての基礎にありますが、フリークライミングという言葉における、”フリー”の意味とは、道具を使わないで登る、という意味です。反対を考えると分かりやすく、エイドクライミングというクライミングは、エイド=人工の道具を使います。

要するに、自分の力だけで登るということです。でも、実際は、ロープとクイックドローは使いますし、ハーネスやヘルメットも、チョーク、クライミングシューズも必要です。

それでも、建前上は、登るのに道具を使わないで、登ることになっています。(チョークのフリクションがエイドじゃないか?ということは言わないって意味です。でも、ホントにすごい粘着力で登る時代も来るのかもしれません…)

スポーツクライミングは、安全性を重視した、クライミングのムーブそのものを楽しむためのルートです。主に人工壁と支点がきっちりと整備され、支点の間隔が近い岩場。

ボルダリングは、ボルダ―(河原の石っころ)に意味を発します。石っころを登るわけで、ロープが要らない程度の高さしか登らないです。どんどん難しくなっています…(汗)。

インドアクライミングは、そのままで、インドア=室内壁と言う意味です。アルパインの人は山が好き、アウトドアが好き、なわけですから、アルパインの人にとっては室内壁は、今の時期のように雨で外で遊べない日用です。が、気軽に山に行けない都会の人にとっては日常のようです。

アウトドアクライミングは、あまり使われない言葉ですが…そもそも、岩って、アウトドアにしかないのですから!!アウトドアが当然の前提ですので…。

でも、インドアクライミングしか知らない人口が増えた結果、”外岩”という言葉が使われるようになり、定着した言葉なのだそうです。

外岩ってのも、正直、変な言葉で…だって岩って外にしかありませんしね?

でも、世の中が本末転倒化してしまった現状から、そう呼ばれるようになったという経緯があります。本来主流、オーソドックスだったものが、少数化、マイノリティー化して、特殊な分野に貶められてしまったということですね。

ジムのお兄さんで、5.13が登れる、すごい人がいましたが、小川山で会って挨拶した時、「最近前穂北尾根行ったんですよ」と言ったら、「僕、山は行かないんです」と言っていて、思わず、私はきょとん?としてしまいました。小川山は山ではない? 確かに麓であり、アルパインの岩場とは異なります。そういうことを彼は言っていたわけですね。

今からクライミングを始める、ということになると、登攀とロープワークをセットで覚えないといけないのですが… 登攀と言う意味では、どの種類のクライミングでも、クライミングなので、どれでもいいので、一冊買って、読んでみることをお薦めします。

私が一番好きだったのは、

1)ヤマケイ アルパインクライミング 保科雅則
2)インドアクライミング 東秀樹
3)かんたんフリークライミング 中根穂高
4)フリークライミング上達法 ギュリッヒ
5)インドアボルダリング練習帳 ロクスノ

です。余り役立つと思えなかったのは、アウトドアクライミングでしたが、チータースティックの作り方とか書いてあり、参考になりますが…

もしクライミングの技術書で一冊だけ、というのなら、

最近東さんが新しく上梓した、

スポーツクライミング教則本

が良いと思います。

全体像は分かりませんが、クライミングムーブの解説は非常に詳しく解説されていますので、これ一冊で他にはいらないんじゃないかと。

私もこれで、5級の壁を乗り越えて、3級が登れるくらいにならないかなぁ~などと夢想していますが…でも、しばらく5級でもいいかなぁ。

■ ボルダリング

ボルダリングのグレードは、フリーのデシマルグレードとは全然違います。大体、初心者向けの10~9級は、初日に10人いたら10人登れる設定になっています。8~7級でも、数日、通えば登れるような気がします。私がそうだったので。

ただ登れだけなのと、キレイなムーブで登っているというのは違っていて、キレイなムーブが出てくるようになったのは、ジムに一か月の定期券を買って通うようになってからです。

一般的には、デシマルで5.10a以上は、フリークライミングのムーブを使って登る必要があると言われています。が、腕力で登ってしまえる人も中にはいます。

前傾壁となった場合、側体というムーブを使わないで正対で登ると、すぐに腕がパンプして登れなくなります。側対を使えば、私のように虚弱な女性でも、相当長い時間、パンプしないで登ることができます。

要するに、前傾壁と言うのは、ムーブを無理強いする効果、があるのです。それが薄被りが初心者のムーブ習得に最適、と言われるわけです。

■ クライミングは足で登るものです

たとえ前傾壁にせよ、クライミングは足で登るものです。

しかし、私の場合ですが、足で登ることを覚えられたのは、スラブです。

そして、インドアクライミングに、スラブはないです。

インドアで登っていると手を使う登りばかりしてしまいます。でも、本来の岩場で、いつも探しているのは、ハンドホールドではなくて、フットホールド…

特に今回インスボンに行き、フットフォールドを探すように知らない間に意識改革してしまっていました。

相変わらず、インドアでは、手数で色々と考えていますが…。

■ 5.9アンダーとアバブ

大体、山岳会に入ると新人さんは、3年くらいは5.9アンダーです。それくらいの時間がかかるもの、と考えた方が良いと思います。私は初めて5.9をオンサイトするまで、1年半かかりました。

5.9がオンサイトできたとき、先輩に「フリーはこれからだね」と言われました。まさにフリークライミングの入り口が、5.9から上なんです。

たとえ、一つだけ5.9がオンサイト出来ても、それで十分という訳ではなく、クラックでは、まだ5.8しかオンサイトしていません。それも一本だけです。城ケ崎ではオンサイトとは言えないと思いますので…。

スラブ、クラック、フェイス、ワイドクラック、前傾壁、と異なるスタイルの登攀が必要になります。

とくクラックは、カムといわれる特殊なプロテクションの設置技術の習得も必要になります。

というわけで、グレードだけを見ると、ちっとも進捗しません。

例えば、ボルダリングジムだけに通い続けると、ジムでのグレードはどんどんと上がるようになり、上達が楽しい、と感じるようになるのかもしれません。

ただ登攀の世界はこんな感じに、なかなか色々と細分化され、でも、そこには一種の常識的な理解のライン、というものもあり、それを記事で伝えるのは少々難しいと言うことです。

私は、アイスクライミングに行っていて、若い男性と知り合い、一緒に登るようになりましたが、ロープも私が出し、支点作成ギアやアイススクリューも私の方が出し、行く場所に案内するのも私であり、車を出すのも私でした。この時点で初心者だなぁということが分かるわけです。


彼が「ボルダ―ジムに行ってきました」と報告してくれた時に、これは全くのクライミング初心者だったんだな~と理解しました。

正しくはボルジム、か、ボルダリングだからです。そう言う風に様子が分かると、どちらが先輩役で意思決定をしないといけない立場か?ということも明らかになりますし、ビレイの習得がまだ未習得であろう、ということも、大体、伺えます。

習得にはインドアジムに通う必要があるからです。少なくとも、そのような用語使いが変だということが分かる程度の期間は…。

なので、ここら辺の解説を聞かないでも、ある程度話が通じるようになる、というのが、クライミングを始めてすぐの新人さんの、最初の目標となるのかもしれません。




Thursday, July 13, 2017

フリーの二点支持 vs 不安定な2点支持

■ グレード

私はいつも山の指導者を得ることが出来てあり難いことだなぁと感じています。

グレードの間違いについてご指摘いただきました!

以下は指導いただいた方の文面のコピーです。少しだけ手直ししています。

★RCCⅡグレード(≒UIAAグレード)
1級・・・1~2点支持で十分な、遊歩道や登山道
2級・・・一部3点支持が必要となってくる岩稜帯(一般登山道の岩場の難所など)
3級・・・3点支持を必要とし、かつロープを必要とする岩場
4級~6級 ・・・ 難易度が上がっていく

※すでに3級でロープが必要となり、3級からクライミングと表現します。4~6級は岩の難度が増すだけの基準。(6級より難しいのは暫定で7級と表現されたりもします。ちなみに『第七級』というメスナーの本があります。)
★デシマルグレード
1級・・・1点支持で十分な遊歩道や登山道
2級・・・2点支持が必要な岩稜帯(一般登山道の岩場の難所など)
3級・・・3点支持が必要な易しい岩場
3~5級は岩の難度が増すだけの基準で、明確にフリークライミングを対象としたもの
6級・・・人工登攀


※高難度の岩場をフリーでグレーディングする際、6級は人工という別のカテゴリー(デシマルという意味から、狭義には5級(5.○○)の少数部分のみを指すのでしょうが、広義には1~6級すべてを指すと認識しています。)

■ ハードフリー

「昔はフリークライミングのことをハードフリーって言っていたんだよ~」 

なんて山岳会の先輩たちが教えてくれました。昔は11クライマーであれば、皆から尊敬されたのだそうです。今では、イレブン、つまり、5.11が登れると言うことですが、それくらいの人は、掃いて捨てるくらいいます(笑)。

登山における登山道が、どんどんと傾斜を増し、これは手を使わないと登ること自体が不可能、というような傾斜になって行った時、一般的には、三点支持が必要になります。2点だと、1点が壊れたとき、残りの1点で体重を支持することは不可能だからです。これで体感的には4級くらいかと思います。

■アルパインの岩登りとフリーの岩登り

岩登りの”基礎”を知らない初心者に岩登りさせると、登るプロセスで、四肢のうち、一瞬2点のみとなったりすることがよくあります。これはアブナイ。

これは無駄な動きをしない感覚で考えれば初心者ならば自然の動作と言えますが、その2点となった瞬間、例えば手1、足1の時、足1がスリップしたとしたら、手1だけでは身体は支えられず、殆どはフォールします。

その時に注意・指導するのが、3点支持(3点確保)の概念で、その初心者は初めて四肢のうち何点という、支持に対する意識が生まれます。
(3点支持の3点は、『手2・足1』でも『手1・足2』でもOKです。)

ちなみに、支持に対する意識は、支点の作成でも同じです。かならず2点以上。カムの場合は、3点が確実です。
それと同時に指導するのが、静荷重静移動と正対です。

≪まとめ アルパインのクライミング指導≫
・3点支持
・静荷重
・正対

これらは、フリークライミングのムーブ指導とは正反対の指導です。

なぜか?

目標とするのが、基本的にフォールを許さない、ためです。つまりは、支点の脆弱性が顕著なアルパインクライミング、を安全に行うことを目指すため、です。

■ クライミングでなくても、バランス維持はしている

バランスを何点でサポートしているか?ということに着眼すると、一般に

0点・・・ランニング(マラソン競技)
1点・・・通常の歩行(競歩)
2点・・・バランスを要する箇所、梯子等
3点以上・・・クライミング行為など

この0点~2点は日常どこにでもあるシーンと言えます。

ある人が山をやりだして、次第に岩場に行きだし、3点支持を教わります。しかし、スタティックに、かつ正対ではハングした難しいルートは登れない。

何をするか?

傾斜を殺すためにフリやダイヤゴナルを覚えると同時に、フリークライミングの課題では支点やホールドの信頼度がアップしているために、2点・1点、場合によってはランジで0点などが、クライミング行為においても可能になってきます。足を切るなど2点中心のムーヴが極めて有効になってくるわけです。
これがフリークライミングの2点支持と、絶滅しそうなアルパインクライミングとの差なです。

あるアルパインルートがフリー化されたとなると、2点支持やダイナミックムーヴが
ある程度可能になったのだろう、と考えたりします。

ーーーーーーーー

■ アルパインに必要なフリークライミング能力 

・・・ということなのです。いわゆるアルパインクライマーは、アルパインのルートで出てくる被り以上の、高難易度なフリークライミング能力が必要なわけではありません。

ですから、アルパインクライマーに必要なフリークライミング能力は、フリークライミングのカテゴリーからすると、非常に基本的な、初級の能力です。

私の場合ですが、ボルダリングジムで、8級くらいの課題を、正対、ダイアゴナル、アウトサイドフラッギング、インサイドフラッギング、の4つのムーブで登ることができます。同じ課題です。

これ以上登攀力を上げようと思うと、デッド、ランジ、それから、保持力UP、となります。

そんなの、アルパインでは要らない。ただし、これは、アルパインでもクラシックルート限定です。前穂北尾根とか。

そうではなくて、世界のピオレドール賞を取っているようなアルパインクライマーを目指す若い男性に必要な能力・・・たとえば、今現在大学生の山ヤですが・・・は

最低でも、5.12を登る能力 が、セカンドであっても必要 だそうです。(ピオレドール賞取った人に聞きましたから、本当です)

どれだけ高難度アルパインが高難度化していることか・・・ 昔は、5.11ですごいと言われていたのに、今では、5.12を5本オンサイトしていることが、フリークライミングのインストラクターの最低限の要求試験です。

5.12をボルダリンググレードにすると、どれくらいなのでしょうか?2級くらいかなぁ。私はそこまで行こうと言う意思がないので、見てみたことがないですが、楽しくアルパインをするには、昔の基準、5.11で十分な安全マージンがあると思います。

アルパインクライミングには、フリークライミングと違って、長いアプローチを重たいザックを背負ってこなす体力が必要です。

例えば、前穂北尾根は、テントサイトにたどり着くだけで6時間かかります。その間ロープや登攀具、テント装備一式、寝具などが入った重たいザック・・・18~20kgくらいを背負って歩けなくてはなりません。

その後は、岩場の基部までのルートファインディングが大変です。踏み跡はないのが普通なので、読図力はもとより、たぶんここだろうと言う虫の知らせ的なものをかぎ分ける嗅覚が必要になります。人間の記憶はあいまいで、前に行っていても、間違うこともあるからです。

やっと登攀が始まったら、あっという間に終わってしまいます。普段、アプローチが10分で、岩場に付くクライミングに慣れていると、こんなに長い時間、苦労してアプローチしたのに、たったこれだけのご褒美?!と思いたくなるかもしれません(笑)。

しかも・・・まだ下山が待っていて、下山の方が、大変だったりします。登ったら、下りなきゃいけないんですよね~。

と、フリークライミングに慣れると、ご褒美が少なくてつらいクライミング、が、アルパインだったりもします。

山が当然の人にとっては、「6時間?短いね」って感覚ですが・・・だって、6時スタートで歩き出したら、12時には着いちゃうんですよ?もっと歩きたいですよね(笑)。

重さも、普段、重さにゆとりがあるので、瓶でお酒を持って行ったり、冷凍のカニを丸ごと持って行ったりしているような人たちなら、「18kgかぁ、もうちょっと大丈夫」とか感じると思います。

しかし、登攀しながら、18kgは絶対にありえません。ほとんど、歩きでしかない4級程度でも、重いと本当に大変です。

その大変さ度合いが分かりにくさの元凶にあります。

フリークライミングは困難ですが、安全度が高いのです。フリーしか日ごろ触っていないと、浮石を掴んで登るような登りに意図せず、なってしまったりして、アルパインでの危険認知力が落ちます。

歩きも弱くなるし・・・でも誰でも一時期はフリーへの傾倒が必要です。クライミングの基礎はフリークライミングにあるからです。

しかし、初歩の初歩で、用語的な部分でも混乱がある、というのは、このような理由からです。











Tuesday, May 17, 2016

黒戸尾根8時間 + 5.12

■ プロへの入口 黒戸尾根8時間 + 5.12

登山で、プロの世界を目指す人に必要なスキルとはどのようなものでしょうか?

それは、ずばり、

 厳冬期の黒戸尾根を単独なら、8時間程度で往復できる体力

 +

 5.12 

です。

今冬、私は単独で厳冬期黒戸尾根を登り、ヒマラヤキャンプ参加者たちに会って確認しました。パーティで登っても、9時間半だそうです。

また、登攀力は最低ラインで、5.12です。これも最近、伊藤さんから教えてもらいました。これは必要最低限ですから、ここまでは登れないと、プロ参加資格もありません。

もちろん、男性ではなくても、女性でもチャレンジ可能です。登山は性差が出にくい世界ですし。

これは、もちろん、趣味ではなく、

  ・登山の限界を引き上げる行為をする、
  ・登山史を推し進める行為をする、

という山のプロフェッショナルのために必要なスキル、という話です。

テント泊・雪洞泊などの山での生活スキルや危険予知力、歩荷力、など山では、ほかにもスキルが必要ですが、そういうものは、これら、(歩き)&(登り)という、二つの基礎スキルを目指している間に勝手に身に付くと思われます。

■ 山岳会への入口 ・・・アマチュア登山の世界に必要な体力

一般に、本格的登山と世間からは思われている山岳会ですが、アマチュア登山です。

プロとは違います。

アマチュア山ヤで、最低限”現役”と言える体力はどのようなものでしょうか?

 必要な装備(10~15kg)を背負って10時間連続行動ができる

 +
 
 5.9

です。これは、それくらいの体力が、最低限、ガイドブックにある体力度5の山に登るのに必要だからです。山岳会にいて、ガイドブックで入門の2とか3のルートしか登れないのであれば、それは市民登山レベルと言うことになります。

人は老いてくると体力が下がるのが当然ですから、これだけの体力が維持できなければ、1泊二日を2泊3日にするなどして、難易度を下げる必要があります。

■ ベンチマークの山

一般のガイドブックでベンチマークになるのは、雪の赤岳です。雪の赤岳が登れる程度の、基礎的知識と装備、体力は備えていることがアマチュア登山での活動にも必要です。

赤岳は体力度としてはラクラクの山なので、冬季バリエーションに出ようと思ったら、体力的には、まったく不足します。

その場合、次に大きな山で、冬季に一般ルートを歩ける山としては、甲斐駒があります。これは標高差2200mだから、体力の山です。

これを一般コースタイムで登れる程度の体力はないと、より整備の悪いVルートでは、景色を見てうっとりするゆとりがなくなるでしょう。

冬季バリエーションに出ようと思ったら、登攀力も必要です。5.9程度では落ちない登攀力が必要です。

■ ハイキングの会・・・楽しみながら体力をつける?

ただ山岳会にも色々あるそうです。ハイキングが主体の山岳会もあるそうですし、ハイキングの同行者で集まるのも楽しい活動だと思います。

ただ、入って活動しようという人の場合、なにもかも面倒を見てもらおうという感じで、白紙状態で来ても、困るかもしれません。山好きの集まりなのに、山好きでない・・・山好きになるところからですか・・・という訳になります。当然、まったく知識がゼロですから、話についていけないかもしれません。

話が弾む会が良い会と言えるのかもしれません。

一般的に山岳会に入会する前に

 ・ガイドブックで難易度最上級の山に自分だけで登れる

 ・一番簡単な雪山に自分の力で登れる

 ・テント泊が一人で出来る
 
 ・アルパインクライミングが何かくらいは知っている

くらいは、最低限できないと、なんというか、何しに来たんだ的な、お門違い感が生まれてしまうかもしれません。

一般的に、山岳会で行う程度の登山に必要な体力は

 ・15kgくらいを担いで8時間歩ける

 ・それより軽いなら、12時間くらいは歩ける

 ・一般コースタイムに遅れず歩ける

 ・標高差300mを1時間で登れる

です。新人さんとして入会する目安はこれくらいです。これくらいは歩けてくれないと、連れて行ってあげたくても、どこにも連れて行けないかもしれません。

一般に体力は、50代まで伸びる、と言われています。(逆にいうと50代からは下る、ということかもしれません)


■ 登攀

登攀は、普通の登山者の人なら、したことがないのが普通なので、誰も登攀力は問いません。

一般的に、登攀の初心者は、5.7~5.9の力です。 

なので、5.9が安定して登れるようになることを最初は目指すことになります。

 5.9 の エキスパート
 = 5.10A の初級者
 = 5.10B の初心者

です。多くの人の最初の登攀力は、

 5.7で楽に登れる
 =5.8 の初級者
 =5.9 の初心者

という状況だと思います。体格・体力差などにもよらないような感じです。

先輩クラスの人は、おそらく若い頃より実力が下がった時点で

 5.10d の エキスパート
 = 5.11A の初級者
 = 5.11B の初心者

くらいで、かつては5.12が登れんだけどなぁ・・・というくらいかもしれません。また登攀力は体力とは無関係ですので、先輩は知識があって登れても、体力的に厳しい山はもうしたくないなーという状況にあるかもしれません。

登攀と体力、この二つが山の基礎力ですが、ロープが出る山をするだけなら以外に敷居はそう高くありません。

しかし、山でフリークライミングをしながら、登れる限界をあげて行こう、という話になると、つまり、プロレベルと言う話になると、必要となる体力とスキルの量は一気に難しくなります。

しかし、今20代、30代という若者には、ぜひそこを一度は目指してみてもらいたいものです。




Friday, March 11, 2016

トップロープは安全か?

■ トップロープと言えども安心してはならない

FBで、こちらの記事がシェアで回ってきた・・・

安全と思われるシステムに潜む危険

この記事では、

 ”トップロープと思っても安全ではないよ”

という警鈴になっているが、私は

 ”コールは重要”

と違う感じ方をした。 ビレイ解除した理由が、聞き違い だからだ。

■ コールが一定化されていない

昔は、みな山からアルパインに入ったそうなのだが、現代では、フリークライミングから外岩へと進化する人が多いそうだ(よく知らない)。

そのためか、現状、コールが一定化されていない こと。

アルパインから入った人はコール(=クライミングの手順)をきっちり習う。が、フリークライミングから入った人は、習っていないことが多いらしい。

しかも、フリークライミングから入った人のほうが当然なのだが、クライミング力が上なので、リードしてトップロープを掛けてくれることが多い。

その時に正しいコールをしないで、意思疎通が粗雑になると、ビレイされていると勘違いして、ノービレイで、ローワーダウンを開始したりすることが起ってしまうかもしれない。

コールのミスについては、ありうる、と言う認識でなくてはならない。

 知っているだろうという前提 → ×
 知らないだろう → 〇

■ コールはシンプルに

コールは突き詰めると、ON と OFF しかない。

≪基本≫  L:リード F:フォロー

1)L 登ります  ⇔ F どうぞ。     (ビレイしている状態) 
2)L ビレイ解除 ⇔ F 解除しました (ロープアップ中でビレイしてい ない状態) 
3)L 登っていいよ⇔ F 登ります。  (ビレイしている状態)

これの2)で、ビレイの解除作業していると、返事が遅いので、”聞こえていないらしい・・・”と思って、 何度も「ビレイ解除~」と叫ぶクライマーが多いです。

仕方ないので、「了解」とか 余計なことを言うことになりますが、必要がないです。しばらく待てばいいだけです。しばらく待ってから、「ビレイ解除」が聞こえてこなかったら、「ビレイ解除」ともう一度叫ぶことにしましょう。

コールは英語にすると、すごく単純になります。  

1)L Climbing! ⇔ F BeleyON! (Beley ON) 
2)L BeleyOFF  ⇔ F BeleyOFF!(Beley OFF)
3)L BeleyON! ⇔ F Climbing!(Beley ON)

大事なことは、

 ・クライミング中に余計なことを言わないこと 

です。

聞き違いの恐れが生まれてしまいます。

■ 文化の差

話はもとに戻りますが、フリーとアルパインの文化の差をあげておきます。

                 アルパインの人   フリーの人
最初のアンザイレン      する           しない
コールのルール         あり           なし
メインロープのセルフビレイ  当然          しない
2つめのセルフビレイ      する           しない
ぬんちゃくセルフ         簡易的なものと認識  いつもやっている
宙吊り登り返し          知っていて当然     知らない
懸垂下降             知っていて当然     知らない
タイオフ              知っていて当然     知らない
流動分散             知っていて当然     知らない
固定分散             知っていて当然     知らない

確保器のタイプ         ATC-XPガイド     バケツ型、もしくはグリグリなど

と、フリーの人のほうが、”知らない”オンパレードになってしまいましたが・・・、知らないというより、フリークライミングしかしなければ、”必要ない”というほうが大きいかと。

フリークライミングでは、普通はショートピッチで支点もあらかじめ作ってあります。

なので、一つの課題を登って、終了点にロープを掛け、ビレイヤーにローワーダウンしてもらって、降りるだけです。

例えば、ですが、コンペの選手であっても懸垂は知らないことがあります。あるとき、小川山に行ったら、外国人のコンペ選手がいました。

いいスラブを探しているというので、それなら、ダイヤモンドスラブがある屋根岩2峰がいいと教えたら、「でもねぇ・・・懸垂下降ができないんですよ・・・」という返事・・・。

当時は、山の世界に疎く、懸垂下降ができないクライマーが世の中にいるとは思いもよらなかったので、その返事を聞いて、きょとんとしてしまった。

アルパインの人にとっては懸垂下降は最初に習うことなのです。
       
■  どういうことが起りうるか

私の場合は、岩2回目で組んだ人に教えることになった。(当時の記事)・・・が、組んだ人はフリークライミングから入った人だったので、

 ・セルフビレイをしない
 ・セカンドの確保機能付きのビレイ器を持っていない
 ・メインロープでセルフを取らない

ので、最初はビックリ仰天。 

向こうは向こうで、私がその人のビレイをやたらめったら怖がるのにビックリ仰天。

スポーツクライミング(=人工壁)ではバンバン落ちるので、落ちることは日常で、ビレイヤーはトップロープだったら誰でもいいんですが、

 アルパインでは落ちれば死(もしくは九死に一生)を意味する

んですよ・・・

■ 命を預かっているんですよ!

とはいえ、誰かと組まないと登れないのがクライミング。

信頼できるビレイヤーでなければ、クライマーは登れるところも登れない。

安心できないビレイヤーとは、要するに、

  ”クライマーの命を預かっているのだ!”と分かっていないビレイヤー

のことである。

それさえ分かっていれば、きちんとしたビレイをしよう!と心がけてくれるはずだからだ。

■ ビレイをまずはマスターしましょう

ということを私は最初に教わったので、半年間、ビレイだけをテーマに人工壁に通った。

新人さんは自分が登れないことを苦にしがち・・・ でも、実は登れないことは別に問題ではない。

誰だって、5.6でスタートして、5.7、5.8、5.9と徐々にステップアップするのが当然だからだ。

何が問題か?と言うと、きちんとビレイをマスターしないまま、時間だけが経ち、「5年もクライミングしているなら、ビレイくらいちゃんとできるだろう・・・」と思われてしまうことである。

■ 事例: フリークライミング歴5年でも・・・

これは、私が前に見た人だが、「フリークライミング歴5年です」と言うし、腰にヌンチャクを一杯ぶら下げており(クイックドローはリードしない限りイラナイ)、当時クライミング元年の私よりは色々知っているのだろう・・・と想定した。

私がリードで、彼にビレイをしてもらおうとしたのだが・・・引っ張り落とされそうになった。この時は、隣のパーティの人がビレイを交代しましょうかと言って代わってくれた。ビレイについては理解していなかったようだ・・・不思議だなぁ・・・クライミング歴5年なのに。

その後、この方にリードしてもらったら、中間支点にヌンチャクを掛けて引っ張りながら登っていた(汗)。それでは全然、”フリー”クライミングではない・・・。エイドクライミングだ。しかも、それが当然だと思っている様子だった・・・。おかしいなぁ・・・フリークライミング歴5年なのに・・・。

後で聞いたら、5年と言っても、年に一回しかクライミングには行かなかったそうだ。

よく山の遭難でニュースに「遭難した〇〇さんは、登山歴10年のベテランで…」とあるが、よく聞いたら、”1年に一回登山していた”と言うのと似ている・・・登山歴は年数で聞くと、相手の実力を見誤る・・・回数で聞きましょう・・・山歴はマイレッジです(笑)。

■ 自分のケツが自分で拭けるようになる

汚い言い方だが、クライミングを始めた頃、先輩が言った言葉。

つまり、

 自分自身の安全管理は自分で出来るようになるのが大事

ということ。具体的には

1)セルフビレイを取る習慣がある  → 自分で自分を落として死んでしまわない
2)ビレイヤーの自己脱出ができる →  クライマーが墜落した時
3)宙吊り登り返しができる      → 登れない壁も自分でなんとかする。

ということだ。

まずは、それらが出来てから、クライミングに行くようにしましょう。



















Thursday, December 3, 2015

一般登山をマスターしていない人に、アルパインを教えて良いのか?

今日は大荒れ情報が入っていた。甲府はいつものように天候の崩れが穏やかで、朝から雨ではあるけれど、お湿り程度で、気温が高い。午後3時ともなると、もう青空がのぞくようになった。

■ 気にかかっていること

しばらく前から少し気にかかっていることがあった。それは、

  一般登山をマスターしていない人に、アルパインを教えて良いのか?

ということだ。

例えば、コンパスを山に持ってきていなかったり、地図を知らなかったり、沢へ行くのに沢靴をもっていなかったりすると・・・一般登山がまだなのかな・・・ということが分かる。

一般登山では色々なことを学ぶ。それが十分学べていないで次に進むのは、本人のためにならない。山には順番があるからだ。

そこで問題は、私の課題になる。ビレイヤーは欲しい・・・けれど、

アルパインを教えてもいいのだろうか? 一般縦走もきちんと自分で完結できる前に、岩やら、沢やら、アイスやら、を教えたら、それはビレイヤーが欲しい私のエゴではないのだろうか?

■ 登山学校のチラシ

考えていれば、答えは向こうから、やってくる。アンテナを張っていれば、情報がひっかかる。

先日、大同心稜へ行くのに八ヶ岳山荘の簡易宿泊所で、AGS-J登山学校という、登山学校のチラシを拾った。ここはめったに立ち寄らないのに。

カリキュラムから、読み解けることは多い。こちらが、わたしが拾ったチラシのPDF版だ。

ベーシックマウンテンコースとアルパインスキルアップコースがある。

アルパインスキルアップコースはビジター不可。

やはり、アルパインは、一般登山が出来ていない人には教えてはいけないのだと分かる。

■ 何をマスターしておくべきか?

では一般登山で、マスターしておくべきことは?というと、カリキュラムから読み取れる。

・夏山の装備
・岩場通過
・テント泊
・地図読み
・沢基礎
・食当
・雪
・雪山テント泊
・カンタンな岩
・残雪期雪

だ。 毎月机上講習があり、それは無料。やはり机上講習は必ず必要で、いきなり山に行って教えることは無理だと思う。山で装備不備があれば、その山に入ること自体が危険になってしまう。

三つ峠縦走、谷川岳一般ルート、岩稜主体の山、南北アルプス、黒部、初級雪山、雪の谷川、カンタンな岩登り、という中身になっている。

まぁ首都圏の人にとって谷川岳は外せないが、山梨からは遠い。その場合、谷川を富士山に替えればよいと思った。

(案)
4月 三つ峠縦走 本社が丸~府戸尾根
5月 富士山
6月 鶏冠
7月 北ア
8月 初級の沢
9月 南ア
10月 八ツ 紅葉
11月 黒部 テント泊
12月 富士山5合目まで雪訓 
1月  初級雪山 八つ 
2月 クライミング
3月 雪(小屋泊)

という具合だ。

これをコースの難易度を変えていけば、毎年くるくる回すだけでも、大まかなカリキュラムができたことになる。

夫向けに考えてみた。夫は雪は経験があるが、黒部や谷川、クライミングは今からだ。

(夫向けプラン)
4月 GW 谷川岳&三つ峠縦走
5月 富士山 (須走から) 
6月 十二ヶ岳
7月 涸沢から奥穂 3泊4日
8月 伝丈沢
9月 仙丈ヶ・塩見の縦走
10月 編笠・権現、御神楽尾根 
11月 室堂散策
12月 富士山5合目、またはアイスキャンデー アイゼントレ
     正月 鳳凰三山
1月  十二ヶ岳の岩場
2月  赤岳 もしくは権現
3月  地獄谷

という内容。 これなら、彼にもあまり無理がないのでは・・・。ジムでのビレイ練習や、クライミングは、コソ錬。

私は夫とコソ錬するのが良いと思うので、コソ錬に付き合ってもらうようにしないといけない。

■ アルパインへの一歩はとても遠い

ベーシックマウンテンコースでも、一般登山者からみたら、上級の山だ。

雪の赤岳は、一般登山では上級レベルに入り、地図を持たない、地図を読めない人の入るエリアではない。

というわけで、アルパインスキルアップコースは、さらに上だ。

このベーシックマウンテンコースとアルパインスキルアップコースの間の、差はものすごく大きい。

例えるなら、中学数学と高校数学くらい違う。三角関数と微分積分の違いと言ったら分かりやすいだろうか?

実技講習を見ると、

4月に三つ峠でマルチピッチをしてから、翌年には冬に赤岳主稜、その後越沢バットレスでマルチになっている。これは、ものすごく急な成長だ。

もちろん、セカンドを基本にしているのかもしれないが・・・確かに三つ峠に丸っきりの初心者を連れて行かざるを得ないのは分かる気がするが、そういう丸々初心者だった人が、一年で越沢アットレスをリードできるようになるというのは、期待が大きすぎるような気がする。

それは、私が女性だからではなく、身長180あって自衛官と言うくらいの頑強な男性でもリードはさせられないだろうと思う。

赤岳主稜はこのような講習会の卒業課題に選ばれることが多いせいか、自分でリードしながら、つまり自立しながら成長している人たちには、楽勝課題と思われている。

が、前の会の先輩たちはみな11以上のクライマーだったが、赤岳主稜に行くスキルはないと公言していた。

ということは、結局、初心者同士で主稜はまだ早いということになる。

こういうカリキュラムは、色々なことが読み取れるが、そのまま右から左に転用するのはマズイ。

そこへ先導者の有無が大きく安全管理に差がでるからだ。

自分で行こう!と思うと、下積みが倍くらい必要になる。イコールパートナーと行こう!と思うと、下積みが1.5倍。連れて行ってもらうなら、1倍。ガイドに連れて行ってもらえば、0.8倍かな? 

背伸びの山は必要だが、それを実力とするには、自分たちだけで行く復習山行が必要。








Saturday, October 24, 2015

ロープワークをいかにマスターしたかを振り返る

■ ロープワークは身に着けやすい

さて、

 ・地図読み
 ・ロープワーク

が、2大登山技術ですが、いかにロープワークを身に着けたか?と言う話になりますが、これがまた、イバラの道だったなぁ・・・と思う訳です(^^;)、ハイ。

しかし、ロープワークは、確実に誰もいなくても教わることができる技です。地図読みより、ある意味ラクです。

ロープワークには、やり始めてから自信がつくまでに、1年半かかりました。

リーダー講習でならってすぐの記録

まだ岩二回目のころの記録

カラビナの掛け方くらいで躓いている頃

ガチ山一年生の頃の記録

何から教え何から学ぶべきか?

■ クライマーがロープワーク上級者とは限らない

ロープワークのニーズとして、クライミングはしないと決めている人には、心ならずも、ロープワークは、クライミングをすると決めている人以上の技術力が要ります。

 ・クライミングする人 → ロープワークは、初級で済んでしまう
 ・クライミングしない人 → ロープワークは、熟練の技が必要

理由は、クライミングする人は、簡単に済ませることができるギアを持って行動しますが、しない人は同じことをギアなしで実現しないといけないからです。

特に山岳縦走などで、万が一の時に使える技・・・となると、”その程度でいい”という話ではなく、”それが一番難しい”という話になります。

結果、 クライミングが上手な人は必ずしもロープワークが安全確実な人ではない

となります。

■ 転機となった言葉

 1) 何はなくともセルフビレイ

 2) ビレイができないと岩には連れていけない

 3) 5級マスター

これらの言葉が、成長の強い動機となりました。 

私は岩登りは最初から余り乗り気ではなかったのです・・・山岳総合センターのリーダーコースには、

 ・アルパインコース
 ・縦走コース

の2つの選択肢があり、到達ラインも違いますが、そのうち、縦走コースを選んでいたくらいです。
(縦走コースは3人しか人がおらず、アルパインコースにまとまってくれると助かるなぁという後押しがあった)

最初は、夫と行く雪山の縦走で、いかに夫を確保するか?ということを目的に出ていたのでした・・・。

しかし、理解が進むにつれて、縦走でロープを出すほうが、クライミングそのものでロープを使うより、数段難しいということが分かるようになりました・・・(汗) 何しろ、縦走路には支点が整備されてはいないのです。

さて・・・話は元に戻りますが、私は、クライミングは下手くそで、なおかつ心配性で怖がりなので、

 何はなくともセルフビレイ

が、最初に自分を守る言葉として、盾になってくれました。セルフビレイさえ出来ていれば、少なくとも墜落死はありません。

 ・雪の急斜面でも、バケツを掘ってセルフをとらないと叱られます。
 ・またアイゼン歩行練習でターンするとき、自己確保を取らないでやっても叱られます。

これらは、山岳会の行動を見ていると、新人さんへの遠慮や媚から、言わないで済ませられています。でも、ここは厳しく決して譲ってはいけない部分ではないかと思われます・・・命を守る習慣をつけるのが大事です。

 ビレイができないと岩には連れて行けない

ということは、講習会の雪中テント泊中に聞きました。私はその時、まだ人工壁も触ったことがない丸っきりのクライミング無知でしたので、ビレイが何かもさっき習ったところ。

それでも、ビレイがクライマーの命を守ることだ、くらいは分かっていました。ビレイができないビレイヤーなんて、ビレイヤーではありません・・・。

その後、南沢小滝でのアイスクライミングが私のビレイ初体験でしたが、上から両手とも制動側のロープを持ってローワーダウンしろと叫ばれ、「すみません」と返しました。フリーのゲレンデに行くようになり、周囲を見ると、そんな丁寧なローワーダウンをしている人なんて、ほとんどいません・・・。

その後、スポーツクライミングを毎週の活動にしている会に参加して、ビレイをマスター。スポーツクライミングでは、みんな平気でじゃんじゃん落ちているからです。

 5級マスター

は、クライミングを常習するようになってからの、心の支えです(笑)。 フリークライミングは、上には上がいる世界で、クライミングだけをするようになると、山に行けなくなってしまいます。

しかも、日本の山岳エリアでのクライミングは、5級までしか出てこないのです。

クライミングには、

 ・ムーブ解決して、一本の難しい課題を一回コッキリでもいいから決める

 ・いつでもスムーズにある程度のクライミングがこなせる

の二つのベクトルがあり、フリークライミングは前者です。5.12が登れる、などの世界です。平山ユージさんをクライマーだと人は思っても、登山家だとは思わないでしょう。

後者は、アルパインクライミングの世界です。アルパインでは、ハングドッグしてムーブ解決などしていたら、その間に凍てついてしまいます。アルパインに必要なのはスピード。ムーブ解決が必要な位なら、ユマールで登ります。というか、そこが登れる程度の登攀グレードでも、スピードを優先して、ユマールで登ると言う解決策を取るくらいです。

そこで、後者を目指す場合、どういう登攀力を目指せばいいのか?というと、

5級だったらどこでも、よどみなく登れる、

ということです。

■ 具体的にしたこと

1)初心者時代

行動:
 1) ロープワークの本を読む

 2) 文部科学省が出している、確保理論の文献を読む

 3) 家で結び目の練習をする

 4) リード壁に通う

 5) 初級の岩場に通う 

 6) 取扱説明書をよく読む

 7) わざと人工壁で落ちてもらって、墜落を止める

 8) ロープの購入

成果:
 
 ・結び目が結べるようになる

 ・リードフォロー(スタカット)が分かるようになる

 ・流動分散が分かるようになる

 ・手繰り墜ちが危険だと分かるようになる

 ・トップロープは最初を張り気味でないとロープの伸びの分、落ちる距離が長いと分かるようになる
 
 ・クライミングスタイルによるロープの差が分かる 必要なギアが分かる

2)脱皮時代

 行動: 
  1) 人工壁で5.10Aが登れるようになる

  2) 外岩に連れて行ってもらう 

  3) 外岩でリードする 

  4) 先輩の墜落を停止する

  5) アイスでリードのビレイをさせてもらう

  6) アイスでルートに出る

  7) アイスで中間支点を作る練習をする

  8) 岩装備をいつも整頓して置く

 成果:

  ・トポを見る習慣

  ・計画時に、ダブルか、シングルか、どのようなロープが必要か考える習慣

  ・フリーとアルパインの岩での装備の違い

  ・フリーの時にじゃらじゃらとギアをハーネスにぶら下げない 

  ・登るのに必要な物だけを持ってあがる

  ・登り出す前に、登攀をどうするか考える

3)中級者へ

 行動: 

 1)自分が外岩に連れて行く

 2)レスキューの講習に出る

 3)復習で再度、教科書を読む 

 4)自宅でロープワークを練習する

 5)知っていることを他の人に教える

成果:

 ・自分で登れるルート

 ・知識の定着で、自信を深める

 ・忘れている結びを改めて思い出す

■ どれくらい時間がかかったか?

ロープワークは紹介されてから、丸2年、最初の半年は、機会がなく、素通りしていますから、1年半具体的にかかっています。

私がロープワークが必要になるような山(バリエーション)に行き始めたのが、たまたま冬なので、アイスのルートやゲレンデが主なロープの出番です。

最初の一年は、確保理論を机上で講習せずにいきなり、外で確保だったので、分かっていないことがあるような気がして怖かったです。

実際、 

   ・ランナウト

   ・墜落係数2の墜落は危ない

   ・伸びないロープで落ちると危ない

   ・トップロープのプーリー現象

   ・ゼロピン目

   ・トラバースがむしろ危険

   ・一ピン目を取る前に落ちると危ない

   ・ロープギロチン

など、当然のことが分かるようになるのに、確保理論をきちんと読まないと分かりませんでした。

クライミングにも机上講習が必ず必要と思います。実際上記のことを理解させるのに、2時間程度しかかからないのではないかと思います。

その程度の知識を理解するだけに、少なくとも一年はもやもやした気持ちで過ごしました。

■ まとめ: 成功の要因となった行動

 1)ロープワークの本を読む

 2)スポーツクライミングに通う

 3)講習会に出る
 
 4)取扱説明書を読む

 5)家でコソ錬する

 6)相談相手を持つ

■ 講習費用

さて、ロープワークとの出会いは、講習会だったわけですが・・・山岳総合センターでは、リーダー講習以外にも、初級のロープワークを教える講習があります。

山梨の岳連が主催する講習会は、基本的に無料です。無料の講習会でも同じことが得れると思います。

ちなみに、例として、講習会の例を挙ますと・・・登山技術レベルアップ講習会(縦走時のレスキュー)は、机上講習と実技のセットで、15000円。机上があるというのが大事なことです。

山岳会は机上講習を嫌うので、いつまでたっても大事な知識が抜け落ちたままになりがちです。

私が知っている上手くいっている会は、例会で先輩が簡単な机上講習の代わりをしていました。

ただ、ロープワークの講習会は、

 ・基礎 まったく結び目の名前も知らない本当の初心者向け
 ・初級 自分の安全を守るためのロープワーク
 ・上級 相手の安全を守るためのロープワーク

と講習会を選ぶ段階でも、ある程度知識がないと、

 どの講習会に出たらいいのか?

がそもそも選べませんので、そういう意味で、相談相手を持つことは必要だと思います。

■ 相談相手を持つ

相談相手ですが、もし誰も相談する相手がいない場合

山田哲哉ガイドが登山何でも相談日を月曜夜に設けています。

また岳連など上位団体の相談窓口も、有効な相談窓口と思います。

山岳会に期待すべきは、こうした独習で、初心者が判断に迷った時の相談窓口というものですが、今この機能が果たせる会や人は少ないかもしれません・・・。

したがって、次に頼るべきは、有料の先輩、つまりガイドさんということになりますが、山岳ガイドにも種類があり、山岳ガイドのガイドステージⅡくらいでは、登攀要素が出ない山しか許されていないので、相談相手とはなれないかもしれません。

登山ガイドではもちろんダメです。フリークライミングのインストラクターもダメですから、結局は、非常に数が限られている、ということになると思います。

■ リスクも自分持ち

結局は、間違ったことを教わるかもしれないというリスクも含めて、リスクは自分持ち、です。

教わったことは、色々と検索するなり、他の情報源にダブルチェックを入れるなりして、きちんと裏を取り咀嚼する、ということが大事です。

 Trust But Check

と、英語圏では良く言われています。

例えば、私が信頼する先輩は、確保器使わない派でした・・・何しろダイニーマのスリングも、新しい装備は信頼できないと言って使わないくらいだったのです・・・。

しかし、新しく入ってきた人にとってATCXPガイドとダイニーマスリングは、誰でも持っている標準品です。

例を挙げると、アイスアックスもそうです。アックスはストレートではなく、現代のは、バナナシャフトです。

別にストレートシャフトで登れれば、それで構わないのですが、新しくバナナシャフトのギアを買おうとする後輩にアドバイスができるか?と言えば出来ないでしょう。

したがって、相談する先は、相談する側が良く相手の得意を知って相談する、ということ、複数のソースに相談すること、そうしたことは失礼に当たらない、行為です。

 ・登山スキルは、相談相手を持つことから

 ・登山リスクは教わったことを取り入れるか入れないかから

そこから強い自立の心が必要だと言えるでしょう。

■ この記事は三部作です

1)教え方を考える

2)地図読みを習得した経緯を考える

3)ロープワークを習得した経緯を考える (当記事)


Thursday, October 22, 2015

読了 『教える技術』

■ 教わっていないことは教えられない

この本の要約をを登山の本の分野に入れるべきかは、謎だが、登山では、

 先輩が後輩に無償で教える、

事になっていて、その伝承が途絶えている、ということが、基本的に問題視されている。

しかし、どの分野でも見られるように、

 優れたプレイヤーが、優れた指導者とは限らない

つまり、

 優れたクライマーがクライミングを教えるのが上手とは限らない

どうも、山にしても、登攀にしても、教え上手であることと、自分がベテランなのとでは、違うみたいなのだ。

というわけで、教えることのフレームワークが必要だ。

・・・というのが長くなったが、この本の登場の理由だ。

■ 行動分析学

この本は行動分析学を基にしているそうだ。 こちらは著者のブログ。

■ 要約

・ (教える)とは? = (望ましい行動を引き出す) こと

・ (分かる) と (できる) には大きな隔たりがある 

・ (心) ではなく、(行動) に注意を向ける

・ 教える内容を (知識)と(技術)に分ける

・(知識) = 聞かれたら答えられること

・(技術) = やろうとすればできること

・成果を上げている人の、成果につながる行動(勝因)を見つける

・何が出来て、何ができないか、チェックする

・知識のチェック & 技術のチェック

・知識 → 一問一答

・技術 → チェックポイントリストを作る

・3つのステップ
 1) 分かっていること、分かっていないこと、を切り分ける
 2) やらなくてもいいことの劣後順位を決める
 3) 相談相手として意見を求める 

・教わる人の動機を理解しておく

・理解度を知るには? (復唱)、(レポート)、(失敗例・成功例を想像する)、の3つ

・曖昧な指示を避ける
  
  例:ギアは落とさないように渡す × → しっかり相手が掴んだことを確認して後手を離す 〇

・目標は具体的な行動に表現する (MORSの法則)

・指示を出す時は、具体的な行動で3つまで。

・確実に100点が取れる課題で成功体験を積む

・ABCモデル 正しい行動に、正の強化を与える

・行動の”直後”に結果を与える

・モチベーションを上げるには?
   意義
   成功した時にどんな素晴らしいことが待っているか

・成果を計測する(見える化)

・プロンプトフェイディング 手助けをしたのち、フェードアウトする(自立させる)

■ これらを山に置き換えてみると・・・

万年セカンドというのは、プロンプト(手助け)から、指導者のフェードアウトがない状態のことだと分かる。

自分に置き換えて考えてみると、これが難しい・・・ というのは、山やは誰だって自分がトップを登るのが一番楽しいのであるからだ。

指導として、トップを行くだけでなく、愉しみとして行く場合も、実はトップを行きたかったりして・・・(^^;)

■ 知識と技術

知識と技術ということでいえば、社会人山岳会で圧倒的に足りていないのは、

 共通の知識基盤

かもしれない・・・。

夏山の机上講習だとか、登山用品の取り扱い説明書を読むだとか、登山体系を知っているだとか、奥秩父の地理的な基礎知識だとか・・・読めば、分かるような基礎知識が足りていないように思う。

それは教える人の責任かというと、社会人においては違うかもしれないと思う。

例えばテントのポールは引いて抜いてはいけないし、端から折りたたんでもいけない。真ん中から折る。これは単純に取説を読めば分かる知識だ。

しかし、単独テント泊をしないでいると、テント泊の経験が何回増えても、いつも誰かに設営してもらい、いつも誰かにテントを畳んでもらうので、そういう知識がつかないし、自分のテントを買わなければ、取扱説明書を読まないかもしれない。

その結果、、何年も間違ったやり方のままで、そうと知らず過ごしてしまうかもしれない。

それはテントポールのような些細な事柄だけではなく、ビレイのような重大な技術に関しても、そうかもしれない。

かくいう私も、重いザックを背負う時に、一旦膝に乗せてから、背負うことを知らず、講師に「そんなことも知らないのか」と言われた経験がある。

ザックの背負い方を知らなくても、自分が不便なだけで死ぬことはないが、最近は、”バケツを掘る”と言っても、知らない人もいるそうだ。

(バケツを掘る=雪の斜面に平坦地を作ること)

バケツを掘る、を知らないと、雪の斜面で滑落するリスクが増える。

知識でいえば、最近、「藪山の三種の神器は?」と聞かれた。 正解は、コンパス、地図、高度計。ちなみにこれは、「雪山の三種の神器」と同じである。

登山の場合、入会希望の段階で、きちんと最初に問診して置けばいいのかもしれない、と思うのだけれど、そのようなことをしていると聞いたことはない。

伝統的に、先輩は後輩の山理解の程度を察して、指導することになっているようだ。だから、少し実力以上に評価されているような気がして、いつも少し怖い。

私がありがたかったのは、例えば、雪上での足の置き方の指導。トラバースでしっかり踏みつけるように足を置く。

良い指導は目からウロコが落ちたような気がするものだ。縦にキックステップするだけではなく、横にもキックステップすれば良かったのだ。

■ 教える場と頻度

山岳会の新人育成プログラム・・・というのが、あるのかないのか分からないが・・・私には、なんとなく、あるように見えるのだが・・・

私が思うには、指導者と指導される側は、毎回・毎回同行する必要はないかもしれないと思う。

指導を目的にした教育的山行は、数回に1回で後は、間は”経験を積む”、”習熟する”ために同じレベルでバラエティのある場所に通う。

スタート 春山合宿
       岩ゲレンデ
       フリーや沢
      夏山合宿 縦走
       フリーや沢
      秋山合宿
       地図読み
ゴール   冬山合宿

というような、年間計画を考えると、先輩が後輩へ伝承する機会は、年に4回。途中で、足りない技術や知識を入れるために、特別な指導の機会を得る。 

たとえば、クラミングが苦手ならクラミング力だけを強化する機会が必要だ。ロープワークだけが必要なら、それだけをよく学べるような山行を計画する。

そうすると、主体的に学ぶと言うことからすると、やはり、

 ・指導者と行動を共にする山行=合宿形式・講習形式
 ・同レベルの仲間と行く山行 = 習熟、経験の蓄積

の2本が必要だと思う。

今の私に必要なのは、同レベルの同行者で、つまり自分と同程度に分かっている人であり、後輩ではない。

まだ私は後輩の指導に回るには、自分自身が技術や知識を定着させる段階にいると思う・・・が、実情はそうも言っていられないところもあるし、分かることを教えないのは、正義に反する。

というわけで、未熟でありながらも、教えなければならない状況に陥った場合、上記のようなことを気を付けながら、教えようと思っている。復習になって良いと思っている。終わり☆

Thursday, October 8, 2015

負の連鎖 ・・・山岳会を考える その8

山岳会へ入会すると、新人はもれなく、いきなり岩へ連れて行かれる。でも、そうすると、トップロープして降りてくるだけが岩登りだと言う誤解を生んでしまう。

アルパインという枠で見た場合、いきなり岩へ行きたいのはビレイヤーが欲しいという先輩側のエゴイズムだと思う。

だって、岩と言うシチュエーションになった途端に、それがどんなに易しくても、血圧が上がるのが普通の山しか知らない初心者だからだ。

落ち着いてロープワークに専念できる環境で教えていないことが、テンパっている状況で、すぐ出てこないからって、怒ったって仕方がない。

先輩にはツマラナクても、初めて教わる人には、何もかもが新鮮なはずだ。

その一回の手間をおしんだがために、何年たっても、万年フォローしかしていないのに、それで自分はイケてる、カッコいい奴だな~とか、思ってしまう・・・。ぬんちゃくをラックに、ぶらぶらぶら下げているだけで、使っていないのに、それで自己満足してしまうのだ。

それは何も知らない人が、そのギアを見て、凄い人というまなざしを送ってくれるからだ・・・。

そんな”凄い人”という誤解を受けても、本当の自信はつかない。

だから、リードできないし、リードしたい!という気持ちにもならない。

一生セカンドで、登って、周囲に”凄い人ね~”と誤解されたままでいる方が楽チンだからだ。

そんな人を作らないためには、最初に、ちゃんと教えるべきことを教えてから、連れて行くべきだというのが私の意見だ。

〇〇に行きたいなら、××をできるようになってください とハッキリ言うべきだ。

それは失敗例を根拠にした意見だ。

■ 新人が誤解する仕組み

山岳総合センターでは、ビレイができないと岩には連れて行けない、と講習生だれもが分かっていた。

ビレイも出来ないのに、高度な山に連れて行ってはいけない。それはズルだ。ズルができる、ということが、その山岳会に所属するメリット、になってはいけない。

岩に行くなら、最低限

 ・ビレイ
 ・ビレイヤーの自己脱出

は、できないと困ると教え、相手が分かった、行きたいから教えてください、という気持ちになってから、行く・・・というのが正しい順序であるべきだ。

実際に完璧にできるかどうか?ということはともかく、できるようにはならねばならない、と最初に理解していることが大事だ。

そうであれば、できないのに連れて行ってもらっている、という意識が芽生える。つまり、謙虚さ、ということだ。

■ 謙虚さがない新人は間違った教育のインデックス

そうでないのに連れて行けば、連れて行ってもらうことは当然と感じるだろうし、自分は食当だから自分の役目は果たしている、と勘違いしてしまう。食当やロープを担ぐなどの分担は、貢献にはカウントされない。皆で協力するのは普通のこと。

貢献と言うのは、その山行の遂行に欠くべからざるメンバーになる、ということだ。その人が抜けても山行成立するなら、別に何も貢献していない。

何も貢献していないのに、自信満々であるとか、どこそこへ行ったと自慢話をしている、ということは、どういうことを意味するか?

聞いた人は単に「分かっていない人だな~」と思うだけなのだが、分かっていない人の存在が意味することは?

それは、多分、間違った教育、だろう。間違った教育の結果が、自慢話なのだ。

例えば、誰にでも分かりやすい例は・・・

 ・ビレイもできないのに外岩
 ・高尾山にも行けないのに、GWの穂高のバリエーションルート
 ・地図も読めないのに、厳冬期北岳

人には親心というものがあり、山にあこがれる人には、ちょっと背伸びしてでも見せてあげたい!という気持ちが働くものだ。

それが行きすぎるのは、連れて行く人のエゴなのだ・・・そのエゴと言うのは、自分だけのパートナーにしたい、自分に依存してもらいたい、という気持ちなのだろう。

教えた人が自立してしまうと、せっかく自分の時間と労力を費やして教えたのに、教えた相手が気に入った相手と勝手に出かけ始めてしまうからだ。

それが経験値として積み重なると、最初から依存傾向にある人だけ選んで連れて歩くようになる。

つまり自立したがる人は良いパートナー候補とならない。

同じ原理で、山岳会は、会員が確保できないと感じるようになるだろう。


■ 外岩に連れて行くタイミング

前にいた、アルパイン系の山岳会では、外岩に連れて行くタイミングは非常にデリケートに感じているようだった。

ある程度、人工壁で、リードが確実にならないと外岩デビューはない。

何しろ、外岩デビューはビッグイベントで、それはご褒美と言う位置づけでないといけない。

安売りすると後で損するのは自分なのだ。

岩登りそのものだって同じで、人工壁である程度登れてから連れて行く。自分はこのグレードは登れるんだという信念が、外の岩だって登れるはずという気持ちを作るからだ。

登れなくても、じゃあなんで登れないのだろう?という話になる。

そうやって、努力する動機を作ってあげるのが、先輩の役目で、できないことをあたかもできるかのような気持ちにさせて、自分に同行させるのは、ニンジンを吊り下げているだけで、じきにもっと良い人参が欲しくなるのが人間の性だ。

そうなるとこんなセリフが出てくる。「こんなところしか連れて行けないの?」

こんなことを言われないためには、ちゃんと踏むべきステップを踏んで、分かるべきことが分かるようになった人から、押し出すことだ。

会にいる時間が長いから、とか、〇〇をよくやってくれるから、ではない。 登山者には、その時の登山者にふさわしい山がある。

十二ヶ岳がふさわしい人もいれば、三つ峠がふさわしい人もいて、ゲレンデの小川山がふさわしい人もいる。

それを無視して、自分の好みの山しかしないと言うのは、自分もそういう教育をされたということなのだろうから、その人のせいではないが、上手くいかない連鎖をどこかで断ち切らないといけない、ということはいえ、断ち切ることができないのは、弱さだということは、また言える。

これは、何も別に、岩に限らず、地図読みだってハイキングの山だって同じことだ。