Monday, May 20, 2013

つるべ方式


昨日は、針ノ木雪渓で、山岳総合センターの講習会でした。

今日は先輩に会って、講習会でよく分からなかったことを色々と質問してきました。

クライミングのシステムって、ホント、手順だけを説明されても、分かった気持ちになれない。

それはなぜか?と考えると、そもそも、”ロープワーク”という命名法が間違っているからかもしれません。

私が思うには、ロープと言うのは落ちた場合の保険に過ぎない。 

そう思ってロープを使わないと、登っている人間の側がロープに使われてしまうのです。「ロープはどうしよう?」と思っている間に、コケてしまっては意味がありません。ホントに。

習ったことをまとめておきます。

■ 紛らわしい!! 分かりにくい!!!

クライミングの種類は色々な名前があっても、基本的なクライミングのシステムは、同じなのだそうです。

○○クライミングというのが多すぎて、紛らわしい…たとえば、フリークライミング、マルチピッチクライミング、スタカットクライミング、リードクライミング・・・・これらは全部レベル感がバラバラで、MECE(ミッシー:Mutually Exclusive and Collectively Exhaustiveの略)つまり、「相互に排他的な項目」による「完全な全体集合」)ではありません。もうホント、クライミング業界の人にちゃんとクリシンを学んでほしい・・・

こんな感じです。(間違っていたらすみません)

フリークライミング:クライミング全般を指す。 対:エイドクライミング
 
フリークライミングの下に、ロープを使ったクライミング と ロープを使わないボルダリングがある。フリーソロはロープ(命綱)を使わず、通常はロープ(命綱)が必要な場所を登るため、一部の人のキワモノ。

ロープを使ったクライミングは、すべて基本は同じ。最小単位は、二人一組。(ザイルパートナー)

ロープを使ったクライミングのうち、スタカットクライミング(複数隔時登攀)といい、お互いをロープで結び合って、常に1人だけが移動し、他方は相手を確保することを繰り返して交互に登る、という登り方を言う。2人一組の場合は、片方が登っている間は片方がビレイ(命綱を握る)ことになる。

一番最初に登る人をリードクライマーといい、最初に登ることをリードと言う。 リードは、墜落した時の距離が、最終的に確保しているアンカーから出ているロープの距離の倍、落ちるのでリスクが大きい。 

後から登る人をセカンドクライマーまたはフォロワー、という。先に登った人がロープを握っているので、自分の頭上にロープがあることになり、たとえ足を滑らせても、多くの距離を落ちるわけでないのでリスクが少ない。

セカンドクライマーのように、頭上にロープがある状態をトップロープという。トップロープのクライミングは初心者向き。

つまり、

 ・リードクライミング: 自分より下にロープが出ている  → リスク大のため、高い評価を受ける。落ちることに対する心理的不安も大きい
 ・トップロープクライミング: 自分より上にロープが出ている → リスク小

これを繰り返すのがスタカット。 動いているのは一人だけ。

そのスタカットクライミングの中に、つるべ方式というのがある。つるべで登るということは、2人が交互にリード、センカンドになって登ること。リードとトップロープをお互いに同じ数だけ行う。

まとめると

 ・通常のスタカット : 片方が常にリード、片方が常にセカンド = スキル差がある場合に最適
 ・つるべ方式 : リード、セカンドの役割を交互にこなす = スキル差がない場合に最適

と言うわけで、初心者がマルチピッチを学び、初心者同士でロープを結び合う場合は、つるべにならざるを得ない、というわけなんである(笑)

■ ロープの準備

①まずロープの準備をする。
 ・ロープをほどき、キンク(よじれ)を取る。不必要な結び目などないか確認する

②ロープの末端をお互いに結び合う。 
 ・エイトノットでハーネスに結ぶ。
 ・確実に結べていることを確認する。

③いよいよ登り始め。
 別途詳述。

■ つるべ方式

①まずビレイヤーは、立木などの支点に自己確保する。 

②リードクライマーのビレイのために、ATCやカラビナなど制動力(ロープとの摩擦)を増す道具をセットする。

③「登っていいよ」と声をかけて、リードクライマーは登り始める。

④登りだしてから、1つ目の中間支点(ランニング)は、近くに取る。 以後、リードクライマーは中間支点を作りながら登る。
 これは、墜落する距離が、中間支点から出ているロープの距離の倍、ロープの伸びを入れると倍以上、となるため。

⑤終了点に着いたら、リードクライマーは、すぐに立木などにスリングで、セルフビレイを取る。メインロープを立木などに 動かないようにクローブヒッチで掛けても良い。できるだけ素早く、確実な支点(アンカー)に自分を確保する。

⑥下のビレイヤーに「ビレイ解除」と指示する。下のビレイヤーは、緊張して待っている。

⑦「ビレイ解除」と言われたら、ビレイヤーは「了解」と答え、ビレイをやめる。確保器をはずし、「ロープを手繰ってもいいよ」と声をかける。

⑧上のリードクライマーは、余分なロープを手繰り寄せる。

⑨リードクライマーは、セカンドのビレイ準備に入る。出来たら「登ってきていいよ」と声をかける

⑩ビレイしていた人は、登り始め、セカンドクライマーとなる。セカンドは、中間支点を回収しながら登る。

⑪終了点に着く。

⑫以後、セカンドだった人が、今度はリードクライマー役になって繰り返し。セカンドのビレイがそのままリードクライマーのビレイになる。

という方式でした。

この方式で必須の技術は、

 ・エイトノット
 ・立木などへのセルフビレイ技術 
 ・メインロープでの自己確保時のクローブヒッチ
 ・確保器のセット技術
 ・雪上でのセカンドの確保向けのスタンディングアックスビレイなどの技術
 ・ロープの繰り出しスキル 

です。 

立木などへのビレイでは、自分のハーネスと繋いでいる立木との位置関係が重要です。自分が下で、支点が上。支点が下だと落ちたとき倍落ちる上、重力もかかって支点に対する衝撃が急激になると支点が壊れやすくなりますよね。

確保器のセット技術では、ATCに上手にロープをセットできるのが重要。セット中にATCを落とすことが多いのだそうです。ロープもゆとりがないとセットしづらいので、踏んで、ゆとりを作ってから、セットしても良い。

リードクライマーの確保は今回は、ATCを使いましたが、セカンドの確保は、ほぼスタンディングアックスビレイでやりました。

本来は、確保する技術は条件によって判断して使い分ける。その判断のところが経験がものを言うわけですね。ATCがあればATCでもよく、無ければカラビナでもよいワケなのです。 相手を確保する技術は、実はセットするところより、ロープの繰り出しがとても難しい…

ロープの繰り出しについては、タイミングを上手に図り、余分のロープが出ないけれど、テンションもかかりすぎないというちょうど良い距離を出せることが必要です。そうでないとクライマーにもビレイしている本人にも、墜落した時にたくさんの力(重み)がかかってしまう。

ロープの遊びが少なければそれだけ楽に墜落を止められる、ということです。

さてと…他にも懸垂下降など他にも書きたいことがありますが、その他はまた明日書きます。

≪参考≫
http://www.youtube.com/watch?v=RTbAbSDUb_U


 

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