Saturday, September 30, 2017

登山歴5年の人と登山歴40年の人ではどちらがリスクが高いか?

■ 登山歴5年の人と登山歴40年の人ではどちらがリスクが高いか?

(登山歴5年の人)と(登山歴40年の人)では、どちらがリスクが高いか?

と言うと、誰が考えても、当然、(登山歴5年の人)です。

(ゴールド免許の人) vs (若葉マークの人)では、免許取りたての人の保険料が高いのが世の習わしです。

■ なのに、山では

なのに、山では…。山での”保険”に当たるレスキュー技術を毎年向上させているのは、ベテランばかり、です。

いわば、ゴールド免許の人が保険金を毎年積立て、若葉マークの人は、保険料が高いからと言って、無保険という訳です。

(判断の失敗)や(技術の欠如)による、(死のリスク)は、非熟練者ほど高い。

判断の失敗の第一は、行くべき山を間違える、ということです。

・行く山が自分の体力に対して大きすぎる
・行く山が自分のスキルに対して難しすぎる
・行く時期を間違う  夏に低山、真冬に初めての富士山
・行くべき日を間違う 混雑がある日、お天気が悪い日は避ける 
・行く天気を間違う
・一緒に行く人を間違う 歩けない人を連れて行ってしまう

これは統計が示しています。男女ともに遭難者数が多い60代以上を除くと、男性で、次に遭難者が多いのは、20代男性、次は30代。

つまりアルパインの初心者時代に命を落とす人が後を絶たない。

私の知り合いの30~40代男性も、初心者時代にすでに3人亡くなっています。

しかし、それにしても、私の知り合いのベテランは、毎年、レスキューを復習し、しかもそれは、”教える側”として、です。

その様子を伝え聞き、常に自分に足りないものを考えている姿勢見て、いつも考えさせられます。

もっとも山岳遭難から遠いメンバーにスキル蓄積し、もっとも山岳遭難スレスレの人たちには、技術が蓄積しないで一度伝達されたことも薄れていく。

一体どういう仕組みがあれば現状が改善されるのでしょう?

判断をガイドに丸投げのガイド登山、でないことだけは確実に言えることだと思います。

Tuesday, September 12, 2017

確保実験棟

 ■ 師匠の家

長野に久しぶりに止めてもらったら

師匠の家が大変なことになっていた(笑)

「なにこれ~?」

「確保実験棟」

去年レスキュー講習してもらったんですが、
 今年はさらにどこへも出かけずできるようにパワーアップしてた…










Monday, September 11, 2017

ATCでグリップビレイ?

■ グリップビレイって過去の遺物?

私は色々な本を合わせて読んで、耳年増。で、グリップビレイというのは、過去の遺物…と思っていました…が、結構アルパインでは現役な技、ということを理解。意外に使えるもんだね~!と開眼。技術はケースバイケースで使えてこそ、なのです。

しかし!! フリーでこの技はいいのでしょうか?! 良く分からない…。

ーーーーーー師匠の言葉ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
グリップビレィは、確保器具を使わず、流して止める必要性がある場合に使用します。
その場合、素手では怪我します。軍手なら2枚必要、Aちゃん(私のこと)なら、両手でグリップして墜落率0.2までが限界だと思いますよ。
だから通常グリップビレィでは駄目だという事です。
でもグリップビレィは支点が不確定な場合やビレィヤーの支点が無い冬山では行う事がありますね。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

■ 持ち替え

正確には、グリップビレイそのものではなくて、ATCを使っているのに、グリップビレイを一瞬使って、制動手の持ち替えをする、ということです。

これが、ダメって書いてある、山岸さんの本からの画像。



■ 大前提として

私が思うには、大前提として、

  ATCは、制動手側のロープの屈曲で制動力を得ている

という理解が、ビレイヤーのみんなに必要なのではないか?と…

グリップビレイの制動理論は、出るロープと戻るロープが同じ力で引かれたら、力は±ゼロになるじゃん、というものです。つまり、摩擦の相殺で、ロープの流れを止めます。

一方、ATCは、屈曲で制動しています。ミソ、肝心要は、屈曲。

その屈曲がなくなってしまうようなビレイスタイルって…そもそも疑問なんですが…

■ どこかで教えているらしい?

ちょっと、不思議なのは、これは、私より年下の若いクライマーさんが、クライミングインストラクターとして、他の人に教えている、持ち替えスタイルだということです…

私より年下の人の技術だから、技術としては新しいはず?…でもなく、でも、私は業界歴まだ4年、その方は17年だそうなので、古い技術なのかなぁ???

古い山の人にとっては、人工壁でバンバン落ちる人をバンバン止めてビレイをマスターするっていうビレイマスターの方法論も、結構、受け入れるのに抵抗があるマスター手法みたいですが…一般に。

制動手は死んでも離してはいけない、と私は教わりましたが…

みんな上の手の方が制動をコントロールしていると考えているようで、初心者さんに確保させると、上の手は必死に持っていますが、下の制動する手がお留守になることが多いです(><)。

■ 様子を見ると理解が分かる

昨日ビレイヤーの自己脱出をしたのですが、荷重を移すまでは、制動する手を離せない。その時、どこを持っているか?というと、ビレイ器の屈曲のところです。そこを押さえていると、制動が効いて楽です。そういうしぐさでも、理解が分かります。

私は私より、うんと重いパートナーの不意落ちを何度か止めていますが、その時は完全にハーネスに座ります。

その場合、両手とも下で何の問題もありません。


Saturday, September 9, 2017

どうせ連れて行くなら、自分の見た夢の続きを見ている人を連れて行きたい

■ K先輩の思い出

山岳会で尊敬している先輩のことだ。会のメンバー増員のためにヤマレコに会山行をアップしよう!と私が提案したら、

「ええ~ オレ、ヤダ!あんな自己顕示欲だらけの山!」

と言い放った。(ヤマレコの山のこと)ヤマレコに活動報告していた私には、それは新しい見方だったので、”へぇ~そうなんだ~”としか、その時は見ていなかった。

後からヤマレコを起点にした遭難(赤岳真教寺尾根)で死亡した人が自分のレコ友と近い人で、レコ友は捜索に出かけたことを知り、死んだ人の記録を見ると、リスクへの対応力がないまま、どんどんと山の難易度をあげて行った、ということが記録から読み取れた。”なるほど、先輩が言っていたのは、このことか”と超納得。

振り返ると、私はそのような自己顕示欲の山の文化に染まる前に、まっとうな山ヤの先輩に拾われた、山岳会の門を叩いた、と言うことになる。

その先輩の山は、とても目の付け所が良かった。私はちょうど厳冬期の鳳凰三山や甲斐駒&厳冬期赤岳という、一般ルートの中では素人さんが個人の努力で行ける範囲の山をだいたい全部済ませ、リーダー講習も終わらせ、さぁ準備は整いました!という段階で山岳会に来た。

…ので、先輩が選んだルートは、バリエーションルートの中でも、一般ルートに、ちょっと毛が生えたようなもので、例の『チャレンジ!アルパイン』に載っているから行きたい!というようなミーハーな山とは、一線を画していた。

次につながる山が見えるルート選択で、しっかり古典である、『登山体系』を読み込んでいる人にしか選べない山だ。鹿島槍鎌尾根。真砂尾根。

その先輩は非常に頭の良い人だったし、とても山を愛していることが、山の選択から伺えた。

鹿島槍は北壁が有名だが、普通の人は、『鹿島槍研究』を読まないし、ルート研究なしで、いきなり一般ルートの後は、東尾根やダイレクト尾根に行ってしまう。一般ルートの赤岩尾根は、非常に悪く、バリエーションの鎌尾根より危険だ。しかも、赤岩尾根は一般ルートで名が知れているので、巻き込まれ事故もある。実際、私たちが鹿島槍山頂にいたときにヘリが来ていた。

先輩と行った鎌尾根は、表層雪崩がじゃんじゃん起きており、時間を選ぶと言うタクティックスや歩く場所を選ばないと危険という、雪山&残雪期登山の要諦が学べるようになっていたし、標高差や距離でも、かなり急で本格的だった。が、短く、技術面で適度に困難な割には体力度は控えめ、とバランスが取れていた。昨今の5.9くらいのフリーのマルチピッチでアプローチ短めのルートの、アルパイン版って感じ。一般登山者の雪上歩行スキルでは決して歩けないが、中高年主体のメンバーの体力度に合わせてあった(笑)。

山行中、リーダー講習時の先生たちに会って、「次はダイレクト尾根だね!」と言われた。ダイレクト尾根いいなぁ…。体力次第だ。先輩もそう思っていただろう。徐々に鹿島槍の核心に迫れるところまで迫っていく予定だったのかなぁ。

真砂尾根は、要するに剣の前座である。剣を目の前に見る幕営地なのだからして。こちらは自然条件が厳しく長く、少々判断力が要る。行った年は雪が少なくて、ほとんど岩尾根となっており、リッジ上でもロープを出したが、ハッキリ言って、これで落ちるような人はいない。いるなら、もう山ヤには全然適性がない。アイゼンで岩を歩くスキルが必要だが、カンタンなので、「これってホントにアイゼントレの練習にいい尾根っすね!」という感想を先輩に漏らしたら、「トレーニングではなくって本番!」っていう返事が返ってきた。が、易しかったのは本当だ。

なぜなら、当時リードしてくれた若い30代の男性は、育成されているにもかかわらず、自覚が伴っておらず、リードする意味が全然分かっていない人で、後続を確保してくれているのに、追いついたら、両手離してスマホをいじっていた。こんな奴のビレイで、落ちる可能性が1%でもあるルートなんか、歩けない。そもそも、ビレイになっていないのだから。

なので、入会1年目の私ですら、”落ちる確率ゼロ”と感じるくらい、易しいルート選択でないと、彼のビレイで歩けない。しかるに、先輩の選択は超正しかった。

が、この山行は体力度の設定が大きすぎ、雄山東尾根で降りる案は没になり、高っかいケーブルカー代9800円!を払って、のんびり観光モードで帰ったが、剣を目前にした幕営地で、剣への憧れを温めるという、当初の目的は達成したし、源次郎尾根に登るのに裏から登っているおじさんにも会ったりした。裏口入学のススメか(笑)?

いいルートだったなぁ… 真砂尾根、また行きたい。雄山東尾根で雪洞泊するのは私の夢となっている。途中見た、黒部別山。大タテガビン。ガビンホテルに泊まった記録を見たことがあるが、あんな急なところ、どうやって登ったんだ?!と実物を見て思った。

黒部ダム湖から行く真砂尾根は、本格的なアルパインの名所を巡る観光的な楽しみがあり、このバリエーションを歩くことで、黒部十字峡、黒部ベッサン、タテガビン、剣、立山三山、要するにこのエリアの概念が頭に入るようになっていた。要するに初心者に山域の概念をたたき込むのに最適。登山体系を読んでいないと、名所ってことも分からないかもだが。

要するに、このようなルート選択ができる人は、冷静な判断力の持ち主で、非常に優れた山ヤで、山の憧れを温める方法を知っている人である。だから、先輩のことは尊敬している。

が、先輩の凄さを理解している人が、会にほとんどいないのが超悲しいところ。

あ、何の話だったか忘れたが…

そうそう、リスクに対する態度ということだ。

一般に、山ヤは、先輩が、どのようなスキルに対して、どのような困難なら、対応可能、と判断したか、それを観察して、山のリスクの取り方を学ぶ、のである。

実際、私は、Kさんの判断力、つまり、山行計画、から、かなり多くを学んだ。

Kさんの判断力、山行計画力、高校山岳部からのベテラン、体力下降ライン
ベテランNさんの指導力、体力の減衰、ロープワーク力、危機対応力
新人M君のリスクへの不認知、体力のあり余り、雪への不慣れ、リードさせる必要
新人女性Yさんの体力、山への憧れを満たしてやる必要あり、山初心者

などなど、総合的に勘案して、こうしたルート選択をしたわけである。

この山行では、Kさん、ベテランNさんは連れて行く側である。私と新人M君は連れて行かれる側である。ベテランNさんは体力的に終盤しんどそうにしていたのだが、彼がいないと、山行は成立しない。一人で新人二人の面倒見るのは、大変すぎる。

新人二人と言っても、一人は、もう能天気すぎて、リードさせてリスクを分からせないとだめなんだが、ビレイ中に両手を離してしまうような、初歩的なことも理解していない段階であり、一方で若いので体力有り余りすぎで、少々先輩側がキツイ課題と思うようなことをさせても、体力でカバーしてしまい、全然、懲りない…ので、なかなか、”経験から学ばせること”ができない。男性は怖い目に合わないと学ばない。

一方の女性の新人さん(私です)は、山への憧れだけが先走り、”お前、体力面で大丈夫なのか?”という情熱だけで突っ走っているような、しかも、結構、年増のねえさんである。あぶない。

”よし、二人には、急登で先頭ラッセルしてもらおう!”、と当然なるわけだが、二人とも、”何が大変なの?” 程度で涼しい顔をしており、全然、懲りなかった…。

”いや~、それにしても、剣はきれいだな~ でも、新人たち、手に余るなー。Nさんと二人で来たら、良かったなー。でもまぁ、二人だと歩荷負担、大変だし、思ったより、手がかからない姉さんだし、4人でも、まぁ、いっか。山がきれいだからなー” というのが先輩の感想だっただろう。

私は、これら二つの山行では完全に余剰人員、計画のコアメンバーではない。先輩から、”盗む”、”学ぶ”ために連れて行かれたのだ。

そのことを分かっているので、先輩としては、溜飲が降りたであろう… 苦労の甲斐もあったというものだ。ウチの会の実力で、この山すんの、大変なんだぞ。

■ わたしばかりがいい目にあってスイマセン

色々な人が、なんで私ばかりがいい目を見ているの!と思うだろう…。そりゃそうだと私自身ですら思う。

私は、体力もないし、技術もなく、すでに年増で、将来だって、大した山ヤにはなれそうにない。

美人でもなく、歩荷力もなく、私を連れて歩くメリットなんか、どこにもない。

けれど、”分かっている”。 そして、”もっと分かりたいと思っている”。

その理解の背景には、たくさんの時間があることが先輩には分かっている。

山を愛して、山を理解したいと、望んだために、費やした、たくさんの時間が…先輩は、自分も通った道だから、分かるのだ。

だから、先輩や師匠は連れて行ってくれるのだ。

どうせ連れて行くなら、自分の見た夢の続きを見ている人を連れて行きたい、人間なんて、そんなものなのだ。









Friday, September 8, 2017

デナリ南西壁滑降 



私は普段TVを見ないのですが、久しぶりに見ました。師匠と一緒に見ました。

この方たちの偉業はすごいという点について、何も口をはさむことはないのですが… 私はNHKの番組の作り方が、画一的でリスク中心でなく、こういう作りが、自己顕示欲の山を生むのだなぁと納得することしきりでした。

カシンリッジを登路に選んでいるのですが、NHKのアナウンスでは、「もっとも難しい登路」と言っていましたが、下から2番目に難しい登路…そりゃそうです、スキーを背負って登るのですから、バリバリアイスやミックスの登攀みたいなルート登れるハズがない…。でも、一番って言ったら、事実と違う…。

大事なことは、どうしてこのルートがその装備で登るには、もっともチャレンジングで、もっとも偉大だったか、という、計算のほうです…

なぜ選んだのか?そこに苦悩があるはずで… 山登りなんて、計画がほとんど、冒険の半分を占めるようなものなのに…

スキーで転倒した仲間をアイゼンとアックスで迎えに行くシーンも、ロープ持たないで行ってどうするんだろう?と思いました。

なので、山ヤ的には、行動が、一般受けを狙いすぎて、平板化しているような印象になりました…

くどいようですが、この方たちが成し遂げたことは、賭け値なしに凄いことです!でも、その凄さをTVが正確に伝えていたかと言うとそうではないと思いました。

すいません。 私が思ったのは、こういうテレビはホントに山の先輩とか、昔から山やっている人と一緒にみると勉強になるなぁということでした。

私はデナリに行った人と一緒にみたので…。

ホント、一般の無知な人を対象にしたナレーションではなく、きちんと山のことを分かっている前提の番組作りしてもらいたいなー。

一緒に見ないと、私も無知なので、カシンリッジって、デナリの登路として一番難しいのか~リッジなのに…と思うところでした。大体山で一番難しい登路は壁です。〇〇壁。

なので、デナリには壁はないのかと思うところでした。映像でも、60~70度の傾斜にしか見えなかったのですが、80度と言っていて、うーん、見た目より傾斜があるのかなぁとか考えていました。

もちろん、デナリの高度は、+1000だそうで、高所ということのハンデを考えると、どんな傾斜でもすごいことですが…

私は高所登山の経験はなく、雪の富士山くらいしか知らないので、高所で、重いスキーを担いでそれだけの傾斜を登るつらさは、ものすごいのだろう…としか言えず、想像すらできないですが…。

ただ、作りがなぁ…

映画『メルー』を見た後だったので余計ですかね? メルーはいい映画でした。ちょっと泣けてきそうになる。

しかし、日本人の登山への大誤解は、NHKが作り出しているのかもしれぬ、とも思いました。ごめんなさい、NHK。

ああ~デナリ、でもきれいだな~。 ハイキングルートはないのかなぁ(笑)

デナリに登るには?
https://www.nps.gov/dena/planyourvisit/upload/FAQ-s-About-Mountaineering-in-Denali-National-Park-Japanese-Version-PDF.pdf

花谷さんと、谷口ケイさんの記録
http://first-ascent.net/contents/reports/Denali.pdf

カシンリッジの記録
http://hikingbird.exblog.jp/23757207/

”不意落ちクライマー”を卒業する

■ コミュニケーションは大事

黙々と登る求道者タイプのクライマーは多いですが、

 ビレイヤーとクライマーのコミュニケーションは大事

です。特に、問題になりがちなのが、ふい落ち

ふい落ちというのは、クライマー本人が予測していない墜落です。

これは、リスクコントロールされていないクライミングということで、ふい落ちする場合、まだリードに適性がない、という意味です。

ロクスノの記事に 「リードへ進ませる条件」という記事があって、それについて書いた当方の3年前の記事がコレです。

リードに進ませる条件
https://stps2snwmt.blogspot.jp/2014/04/blog-post_2.html

大事なことは落ちないこと、ではなく、

 落ちて良いところとそうでない場所を見極められる

ということです。それと、

 自分が落ちそうかどうかを感知できるかどうか?

落ちそうなことを感知しないとだめだ、という登り方をセカンドの時もしておく必要があります。

なので、セカンドでも、自分が落ちそうなところに来たら、

「ちょっと張り気味にして」

と声を出すのは、良いことです。ただ、ロープに心の安心を求めるようになってしまうと、まずいので、これも、危険認知ができるクライマーになったら、「頼むよ」とか、「よろしくね」に変えて、ビレイヤーに墜ちるかもよ、と伝えるだけでいいのかもしれません。

私は良く、人工壁で登るときに、下の人に注意を喚起する意味で、「落ちるかも!」と声を掛けていました。そういう習慣づけは大事です。ビレイヤーも完璧な人間ではないのですから。

私はリードの時は、自分が怖いとおもったら「頼むよ」と声を掛けています。先日もたかだか5.9に3回も「頼むよ」と言いました(笑)、ふつーに落ちないで登りました。怖いだけで、ゆとりはあった…結構、ビビりなクライマーみたいです(笑)。

スラブの9だったのですが、これで耐性がついたのか、5.10bのスラブ(TR)はあまり問題なくスルスルと登ってしまい、これでまた、みんなにメンタルが弱いとバレてしまった…(^^;)。

私のメンタルの弱さは、自分が大丈夫だったというエビデンス、経験値が不足しているから、と最近思うようになりました。

あ、少々話題が変わりましたが、

 ふい落ちクライマーから脱却するのが大事

という話でした。クライミングは、結果も大事ですが、プロセスを大事にしないと…不必要なリスクを抱え込むようになります。

リードデビューをするには、まずは、

・自分が落ちそうな時を感知する能力を身に着け
・落ちて良いところとそうでないところを分かるようになり、
・下のビレイヤーに”落ちるかも予告”を出せる

という意識が必要です。そうでない初心者には、大がつくベテランビレイヤーが必要です。

落ちそうな時を感知する能力、には、ムーブでバランスが悪いことが分かっていないとダメなので、ムーブの勉強もいる、ということになります。

ビレイヤークライマー組み合わせ事情

さて、続きを書きます…

クライマーはもちろん、パートナーがいないとクライミングできないわけですが…

前項の、体重差の話、から、ある程度

 自分がビレイできる相手

が決まってきます。体重差があるとビレイが大変という事情から、色々な事情が導き出せます。

■ ビレイしてあげるのが難しいパートナー

体重の軽い私にとって、難しいパートナーは、

・体重が重く、
・予告なしにふい落ちする

パートナーです。落ちそうな人を止めるのは簡単ですが、落ちそうにないのに落ちる人は、瞬発力勝負です。熟達したビレイヤーが必要です。

ふい落ちする人=初心者。なので、体重が重い初心者クライマーというのは、体重が軽いビレイヤーにとっては、難しい相手。

クライマー側から見ても、体重が軽いビレイヤーは魅力的ではないと思います。

トップロープなら衝撃荷重が加わらないのでいいけど、リードは特に… わたしだったら、より体重が重い人にビレイを変わってもらいます。

■ 安心ビレイヤー

逆に、体重が軽い私がビレイしてもらう対象としては、トップロープだったら、重い人だとかなり安心。私くらいの体重で、ビレイヤーが前に引かれてコケる、ってあまりないだろうし…。普通の男性なら、握力で、ギュッとするだけでローワーダウンくらいラクラクなハズ…。

リードだと、だらりんビレイ、だったら、多少嫌ですが、それでも、前に引かれてロープの長さが出る、ということは、重い人の場合考えにくい。

しかし、これも比較の問題なので、私より軽い男性なんて、なかなかいないので、自分より重い人なら、大体だれでもオッケーで間口が広いクライマーですよ、私は(笑)。

人工壁で1ピン目からロープが90度近くに屈曲していても、私は軽いから大丈夫だろうと思います。パツパツビレイの方が落ちたときフラれて激突かもしれませんし。

そう言う訳で、自分の体重が軽いので私は、あまり相手のビレイスキルには、目くじら立てていません(笑)。私自身のカラダが小さいので、重い人のビレイなら、多少いい加減でもなんとかなるだろうと。

ただ重い人は一般的傾向として、ビレイが雑だと思うので、一応チェックしています。小さい人の方が一般的傾向としてビレイが上手です。よりシビアだからですね。

もちろん、ビレイヤーとして信頼できる相手は特別です。信頼してくれた人を信頼します。私のビレイで落ちた先輩のビレイは、最も信頼しています。でも、体重の軽い私のビレイで落ちれるかどうか、ってのもありますから、ケースバイケースです。体重差あるって分かっているのにバンバン落ちる人は、ちょっと…。先輩のビレイで、一度、手繰り墜ちしたのですが、止めてもらいました☆ やはりしっかりしたビレイヤーが必要です。手繰り落ちは私も止めていますが、だいぶ瞬発力要ります。

自分のギリギリ課題は、ビレイヤーがいいときしかリードしません。今だと、5.10bは信頼できる人のビレイでしか登らないですが、後輩のビレイでも、5.10aなら登ります。

■ ビレイをお断りする例

例えば、私の師匠は体が大きいクライマーで、結構重いです。

私と彼だと、仮に登攀力がイコールだとすると、私がリードした方が双方にとって、技術的にカンタン=安全、ということになります。

実際は、師匠のほうが登攀力があるので、いつもリードは彼ですが、私があまりに体重が軽く、重いクライマーにとっては最適なビレイヤーでないので、思い切った課題、彼にとってはギリギリの課題には、私のビレイだとチャレンジできないと思うので、悪いな~といつも思っています。

それで、私より重めの男性クライマーを時々師匠には紹介しています(笑)。どう、師匠思いの弟子でしょ。

実際はロープは摩擦などがあるので、私のビレイでも、適切にビレイしていれば、上のクライマーがグランドすると言うことはまずないです。実際重い人を何度か止めています。

でも、核心部が1ピン目すぐ、なんて課題に、私のビレイで重い人ですぐ落ちそうな人、安定していない人が登るとか言ったら、ビレイ断ります。実際、断りました。男性に代わってもらいました。

逆の立場でみれば、1ピン目でも落ちるかもしれないようなシビアな課題に登りたいクライマーにとっては、私は良いビレイヤーとは言えないです。

■ 下からの指導

逆に私がリードするときは、師匠は超安心人材で、私はまだ経験が浅いクライマーなので、リードする際、下から時々、指導をもらったりします。

例えば、ガマスラはオンサイトしたのですが、ピンの位置が悪くて、2ピン目を掛けたら、1ピン目を外すのです… そういうの、下から見ていると分かりやすいですが、自分がギリギリだとあまり意識できないです。

あと、スラブだとロープの繰り出しが遅いと最悪です…でも、師匠は上手なビレイヤーなので、私が歩く速度で登っても、ちゃんと出してくれます。下のビレイヤーがまだ慣れていない人だったりすると、ロープの径と確保器がマッチしていなかったり、キンクしたりして、繰り出しが遅いと不必要にスラブ内に滞在しないといけなくなり、消耗します…

こういうのってホント登って分かる、ああ、大変…って路線です。セレクションのダイヤモンドスラブ(カンタン)で、つよつよクライマーが落ちたりしていますが、きっとビレイが間に合わなかったんだろうと(笑)

ピンの位置だけでなく、アイスだと、そろそろピンを取らないとランナウトになるよ、とか、ダブルだったら、ロープが交差しているよ、なども含め、経験が浅いクライマーであればあるほど、下のビレイヤーも上質?と言ったら、言葉が語弊があるかもしれませんが、分かっている人が必要です。ロープの流れを作るのに、ランナーで伸ばした方がいいよ、というのは、代表的な下からのほうが全体像が良く見えて分かるポイントです。オイラーの法則の知識が要ります。

そういうのを言ってくれる人と言ってくれない人では安全度が全然違う。ビレイヤーも忙しいのです。

■ 敗退=終了点までたどり着けない可能性

さらに…、

もし、私がギリギリにトライしたら、リードで登っていても、終了点までたどり着けない可能性があります。

どうしてもだめだった場合…

どうやってぬんちゃく回収します? 回収可能な懸垂のセット、というのもありますが…一般的でなく、結び替えの事故の可能性を考えるとおススメではない…

一般的には、残置ビナで敗退します。カラビナを一枚犠牲にするわけですね。

先日、カシオペア軌道の核心部手前にビナが残置してありました(笑)

あれを見ると、敗退したんだな~、あそこが核心か~と思うのがクライマー。ビナを見ても反応しない人がいたら、ああ、初心者なんだな~と考えます。

自分より登れる人と登っていれば、万が一敗退しても、回収便を出してもらえます。

■ 早く成長して欲しい理由

というわけで、自分がリードする気でいても、ギリギリのところにチャレンジする気だったら、自分より登れるクライマーと人は出かけたいものです。

でも、自分より登れるクライマーというのは、よりシビアなところにチャレンジしたいハズで、その時に、自分が頼れるビレイヤーになっておかないと… 一緒に行くことにメリットがないじゃん、となります。

大体、登れるグレードが低い側は、登れるグレードが高い側がチャレンジした課題をトップロープでひいひい言って登る、という循環で、うまいこと回っています(笑)。

先輩は、後輩が頼れるビレイヤーに成長してくれないと、なかなか自分のギリギリにチャレンジすることができず、イライラ、ジリジリしています…

私の後輩君はビレイをマスターしてこなかったので…、先輩の私としては、私がゆとりを持って登れるグレードしか彼とは行けない(><)。それって5.10a止まりってことになります… まぁ、もちろん、私の今の課題は、5.9をオンサイトで取貯めることなので、それでいいのですが、日本の岩場って同じグレードの課題がホント少ないので、岩に行っても、2本くらいしか触る課題がないみたいなことになったり、移動時間が喰ったり、と効率的でない。

私の先輩は11dとかをチャレンジ中なので、先輩と行くと、私は11台を触れることになります。これは大変ありがたいことです。

師匠は、11等は触りません…10代後半まで。体重差を考えると、そうだよなぁ…と申し訳ない気持ちです。

メンバー数が多いと、効率よく課題に触れます。一番登れる人が登ってくれた課題を、その課題がトップロープでないと登れない人が触ればいいか~、というわけで、一番登れるクライマーは大忙し?ビレイ側に回る暇なし?

・・とまぁ、こんな事情がクライマー間のパートナー事情です。

≪参考記事≫
良きクライミングパートナーとは?
http://kdvr.com/2017/09/07/tomers-trails-the-right-climbing-partners/

この記事によると
・コミュニケーション
・リスクの取り具合
・ユーモア

だそうです。



体重差のはなし

さて、確保の続きを書きます…

文登研が出している『確保理論』を読む、というのは、絶対条件ですが…

そもそも、みんなロープがどうやって人を保持しているのか分かっていますかね?

■ 基本概念はシーソーと同じ

当然ですけど、シーソーの両端に、50kgの人と70kgの人が乗ったら、70kgが下がって、50kgは浮きますよね?

TRはそれと同じことで、摩擦が無かったら、70kgの人がローワーダウンでぶら下がれば、50kgの人は浮きます。

私は、南沢小滝のアイスクライミングで、ですけど、まったくの初心者時代に、体重の重いクライマーがローワーダウンでぶら下がったら、すーっと小滝に吸い寄せられて、小滝に自分が激突。

後ろにセルフビレイを取る大事さを理解しました(^^;)。

もし、びっくりして手を放してしまうビレイヤーだったら、ローワーダウンしていた人は、ローワーダウンではなく自由落下になってしまいます。

吸い寄せられたら、自分の力でコントロールしているわけではないので、吸い寄せる力が均衡するまで、ロープがするすると結構早いスピードで出ます。もし、距離が短いとあっという間にグランド(地面に落下)です。

どこに引かれるか?

もちろん、支点の真下です。ですから、(出ているロープの長さが多い)ほど、(引かれる距離が長く)なります。

人間は横に引く力には弱く、すぐに体を持って行かれます。

ちなみにこうした計算は、シーソーの末端側が軽い場合に起こることで、自分の体重がほぼほぼいつでも重い側に入る体格の大きな人、カラダの大きい人は、このような発想自体が、そもそも欠落していることがあります。

トップロープだから、安心、トップロープだから誰にでも確保を任せていいや、と人は思いがちです。

でも、トップロープであっても、体重差がある場合は、軽いほうがビレイヤーだと色々とビレイヤー側は大変です。

そのことが分かっていない体重が重いクライマーは、ローワーダウンで、まだビレイヤーが準備できていないのに、安心しきって、ガツンと体重をかけて来たりして、ビレイヤーとしては、ホントに、ドッキリです。分かっている人は、じわりと体重を掛けます。

■ トップロープバー

特にトップロープバーという、クイックドローよりも摩擦が少ない支点の時は、要注意です。私は、50kgですが、後輩の重いクライマーをビレイしていて、体が床から浮いたことがあります。衝撃荷重ではなく、ローワーダウン程度で、です。

もちろん、体が浮いてぶら下がっても、そこからロープを出せば自分も、相手も、床に降りるだけですが、それでも、コントロールを一瞬失っているというのは言えます。

この時は、私はものすごく後ろに下がっていたわけではないので、すぐに真下に行きましたけど、同じような状況で、クライマーとビレイヤーが激突するという経験があります。

それは1ピン目での墜落です。

■ 1ピン目で落ちたら? 激突路線

支点が一個しかない、という意味で、1ピン目で落ちると、トップロープと同じくらいの摩擦しかない、という点で同じ状況になります。もちろん、クライマー側の墜落係数は大きいです。

ビレイヤー側から見ると、支点に引っ張って行かれる、というのは同じ。

一般にビレイヤーは1ピン目の真下がホームポジションですが、1ピン目取ったばっかりの時に、その位置にいるわけにはいかないので、1ピン目でクライマーが落ちると?

1ピン目の方に引かれます。クライマーは一ピン目にぶら下がるので、二人ともが一ピン目の真下に向かうことになり、当然ですが、激突しますよね?

で、体重が重い側と軽い側が激突したら、どっちがダメージ喰らうか?軽い側です。

以前、先輩が落ちたのを止めたときは、脳震盪くらいな感じの結構強い衝撃でした(汗)

■ 結構重要な体重差

…というわけで、体重差、というのは、結構、重要な要素です。

一般に、25kg差、と言われていますが、正確には、自分の体重の1.5倍まで、です。

体重が50kgのビレイヤーだったら、75kgのクライマーまで、です。

体重が80kgのクライマーをビレイするには、53kgのビレイヤーが必要、です。

体重が100kgのクライマーなんて、誰も登ってくれる人がいないそうです。67kgのビレイヤーが必要です。

あるガイドさんのガイド山行の募集には、体重80kg以上はお断り、とちゃんと書いてありますが、安全管理上の理由、としか書いてありません。80kgの人をビレイするのは、体重50kgない私には無理。ガイドさんは、何キロなんだろうな?

それに山では、何かあったら、その人を担いで降りないといけないんですよ?

ガイドになったら、余計そうです。なので、自分の体重で担げる重さ、というのがあるはずです。

■ 小さい人は大変なんです

アルパインクライマーのI藤さんは、男性の中でも比較的、体が小さいクライマーです。

なので、私と同じ境遇らしくて、いっしょにミックスに行った時、ビレイするのに、後ろにセルフを取っていました。それに、とても共感。

登っているクライマーは、背が180ある長身のクライマーでやせ形だけど、重そうだったからです。

一般的な傾向でしかありませんが、山で歩荷に強い、体の大きい人は、クライミングの方は、あまり上手ではない傾向があります…。

私が思うには、体重に比して、手のひらや指の大きさというのは、そう差がでないので、指力vs体重では、比率的にクライミングに不利なのだろうと。もちろん、体が大きい強いクライマーも何人も知っています。

体が大きいクライマーは、小さいビレイヤーと組んでも、下のビレイヤーが上手であれば、下手に流すビレイよりも、衝撃を緩和してくれる効果のほうがあります。下手に流すよりも、ビレイヤー自身が浮いたほうが、衝撃緩和効果になるからです。

しかし、ビレイヤーの方はビレイするの大変ですから~(笑)!

私はあまりカラダの大きい人はお断りしています。私の体重と聞き比べてからですが、私は、体重が48kgなので、72kg以上だと、ちょっとムリ。

そして、私は摩擦を増やすため必ずビレイグロープをし、人工壁でも1ピン目の真下にいます。良く見かけるビレイヤーは、1ピン目とロープが90度になるくらいに、離れて立っていますが、そんなビレイをしたことは一度もありません。それは、私の体重では、そのようなビレイは不可能だからです。もちろん、体が大きい重い人ならOKなのかもです。

というわけで、ビレイを習得するとき、体重差、というのは、非常に大きな要因で、体重差が大きな要因だと言うことは、

体の大きいクライマーにとってはあまり問題意識として上がることが少ない、

という話題でした。

小さい人は大変なんです。より厳密に原則に即したビレイスタイルが必要になります。

≪まとめ≫
・体重差は1.5倍まで
・基本は1ピン目の真下
・後ろにセルフ
・浮いて衝撃緩和
・ビレイグローブ
・重い人と軽い人はビレイスタイルが異なる場合がある


Thursday, September 7, 2017

岩登りしたい!から、岩登りできる!までの長いステップ

■ ステップを数えてみた… 16ステップ

岩登りしたい!

危ないし怖いし、実際落ちたら大怪我、最悪死ぬ場合もある

ロープをつける  ← ここでロープの勉強

ビレイ必要    ← ここでビレイのYouTubeなどを見る

ビレイをマスターしなきゃ、岩にそもそも行けない

どうしたらいいか? 

落ちることを止める経験が必要

支点が充実した壁はどこか?

人工壁

週2日・半年 人工壁へビレイマスターのために通う  ←ここで仲間ができる

★ビレイの要点が良く分からない = リードする人の気持ちがワカラナイ
     ↓
    一つ戻る
     ↓
    易しいが自分にとってはギリギリのグレードでリードする
     ↓
    リードするクライマーの気持ちが分かる
     ↓
    良いビレイヤーが何か分かる
     

★ビレイの要点が分かる

ビレイが上手くなる

リードするクライマーは安心して登れるビレイヤーが好き

岩に連れて行ってもらえる

■ 岩場デビューで二手に分かれる

考えてみるとこれだけのステップがあるのですよね。

この岩場デビューでは

 岩に登りたくない人
 岩に登りたい人

の2派にすっぱり分かれます。岩登りをしたくない人に無理にさせることはしなくていいんだし、やりたい人とやりたくない人を、分ける、というのが大事なことです。

行ける山のタイプが全く違うからです。

■ バリエーション=岩登りスキル必要

岩登りしない人には、当然ですが、バリエーションルート、という選択肢は最初から取らせるべきではありません。

理由は、その人は、岩場でのリスク認知ができないからです。例えば、一般縦走では、尾根を歩きます(例:ジャン)が、岩の尾根ってどこで支点取ります?支点になるものがないので、意外に転倒したら一巻の終わりです。もし、カムが使えれば、どこでも支点が取れて楽勝になりますが、カムなんて一般縦走の人は買う気になれないでしょう。ロープを出す、と言うこと自体が、一般縦走の人にとっては、特殊状況すぎて、ロープに使われてしまい、むしろ遅くなって無い方が安全、くらいな勢いです。

結局、使わないで行く方が早いから、と言う理由で、一か八か登山になります。

別の理由でクライマーは、ジャン程度ではロープを使いません。楽勝過ぎるからです。落ちない確信がありすぎるので、その程度ではロープを出すまでもない。

同じようにロープを出さない、と言う判断でも、判断の根拠が違います。

 縦走派: ロープを出すスキルがないから、出すと遅くなって余計危険だから
 クライミング派: そもそもロープ、イラナイくらい簡単だから

あなたなら、どちらに入りたいですか?

■ 岩登りに行きたい方に入ったら

岩登りに行きたい!ということになったら、

次にやるべきことは何か?

というのは、

 ビレイの習得

です。

■ 次は人工壁通いです

普通は人工壁で、ビレイを習得します。というのは、落ちないと落ちる人を止める経験は積めないから。

落ちるには、

 支点の強度

が必要です。となると、人工壁しかありません。

ので、人工壁でバンバン落ちる人をバンバン止める、っていうのが、大事なことです。

そうしたら、外の岩に行く準備ができた、ということになります。

こうなってから、バリエーションへの道へのスタート地点に立った、ということになります。





Wednesday, September 6, 2017

クライミングアーカイブとつながる 

今年もやるみたいですね~小川山クリーンクライミング。

こちらがチラシ。

http://www.kawakami.ne.jp/ogawayama/top_photo/2017CC/CC2017-01.pdf

先週小川山へ楽しく登ってきたんですが…、死亡事故などの重大事故のニュースが流れていました。

小川山で重症事故多発
http://www.kawakami.ne.jp/ogawayama/top.html

■ リスクの因数分解

例えば、一番簡単なクラック、5.8の”愛情物語”で、考えてみます。

グレードは5.8だから、ジムでは超簡単。けっ!って軽蔑さえされるようなレベルです。(大体ジムを登っている人たちの尊敬は、5.12から上で発生しますので)

私も、クラック全くの初心者の時に、先輩に登らせてもらいましたけど… 初めての一本目でも、「この課題なら何とかリードできるかも?」と感じました。登攀そのものはやさしいと。

ですが、先輩にそれを言うと、「このルート、見た目より死亡事故多いんだよ」とのお達し。

 登攀の簡単さ=リード可能 

ではない。 ちなみに、これは、小川山レイバックも同じです。

■ 想像力

そこのところの因数分解する思考能力が、最近の人には欠落しているんじゃないか?と思うのです。

クライミングもしばらくやっていると、特に落ちてフラれるような人を見ると、何が危険で何が安全か分かるようになります。トラバース、超怖いじゃん!!って。

そういう経験値を積まなくても、想像力、一つの経験から色々と想像する人なら、振られると危険と言うのは、初心者の時からすぐ分かる。ビレイ習得時に分かります。

が危険というのも、教えられなくても、誰だって分かるようなことだし…

プロテクションが外れたらどうなるか?ということも、わざわざ言葉にしなくても分かるような事でしょう…

けれども、死亡事故になってしまう。

ということは、実力を蓄える以前にリードでとりついてしまう。

なぜか?

リードしない奴は、ヘタレ、という空気感でしょうか?

もちろん、それはその通りですが、5.8で死んだら、ものすごくもったいなくないですか?命が。

実力が蓄えられるまでは、後ろからトップロープ張れる課題とか、十分やさしい課題とかでいいじゃないですか。

≪初心者向けリード課題≫
1.ボルト間隔が適切  1ピン目が遠い課題が多い ピンの前に落ちたらグランドです
2.直上 素直な課題
3.プロテクションが確実 ペツルの課題 リングボルトやハーケンではなく
4.脆くない 脆い岩場では叩きながら登る
5.レベル選択が適切  自分のジムグレードの2~3グレードぐらい下

これらを満たす課題が何か?ということは、見れば分かるようになるハズ…

ちなみに私はまだ、プロテクションの設置の確実さには、少々難ありだったので、愛情物語はピンクにしてもらいました。

■ プロテクションが先で登攀が後

落ちないけど…、落ちないから逆にプロテクション技術は磨かれない。磨かれていないプロテクションで落ちてみるわけにもいかない…というジレンマに今いますが、それはそれ、これはこれ。

■ 先輩=アーカイブ

愛情物語が初心者のリードに不向きなのは、結構有名で、普通の先輩だったら、連れて行ってくれた時に教えてくれるはずです。

私は山岳会に今入っていないですし、山岳会だけが山を教わる場とは思わないのですが、(山岳会の先輩でも、こうした知識がなくて教えられない人もいますし…)、しかし、知識を持っている人が集まっている可能性が高いのは山岳会…

どのような手段であったとしても、過去に蓄積された安全情報や事故情報と言うアーカイブに、何らかの方法でつながらなくてはなりません…。そのためのチャネルが先輩なのです。

そういうクライミングの延々と続く流れ…コンテキスト…歴史とか伝統とか言う言葉でもいいかもしれません…に乗って、登っている、ということが今の時代は壊れてしまって、なんとなく、みんなも行っているから行こうぜ、という初心者同士の集まりで行くと、過去の経験値の蓄積=アーカイブから切り離され、思っても見なかった事故となるのかもしれません。

■ ジム?

そういうアーカイブとつなげる役目は、現代では山岳会ではなく、クライミングジムが担うべきなのかもしれません。

なにしろ、クライミングに入門する人の人口は、圧倒的に山岳会上りではなく、ジム上がりの人が多くなってしまったわけですから…

ジムで登っているだけだと下地が良く、危険はあらかじめ取り除かれているので、危険音痴になります。

それは、親が敷いたレールに乗って生きて、リスクフリーの生き方しか知らずに生きているのとなんだか似ています。

自分でリスクを取る、そのために頭を使う、考える、そういうところが、クライミングの面白さでもあるので、登攀テクニックだけでなく、

リスクを中心に考える力

も、養っていかないと… ナインアンダーで死んでしまうようでは、何の楽しみも知る前に死んでしまうと言うようなことですから、本当にもったいない!

登攀スキルをあげるだけならジムでいいですが、外岩に行くための予行練習がジムですから、そのことを意識して練習するのとしないのでは、だいぶ中身が違うと思います。

カシオペア軌道 フラれるけど上部は簡単、下部スラブが核心

Monday, September 4, 2017

命の洗濯!ドラツーWS

■ ビビッと来たドライ練習会

山は生きがいとはいえ、趣味。なので、仕事であるヨガの、すごい先生のワークショップのお知らせが来たりすると、”これは、出なさいという神様のお達しなのか?!”と思案することしばし… 自分の先生に相談すると、なんとなく、いらなさそう…。そう、私はまだアシュタンガヨガではひよっこで、エライ先生のWSなんて出ても、活用できないのである(汗)。しかも、安くもない費用が掛かるのだし…。

…と思っているところに入ってきた、ドライツーリングワークショップのお知らせ…突然、超行きたいモードに入り…、いそいそと支度を始めてしまった(笑)。

飛行機代も高いことだし、アチコチ声を掛けたけど、誰も来ると言わない。このチャンスの大きさがワカラナイかー、ワカラナイよねー、ってそんな感じ。

小川山なら行く、って言う人もいたが、外岩もついでに行くのは当然である。しかし、夏は天候が安定しないので、遠征で行くからには、雨でも登れる(か、他にもすることがある)っていうのは、非常に重要なポイントだ。

■ 天候が核心

前回、6月に大阪遠征(自宅の用事と絡め、クライミングはついで)では、暑いからと言う理由で、大阪から長野に移動したら、移動先がずっと雨で、何のための交通費だったのか…という結果に終わった。…のは、何もかも天候のせいである。雨だと当然、岩には登れないのだからして。

という遠征上の事情が分かっている人が、近所に誰もいないのが悲しい…と思いつつ、このワークショップなら雨でも必ず得るものがある。一人で参加するか…とため息をついていたら、アイスで知り合いのN川さんが、クルコノギ(アイスアックス)買ったとかで、来てくれると! おお~、拾う神!ということで、パートナーも出来て、良かった~と胸をなでおろして、出かけてきた。

■ 蓋を開けてみると

蓋を開けてみると、わざわざ九州から、というので、先輩が、ドライは行かないけど、前日、岩に付き合ってくれると言う。さらに、偶然、数日前に前の山岳会の同期の仲間が連絡をくれた。

せっかく交通費払うのだから…と、3日あれば、1日くらいは晴れて登れるだろう、と出かけ、初日は坊子抱岩の予定で雨(残念)。しかも、30度近い場所から、19度の場所への移動で風邪を引く。

翌日も、夜半から雨。仕方なく、お魚釣りへ。この頃には、翌日のクライミングは、メンバーが増え、5名。雨でも、とりあえず集まって、レスキュー訓練でもしようか、ということになった。(去年もやっている)

そこへ、著名なアルパインクライマーのI藤さんも来てくれると言うので…農作業繁忙期なのにいいのか?…と思ったものの、見事な快晴に恵まれた。

…結局、6名で楽しく小川山クライミングできた♪

前日二日分の雨を取り戻した格好だ。はるばる遠征というので、地元メンバーは接待モードだったのと平日で空いていため、効率よく登れ、アップ2本、オンサイト1本、ピンクポイント1本、トップロープ3本の後、さらにクラックへ出かけ、マルチ2pを1本、トップロープ3本。良く登ったな~。お腹一杯登れた。

アップは、定番の、”トムと一緒”に行ったが、やっぱりリードは一手が遠い。去年と一緒だった。

八幡スラブは、5.9の”ビスタの夏休み”、オンサイト。”走れメロス”5.10bが結構スイスイ登れて快感。間の11aもTRで。なんか調子が良いかも!

と思って、マラ岩付近へ移動し、クラックの愛情物語をピンクでリードしたが、なんだか、これは、前に登った時の楽勝感が消えていた…。動きが固いと指摘されながら、登る。やっぱりクラック登りと、スラブ登りは違うなーと。リードで取り付くには、クラックはプロテクションセットの確実性がいる。愛情物語は、5.8と易しいので初心者のリードが多いが、事故も多いのだ。初心者はプロテクション設置も確実にしてから。グレードだけで判断してはいけない。

死亡事故例 http://www.big.or.jp/~arimochi/info.99.10.18.achp1.html

で、隣のカシオペア軌道は、下部で苦戦するもなんとかTR。上はあまり苦労しなかった。龍の子太郎は再登(セカンド) 2P目を中に入らず、外で登りたいんだけどなー。ロープ、ギリチョンで懸垂。ジャク豆は、もうちょっと修業が必要でした…全然、歯が立たない。ちょっとは成長したと思ったのになぁ。もうよれていたのかなぁ。再度、カシオペア軌道の核心部をやって終わり、という充実した一日でした。

夜は、ツヨツヨクライマーを囲む会で、6名ですき焼き宴会。もう寝るよ~と言ったのが10時で、実際に寝たのが、12時みたいな宴会となりました。

I藤さんが来てくれたので、男子の耳がダンボでした。彼は、クワンデ北壁・黒部横断の方です… 雲の上の実力者なのに、とっても親切に色々と教えてくれ、しかも、我が家の無農薬玄米の生産者でもあります(笑)

いっぱしのアルパインクライマーになるには、5.12がセカンドでも必要だそうです。さらに歩きは40kg担げてくれないとダメ。周囲にいる若いクライマーにぜひ影響を受けてもらいたいです。

■ドラツー

翌日は、今回の旅の目的ドライツーリングの練習会へ。これも、私は、知りうる立場にいたというのが奇跡!って感じです。

3月にアイスのコンペに出たおかげです。コンペに出て、収穫だったのは、ドライでした。アイスクライミングは、登り慣れると、確実性が出てきますから、勝負にはならないのです。ドライは、アイスとは格段に違い、フィジカルが勝負、です。

で、おお~!と目覚めてしまったのです。時代はドライじゃーん!!って(笑)。

そう、アイスクライミングの進化形は、ドライツーリングだったのです。

それで、ドライへ行こうということで、フルートブーツと言われる、専用のブーツを買ったところでした。普通は冬靴にアイス用アイゼンをつけますが、一体型と言われていて、靴そのものにアイゼンがくっついています。

まさか9月に履けるとは!

師匠も、快く泊めてくれ、なんと、ドライ、興味ないのに、岩根に行くために、交通の手配で色々と苦労している姿を見て、可愛そうになったのか、送ってくれると言うのです…。

翌日は、あわよくばパートナーのN川さんに乗せて帰ってもらおう♪と思っていたら、迎えに来てくれたので、悪いので、とりあえず帰りにまた小川山で、岩に登って帰りました。登らせずに帰ると悪いと思って(^^)。小川山、駐車場、相変わらず混んでいました。

ドライの練習会は、非公式・非公開の会でしたが、ワールドカップの選手が3名も揃っていて、細かくムーブの指導、ギアの指導があり、小さな世帯だったため、クライマーのみんなと友達になれました☆

クライミング界は狭いですが、アイスをやる人はさらに絞られ、ドライツーリングは…さらに狭い…。

クライミングの世界でも、誤解とか、アブナイだろうという思い込み、みたいなものは根強いです…。一般的な総合山岳会では、アイスクライミングは、アブナイ、アブナイと大非難を受けるクライミングで、誰も一緒に登ってくれないです(><)。私はアイスが好きなのに…。(それは氷がきれいだからです)

でも、実は危ないのは、危ない人が危ないやり方で登るから。ドライをやると、いかにアイスが落ちないクライミングなのか、分かります。

しかし、今回のドライツーリングは、モチベーションアップになりました。

ドライでは、ムーブが後で、フィジカルが先なのです。つまり、筋トレが先で、ムーブが後です。

これは一般のクライミングとは逆です。一般にクライミング初心者は、筋力不足と思いがちですが、本当のところは、筋力ではなくて、単純にクライミング慣れが必要なだけだったりもします。慣れれば、ムーブで、筋力を使わずに楽に登れるのです。代表的なのは、オーバーハングの乗越のツイストです。正対で登るとかなり大変。

しかし、ドライでは逆。薄被り程度の壁でも、ドライでは、アックスを握っているので、どっかぶり課題と同じことです。つまりほとんどの傾斜がルーフ並み。つまり体幹の力がないと、そもそもムーブが起こせないのです。

そして、大事なのがギア。ギアも、爪が刺さらなければ、まったく足ブラと同じですから…。今回は私はまったくブーツの爪が刺さらず、苦労しました。ギアの調整から実力の一部です。

■ ギアをきちんとしないと登れない!

ギアは、あまり種類がないので、予約販売しか入手方法がなく、海外製品をみんなで買って送料分担が一番楽。ということは、グループで固まっていた方が楽です。

ブーツはレベルアイスと言われる靴がザ・定番。アックスは今はロシア製クルコノギがよさそうです。私の足のサイズ、38では、レベルアイスは作られていないので、私のはザンバランのアイステックですが、爪をクルコノギに変更しなくては!

アックスは購入しなくては…ですが、しばらく、悩みそう…韓国のショップで買う方が安いかもしれないからです。韓国はアイス先進国なので…。

■ 教えるか教えないか問題

自分の目標を自分で立てられる、というのは、大事なことだと思いますが、右も左も分からない初心者の頃に、一通りのダメだしをもらい、

 何が自分の課題なのか

などを客観的に指摘してもらうこと、つまり、教えてもらうことは、それほど、思考停止につながることではない、と思いました。

 求められないアドバイスはしない

というのは、もちろん大事なことですが、巷のクライミングジムで、それは当てはまるでしょうか…?

■ 助け合い

クライミングは自分で楽しさを発見するもの、という正論があります。

が、ボルダリングジムの人工ホールドを登って楽しい、と言う人は、山、登山からスタートしたクライマーには、男性を含めほとんどいません。

何しろ、ジム、インドアなんだし。しかるに苦い薬を飲むように、これも岩に登るためだ、と嫌々ながらジム通いというのが多くの結末です…特に初級のうちは、意味ワカラナイです。私自身、ジムでは完全にトレーニング、ジムが目的ではない。

知り合いのジムのお姉さんによると、ジムへ10人初めての人が来たら、9人は二度と来ないそうです(笑)。クライミングブームだから、次々人は来るけど、一見さんです。その一見さんのうち、1割が続けばいいほう。その続いた人のうち、半分が外岩に行けばいいほう。そのうち、1割がリードで、9割がボルダラー。そのリードする人口のうち、1割がトラッド、つまりクラックへ…と言う具合に、アイスやドライは、もう、0.何パーセントな人口になってしまいます。だって、100人新規でジムに来たって、90人はもう2度と来ないんですから(笑)。

それは、楽しみ方がワカラナイからです。楽しくないことを続ける人がいるわけがない。

私はアイスも、岩も新人さんには懇切丁寧に教えます。ドライの会では、ワールドカップクラスの選手が、まったく新人さんの私に丁寧に教えてくれました。

■ 昔は・・

昔は、岩登りしたい人は、掃いて捨てるほどいたそうです。山岳会では入会者が押し寄せて、入会者の選抜をする必要があったそうです。つまり、嫌なことをわざとして、それでも喰らいついてくる、情熱がある人だけを拾う贅沢があり、そうでない人をわざわざ育てようなんて、無駄なことはしなかったそうです。

今は時代が変わり、どっちが高グレードが登れようがパートナーは対等です。なにしろ、ビレイヤーがいないと登れないんですから。

往年のクライマーは、上下関係を持ちこむ人が多いです。それは、そういう環境…先輩の酒をかつがさせられるとか、召使い扱いされる…環境で、自分が育ったから、ですが、その流れが成立していない今の時代に、それを続けていると、は?という感じで、誰も相手にしてくれなくなります。そこら辺は、時代の差を感じます。

良いパートナー(ビレイが確実な人、体重が釣り合った人、スケジュールが空いている人、行きたいところが同じ人)は、取り合い。

■ 明るく楽しい仲間

パートナーを見つけるのは、本当に今の時代難しい。だから、相当な実力者でも、その実力を鼻にかける、という態度は許されない?というか、そうすることに合理的な理由がない、そんな時代のようです。

私が知っているツヨツヨクライマーは、みな、とっても親切に自分が知っていることを分かち合ってくれます。

私自身、後輩には、自分が有料で教えてもらったことを無料で教えています…。山岳会にも、教わったことよりも、自分が伝達講習した方が多く、あまり世話になったなぁという印象はありません。今の時代は、恩を売るだけの技術や知識の蓄積がない会も増えています。個人的には色々と恩を感じていますけど、会には恩は受けてないです。

今では山岳会というくくりを越えて、同じクライミングスタイルを楽しいと思う者同士が、年齢や性差、スキルの差を越えて、楽しく一緒に登る時代なのかもしれません。

そこでは、いつ来てもいいし、都合が悪ければ、来なくてもいい、という自由で緩やかな付き合いで、なおかつ、経験がある者が、ない者に対しては、そういう場合の判断は、こうした方がいいんじゃないのかな?などと、知恵の授けあい…世代から世代への…が、カジュアルな場で成立しているように思いました。自然な流れ、ということです。

それは、I藤さんが来てくれた宴会でもそうですし…。I藤さんは、ある程度、後輩育てと思ってきてくれたと思うんですよね。ドライの宴会でもそうです…。ワールドカップに出た人が使命感を持って、皆にクライミングを教えていました。年輩の経験値豊かなクライマーも、結局、飲みながら、山での判断の話をしたり、どう成長するか、という話をしたり、何がリスクか?という話をしたりしているのです… 

これって多分、昔は、飲みとかではなく、会でやっていたんだと思うんですけど、今は、こういう形ってだけ。

会という枠を超えて、それぞれ全く違う会に属していても…地理的に非常に離れた場所にいても…

そんなことを感じた遠征でした。新しい時代の形には、まだ名前はないようですが、存在はしていますね。

目撃という程度でも、その一部となれて、本当に光栄なことだ、と感じた今回の旅でした☆

≪その他≫
・飛行機27000円往復 電車1450円 高速バス2600円
・ガソリン代3000円
・食費 5000円
・お土産 5000円
・参加費 1500円
・施設使用料と宿泊 12700円
・小川山 1200円
・宅急便 ギア送料 3600円