「いまどきの、なんともせっかちな人々」
という記事。記事の要旨はこうです。
ーーーーーーーー
物事を考えるスパンが短い。あれができたらすぐにこれ、というだけでなく、ある物事にも、たった一つの経験で、すべて納得し、すぐ次、という発想の人が、あまりにも多い、ということなのだ。
略
平日は週に1日はジムに行くとして、ビレイやそれに伴うクライミングのあれこれが理解判断できるようになるまで1年、それから外岩でもリードを始め、もちろん最初は支点のしっかりしたスポーツルートから始めて、やがて小川山などの「あれやこれや」が混じったルートのおおかたでそつなくできるようになるまで3年、さらにクラック系で3年、同時にマルチピッチルートも人に連れられて、20~30は経験し、トータル5年でリードが取れるようになるなんて、随分早いほうだとおもうんですけどね。
略
ジムでトップロープすら危うい状態なのにリードし出す人
ジムからいきなり外岩に向かう人
小川山などのトラッドルートに「ジムで5.11が登れたから」のノリでとりつく人
(※全員見ました!)
など見ていて、ええ!?と驚かされるような人たちは、決して少なくない。
略
(10年、5年が)本当に必要な事なら、あるいはその時、自分では必要性が分からなくても、「必要だ」と実際に考える人がいるのなら、それが「クライミング」というものだと、思うのが普通のような気がするんだけど…。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーー
■ 命題: 死なないアルパインクライミングとはどのようなものか?
一般登山から、”本格的”という形容詞がつく登山をするようになった初期の登山者にとって、もっとも大きな壁は、
死なない
ということです。 せっかちな人たち…というのは、昨今、登山者本人だけではなく、教えてくれる人も、そのような場合があります。
まぁ、リードしないと、ビレイが上手くならないので、リードと言うことが格段にトップロープよりリスクが大きいことを理解するのに、人工壁やボルトのスポーツルートで、リードへ進むことは正しいと思います。
が、そういう理解がない段階の登山者…まだ一度もリードしたことがない人…以外は、たぶん、どこが登れ、どこが登れないのか?と言う本チャンルートの判断は、慎重にするべきです。
例えば、ロープが出る山の初年度で、イキナリ、ルートグレード3級(現代は4級と言う人もいます)北岳バットレス四尾根は、急すぎます。
(ちなみに大学山岳部はそのような急すぎる登山計画が多く、そのプロセスで命を落とす人も、結果として多いと言うことになっています。しかし、これは、体力面がその頃はピークであり、それを活かしきるということを考えると、トレードオフになりますし、登山界の伝統を考えると、ほぼ回避不可能な伝統と言えます。なにしろ、”記録”を作ってきたのは、そうした先鋭的な登山をする山岳部だったからです。したがって、大事なことは先鋭的な登山とそうでない登山…ほとんどの大人の人…を分けて考えることかもしれません)
上記の菊地さんの記事を分解しますと・・・
1)平日は週に1日はジムに行くとして、ビレイやそれに伴うクライミングのあれこれが理解判断できるようになるまで1年、
2)それから外岩でもリードを始め、もちろん最初は支点のしっかりしたスポーツルートから始めて、やがて小川山などの「あれやこれや」が混じったルートのおおかたでそつなくできるようになるまで3年
3)さらにクラック系で3年
4)同時にマルチピッチルートも人に連れられて、20~30は経験し、
5)トータル5年で(本チャンで)リードが取れるようになる
= 随分早いほう
さて、このブログでは、1)のプロセスについては、週2・半年と掲載してきましたが、大体においてあっていますね。
このプロセスでつまづく人が大変多いです。人工壁、通ってください!!この時期は、自分の身を守るための知識を蓄積する非常に重要な時期です。
これは山岳会に属していても、その会に1)の時期の人がいないとか、人工壁へ通っているメンバーがいない、となると、何年属しても、1)の時期に学ぶべきことが十分学べてないことになります。
新人の側が、「今自分が習得しなくてはならない技術はビレイや、クライミングに関するあれやこれやだ!」と自ら理解して、動かない限り、十分学ぶことができないかもしれません。
1)の時期をすっ飛ばして、2)の外岩時期へ突入した人を知っていますが、岩場で非常に危ないです。ビレイをマスターしていないだけでなく、リスク管理自体が、あやふやな感じです。危ないことが何かを理解はしていないと思うので、危ないことが危ないと分からない状態です。
3)クラックで3年、については、特に記述する必要はないと思います。
4)マルチ・・・については、現場を知る、充分な観察力を磨くと言うことだと思います。
私は大体、今20ルートを越えたくらいな地点です。
5)リードを取れるまで5年で早い方…
一般的にお仕事をしている大人の場合、すべての土日を費やしても、山に行ける日は限られます。そのペースでということであれば、山に行けない人ならば、もう少しかかるかもしれません。
■ 古い岳人礼賛
古い雑誌と比較して、最近の山と渓谷や岳人は、かなりハイキング寄りだと思います。
さらに、同じ岳人でも、読み比べると、やはり古い時代の岳人の方がアルパイン向けつまり山ヤ向けの記事が多いです。
もし、古い岳人のバックナンバーを置いているような、大型の図書館がある方ならば、ぜひ一度、古い岳人を手に取って見られることをお勧めします。
■ 関連記事
小刻みなステップで成長しましょう
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物事を考えるスパンが短い。あれができたらすぐにこれ、というだけでなく、ある物事にも、たった一つの経験で、すべて納得し、すぐ次、という発想の人が、あまりにも多い、ということなのだ。
略
平日は週に1日はジムに行くとして、ビレイやそれに伴うクライミングのあれこれが理解判断できるようになるまで1年、それから外岩でもリードを始め、もちろん最初は支点のしっかりしたスポーツルートから始めて、やがて小川山などの「あれやこれや」が混じったルートのおおかたでそつなくできるようになるまで3年、さらにクラック系で3年、同時にマルチピッチルートも人に連れられて、20~30は経験し、トータル5年でリードが取れるようになるなんて、随分早いほうだとおもうんですけどね。
略
ジムでトップロープすら危うい状態なのにリードし出す人
ジムからいきなり外岩に向かう人
小川山などのトラッドルートに「ジムで5.11が登れたから」のノリでとりつく人
(※全員見ました!)
など見ていて、ええ!?と驚かされるような人たちは、決して少なくない。
略
(10年、5年が)本当に必要な事なら、あるいはその時、自分では必要性が分からなくても、「必要だ」と実際に考える人がいるのなら、それが「クライミング」というものだと、思うのが普通のような気がするんだけど…。
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■ 命題: 死なないアルパインクライミングとはどのようなものか?
一般登山から、”本格的”という形容詞がつく登山をするようになった初期の登山者にとって、もっとも大きな壁は、
死なない
ということです。 せっかちな人たち…というのは、昨今、登山者本人だけではなく、教えてくれる人も、そのような場合があります。
まぁ、リードしないと、ビレイが上手くならないので、リードと言うことが格段にトップロープよりリスクが大きいことを理解するのに、人工壁やボルトのスポーツルートで、リードへ進むことは正しいと思います。
が、そういう理解がない段階の登山者…まだ一度もリードしたことがない人…以外は、たぶん、どこが登れ、どこが登れないのか?と言う本チャンルートの判断は、慎重にするべきです。
例えば、ロープが出る山の初年度で、イキナリ、ルートグレード3級(現代は4級と言う人もいます)北岳バットレス四尾根は、急すぎます。
(ちなみに大学山岳部はそのような急すぎる登山計画が多く、そのプロセスで命を落とす人も、結果として多いと言うことになっています。しかし、これは、体力面がその頃はピークであり、それを活かしきるということを考えると、トレードオフになりますし、登山界の伝統を考えると、ほぼ回避不可能な伝統と言えます。なにしろ、”記録”を作ってきたのは、そうした先鋭的な登山をする山岳部だったからです。したがって、大事なことは先鋭的な登山とそうでない登山…ほとんどの大人の人…を分けて考えることかもしれません)
上記の菊地さんの記事を分解しますと・・・
1)平日は週に1日はジムに行くとして、ビレイやそれに伴うクライミングのあれこれが理解判断できるようになるまで1年、
2)それから外岩でもリードを始め、もちろん最初は支点のしっかりしたスポーツルートから始めて、やがて小川山などの「あれやこれや」が混じったルートのおおかたでそつなくできるようになるまで3年
3)さらにクラック系で3年
4)同時にマルチピッチルートも人に連れられて、20~30は経験し、
5)トータル5年で(本チャンで)リードが取れるようになる
= 随分早いほう
さて、このブログでは、1)のプロセスについては、週2・半年と掲載してきましたが、大体においてあっていますね。
このプロセスでつまづく人が大変多いです。人工壁、通ってください!!この時期は、自分の身を守るための知識を蓄積する非常に重要な時期です。
これは山岳会に属していても、その会に1)の時期の人がいないとか、人工壁へ通っているメンバーがいない、となると、何年属しても、1)の時期に学ぶべきことが十分学べてないことになります。
新人の側が、「今自分が習得しなくてはならない技術はビレイや、クライミングに関するあれやこれやだ!」と自ら理解して、動かない限り、十分学ぶことができないかもしれません。
1)の時期をすっ飛ばして、2)の外岩時期へ突入した人を知っていますが、岩場で非常に危ないです。ビレイをマスターしていないだけでなく、リスク管理自体が、あやふやな感じです。危ないことが何かを理解はしていないと思うので、危ないことが危ないと分からない状態です。
3)クラックで3年、については、特に記述する必要はないと思います。
4)マルチ・・・については、現場を知る、充分な観察力を磨くと言うことだと思います。
私は大体、今20ルートを越えたくらいな地点です。
5)リードを取れるまで5年で早い方…
一般的にお仕事をしている大人の場合、すべての土日を費やしても、山に行ける日は限られます。そのペースでということであれば、山に行けない人ならば、もう少しかかるかもしれません。
■ 古い岳人礼賛
古い雑誌と比較して、最近の山と渓谷や岳人は、かなりハイキング寄りだと思います。
さらに、同じ岳人でも、読み比べると、やはり古い時代の岳人の方がアルパイン向けつまり山ヤ向けの記事が多いです。
もし、古い岳人のバックナンバーを置いているような、大型の図書館がある方ならば、ぜひ一度、古い岳人を手に取って見られることをお勧めします。
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