Friday, September 8, 2017

体重差のはなし

さて、確保の続きを書きます…

文登研が出している『確保理論』を読む、というのは、絶対条件ですが…

そもそも、みんなロープがどうやって人を保持しているのか分かっていますかね?

■ 基本概念はシーソーと同じ

当然ですけど、シーソーの両端に、50kgの人と70kgの人が乗ったら、70kgが下がって、50kgは浮きますよね?

TRはそれと同じことで、摩擦が無かったら、70kgの人がローワーダウンでぶら下がれば、50kgの人は浮きます。

私は、南沢小滝のアイスクライミングで、ですけど、まったくの初心者時代に、体重の重いクライマーがローワーダウンでぶら下がったら、すーっと小滝に吸い寄せられて、小滝に自分が激突。

後ろにセルフビレイを取る大事さを理解しました(^^;)。

もし、びっくりして手を放してしまうビレイヤーだったら、ローワーダウンしていた人は、ローワーダウンではなく自由落下になってしまいます。

吸い寄せられたら、自分の力でコントロールしているわけではないので、吸い寄せる力が均衡するまで、ロープがするすると結構早いスピードで出ます。もし、距離が短いとあっという間にグランド(地面に落下)です。

どこに引かれるか?

もちろん、支点の真下です。ですから、支点の真下まで出ているロープの長さが多いほど、引かれる距離が長くなります。

人間は横に引く力には弱く、すぐに体を持って行かれます。

ちなみにこうした計算は、シーソーの末端側が軽い場合に起こることで、自分の体重がほぼほぼいつでも重い人、カラダの大きい人は、このような発想自体が欠落していることがあります。

トップロープだから、安心、トップロープだから誰にでも確保を任せていいや、と人は思いがちです。

でも、トップロープであっても、体重差がある場合は、軽いほうがビレイヤーだと色々とビレイヤー側は大変です。

そのことが分かっていない体重が重いクライマーは、ローワーダウンで、まだビレイヤーが準備できていないのに、安心しきって、ガツンと体重をかけて来たりして、ビレイヤーとしては、ホントに、ドッキリです。分かっている人はじわりと体重を掛けます。

■ トップロープバー

特にトップロープバーという、クイックドローよりも摩擦が少ない支点の時は要注意です。私は、50kgですが、後輩の重いクライマーをビレイしていて、体が床から浮いたことがあります。衝撃荷重ではなく、ローワーダウン程度でです。

もちろん、体が浮いてぶら下がっても、そこからロープを出せば自分も、相手も、床に降りるだけですが、それでも、コントロールを一瞬失っているというのは言えます。

この時は、私はものすごく後ろに下がっていたわけではないので、すぐに真下に行きましたけど、同じような状況で、クライマーとビレイヤーが激突するという経験があります。

それは1ピン目での墜落です。

■ 1ピン目で落ちたら? 激突路線

支点が一個しかない、という意味で、1ピン目で落ちると、トップロープと同じくらいの摩擦しかない、という点で同じ状況になります。もちろん、クライマー側の墜落係数は大きいです。

ただビレイヤー側から見ると、支点に引っ張って行かれる、というのは同じ。

一般にビレイヤーは1ピン目の真下がホームポジションですが、1ピン目取ったばっかりの時にその位置にいるわけにはいかないので、1ピン目でクライマーが落ちると?

1ピン目の方に引かれます。クライマーは一ピン目にぶら下がるので、二人ともが一ピン目の真下に向かうことになり、当然ですが、激突しますよね?

で、体重が重い側と軽い側が激突したら、どっちがダメージ喰らうか?軽い側です。

以前、先輩が落ちたのを止めたときは、脳震盪くらいな感じの結構強い衝撃でした(汗)

■ 結構重要な体重差

…というわけで、体重差、というのは、結構、重要な要素です。

一般に、25kg差、と言われていますが、正確には、自分の体重の1.5倍まで、です。

体重が50kgのビレイヤーだったら、75kgのクライマーまでです。

体重が80kgのクライマーをビレイするには、53kgのビレイヤーが必要です。

体重が100kgのクライマーなんて、誰も登ってくれる人がいないそうです。67kgのビレイヤーが必要です。

あるガイドさんのガイド山行の募集には、体重80kg以上はお断り、とちゃんと書いてありますが、安全管理上の理由、としか書いてありません。80kgの人をビレイするのは、体重50kgない私には無理。ガイドさんは、何キロなんだろうな?

それに山では、何かあったら、その人を担いで降りないといけないんですよ?

ガイドになったら余計そうです。なので、自分の体重で担げる重さ、というのがあるはずです。

■ 小さい人は大変なんです

アルパインクライマーのI藤さんは、男性の中でも比較的、体が小さいクライマーです。

なので、私と同じ境遇らしくて、いっしょにミックスに行った時、ビレイするのに、後ろにセルフを取っていました。それにとても共感。

登っているクライマーは、背が180ある長身のクライマーでやせ形だけど、重そうだったからです。

一般的な傾向でしかありませんが、山で歩荷に強い、体の大きい人は、クライミングの方はあまり上手ではない傾向があります…私が思うには、体重に比して、手のひらや指の大きさというのは、そう差がないので、指力対体重では、比率的にクライミングに不利なのだろうと。もちろん、体が大きい強いクライマーも何人も知っています。

体が大きいクライマーは、小さいビレイヤーと組んでも、下のビレイヤーが上手であれば、下手に流すビレイよりも、衝撃を緩和してくれる効果のほうがあります。下手に流すよりも、ビレイヤー自身が浮いたほうが、衝撃緩和効果になるからです。

しかし、ビレイヤーの方はビレイするの大変ですから~(笑)!

私はあまりカラダの大きい人はお断りしています。私の体重と聞き比べてからですが、私は体重が48kgなので、72kg以上だと、ちょっとムリ。

そして、私は摩擦を増やすため必ずビレイグロープをし、人工壁でも1ピン目の真下にいます。良く見かけるビレイヤーは、1ピン目とロープが90度になるくらいに、離れて立っていますが、そんなビレイをしたことは一度もありません。それは、私の体重ではそのようなビレイは不可能だからです。もちろん、体が大きい重い人ならOKです。

というわけで、ビレイを習得するとき、体重差、というのは、非常に大きな要因で、体重差が大きな要因だと言うことは、

体の大きいクライマーにとってはあまり問題意識として上がることが少ない、

という話題でした。

小さい人は大変なんです。より厳密に原則に即したビレイスタイルが必要になります。

≪まとめ≫
・体重差は1.5倍まで
・基本は1ピン目の真下
・後ろにセルフ
・浮いて衝撃緩和
・ビレイグローブ
・重い人と軽い人はビレイスタイルが異なる場合がある



No comments:

Post a Comment