Wednesday, December 3, 2014

今年の学び 信頼関係と優先順位

さて、ここまで考察して、やっと今年の自分の学びをまとめるところまで、来ました。

今年学んだことは、山へ行くには、

  • 信頼関係が重要だということ
  • 優先順位が違うと信頼関係が築きにくい

ということです。

■ 信頼関係は好みのタイプではなく、リスク中心に考える

今年分かったことは、山では信頼関係を築くのが大事だと言うことです。山は危険だから。

どういう信頼関係か?というと、

 自分を単独の時以上の危険にさらさない関係

ってことです。究極には。NGな同行者とは、単独の時以上にリスクが大きくなる同行者です(一回目を除く)。

つまり、単独で行くより、その人と行く方が、危険や不便が大きくなるなら、一緒に行く理由はありません。山は相互扶助だからです。

考えてみたら、当然なんだけど、いわゆる”困ったちゃん”は、この点が分かっていないのでは?

ので、連れて行ってもらっているということ自体に気が付かない。

例えば、運転中ずーっと自分の悩みを話し続けて、運転手の注意力を散漫にさせてしまう人もいます。緊張したり、舞い上がっていたりすると、平常の精神状態ではないので、忘れ物をしたり、道をよく見ていなかったりします。

失敗は人間だから許されるにせよ、山で自分のせいでリスクを増やしたら、悪いなと思うのが、最低ラインです。 

今年ロープワークを教えた人は、お互いに初対面の時に教えたので、緊張で舞い上がっていたので、教えても教えたことの半分も覚えてもらえないだろうなぁ・・・と思いました。一回目で、ロープワークを教えるのは、ダメだと分かりました。

プライベートで悩みがある人もダメです。気もそぞろだから、教えても覚えられないのです。そうなると、ロープワークは生半可なのが一番危ないので、なまじ知っているはずと思っているだけに、余計、危なくなります。お互いのために、ロープワークは気持ちが落ち着いてから、が正解です。

ハイキングの誘いに乗ったら、2泊3日の山を提案されたことがありました。それも、いきなりなので、信頼関係を築くには向いていません。

やはり、日帰り → 一泊 → テント泊 → 縦走 と、易から難の流れ、を重視しなくてはならない。

以上は、相手が私のリスクを増した例ですが、逆に私が相手のリスクを増した例だと、前穂北尾根は、そうです。連れて行ってもらっています。なにしろ、ロープを申し出ても、断られたくらいですから、完全先輩の接待です。(共同装備はもちろん担いでいますが。) 

完全接待であっても、先輩は、ガイド登山状態の後輩だと連れてさえも行けません。自分のケツは拭ける、が最低条件になります。つまるところ、新人歓迎山行は、前穂北尾根だったんですね。私はこの時でもザック17kgです。ロープ無なのに・・・。

≪まとめ≫
  • パートナー選びはリスク中心に発想する
  • 易から難へ、一緒にいる時間を徐々に伸ばす
  • 初対面でロープワークは教えられない
  • プライベートに悩みがある人はパートナーに向いていない

■How to build パートナーシップ 

パートナーシップを築くにあたって失敗したな~と思ったのは、

  •  互いの墜落停止経験を積まなかったこと
  •  徐々に泊りの山を入れていなかったこと

です。互いの行動や癖を生活をともにしながら知る必要があります。

良く考えたら、師匠とは、最初から、泊まりの経験が結構あります。日帰りの山 → 素泊まり小屋泊 → テント泊 と、無理なく、過ごす時間を長くしています。これは作戦だったのでしょうか?!

要するに、見知らぬ他人同士、互いに一緒にいるのは疲れるから、徐々に長く一緒にいるようにしているようにするのが良いのかも? 沢泊する頃には、師匠がいることが、むしろホッとするくらいになっていました。

師匠と同時期に、山行をともにし始めた御坂山岳会とは、日帰りの後は、いきなり出合小屋で、避難小屋泊です。しかし、山岳会は人数が多いので、一緒にお泊りはしていない人もいます。そうなると、互いに山岳会のメンバーではあっても、知らぬ者同士で、信頼関係は出来ていない。

一般にクライマーは、山の信頼関係を軽視しがちなのではないか?と思います。クライマーたちが信頼関係を作るのは、ゲレンデクライミングです。 ゲレンデなら、トップロープだし、いきなり相手に命を預けることにはならないからです。

しかし、ゲレンデだけで一泊のルート、つまり本チャンに行ってしまうのは、クライミング以外の要素を軽視しすぎている、と言えるでしょう。山では、それ以外の要素の方が、むしろ重要です。

たとえば、おしゃべりに夢中になって道を間違うとか、パッキングが遅くて足を引っ張るとか、鍋の蓋を言わなくても、そっと押さえてくれるような、気の利いた人だとか、体力がどのくらいで、歩く速度がどのくらいか?と同じように、行動中に仲間として、知っておくべきことはいっぱいあります。それは、ただ知ることで、相手の欠点と長所をお互いに補い合えばOKということです。

涸沢でのトイレからの帰り、キレイだな~と月を見てから、帰ったら、遅いと心配し、テントにライトをつけて待っていてくれました。そんなに心配されていたとは・・・!山岳会が新人に感じている責任は、とても強いと分かります。でも、私がそんな人だと分かっていれば、いつものこと、と心配しなくなるでしょう。

要するに慣れです。慣れの反対は警戒だからです。慣れていない人には、心配してあげないといけないため、そうでない人より、疲れます。

慣れるには何度も会うに限るので、そういう意味で例会や月例山行は重要です。

■ 優先順位

今年良く分からなかったのは優先順位です。

師匠、山岳会、自分の個人の山、ザイルパートナーと行く山、クライミング。

色々な人が色々な優先順位を想定していると思います。

「今週、小川山なんですよ~」といったら、「あ、じゃ〇〇出なくていいよ、行っておいで!」

つまり、誰にとってもクライミングは優先順位が高い(に違いない…(笑))

私の中では

ザイルパートナーと行く山>会の山>師匠の山 でした。スイマセンね、師匠。

師匠の中では、私のあるべき山の順位は

師匠の山>会の山>ザイルパートナーの山 だったかもしれません。

私のザイルパートナーにとっての期待は

ザイルパートナーと行く山>自分の山 だったかもしれません。私は 

自分の山=ザイルパートナーと行く山 と思っていました。

パートナーの山を優先すると、自分の山が出てこなくなる、ゼロになるからです。なので、パートナーが、

自分の山>ザイルパートナーである私との山

としても、全然普通です。いっしょに行くはずだった山行に、一人で行った人もいましたが、別に腹が立ったことはありませんでした。期待値の違い。

あるパートナーシップで、Aは自分の山に近づいていけるが、Bは自分の山に全然近づいて行かない、ということになると、当然Bにストレスになります。

だから、山はお互いに誘いっこが良いわけです。相手が行きたい山に行ったら、次は自分が行きたい山に行く、というような。

パートナーを作れない人とだと、それがありません。パートナー候補の人と何度か山に行っていますが、相手が連れて行ってくれることがない・・・ので、パートナーシップ成立にいたりません(笑)。
ま、その人にはパートナーのニーズがないってことですね。

結局、誰しも 自分の山 があり、それに近づけてくれる人が師匠であれ、先輩であれ、パートナーであれ、価値ある協力者ってことになります。

≪まとめ≫
  • 山が合うということが重要
  • ひとつ自分の山に近づけてくれたら、相手も自分の山に近づくよう、お返しする
■ 先輩vs 師匠

先輩は練習台になる後輩が必要だし、後輩は先輩が必要なので、互いにWin:Winです。

ですが、師匠と弟子では、師匠は知恵を出すばかりで、弟子から得るものは、あんまりないかも…(^^;)?

だから、山の技術を教えるところは、大抵が有償です。無名山塾は教育的山行が必ず月1回ありますが、有償で12000円くらいします。去年はこの時期に雪上訓練に行きました。

有償でも、こうした機会は貴重です。というのは、昨今の山岳会は、そうした機会を作ることができないからです。人材や技術でなく、使える休日が不足しています。

というわけで、師匠と言うのは、そういう意味で貴重な存在。

■ 会 vs 師匠 

私は師匠についていますが、師匠は、分からないこと、不安なことが会った時に相談する、”師匠”と言うより、”メンター”というような相手です。基本、自分で成長する

で、先輩にも相談しますが、まず師匠に相談します。師匠の意見が最重要ですが、師匠は会の人ではないので、知らないこと(人)もあるので、それは先輩に意見を聞いて確認します。

技術を教えてくれたりというのは、100%師匠から教わっているわけではなく、基本的には、自分で考えて、わからないことを質問しています。

ブログを書いているのは、自分の知識を師匠や先輩に知らせる目的もあります。知識を間違って理解していないかどうか、などですね。

師匠は会を率いているので、当然会の山行を私の山行より優先します。そりゃ当然。

で、私が分からないのは、弟子はどうしたらよいのだろう?ということでした。

会に入会する前は、師匠の山行最優先 でした。

入会後は、会の山行>師匠の山行 に変えてみました。

でも、もしかしたら、弟子は師匠との山行を最優先すべきものなのかもしれません。

最近、私が聞いたところによると”教えてくれる”=”専属パートナー候補”なのですから…。

師匠には教えてもらう一方なので、不義理なことをしないよう、細心の注意を払っています。それでも、「あなたは難しい」と言われています。スイマセン。

8月に、会の山行と師匠の山行が一回バッティングして、会の山行を取ったら、ちょっと師匠は失望したかも知れません。

ただ誘われた山行の大きさ、重要度は良く分からないんです・・・。会の山行は世話になった先輩の山行でした。

でも、世話になった度合いでは、私は会からはロープワークなど技術的なことは、ほとんど何も教わってはいません。講習会と独学です。

が、師匠からは、かなりの知識や技術を教わっている・・・。

■ 会の山行

会山行は一体どうしたらよいのか?全然良く分かりません。 会山行の中身は、実質行きたいところではなく、行けるところ。

行き先は、参加しているメンバーに寄ります。

こう言ってしまうと、語弊があるかと思いますが、それをあえて言うと、行き先を指定しても、スキルがマチマチだと行けないことがあるからです。

一般に、山ってのは、一番弱い人に合わせることになっています。ただそうすると、会のレベルは、高齢化に従ってどんどん下がらざるを得なくなり、ハイキングの低山しか行けなくなります。

バリエーションやアルパインクライミングなどは、技術も意欲も体力もいるので、行けなくなります。しかし、技術や意欲が必要な山だけが、山ではありません。

例えば、地獄谷は、私が入会して企画した初めての会山行でした(リーダーは当然先輩)。つまり行き先を提案した場所ですが、最初は私自身は先輩と天狗尾根に行きたいと思っていました。


難易度高い ←ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー→ 難易度低い

 天狗尾根       →  ツルネ東稜 ~ 権現   →  川俣尾根 ~ 権現

  ↑                  ↑                     ↑

先輩や師匠とならココ     対等のパートナーならココ      実際はココ

というわけで、参加者が増えたら、川俣尾根~権現しか行けなくなりました。それでも、終了後に「私には長い」と参加した人から苦情が出ました(汗)。

でも、バリエーションを基本とする地獄谷で、川俣尾根~権現より易しい、つまり、時間が短いルートはありません。

つまり、参加者の中には、”自分が歩けるルートかどうか?”を自分が判断すべきことだ、と考えていない人もいるということです。

もっと言えば、会の月例山行だから参加する権利がある、と思っているわけです。それも間違った考え方ではありません。会山行は皆が参加できる方が良いからです。

でもそうなると、一番下のスキルの人に合わせることになり、その人の行けるところ=会の行けるところ、となります。

つまり、その人がボトルネックになります。そのボトルネックの人が自覚があれば、山行も大きくなっていきますが、ないと、ずっとハイキングです。

成長したい意欲は、人それぞれ。もうハイキングに誰かと一緒に行くのでちょうどいい、と思っている人もいて良いのです。誰にとっても息抜きになるハイキングの山は必要ですし。

問題は息抜きではない山に息抜きを求めてやってきてしまい、それを自分の知識不足や責任とは感じないということです。連れて行ってもらう山が常態化しているとはこんなことです。

連れて行ってもらうのが常態化していると、常にボトルネックへ山行のレベルを合わせなくてはいけなくなる。すなわち、いわゆるレベルの低下です。

でもこれも、自分がボトルネックにならないよう、心得ないといけません。ホントに。

簡単に言うと、揃ったメンバーでそれなりに行けるところに行く、ということになり、スキルが余ってしまう先輩たちにとっては、行きたいところではなく、行けるところに行くことになり、不満が溜まるでしょう。

それだけではなく、中間層もスキルが余り、不満になります。しかし、ハイキングを求める人もいて、OKなわけですから。

ハイキングもアリ、チャレンジ山行もアリ、という全体のバランスが重要です。

結局、会山行は参加者のメンツを見て決める、というようなことになるか、最初から誰でも行けるような山を設定する、ということになります。

どっちがいいのか?良く分かりません・・・。 というのは、山の行き先を先に決めると、メンバーが集まらなかったりしますし、メンバーを先に集めようとして、日程を先に決めても、行先が参加者の気に入らなかったりして、集まらなかったりするからです。

落としどころが不明。

テーマを設定してもらいたいな~と思ったりします。たとえば、11月は地図読みをテーマにした山行を、とか決めてくれれば、全スキルレベルの人に楽しめる山行が作れますが、何も指定がないと、じゃ自分の行きたいところに行きたいな~というのが基本的に人間だからです。

そうなると、いつも行くメンバーばかりが集まってしまいます。

■ 同人会的利用

私は行きたい場所があり、行きたいところに一緒に行ってくれる人を探しているから、山岳会に来たわけですが、

「〇〇に行きたい人いませんか?」と募集して山行が成り立つのは、同人会的利用です。

「この指とーまれ式」です。 大体集まりませんが。

で、同人的利用は、大体、多少の経験の差が当然あっても、基本は対等のパートナーシップです。

先輩が心配してついてきてくれても、先輩もそこに行きたいという前提なのであんまり気にしなくてもいい。

岩なんかでパートナーが必要だから声を掛けてくれる、というのも、先輩から誘ってもらったものは、リスクは織り込み済みで、分かっていて後輩を連れて行くわけなので、貸し借りはゼロです。

■ 自分の山

山岳会は相互互助システムなので、つまり、自分の行きたい山にだけ行けるわけではありませんし、それに不満を持つべきでもありません。

ので、自分の山は自分で消化していくことが大事です。

となると、自分が行きたい時に、いつでも一緒に行ってくれる人が欲しくなるのですが…人間はわがままですね・・・それはそれで、当然ながら非常に難しいことです。

自分の山は、結局は、自分で色々な所でパートナーを見つけて、連れて行ったり、育てたりしないといけません。

そういう意味で、山岳会の人間は皆が同じ穴のムジナです。

例えば、私は沢に行きたいですが、山梨の沢に行きたいとなると、師匠は丹沢の沢の人なので、師匠とは行けませんので、結局、同行者を探すことも自立の一つになります。

ま、こういうのは、行きたい行きたいと色々な人に言っていれば、相手が出てくるものです。

■ 自分が何をしたいのか?をはっきりさせること

結局、私が今年の経験で思うのは、自分の行きたい山をはっきりさせておくのが重要だと言うことです。

特に、女性の場合は、男性からは、ついてきてくれる人を期待されがちだと言うことです。

実際、私自身も、誰かが行きたいところに、ついて行ってあげるのは、やぶさかではありませんが、それはまだ、私が勉強中で、その人から得るものがあるからです。得るものがないのに、行くことはありません。恋人でもない限り。

たぶん、男性は男性同士で行くより、自分のエゴが通しやすいような気がしがちなんではないか?と思うんですよね。想像ですが。

正直に言うと、私は今年は、自前で行く沢に行きたがっていたので、沢に一緒に行ってくれた先輩が一番いい先輩です(笑)

やはり後輩にとっていい先輩とはケツを歩いてくれる先輩なのです。

とはいえ、去年の今頃からの1年はこのような学びの多い一年でした。

大なり小なり、助けてくれた皆様には本当に感謝しています☆

≪まとめ≫
  • 自分の山は自分で消化して行く
  • 優先順は、師匠やパートナーと意識のすり合わせをしておく
  • パートナーシップはゆっくりつくる いきなりはNG
  • 常にパートナー候補者を募集すること
  • 自分の行きたい山をはっきりさせておくのが重要だ
≪以前はこんなことを考えていた≫
クライミング101

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