Wednesday, December 3, 2014

三つ峠は本チャンの練習場

■三つ峠

実は、明日、三つ峠に行こう!としていたんですが、中止にしました。

良く考えたら、今12月でした…(^^;) 明日は寒波到来です。手袋で登攀?!今が冬だってこと、忘れていました。

天狗岩
山梨ってホントにお天気が良いので、今が実は冬、ってこと忘れちゃいます…(笑) 

今年4月に登攀した時、手が
冷たくて、岩をつかめず、なんと師匠でも落ちそうになっていましたしね~。あの横〇蝸〇だって、冬期登攀と言って岩が冷たい日は敗退しています・・・

というわけで、寒波敗退(笑)

■ 三つ峠=準本チャン

三つ峠は、本チャンの練習のゲレンデです。そのことは、ちょっと初心者には分かりにくい。

本チャンの練習ゲレンデ、ということは、どういうことか?というと…

 クライミング力が核心ではない

ってことです。つまり「リードできること」はあまり意味がない…。へたくそクライマーの私でも、リードできるくらいの、難易度だからです(^^;) わたし、ホントにクライミング力、全然ないんです。まだ外岩5.9です。

じゃ何が核心か?というと

 安全管理

です。三つ峠は本チャンで必要になる、安全管理を学びに行くところです。本チャンが近くにある、と思ってください。本チャンに行くためにあるのが三つ峠なのです。

じゃ、クライミングにおける安全管理は何か?というと…

  • 確実な支点が作れる 
  • ロープワークが確実
  • よくスタカットを分かっている(確保ゼロの瞬間を作らない)

です。

小川山はクライミングそのものを楽しみに行くところですが、三つ峠は、そうではない。

三つ峠は、あくまで本チャンを夢見て、その練習に通うところです。だから、そういう練習がもう必要でないベテランは行かない。小川山は、ベテランもクライミングそのものを愉しむために出かけていきます。

■ 安全管理ができる人にまずなる

クライマーには何種類かいます

①登れて、安全管理がOKなクライマー
②登れて、安全管理がNGなクライマー
③登れなくて、安全管理がOKなクライマー
④登れなくて、安全管理がNGなクライマー

で、例えば、②だとします。登れて、リードしてくれても、作ってくれた支点がダメだと、セカンドは支点構築ミスで、落ちてしまいます。つまり登れても、ぜんぜん安全でない。

三つ峠は、③のクライマーの練習場、養成所です。登る力はほとんど不要です。何しろ、ぶっつけ本番でも、誰でも登れるようなところですから。

でも、ラクラク天狗岩だって、そこに行くのに、懸垂下降が必要だから、安全管理が大切です。

安全管理がOKかどうか?っていうのは、つまり支点がちゃんと作れるか?って意味です。

支点のもっとも基本的なものは

 流動分散

です。

コレ・・・支点は2か所から取り、スリングを掛けて、マスターポイントを作成する。

何も難しいことはありません。が、良く分かっているってことが重要です。

分かっているってことは何なのか?

 一つが壊れたら、どうなるか?とか。

 マスターポイントには安全環付のビナを使うとか

 ないときはカラビナを互い違いにする、とか

 荷重のラインを分かっている、とか

 支点を占領しないことをわかっている、とか

 角度が大きいとダメと知っているとか

 とにかく、強固、冗長で、あること 

 それを確認できること

です。

必要があれば、カラビナとスリングを使わないで、メインロープだけで支点が作れれば、なお良しです。ギアが足りなくなることはあるので。

固定分散も作れたらいいです。固定の場合は分散ではなく、一つはバックアップですが。

■ 支点力を上げよう

リードしても作ってくれた支点がプアだと、セカンドは落ちます。

セカンドが落ちたら、ビレイしていた人もセルフを取っていないと、一緒に落ちます。

懸垂支点をちゃんと作れない人は、まずいないけど、懸垂の支点をセルフの支点と同じにして、セルフを外した途端に懸垂支点を外したことになって、墜落したという、嘘のようなホントの話が『生と死の分岐点』に出ています(--;)

それはありえる話なんですよね。ですから、支点を作るのは、より分かっている人の方、ということになります。

つまり、スタカットや支点への理解度が深い人の方が、リードするのがより安全です。

(クライミング力があって支点力がない人)vs(クラミング力がなくて支点力がある人)

だと、一緒に登ると、後者の人がリードになります。

■ まずは支点を作らせてもらえるようになろう!

御坂山岳会では先輩たちは、後輩に支点を作らせてくれます。

が、信頼がおけるまでは、両足で立てる絶対安全な所でしか、支点を作らせてはくれません。

そりゃそうですよね、後輩の支点にぶら下がったら、そして、それがあやふやだったら、全員お陀仏です(^^;)。

支点が大丈夫!となったら、やっと”自分で自分のケツが拭ける”クライマー、一年生です(笑)。

前穂北尾根では3P中、2Pでリードさせてもらえ、支点も作らせてもらえました。光栄に感じました。

が、それでもやっぱり核心ではないところです。歩けるようなところです。

先輩たちはとっても優しい・・・ のは、ロープ無で歩ける、2峰、1峰もコンテで歩いたからです。

コンテなんて確保になっていない確保です。確保者は落ちた人に巻き込まれる分、損するだけ。

それだけ私のクライミング力を信用していない、とも言えますが、私が落ちたら、先輩も落ちちゃうと言う事なので・・・やっぱり優しいな~。

ちなみに私なら、そういう場所は、コンテはせず、ロープはつけない派です(笑)。

■セットさえ間違えなければ落ちない三つ峠

三つ峠は、初心者向けのルートを行く限り、クライミングで支点にぶら下がらないといけないような、シビアな所はありません。だからランニングはハーケンだったりします。

体重を預けるような場所は、ラッペルステーションだけです。ビレイポイントの支点は強固です。ラッペルも、ラッペルリングが付いています。

でも、下手なクライマーだと下に落石をつくるし、ロープドラッグなど、ギアの扱いや慣れがネックになってきます。例えば確保器を落とすとか、ロープの結び目を岩にひっかけてロープが回収不能になるとかです。

そういうものが核心で、クライミングそのものは核心ではないところなので、支点のセットさえ、間違えなければ、墜落死はありません。

・・・が、毎年死んでいる人がいます。

初めて行く場合だと、支点構築が最大の核心です。セットが間違っていないか?を確認するには、一人の後輩あたり、先輩が2人の監視の目が必要です。一人が先に懸垂で降りたら、あと一人が見てあげることができないからです。

初心者は決して一人にしてはいけない、と師匠にくぎを刺されています。

つるべで行くという対等なパートナーと行くには、行く前にその人のスキルを日常的なスポーツクライミングの場、安全な人工壁などで知っている必要があります。

スキルが未知数の人と行くなら、支点は全部自分で作るのが一番安全です。ということは、自分でリードすることに決まりです。相手が自分よりクライミング力がある相手であっても、それが一番安全ということになります。

でも、支点などは理解力の問題で、良く分かれば、誰だってできるようになります。クライミング力は一朝一夕には上がりませんが・・・(^^;)。

≪関連記事≫
山の落としどころ

≪山行≫
三つ峠墜落事故

4 comments:

  1. yosemiteです。

    ◆ 「初心者は決して一人にしてはいけない、と師匠にくぎを刺されています。」
    と言うのを見て、先日伺った2012年の三ツ峠ガイド客の滑落死亡事故を思い出しました。 
    ガイド客=何回やっても初心者同然、、と思いますので、指摘通りです。

    ◆ 「三つ峠は、クライミングで支点にぶら下がらないといけないような、シビアな所はありません。だからランニングはハーケンだったりします」
    RCCグレード(UIAAに準拠)で示されたⅢ~Ⅴ+までのルートは70年代初めまでに、ハーケンとリング・ボルトまたはRCCボルトで開拓されたラインで、ご指摘の通りです。 アンカーはペツル・ボルト等に打ち替えられてるところもあるでしょう。
    しかし、5.10aとかのYDS(ヨセミテ・デジマル・システム)式グレードのルートが、80年代初頭以降にたくさん開拓され(あるいはフリー化され)ていて、小川山などと同じでムーブ解決を楽しむのがテーマですので、登り方が違います。

    ReplyDelete
    Replies
    1. そうですね、ハーケンのところは、”中央カンテと一般ルートは”と但し書きを付けなくてはですね。間違って”岳ルート”へ行ったら完全フリーかも知れません(^^;)

      Delete
  2. yosemiteです。 

    ◆ 「支点にぶら下がらないといけないような、シビアな所」 はあります。

    中央フェースの「空間リッジ」「直登カンテ」逆V字ハング「四段ハング」「羽鳥カンテ」といった人工主体ルートには確保点が狭いレッジのため、鐙に乗ったハンギング・ビレイとなるところがあり、その高度感でトップのみならず確保するセカンドも緊張させられるところです。
    ただし、これらは人工登攀(ハング・垂壁のラインを鐙で連続的に登る)を練習する中上級者向けに開拓されたルートなので、バットレスを目指す初級者レベルが迂闊に近ずくルートではありません。

    また、右フェースでも観音、地蔵といった傾斜の強い・被り気味のルートは、初級者や女性で腕手指力とバランスの備わってない人には厳しく、初めてのリード(セカンドでも)はギリギリか登れないか落ちるかです。 フリーで越えるのが本来の練習でありフェアですが、A0クライムもよしです。 いわゆる「本チャン」でもよくあることなので、A0でもいいから登り切ることも練習です。 ただし、くれぐれも支点抜けに注意して下さい。 

    ReplyDelete
    Replies
    1. ヨセミテさん、いつもありがとうございます。この記事の前提は、中央カンテと一般ルートです。その点下記漏れているのでご指摘があったのですね。 ちょっと今から修正します。

      ただ、三つ峠を小川山のような目的で行く人は少ないと思います。基本的に本チャンのゲレンデとして行く人ばかりのようでした。ということは、そういう人はロープワークの確認で利用したいわけなので、Ⅴ級+までがせいぜいのルートでつるべをしたいのではない野だろうかと思うのですが。そうなるとぶら下がってハングドッグしてムーブ解決と言うのは、あまり三つ峠ではやりそうにないです。

      あとは、どのルートがそういうルートかは、ハングドッグしてムーブ解決するような人=初心者でない、ですから、たぶん、トポなども見ることもでき、こうした情報を必要とする人ではないと思われます。 

      一般ルート、中央カンテの初心者ルートは逆に、まったくクライミング練習ゼロの時点で私が行っても、まったく怖いと思わず済でしまいました。一般的に、女性のワタシより、男性の初心者はクライミング力があるので、私が感じた以上に易しく感じるのではないかと思います。

      大事なことは、三つ峠は易しいけれど決して落ちれない、ということだと思います。

      Delete