Tuesday, May 31, 2016

山力とは何か?

■ 山力とは何か? What's mountain power?

昨今の山の世界では、山力がない人が威張っていて、山力がある人がちんまりしています。

These days in Japan, which we are having a mountaineering boom so far, has a controversial situation: People who has no skill is claiming they are so good at it! and people who has true skill are remaining silent. 

山の実力を山力と呼びます(便宜的に)。 So let's say, real skill on mountain = mountain power, for short.

 山力とは?  答え) スピーディーに登れる総合的な能力

 Mountain Power = Being able to climb with speed (overall ability)

総合的な能力とは? What's overall ability?

 答え) 登攀力 + 体力 + ルーファイ力 + 天候判断力 + パートナーを選ぶ目

 A) climbing grade, physical strength, route finding skill, whether judgement, partner selection 

の5項目。他にもあるかもしれませんね。すべての項目を貫くのは、危険認知力です。

■ 絶対落ちない登攀力とは?

フリークライミングと違い、山では落ちられません。なので、絶対落ちない登攀力が必要。

 フリーで11aが数便以内=山で5.9はオンサイト余裕

you must be able to climb 5.11a in free climbing in order to climb 5.9 in the alpine terrain. 

このことは、ギュリッヒの『フリークライミング上達法』に書いてあります。

■ プロテクション

しかし、但し書きがつきます。

プロテクション

です。 

プロテクションが悪ければ、4級+程度でも、

 ・濡れ
 ・初見
 ・ルーファイ困難
 ・ノープロ

だと平常心ではいられません。

■ 冷静沈着さ

というわけで、プアなプロテクションの場合

 命がけになればなるほど、冷静沈着になる性格

である必要があります。

■ プアプロテクション

つまり、プアなビレイヤーというのは、プアプロテクションと同じ位置づけです。落ちても止まらないかもしれないのですから。

信用できないビレイヤーでは、5.9が登れればいいほうです(^^;)

■ まとめ

まとめると、

山力 = 登攀力   
      +体力
      +ルーファイ力
      +天候判断力
      +パートナー選択力
      +命がけになればなるほど冷静沈着になる性格

      です。

■ 困難なのは・・・

昨今は、アルパインクライミングを取り巻く外的環境は悪く、

  ・パートナーの選択肢

は広くありません。 一般の市井の山岳会では、一緒に行く方が危険です。フリークライミングだったら、会に属す必要がそもそもありません。

■ 狭き門

命がけになればなるほど冷静沈着になる性格に至っては、平穏無事にならされた、この日本で、ピンチに強い性格をはぐくむというほうが、無理な相談かもしれませんね~。

そもそも、ピンチが存在しないからです。多くの人が人の敷いたレールの上を歩む人生を選んでおり、自己責任と言う最低限の原則も、日本では存在しないも同然です・・・。

このあたりが、豊かになりすぎた国でアルパインクライマーの層が薄くなる理由かなと言う気がします。

それでも、日本では傑出したアルパインクライマーも輩出していますので、層は薄くなっても、頂点は高くなって、いいのではないか・・・などと思う今日この頃。

層が薄く、頂点が高いということは、狭き門という意味ですね。

≪関連記事≫

ギュリッヒの『フリークライミング上達法』読みました

1年1グレード

Friday, May 27, 2016

小刻みなステップで成長しましょう

■ 小刻みなステップ

登山をステップアップして行く場合、

  できるだけ小刻みなステップを踏む

ということが、安全を高める、ということに異論がある人は少ないだろう。

例1) 

・ガイドブックで体力度3の山を10個行ってから、体力度4の山に行く

例2)

・5.9が10本登れてから、5.10Aを登る

■ 山には順序がある

「山には順序がある」とよく言われる。

でも、その順序が示されている書物がないので、分からない人にはわからない。

例1)

 一回目の山、高尾山 → 2回目の山、北穂 

となってしまう。同じことがアルパインクライミングへステップアップしても発生する。

例2)

 一回目の山、三つ峠 → 2回目の山、屏風岩

余談だが、昔はこういうことは起らなかったらしい。

■ たしなめてくれる人をもつ幸運

でも、指南してくれる人がいなければ、その”ステップの大きさ”に気が付けないかもしれない。

なので、必然的にたしなめてくれる、という人(=先輩)が必要になる。

そういう人がいない場合、突き進んでしまい、本人が気が付いたときには、にっちもさっちもいかない状況に置かれるということになる。

■ 受け止める心づもり 新人の素質?

たしなめられた時、聞く耳を持つか、持たないか、もある。

それは、人格的な面とリスク計算能力の面かもしれない。

素直であれば、「そうか」と思って聞くだろうし、合理的であれば、「指摘は合理的だな、そうだな」と思うだろうからだ。

したがって新人の素養の一つは

 ・指摘を受け入れる、人間的うつわ
 
 ・合理的なリスク計算する能力

だろう。見栄、意地、勉強不足などがある場合は、やはり”ちょっと危険かもしれない”となる。

■ 核心は死なないこと

私の場合は、人間的うつわには欠けている気がするが(すいません)、とても臆病なので、死んでしまうリスクを取ってまでは、山に行かない。

登山もクライミングも、基本的には、やってもやらなくてもよい、無為の行為です。

自分自身が行為に意味を与える、ということです。

自分自身が行為に意味を与える、ということは、山行の意味は、自分の心の在り方が決める、ということですね~

山はホントに自己満足の世界です。

そういう意味では、セカンドで行く山しか知らないということは、与えられる山頂しか知らないということで、とっても気の毒な気がします・・・

Tuesday, May 24, 2016

ナビゲーション表の例

ナビゲーション表(ベアリング表)の例が、探してもネットにないので、置いておくことにしました。


■ ナビゲーション表(ベアリング表)

1   距離    高低差  進行方向   緩急     角度  
2 285m +200m 1へ

3 260m +178m 2へ  緩
4 400m +141m 3の尾根の頭まで

5 243m +110m 4のP1471まで

6

コルへ東進 5へ

7 405m -115 6のP1344まで(中津森山頂) 下り
8 208m  -53m 7のコルへ 下り
9 200m +58m 8の尾根の頭へ 登り
10 185m  +53m 9のPへ

11 208m -24m 10のコルへ  下り
12 228m +81m 11のPへ

13 172m +22m 12の尾根の頭へ

14 611m +39m 13のP1521へ(御巣鷹山)へ

15 1220m -63m 14の北東支尾根の頭へ 下り
16 339m -139m 15の下山ポイントへ 下り
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■ 関連ページ

読図スキルチェック 試案

ひとつ前の記事は、本からの引用ですが、より良きチェック項目が作れそうな気がしました。

試案。 やってみたら、5段階評価である必要はなく、はい・いいえで良いような気がした。

ーーーーーーーーーーーーーーー

地図の携帯

 1) 山にいくときは、無料で手に入る地図を携帯する          はい・いいえ   
 2) 山に行くときは、昭文社の登山地図(エアリアの地図)を携帯する 
 3) 山に行くときは、国土地理院の2万5千の地図を携帯する 
 4) 地図には磁北線を引いて行く
 5) ベアリング表(ナビゲーション表)を書いていく
 6) 高低図を書き、登りと下りの標高や、アップダウンを把握していく 
 7) 分岐にきたら地図を見る   

コンパスの利用

 8) コンパスを携帯する            はい・いいえ
 9) 分岐ではコンパスを見る               
 10) 山岳同定にコンパスを使うことができる 
 11) クロスベアリングで現在地を特定することができる

基礎の読図

 12) 尾根と谷が分かる                     はい・いいえ
 13) ピークが分かる
 14) (鞍部、峠)が分かる                  
 15) 崖など危険な地形が分かる
 16) 地形図の記号を見て実際のものがイメージできる   
 17) 等高線を見て緩急が分かる               

ナビゲーション

 18) 整置できる                  はい・いいえ                     
 19) 歩きだす前に、地図から地形を読み取っておく 
 20) 地図から読み取った地形をイメージできる    
 21) 進行方向にある地形を想定している          
 22) 進行中、地形との関係を意識している      
 23) 進行する方角が変わるポイント(屈曲)を意識している

危機管理
 
 24) 道に迷った時どうしたらよいか分かる   はい・いいえ
 25) 現在地の同定ができる          
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

読図スキルチェック表

■ こちらのサイトからの引用です。

大変、役立つ表だと思いますので、引用します。

ーーーーーーーー引用ーーーーーーー 一部記述、筆者により変更ありーーーーーー

地図の携帯

 1) 山にいくときは、地図を携帯する    1-2-3-4-5
 2) 山に行くときは、地図を見ながら歩く  1-2-3-4-5

コンパスの利用

 3) コンパスを携帯する            1-2-3-4-5
 4) コンパスを見る               1-2-3-4-5
 5) ベースプレートコンパスを利用する   1-2-3-4-5
 6) コンパスを利用する            1-2-3-4-5

基礎の読図

 7) 尾根と谷が分かる                     1-2-3-4-5 
 8) コル(鞍部、峠)が分かる                  1-2-3-4-5
 9) 地形図の記号を見て実際のものがイメージできる   1-2-3-4-5
 10) 等高線を見て緩急が分かる                1-2-3-4-5

ナビゲーション

 11) 整置できる                       1-2-3-4-5
 12) 歩きだす前に、地図から地形を読み取っておく 1-2-3-4-5
 13) 地図から読み取った地形をイメージできる    1-2-3-4-5
 14) 進行方向の方角を意識している          1-2-3-4-5
 15) 進行中、地形との関係を意識している       1-2-3-4-5

危機管理
 
 16) 道に迷った時どうしたらよいか分かる 1-2-3-4-5
 17) 現在地の同定ができる          1-2-3-4-5

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

■ 採点
これで、自己採点してください。

 初心者 (登山歴0~1年) 6~10点
 初級者 (登山歴2~3年) 10点~ 14点
 中級者 (登山歴3~10年) 12点~ 18点
 上級者 (登山歴11年以上) 14点~ 18点

です。 

■ 実力は登山歴で計れないことが歴然

登山歴が長くても、地図を持ってこない人は、ゼロ点です。

初心者でも10点が取れますから、上級者といわれる登山歴11年の人と比べても、下のほうの14点の人とでは、4点の差しかありません(笑)。


■ 項目が妥当ではないような気もする

個人的には、もっと項目を増やしたい気がします。

例: 地図携帯 
     1)エアリアの地図
     2)2万5千の地図
     3)磁北線を引いている

■ まとめ

読図の2大スキルは、

 歩きだす前に読図しておく
 現在地同定

の2点です。コンパスは手段の一部にすぎません。

また 道という正解を常に歩くのではないので

 間違っているかもしれない・・・と常に間違っている可能性を内包しながら進む、

ということに慣れる必要があります。


Thursday, May 19, 2016

月一ハイカー

■月一

昨日は、中央線に載っていたら、ボックス席で、中高年登山のおばちゃんと隣になった。石老山に登るのだとおっしゃっていた。月1で、健康のために、お友達と連れ立って登っているのだそうだ。

良い活動だなと思った。だって、普通に街中をウォーキングすると、舗装路というのは、腰にとても悪い。ので、不整地というか、無舗装路のほうが腰にやさしい。

それに、緑の中を歩くことで、森林浴になり、ストレス解消の効果も期待できる。これが、逆に、車が一杯走っている道路を歩いていたら、ストレスが解消どころか、ストレスが溜まってしまうかもしれない。

月1回くらいで、仲間で集まってウォーキング的にハイキングで山に出かけるのは、気持ちが良いモノだし、足腰も鍛えられて健康的だと思う。

高齢になってもはつらつと過ごすのが大事だ。

■ ガイドの必要性

こうした健康ウォーキングを山に舞台を移したという系で、ガイドさんを頼むというのも、大げさすぎるような気がするし、やりすぎだろうと思う。

もし、誰も周囲に一緒に行く相手がいないとなれば、山岳会へ・・・となるのだと思う。

それはそれで、良いと思う。小さな山でだって、足首を捻挫してしまったら、降りるのは大変だ。ねん挫なら我慢して降りればよいが、骨折なら救助が必要だ。

■ 搬送ができない会が増えているそうです

と言っても、最近の会は、搬送はできない会が増えているそうです。

・・・となると、骨折→自力下山→車で病院 だったものが、骨折→ヘリ救助となりそうです。それだと、あまり単独で行くのと変わらない。


■ 一番大きな市場ニーズ

私が思うには、こういうニーズが今一番市場では大きいのではないだろうか?

このニーズをガイドさんが捕まえて、月一山歩きの会を作ってくれればいいのではないかと思ったりするのだが・・・。料金は年間1.5万円。雨で不催行になったら、机上講習の日。

健康を目的にしているのだから、特に景色や美食などの、成果を求めてくる人が多いわけではないだろう。

定期的開催で、毎月5日、とか日を決めておく。

そうやってリズムを決めておくと、山歩きもどんどん楽しくなって、体力もつき、そうこうしている間に、山の本でも読むようになって、山を深めていきたい人も出てくるだろう・・・

今はそういう流れにはなっていない。

山は全然深まっていないで、冬山に行ったことがない人が、いきなりゴールデンウィークの穂高に運動靴(トレランシューズ)で来てしまう・・・

・・・というかなり変なことになっている。







Tuesday, May 17, 2016

黒戸尾根8時間 + 5.12

■ プロへの入口 黒戸尾根8時間 + 5.12

登山で、プロの世界を目指す人に必要なスキルとはどのようなものでしょうか?

それは、ずばり、

 厳冬期の黒戸尾根を単独なら、8時間程度で往復できる体力

 +

 5.12 

です。

今冬、私は単独で厳冬期黒戸尾根を登り、ヒマラヤキャンプ参加者たちに会って確認しました。パーティで登っても、9時間半だそうです。

また、登攀力は最低ラインで、5.12です。これも最近、伊藤さんから教えてもらいました。これは必要最低限ですから、ここまでは登れないと、プロ参加資格もありません。

もちろん、男性ではなくても、女性でもチャレンジ可能です。登山は性差が出にくい世界ですし。

これは、もちろん、趣味ではなく、

  ・登山の限界を引き上げる行為をする、
  ・登山史を推し進める行為をする、

という山のプロフェッショナルのために必要なスキル、という話です。

テント泊・雪洞泊などの山での生活スキルや危険予知力、歩荷力、など山では、ほかにもスキルが必要ですが、そういうものは、これら、(歩き)&(登り)という、二つの基礎スキルを目指している間に勝手に身に付くと思われます。

■ 山岳会への入口 ・・・アマチュア登山の世界に必要な体力

一般に、本格的登山と世間からは思われている山岳会ですが、アマチュア登山です。

プロとは違います。

アマチュア山ヤで、最低限”現役”と言える体力はどのようなものでしょうか?

 必要な装備(10~15kg)を背負って10時間連続行動ができる

 +
 
 5.9

です。これは、それくらいの体力が、最低限、ガイドブックにある体力度5の山に登るのに必要だからです。山岳会にいて、ガイドブックで入門の2とか3のルートしか登れないのであれば、それは市民登山レベルと言うことになります。

人は老いてくると体力が下がるのが当然ですから、これだけの体力が維持できなければ、1泊二日を2泊3日にするなどして、難易度を下げる必要があります。

■ ベンチマークの山

一般のガイドブックでベンチマークになるのは、雪の赤岳です。雪の赤岳が登れる程度の、基礎的知識と装備、体力は備えていることがアマチュア登山での活動にも必要です。

赤岳は体力度としてはラクラクの山なので、冬季バリエーションに出ようと思ったら、体力的には、まったく不足します。

その場合、次に大きな山で、冬季に一般ルートを歩ける山としては、甲斐駒があります。これは標高差2200mだから、体力の山です。

これを一般コースタイムで登れる程度の体力はないと、より整備の悪いVルートでは、景色を見てうっとりするゆとりがなくなるでしょう。

冬季バリエーションに出ようと思ったら、登攀力も必要です。5.9程度では落ちない登攀力が必要です。

■ ハイキングの会・・・楽しみながら体力をつける?

ただ山岳会にも色々あるそうです。ハイキングが主体の山岳会もあるそうですし、ハイキングの同行者で集まるのも楽しい活動だと思います。

ただ、入って活動しようという人の場合、なにもかも面倒を見てもらおうという感じで、白紙状態で来ても、困るかもしれません。山好きの集まりなのに、山好きでない・・・山好きになるところからですか・・・という訳になります。当然、まったく知識がゼロですから、話についていけないかもしれません。

話が弾む会が良い会と言えるのかもしれません。

一般的に山岳会に入会する前に

 ・ガイドブックで難易度最上級の山に自分だけで登れる

 ・一番簡単な雪山に自分の力で登れる

 ・テント泊が一人で出来る
 
 ・アルパインクライミングが何かくらいは知っている

くらいは、最低限できないと、なんというか、何しに来たんだ的な、お門違い感が生まれてしまうかもしれません。

一般的に、山岳会で行う程度の登山に必要な体力は

 ・15kgくらいを担いで8時間歩ける

 ・それより軽いなら、12時間くらいは歩ける

 ・一般コースタイムに遅れず歩ける

 ・標高差300mを1時間で登れる

です。新人さんとして入会する目安はこれくらいです。これくらいは歩けてくれないと、連れて行ってあげたくても、どこにも連れて行けないかもしれません。

一般に体力は、50代まで伸びる、と言われています。(逆にいうと50代からは下る、ということかもしれません)


■ 登攀

登攀は、普通の登山者の人なら、したことがないのが普通なので、誰も登攀力は問いません。

一般的に、登攀の初心者は、5.7~5.9の力です。 

なので、5.9が安定して登れるようになることを最初は目指すことになります。

 5.9 の エキスパート
 = 5.10A の初級者
 = 5.10B の初心者

です。多くの人の最初の登攀力は、

 5.7で楽に登れる
 =5.8 の初級者
 =5.9 の初心者

という状況だと思います。体格・体力差などにもよらないような感じです。

先輩クラスの人は、おそらく若い頃より実力が下がった時点で

 5.10d の エキスパート
 = 5.11A の初級者
 = 5.11B の初心者

くらいで、かつては5.12が登れんだけどなぁ・・・というくらいかもしれません。また登攀力は体力とは無関係ですので、先輩は知識があって登れても、体力的に厳しい山はもうしたくないなーという状況にあるかもしれません。

登攀と体力、この二つが山の基礎力ですが、ロープが出る山をするだけなら以外に敷居はそう高くありません。

しかし、山でフリークライミングをしながら、登れる限界をあげて行こう、という話になると、つまり、プロレベルと言う話になると、必要となる体力とスキルの量は一気に難しくなります。

しかし、今20代、30代という若者には、ぜひそこを一度は目指してみてもらいたいものです。




Monday, May 16, 2016

長野県で行方不明者

友人から、回ってきましたので、拡散お願いいたします。

■(拡散希望)行方不明者(武居弘樹さん)に関して

http://hiromeru.net/index.php/search_projects/hiroki_takesue/

2016年5月2日より、山口県の武居弘樹(たけすえひろき)さん(21歳)が行方不明となっています。

武居さんは、「長野県の山に登りに行く」と言い、長野県に入ったことまで確認されていますが、それ以降行方不明になっているようです。
 
車は黒のスバル・フォレスター 山口330す2572のようです。

身長は約173センチ、やせ型のようです。

些細な情報でもご存じの方は、山口県の下松警察署までご連絡ください。

下松警察署
0833-44-0110    

■ フォレスターはこんな車のようです




読図力が上がるといいことばかりでもない

■ コメント感謝

今日は、黒富士夕もや尾根に登った時の山行記録(2013年11月27日)に、コメントをいただきました。 ありがとうございました☆

 記事はこちら・・・思わぬ地図読み山行 夕もや尾根コース

記事の詳細さ具合に、記録を書いた本人も、「当時はよくやったもんだな~」と感じました。

■ 成長か見方の違いか

今の私は、3年前の2013年と比べると、地図読みには慣れてしまい、2013年当時、写真を取っておくべきだと感じた、鹿と人間の足の踏み跡の差、など、まったくスルーしてしまいます。

踏み跡を見て道を選ぶということをしなくなった上、地形図もざくっとしか見ておらず、「10分くらいで次のコル。次のコルはたぶん、なだらかだろう・・・」的に、次の地形特徴が出てくるまで、あんまり気にしないで歩いてしまいます。予想と違ったら地図を見る。

これは、読図する人には、共通の考え方です。

なので、成長したんですが・・・、ある意味、失ったものもあると感じました。

今同じところを歩いても、このような写真を撮って一般の人に伝えるニーズは感じないだろうと。

2013.11.27





より分かりやすくするため、画像に線を入れました。左の線は鹿道。右の太い線が本当は歩くべき場所ですが、私は左に行ってしまいました。

まぁ、左に行っても、結局は稜線上にでるので、あまり問題なく、尾根の終点のピークではなく、その隣のコルに出るだけです。地形的にも奥にV字状に開けて空が見えており、コルに出るのだ、とこの時点で予想ができます。

実際は下りで同じ個所を通って確認しています。当時は初心者なので、自分の疑問を自分で解決する活動がとても重要でした。

■ 道しか歩かないと道以外も歩けることを忘れる

一般登山の人は、道を歩くことに慣れています。道しか歩いていないと、道が大きな方に行く習慣が出来ています。

この習慣は、取り去るのが大変。 先入観を取り去るのが大変ということに似ています。

たぶん、読図において、もっとも困難なのは、道ではなく、地形そのものを見る習慣ではないでしょうか。

夫は読図大得意で、現在地とかかなり正確に指摘してくれますが、それでも、目の前に道があると、それが正解と自動思考してしまいます。

先入観を取り去ることは、読図スキルとは無関係のようです。

■ 最近の読図山行との比較

最近、曲り沢という沢に行ったのですが、帰りの尾根下山は、結構、本格的な地図読みになってしまいました。

でも、私が取った写真はこれです。

この写真は、尾根の下降点を見つけたところで、あきらかに踏まれています感がありますし、あきらかに、尾根の上に乗っています。

でも、ここに来れる人は、この写真イラナイ。

もっと手前は尾根の下降点が分かりにくく、少し試行錯誤して降りましたが、そういう部分の写真は取りませんでした。

 2013年  → 間違い安い分岐の写真を撮る
 2016年  → 下降点(正解)を撮る

ということで、どちらが初心者に親切かというと、前者。

うーん・・・。

間違い安いところは、もう気にならなくなってしまった・・・。

こういうことだから、プロであるガイドの人たちが書いたガイド本の写真は参考にならないのかもしれないですね・・・。

■ 冒険レベルが上がっている

今の私では、まったく夕もや尾根では、ドキドキせず、堂々と歩いてしまうでしょう(笑)。 

小さな場所で冒険と感じる度合いは、低くなってしまいました。今ではもう少し困難にしないと、愉しいとは感じないかもしれません。

チャレンジとスキルのバランスをCSバランスと言うのだそうです。 スキルが高いのにチャレンジが低いと退屈してしまいます。逆にスキルが低いのにチャレンジが大きいと不安に駆られます。

5.9しか登れない人が、5.9を登ると楽しいですが、5.12を登れる人が登ると退屈です(笑)。

読図でも同じようなことがある、ということですね。

■ 成長段階を記録することは、プランニングでの困難度設定に役立つ 

CSバランスが取れていることが、登山と言う冒険を楽しくするには大事です。

なので、登山者のスキルを知らないと、そのスキルに対して、ちょうど良い分量のチャレンジ(困難度の山)を与えられません。

こうした山行記録を書いておくと、ある登山者が今どのような成長段階に位置しているのか、とても分かりやすいです。

私自身、振り返って、よく記録を残しているな~と思いました。

自画自賛ですが、これが今ある私の土台になっている、と感じました。

■ 今回の発見のまとめ

・スキルが向上すると、ビギナーの頃、困難だった点に気付きにくくなる

・一般の人=道しか歩かないので、道しか歩けないという先入観がある

・大きい道が正しい道と言う先入観がある

・地形そのものを見て考える習慣は身に着けるのが難しい

・先入観は取り去るのが難しい

・自分の疑問を自分で解決する山行は、非常にスキルアップに有効

・先入観は、読図そのもののスキルとは無関係そうだ

・スキルに対して、チャレンジ性が低いと、退屈してしまう

・あるスキルの時には、そのスキルの時にしか残せない目線での記録がある

 




Saturday, May 14, 2016

危険予知トレーニングを意識的に行うことの重要性

■ 危険の予知の重要性

今の登山の世界では、危険認知・危険予知が欠けていることが、一番の問題だと思う。

ただ今までの山の世界は、「山は危険な所です」と言うのみで、具体的な危険認知を教えることがなかったようだ。キャンプの世界では、デファクトスタンダードであるにも関わらず。

私は危険認知が、時間としてみると素早いほうだ。他の人より先に危険に気が付く。だからこそ、危機的状況に入る前に、セルフレスキューの講習を受けたくなるわけだ。

危険認知が早いということは一歩先が読める、ということだろう。脳の回転の速さと言えると思う。

しかし、日本では危険認知力は、そのまま”経験”にすり替えられている。

そこが、ベテランであっても、ベテランと言えない点となってしまう。

いくら山行経験を重ねても、楽しいだけで、危険を認知しながら、山行を行わなければ、経験は全然積みかさならない。

結果、登山歴〇十年の人が遭難している。一般ルートの山に行っているだけでの人が、ベテランや熟達者としての誤解を受けているのが”中高年登山”の実態だ。

多くの”ベテラン”中高年は一般道の山の経験しかなく、”どこの山小屋の何がおいしいという経験”は積み重なっていても、どのような危険があるか、どうやって回避するかについての経験は、まったく積み重なっていない。

したがって、楽しく歩くだけの、危険に対して漫然とした態度で臨む経験は十分ではなく、危険に対して、顕在的に、または意識的に経験値として積み上げた経験が必要だ。

それには、危険を自ら察して、それらを熟達者に検証してもらうということが必要、だろう。

危険認知に必要なもの

 1)資質 危険を素早く察知する
 2)危険について意識的に学んだ経験
 3)先輩による危険認知の妥当性の検証

例えば、前穂北尾根では、5,6のコルではロープは出さない。そこで出さなくてはならないような登攀力しかない相手と前穂北尾根へ行ってはいけない、ということを先輩に教えてもらった。

例えば、三つ峠では、岩に打ち付けたプレート式の大きな懸垂支点があったが、信用してはならないと教わった。

先輩と行く山行の山行目的は、きっちり、

 どのような危険に対処する視野を養うための山行なのか?

顕在的に意識しておくことが大事かもしれない。

≪参考サイト≫

岳沢小屋のブログ

Monday, May 9, 2016

コメント深謝します

今日は、こちらの記事にコメントを頂戴しました。とりおたさん、ありがとうございました☆

■ 貴重な知恵のつまったコメント

正直申し上げて、コメントにいただいた知識の数々が、私自身の危険回避にどれほど役立ったか、計り知れません。

特に、ハゲオヤジさんのコメントなどは、大変貴重な、長年の知恵の蓄積されたものです。

私としては、このようなコメントや、それをまとめた記事こそ、読者の方に読んでいただいて、参考にしていただけたらと思います。

が、残念なことに伸びている記事は違う記事が多いです・・・(残念)。

まぁ、もちろん、女性登山者は、山でセクハラには気を付けないといけない、という警句は、まったくその通りなのですが・・・。

■ 厳しいことが書いてあるかもしれません

ハゲオヤジさんの貴重なコメントをまとめた記事など、現在、山岳会のリーダークラスの人には、少々厳しいことが書いてあるかもしれません。

とくに私がいた会の人にとっては、直接批判されているかのように感じられる部分があるかもしれません。

しかし、淫靡体質は良くないかもしれません。別の分野で恐縮ですが、山梨のワインの本に指摘してあったのですが、狭い社会での決定的な欠点は、身びいきが身を滅ぼす原因になっていることだとありました。私は山梨に来て生まれて初めてくらいマズイワインを飲みましたが、生産者に話を聞いてみるとそれもそうで、生食できないクズブドウをワインに仕立てるのが伝統だったのだそうです。しかし、時代は変わり真面目に良いワインを作っているワイナリーも、その不味いワインの風評被害を受けてしまうようです。このことをワインの本でワイン学の権威が指摘していました。

そう言う場合、権威の指摘ならば反省できても、新人&女性に進言されても、素直に聞けないかもしれません。

が、客観性を保った立場であるハゲオヤジさんのコメントなら、聞き入れる可能性があるかも・・・と思い、手を加えず公開しています。

第三者である分、感情から離れて、冷静にリーダーの取るべき判断、を示しているような気がします。

■ おススメ記事

遭難しない方法について考える

 この記事から学んだこと;

  ・稜線に出るならマイナス5度から要注意
  ・オーバーペース、体調不良、尿意、写真を撮るからちょっと待って、は、リーダーに連絡する
  ・体力がないとは? =自分で思っているほど登れずに予想外に時間がかかること

  ・そんなに早いペースで登れないなら・・・ その場合、コースタイムに縛られずハイキング山域で計画を立てる

  ・山に行くなら鍛える

  ・引き返せない状況とは? =ドカ雪・雪崩・豪雨増水のこと。結局は天候判断ミス
    例: 暴風雪の中、ベースに引き返さず頂上に出てしまう
       ホワイトアウトでルートミス

  ・これらができない場合 = 山を舐めている 状態
    ↓
   スポーツジムのクライミングウォール
   アイスキャンディー登る程度の活動に留めておく

  ・難易度を上げる場合は、緻密に計画する

総括的な所

 この記事から学んだこと;

  ・現場での判断よりも、計画段階、準備段階が重要 = 技量
  ・冬に〇〇岳に行く計画なら、それに見合った山行をその年、前年あたりから会としてやっていなくてはならない
  ・勉強会、講習会、訓練山行 = 必要な登山技術の習得、体力のチェック機会


サクッと一時間でまとめるとこうなりました・・・他の記事も大変有用な記事がありますので、宝探ししていただけたら、幸甚です。














 


Friday, May 6, 2016

2016年GW遭難について

■ ブログ ぼちぼちいこか

ぼちぼちいこか、は、有名ブログだ。掲載される記事にはほぼ目を通している。

このブログに書いてあるコメントを読んで驚いた。

無知な人は無知であるということ自体が分からないものだが・・・分からないこと(無知)が権利になってしまっている。

分からないことを盾に、権利主張するのは常識なのだろうか。

いや驚いた。

普通は無知は有知の人に、教えてください、とお願いするものであり、当然の権利として主張するものではない。

■ 危険な場所には行くべきでない

以前の師匠は、山の事情に詳しく 「GWの穂高など昨今の山事情では行くものではない」と言っていた。最初は、私自身が山の事情を知らないため、「そうかぁ」くらいの認識だったが、のちに身近に事件が起こって、私も肝に銘じるほどに納得した。

それは、2013年。知人がザイテンを登っていたところ、上から人が降ってきて滑落に巻き込まれ、ヘリに乗る羽目に陥ったことだ。

上から人が降ってくる山だというのは本当だった(汗)。

山は危険な場所だが、上から人が降ってくることが外的危険に含まれるか?というと、違うように思う。

なので、登山体系を読まないような人でも知っているようなルートには行かないことが、危険予知の一つになってしまっていると思う。

■ 危険予知訓練

さて、驚いたのは、この写真を見て危険予知ができない人がいるという事実だ。私は北アの小屋でバイトをしたことがあるのだが、休憩中に登山道を眺めていると少なくない数の人がこのような腰つきだった。

キャンプの世界では、危険予知訓練と言うものをするのだそうだ。写真を見て、外的危険が何か?をグループディスカッションする。

この写真はそのようなディスカッションに使うべきなのではないだろうか?雑誌の岳人でも、危険予知を特集してほしい。

写真1)


≪予想できる危険≫
・滑落
・転落
・転滑落による遭難での低体温症
・雪崩
・日焼け
・雪による濡れ

写真2) 



≪予想できる危険≫
・上記に加えて
・後続者の転滑落からのまき込み

写真3)


≪予想できる危険≫
・滑落
・転落
・足の冷え

■ 雪上訓練

以前受けた雪上訓練では、参加要項に

 アイゼンバンドは前日までに切ってきてください

と書いてあった。そのことにも驚いたが、参加者の中には切ってきていないでブラブラしている人がいたのにも、気が付いた。

しかも、12月厳冬期の富士山での雪上訓練難なのに、夏靴にアイゼン・・・

夏靴だと靴のサイズが冬靴と違って甲が低いので、アイゼンバンドを合わせようにも、バンドが長すぎるのが当然になってしまう。

参加要項には、参加資格のところに、冬靴を用意できる人、という一行も必要ということか。

■ 無知

やはり一番の核心は、無知ということではないか?と思える。

無知を有知に変えるには?ということが課題になってくるが、もっとも影響力が大きいのが雑誌なので、雑誌に特集してもらうのが良いことなのではないか?と思えるがどうだろうか。

多くの人は雑誌が指南する山に向かうようで、雑誌の影響力がそのまま山に現れているのではないか?と思うのだが、違うのだろうか・・・

≪関連記事≫

2016年 警視庁 GW統計

防御力をあげてからクライミング力をあげる  奥穂雑感についての記事

危険予知実例

2013 GW遭難のまとめ

2014 GW遭難のまとめ

2015 GW遭難 涸沢岳西尾根

2014年 他山の石として遭難を考える

Wednesday, May 4, 2016

小川山でトークショー

■横山勝丘さんのトークショー

昨日は横山ジャンボさんのトークショーがパタゴニア川上村であったので、出かけてきた。

本当は、廻り目平で一泊でも・・・と思っていたのだが、家で充足してしまい、では日帰りハイキングで横尾山でも・・・と思って登山口まで行ったら、それも強風であまり快適でなく、川上村往復。

新しい車の試乗会という感じになった。

夫と車に寝転がって、それぞれ好きな本を読んだり昼寝したり。講演が始まるまで、岩と雪を読んだ。

風が強く、頭上高くの木々から、枝が降ってくる・・・スゴイ強風だ。横尾山では、まだが咲いていた・・・下界とは1か月違うようだ。

ただ上から小枝が落ちてくるので、頭上に何もないところへ行こうということで早々に移動した。

■ 危険との向き合い方の差

横山さんの『アルパインクライミング考』は、モンベルになる前の『岳人』連載中は、正直言って世界が違いすぎて、興味自体が湧かなかったので、ほとんど読まなかった。

しかし単行本になったので、全部を読み通すと、さわやかな読後感だった。

興味を引かれたのは、たまたま同時期に読んだ、森田勝さんを描いた本、『狼は帰らず』との読後感の差が際立ったから・・・。こちらはさわやかな読後感とは行かず、悩ましい読後感だった。まぁ山で死を迎えた人の話だから仕方ないのかもしれない。

登山の初心者の頃、「昔の人は、結婚したら奥さんから”山はもう辞めてね”と言われるのが普通だったんだよ~」と聞かされ、それは、とおーい、むかーしの、道具が不備の時代の話で、今の時代の登山はちゃんと登山者が普通に危険予知していれば死ぬことはないのだろう、と想像していた。

今は時代が違いますよ、と・・・。

ところが、私の周囲では、知人程度の人だが、すでに死者3名である・・・これは、なんらかの警告であるように感じられた。

趣味で登山しているのに、死ぬような羽目にあっては本末転倒・・・というのが、私が真面目に登山を勉強しようと思い、山岳総合センターの門をたたき、山岳会に所属した理由なのだが・・・。

なんだかむしろ、死に近づいて行っているような気が・・・(汗)。

特にクライミングのシステム自体をよく分かっていない人たちとともに、登山をしていた頃は、このような状態で登山を続けていては、安全管理不在であり、つまり、ロシアンルーレットであり、いつか大事故につながるかもしれない、と感じた。

危険をコントロールしているというよりは、危険に振り回されている感覚だ。

■ ビレイの確実性が生む信頼

さて、そういうこともあって、現代のアルパインクライミングが、どのように実際行われているのかを直接知りたいと思って出かけたのだが、とても、参考になった。

やっぱり、というか・・・フリークライミングによる防御力が前提にあった。

パタゴニアと言う場所は、落ちたら確実に死ぬような傾斜のクライミング・・・だって、かぶっているんですよ・・・

でもって、確実な確保は前提であった。確保が確実でない人とでも登る、ということはありえなかった。確実なプロテクション技術も同じ。カムが確実に決まっていない(決めれない)のに、バンバン落ちるということはアリエナイ・・・

そうですよねぇ!と思ってしまった。

だって、落ちたら確実に死につながるところで、フリーで行けるかどうかという試みをしているんですよ~ 5.12dのピッチを3時間掛けてフリー化にこだわって登った話には、なんというか、そういうことをやるのが現代のアルパインなんだ~と思った。

普段フリーでゲレンデでやっていることを、山でやっているわけだった。

フリークライミングでは確保があるので、落ちても死なない。落とされたらビレイの失敗と言うことになる。

もちろん、自分で設置したプロテクションが外れるということもあるが、それは自分のミスである。

しかし、プロテクションがあるから、落ちても死なないという確実性があるから、登れるか登れないか分からないところを登れるわけである。

逆に、ビレイが信用できない状態だったら、落ちても死なないところ、もしくは、絶対に落ちない自信があるところ、しか登らない。

だからやっぱり、落ちながら登り、ビレイヤーとの信頼関係を深めていくことがチャレンジの大前提になるのだ、ということが分かった。

信頼できないビレイヤーだったらやっぱり登れないし、登らなくていい。

だって山でも落ちながら限界値を高めていくんですから・・・











Tuesday, May 3, 2016

中堅化

■ 心の充足とはなんであろうか?

最近、越沢バットレスに行って、満ち足りた気分になっているのだが・・・それは一つには後輩のことがある・・・。

後輩のO君は、まだ大学生で23歳と若い。 山ヤで23歳なんて、もう今伸びなくてはいつ伸びるんですか?な感じなのだが、問題は山岳会に所属していないこと。

山岳会に所属していないことが何が問題になるのか?というと、その人の登山者としての成長を考えてくれる先達がいない、ということだ。

登山者としての成長には、ペースはどうであれ、これをしたらあれ、あれができたら、次はこれ、とやるべきことのステップが、大まかにあらかじめ、あるものだ。

それは年のスケジュールに分割されている。今の時期は新人は岩トレシーズン。 例えば、新人の時期に適切な岩トレを受けていないと、例えばフリークライミング歴5年なのに、ヌンチャクを掴みながらリードするのを不思議と思わないような人が出来上がってしまう。まぁ、極端な例だが、しかるべき時にしかるべき教えを受けている、というのは重要なことだ。

O君が山岳会に所属しない決断をしたとき、私は焦った・・・。

今、この時点で、彼の”直属の先輩”は、私だ。 彼は私に着いてきてくれた後輩なのだから。

となると、私に彼の成長を方向づけてやる責任がある。・・・が、正直私は山ヤとしての経験は浅く、前途有望な若い人の指導は荷が重い。

例えば、GWは奥穂南稜を考えていた。初級のルートだ。でも彼は雪上訓練のまともなのを受けていないので、連れて行けない。

しかし、今年の奥穂の状況はひどく、遭難多発しているし、何よりGW中の穂高は、上から人が落ちてくることのほうがルートそのものの危険より大きいくらいの山なのだから、今年奥穂を逃したことはそう惜しいことでもない。

それより、もっと問題だったのは、岩トレ、岩でのマルチピッチの習得チャンスが失われてしまう・・・ということのほうだった。

それで越沢が成立したら、なんとホッとしたことか。これで先輩としての務めが一つ完了。

そして、今、しみじみと、まじめにやっているな~ワタシと、充足感に包まれている、というわけなんである。

■ 役目

充足感というのは、果たすべき責任を果たしたときに、私の場合は訪れるもののようだ。

だとすれば、欠乏感は、何によるのか?それは果たすべき責任を果たしていない、という自覚によるのかもしれない。

私の果たすべき責任とはなんなのであろうか?責任を役割、と言葉を変えても良い。

そのヒントは、やはり、誰もが立場を順繰りに変えていくということにあるかもしれない。

最近は、まったく初級者、ゴマメの立場に立つことはなく、どちらかというと、ベテランと初級者の間に入っていることが多い。

気持ちの良い後輩の行動を見て、自分が初心者のときもこのように行動で来ていただろうか?と思ったりする。

後輩が頑張ってくれるだけで、先輩は行った甲斐があったなーと思うものなのだ。

自分が後輩の時は、先輩に付き合ってもらって悪いな~といつも感じていたが、先輩の方も、ちゃんと役目が果たせたな~といい気分でいたのかもしれない(笑)?

そういうことを考えつつ・・・ うまく回っていくこの循環は一つの生態系だな~なんて悦に入っているのであった。

充足したので、夫との山を今度は充実させないといけない。

こうした充実感を以前は仕事で得ていたような気がするが、今のところ、それは私には山になっている。

有給の活動だけが仕事ではないし、仕事だけが自己実現の手段ではない、という気持ちだ。