Tuesday, October 6, 2015

大事なことはもっとも安全な道を選ぶと言うこと・・・山岳会を考える その3

もう寝なきゃいけないのだが、夜遅い癖がほんの少しの帰省でついてしまって、覚醒中・・・

クライミングのことを考える・・・

ハッキリ言って、アルパインクライミングを始めたら、そうじゃない普通の山なんて、全然興味がわかない。

沢や地図読みの山は楽しい・・・自分で道を発見しながら歩く。道があるから歩くのではなく、そこが尾根であり、次にコルが出てきて、そこを繋いで自分で設定したルートだから歩くのだ。主体性。

アルパインはそこにスタートする。アルパインクライミングで地図読みの出番は少ないと言えば少ないが、それはよく歩かれて踏み跡ができてしまっているからで、地図が読めないアルパインクライマーはありえない。

指の皮がむけかけている・・・岩に登りに行けという意味だなぁ・・・。指の皮が岩を呼んでいる。

■ 生きることは死と隣り合わせ

登山というか、アルパインやクラック、雪山、といった”死が近い”山の話だが・・・そうした山に適性がある人と言うのは、基本的には、

 生きるということは死と隣り合わせだというリスクを容認している人、

と言えるのではないか?と思う。容認しない人は、そもそも山には行けない。

しかし、山に死の危険がある、とリスク容認することは、だらりんビレイでもいいやと登ることと同じではない。リスクは手当されなければならない。

その手当は正しくないと、全然リスクヘッジにならない。死ななくても良い理由で死ぬ羽目になる。

山の仲間はリスクヘッジのために存在するのだが、一緒に行った方が危険なような仲間は、全然リスクヘッジにならない。

■ 安全を考えると外れる選択肢

まだ未組織登山者だった頃、未組織登山者はそしりの対象なので、まぁなんらかのマズイことがあるのだろう、と、山岳会に所属することを考えた。

しかし、その時は

自分たちで行くのが一番安全

と結論した。

山岳会には、去年、アイゼントレを提案したが、アイゼントレは実現しなかった。

師匠はアイゼントレをモミソ沢でしていて、わたしにも、似たようなトレーニングをしてほしそうだったし、会の山行はアイゼンは出るが、ビーコンは出ないのだから、アイゼントレの方が有効な遭難対策であることは確実だったので残念だった。

トレーニングしないと、行くことができない山がある・・・赤岳はアイゼントレがいる山だ。ベテランなら、赤岳自体がアイゼントレになる山。

赤岳をコースタイムでゆとりを持って登れることは、アルパインと非アルパインの境目になっており、山岳会なら、雪の赤岳は最低限のスキルだ。条件が良い時で良くはあっても。

だから、赤岳に標準コースタイムで自力登山できなくなったら、もう山ヤとは言えないだろう。自分で赤岳程度には登れる人に来てもらわないと山岳会はレベル低下となるだろう。

今年は、カモシカ山行を提案したが、却下だった。そこまでリアルなアルパインはしないのだそうだ。

カモシカ山行がリアルなアルパインに属すか、どうかは謎だが・・・一般登山でも道迷いで夜になることはあり、経験や知識、体力が試されるときというのは、基本的にピンチの時だ。

いきなり本番より、少しでもいいから、そうした時に役立つ擬似的なものを・・・というのがトレーニングの場なのだと思う。

まぁトレーニングはしないという返事だ。結局、宴会つまり親睦が目的なのだが、親睦を目的とするのは良いが、親睦はなんのためにあるか?

山岳会だったら当然、本番に向けての仲間意識の醸造のためにあるはずだ。が、会員からの提案、一切却下だとしたら、そもそも仲間とみなされていない。

結局、どういう風に誰と登るのが、もっとも安全か?ということを考えると、いまだに答えは、自分たちで登るほうが安全となってしまう・・・

色々な顔を思い浮かべても、例えば、明神主稜に連れて行けそうな人はいない・・・体力に不安があるか、行動を分かっていないだろうと思えるか、ビレイが不安だったり・・・対等のパートナーとしては無理がある。

仕方がないので、会の外の人と行くことになる・・・が岩場で聞くと、よその会も同じで、高齢化しておじいさんとおばあさんの会となってしまい、ハイキング(一般登山)しかしないから、アルパインや岩へは一緒に行く人がいないと良く聞く。 

結局、山岳会の低落が叫ばれてから、すでに20年以上がたっている・・・と言う現実は、こういう意味なのだと思う。

人は誰しも老いるので、老いて登れなくなることは普通だし、老いれば太り、太れば、クライミングには向かないのも普通だ。

アルパイン的な人材がいないのが山岳会衰退の原因だと嘆く割には、いてもアルパインクライミングは実現しないのだから、衰退の原因は、人材がいないことではなく、会員の総意がアルパインではなく、すっかり中高年登山になってしまったということなのだろう。

別に年齢相応の登山をするのはわるいことではないのだから、変にジタバタして、屏風岩でヘリに救助されるよりいいんじゃないか、と思う。

ただそういう人がアルパインについてきてしまうと困るんだな。


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