Monday, June 15, 2015

ずぶぬれクライミングの本間沢

■ ヒル

本間沢は楽しみにしていた山行だった…が、ヒルが凄いらしいと言う話だった。5人で行き、3人は無傷。二人が喰われ、4匹喰われた人と3匹の人。3匹喰われた人は、後日足袋を洗っていたら、4匹も中から出てきたそうだった。

私の沢靴からはヒルは検出されなかったのだが… どうも3番目が一番喰われやすいそうなのだが、下山の時に食われたらしく、喰われた二人はトップと2番目を歩いていたので、やはり一番前と2番目がヒルにやられやすいのかもしれない。

ヒル対策は、昼下がりのジョニーを持ってきた人、山ビルファイターを持ってきた人、がいた。私は20%食塩水を持って行った。タバコの火があればそれも良いらしい…。

■ 寒い沢

この日は雨のち曇りだったし、遡行図を見るとゴルジュだったので、寒い日用の沢ウエアにしていった。正解だった。

登攀要素が強くて、ゴルジュだった板敷渓谷より、本間沢は同じゴルジュ&登攀要素が強い沢でも、直登が多く、うんとたくさん濡れる沢だったし、ゴルジュも狭く暗かったので、薄着の人はガタガタと震えていた。途中レインウェアを着た人もいたくらいだ。

ウエアは地形と沢の特徴で選ぶべし。分からなければ、寒いほうに合わせて行くべし。

■ 事故の多い沢

ベテランと行った、板敷渓谷や二級プラスの芦川横沢でも、滝の直登でも、高巻きのトラバースでも、ザイルにぶら下がったり、引っ張り上げてもらったことはない。ザイルは完全にプロテクションの為だ。

本間沢では、その辺の判断が問題だった。登攀が易しいからと言ってザイルが不要とは言えない。

記録を後で見る限り、みなザイルを出しているようだった。

もし記録がない沢であれば、登攀が易しいかどうか?も登ってみないと分からないわけなのだから、いくら直登可能で楽勝と書いてあっても、落ちて死ねる高さになるなら、みなザイルを出すべきだと思う。それは滝を目の前にしてみて判断できることだ。

F9の長いトイ状の滝で、ザイルを引いて行かなかったので、その肝心の判断に不安を覚えた。

F10はイレブンを登れる、会で一番優秀な先輩が滝を前に躊躇した末、登らずに高巻いて来た。

私は最初から高巻く以外全く考えない滝だったので、トップロープにしたいなら、上からザイルを垂らすよ、と言ってから上がったが、落ち口にスリングを連結して、立木につなぎクライマーの補助を作った。たいてい滝は落ち口で傾斜が変わるところで、スリップして落ちたりするので。結局、それは使わずに全員高巻いて登ってきた。

次に出てきたF11は、事故者が多い滝のようだった。右側のガレを巻いて登った。そういう判断のところが、ベテランは不安がない。

ベテランなら、出すだろうと思うところで初心者の人は出さずに済ませようとするのが、わたしにとっては大きなリスクに感じられた沢だった。

■癒しの湯

帰りは癒しの湯によって(700円)、ラーメンを食べて解散。全般的に楽しい山行だったが、判断をどうするかは会としての課題だと感じだ。

そこはやはりベテランのリーダーシップが必要だと思う。先輩後輩のシステムが崩れて、山を教わると言う思想が希薄になってしまい、安全が犠牲になっているのだ。

■ 登攀

私は山も雪も、入門以前のところからステップアップしている。尾根は最初は登り2時間の茅ヶ岳でスタートだし、雪はロープウェーから45分の北横岳だ。どちらも山の外的危険はあるが、登る面でいうと一瞬で登れてしまう。そこから尾根は、誰の指導も受けずに、後立のテント泊ソロ縦走まで行ったし、雪は厳冬期の鳳凰三山まで行った。だから、一番下のステップを端折っていないというところが、強みだと思っている。

沢も同じようにステップアップしたいと思っているので、今年は1級程度の易しい沢を、と思っているが、どうしても同じように沢と言っても、登攀を求めて沢に行っている人とは山が合わないかもしれない・・・(汗)。

結局、本チャンもおなじことで、皆が行きたいと言う場所(四尾根)は、わたしにとっては、登攀力が付いたら行きたいが、そうでないのに行きたいとは思えなかったりする。無論、背が高く体格がよければ、同じところを私より簡単に感じるはずなので、その差が大きいのではないかと思う。

もしも登攀を求めるなら・・・本当はスポーツクライミングに熱中するのが一番安全だ。

■ 癒し

私の場合、癒し系の沢へと最初から言い続けているが、それは、甲府の夏が暑く、沢は涼しいから、だ。沢にはスリルはあまり求めていない。そうでなくても、沢は事故が多い。一つの山域、一つの沢に通うような、山が今のレベルにあっていると感じている。

登攀要素がそう強くない沢でも、学ぶことはいっぱいある。浮石を踏んで滑らないことや、効率よく疲れない歩き方で歩くこと、沢での現在地の確認、地形の確認、下山時の読図。

色々な要素があるのが山だ。全体がまんべんなくスキルアップして行くことが、事故のリスクを減らすような気がする。

■ GPS

GPSは読図能力に不安がある間は正解を教えてくれるので良い先生役になる機械だが、ナビゲーションに使うとそれは、依存症で、自分で読図したとは言えない。 GPSはあくまで遭難した時用の保険だ。ナビに使うのは良くないと思う。

最近の山行では自分の読図能力やルートファインディング力には自信を付けた。私に藪の突破力を期待する人はいない。突破力は読図やルートファインディングの後の話だと思うので、基本である読図やルートファインディングをすっ飛ばして突破力で解決するような山をしたいとは思えない・・・。

尾根の下りでは、次に何が出てくるかシナリオを想定しながら歩く。一番端の尾根に乗っているハズなのに、隣に尾根が見えたら間違っているはずだ。目の前に駐車場が見えるはずなのに、木々のスキマに駐車場が見えたら間違っているはずだ。では、今どこなのか?それを自分なりに地図で見て、それから正解を見れば、自分の考えが合っていたかそうでなかったか分かる。

GPSは今までもそう言う風に使ってきたし、それ以上に使う予定はないが、ナビに使うのは良くないと思う。

今回は青笹尾根では、ほとんど使わなかったので、面白かった。本間沢ではザイルを出すべきところで出ず、怖かった。

結果オーライだったが、中身を吟味すると達成感があったのは易しいナメラ沢のほうだ。ヘルメットを車に置き忘れたのはまずかったけれども。




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