■ クライマー礼賛
今日は感激することがありました。
それは、ちょっとしたクライミングの質問をした方から、封書をいただいたことです。
最近は、なんでもメールの時代です。例にもれず、私も何でもメールで確認します。
しかし、メールは気軽な手段なので、その内容の確実性については、当然のことながら、少々の用心くらいは必要です。例えば、本に書いてあることと、雑誌に書いてあることは重みが違いますよね?そういうことです。
私がしたのは、ちょっとした質問で、その質問の内容は解決しませんでしたが、メールに添付されたPDFが見れなかったのです。それでなんと実物を郵送で送ってくださいました!!
この方は、K2にも登られたことのある、経験豊かなクライマーです。
私はいつも思うのですが、登山やクライミングって、長く続けているだけで、その人の生き様が出ると思います。
つまり、いい加減な人だと、早々にクライミングという劇場からは退場となるのではないかと思います。いい加減が許されないのがクライミングなんですよね。
なので、長きにわたって、クライミングをしていること自体が、その人には、尊敬に値する何らかの資質が備わっているという意味だと私は考えています。
もちろん、他者に安全管理された環境、つまり、ベテランについて行っているだけの人やガイド登山の人、ゲレンデクライミングの講習会だけの人は含みません。しかし、自立したクライミングをしている、ということは、それだけで、人間を育てるのだと思います。
そのことが実感させられる事件でした☆ やはりベテランクライマーは素晴らしい方なのです!
■ プロとは裏とりすること
「分からなくてもいいから、訳して!」
これは、翻訳では、良くあるケースです。私はソフトウェアのエンジニアでスタートしましたが、英語ができることから、テクニカルライターとしても仕事をしています。で、苦言になってしまいますが、世の中の翻訳に対する認識の程度は低く、この程度のものです。内容が分からないものを一体どうやって訳すというのでしょう?
例えば、日本語でも、「流動分散」って知っていますか?普通の一般日本人が、”流動分散”という言葉を知っていることはないです。
ところが、これが翻訳者になった途端に知っていて当然ってことになるんですね~(汗)
ちなみに流動分散は ”self equalization”です。
で、クライミングをしたことがない人が、こういう言葉を知らずにただ字面だけを訳すと、とんでもない訳文ができます。(ちなみに翻訳者の定番辞書、英次郎では”荷重分散”でも”流動分散”でも、でてきません。流動分散はクライマーなら誰でも知っています)
私はもともと産業用ロボットや携帯電話、ソフトウェア販売、化学原料、などの会社にいたのですが、面白誤訳などはたくさん見ました・・・。
例えば、インストールという言葉は、今では「ソフトウェアをインストールします」と、すでに日本語に定着した言葉ですが、理系というのは文系代表の翻訳者にとっては遠く、インストールという言葉を知らない人がかつては多くいました。そうするとどうなるか?というと、インストールを導入と訳せばまだいいのですが、”分割払い”と訳してしまう人もいます。installmentが分割払いだからです。
実はこれは原本のミスでした。昨今は原本もパソコンで書きます。すると、パソコンには、スペルチェッカーが付いていますが、そのリストにinstallation と出たときに、間違って、installmentを押してしまったらしいのです。
しかし、内容を吟味せずに字面だけを見て翻訳していると、こうしたミスが拾えません。「論理的に分割払いなんておかしいよな~」とは、思えないのです。それで、摩訶不思議訳が出てきます。
だから、ソフトウェアの翻訳ならソフトウェア開発者自身が、化学原料ならその会社に勤め、製品情報を良く理解している人が翻訳することが大事です。
産業翻訳の分野は、古典的な文芸翻訳の世界とはまた違って原文が100%あっているとは限らないこともありますから、とくに論理思考が欠かせません。
というわけで、翻訳と言うのは、書かれた内容のダブルチェックにも実はなります。ソフトウェア開発で言うと、緻密なバグ出し、って感じ。編集の世界の言葉でいうと、緻密な校正です。
疑問点は、作者にチェックしたり、より事情に詳しい人にチェックしたりするわけですが、そのプロセスにコミュニケーション能力や問題解決力が必要になります(笑)。
特に私は思うのですが、英語を日本語に訳していると、より分かりやすく平易な日本語訳をさがすために
言い換え
を探します。「ということは、易しく言いかえるとどういうことか?」と、思考します。だから、読みが一歩深くなると思うのですよね。
クライミングではその先を一歩よむことが重要で、それには翻訳するというスキルは、とても役に立っていると思います。
■ クラッギング
最近、私はClimbing誌を購読していますが、Craggingという言葉をよく見かけます。
英語そのものとしても定着していないようで、クラッギングって何ですか?という質問掲示板があるくらいです。
クライミングの世界では、普通の用語みたいですが、日本語ではクラッギングはまだ定着していませんね。
たぶん、日本語で、「今日はもうスタートが遅いし、遠出は無理だから、岩でもやる?」というようなときの”岩”です。
ショートピッチの岩ゲレンデで、中間支点が3つ4つ程度の、岩登りですね。基本的に整備されたゲレンデでの岩登り、のようです。
つまり、十二ヶ岳の岩場や日和田、城山みたいな感じですかね。マルチピッチは入らない。登って、ローワーダウンで降りたい、という岩場です。
■ ロッククライミングの分類
名称が大事なのは、名前がないと、指し示すことができないからです。例えば、初心者が
「岩がしたい!」
と言っても、
「岩にも色々ありまして・・・」
となってしまいます。その点、英語の”ロッククライミング”は、日本で区分されているより、細かく区分されているようです。
Aid climbing エイドクライミング
Free climbing フリークライミング
Bouldering ボルダリング
Solo climbing ソロクライミング
Deep-water soloing (DWS) ディープウォーターソロ
Free soloing フリーソロ (ロープ無しでもっとも命知らずなクライミング)
Roped solo climbing ロープ有りのソロクライミング (やりたくないけど、レスキューで必要)
Lead climbing リードクライミング (いつもリードで登りましょう)
Multi-pitch climbing マルチピッチクライミング (複数ピッチ)
Sport climbing スポーツクライミング (支点がしっかり)
Traditional climbing トラディッショナルクライミング (スポーツクライミングの反対語?)
Bottom rope climbing ボトムロープクライミング (リードと何が違うのでしょう?)
Top rope climbing トップロープクライミング
Crack climbing クラッククライミング
Face climbing フェイスクライミング
Slab climbing スラブクライミング
Simul climbing サイマルクライミング (同時登攀?技術書に出てきたことありませんねぇ・・)
Via ferrata ヴィアフェラータ
Indoor climbing インドアクライミング (今はやっているクライミングジムのこと)
Outdoor climbing アウトドアクライミング
http://en.wikipedia.org/wiki/Rock_climbing より引用。
■ トップロープとリード スポーツクライミングとトラッド
この辺は、私も初心者の頃、?????とエンドレスに”?”マークが続いていました・・・(笑)
特にボルジムがクライミングだと思っていたり、トップロープがクライミングだと思い込んでいるところから、リードへ移行するのは、ちょっとした、パラダイムシフトでした(笑)
リードを始めたら、トップロープはリードしてみて、やってみてできないときの解決手段になりました。
外岩はまだその境地には至っていませんが・・・。
いつか外岩でもそうなるのでしょうか?アイスのリードでもそうなるのでしょうか・・・?
■スポーツクライミング
スポーツクライミングも一緒で、最近になってやっと、スポーツクライミングはビレイを習得するために必要なのだ、と分かるようになりました。
外岩では落ちれません。
安全な環境でしか、ビレイの習得はできないのです・・・
だからスポーツクライミングでの、人工壁が必要なのですね・・・
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