昨日は、ワイン用ブドウの収穫のお手伝いに行ってきました☆
小牧ヴィンヤードです。
小牧さんは山梨出身のソムリエさんで、長年帝国ホテルでシニアソムリエをされていたそうです。いつでも、楽しいワインのコメントをくださります。
いつも思うのですが、山のリーダーとソムリエには、高潔なお人柄という共通点があるかもしれません。
登山が直接的な自然の恵みとすれば、ワインは間接的な自然の恵み。登山の価値も、ワインの価値も、そこに人が介在しなければ、価値として成り立ちません。
が、人間中心の登山・・・たとえば、環境破壊を引き起こすゴルフ場開発、道路開発、山小屋、し尿問題など・・・は、人間が頭上にツバするものであるように、ワインのほうも、人間中心に楽をして、やろうとすると、必ずワインに現れる、そんなところも登山とワインは似ているようです。
山梨は、日本のワインをけん引する役割を負っている県ですが、実情は、外界の情報不足や、しがらみという、体制上の問題で、成長の限界が見え隠れしているということになっているようです。
豊かで恵まれた環境条件に、恵まれているにも関わらず、イマヒトツ地元での認知や盛り上がり感に欠ける。のは、どちらかというと、宝の持ち腐れ状況、というような現状です。
まぁ、そういういう状況は、ラッキーと言うべきか、県外者の目には明らかで、そういう場合、価値ある、楽しい集まりに集まる人というのも、なんとなく県外者が多いです。
昨日も、収穫のお手伝いに集まったのは、神奈川県の人に、神奈川県の人に、群馬県の人に・・・あれれ、みな県外者。
■ ワイン特区
酒税法の改正により、日本には、20のワイン特区が制定されたようです。(資料はこちら)
ワイン特区は、ニセコから、九州天草までありますが、山梨県は
北杜市
韮崎市
の2つ。大月の特区はワイン限定ではなく、野菜を含めたもののようで、東京という大消費圏に近いからかなぁ~と思います。
そもそも特区とは?と言いますと、法律が緩やかである、ということです。私はたまたま前の商社での仕事で、日本の農業(というよりアグリビジネスと言う言い方をして、アグリビジネスと農業は似て非なるものです)を学ぶ機会を得たのですが、日本の食糧計画という意味合いでは、日本の農業は、保護政策の対象にしないと、日本の国防自体が危ういかも・・・という国家的認識の上に立つものです。
後継者がいないのは、単純に食べていけないから、が第一義的、あとは、法律で新規参入が非常に難しいのです。一方、参入したとしても、日本の野菜生産量は過剰なので、価格が安く、生活が成立しないです。
一方、消費者の目線で見ると、農産物や食品の価格は先進国と比べて非常に高く、日本の”農”を巡る環境は矛盾を抱えています。
(余談ですが、先進国がどのように解決しているか
と言いますと、生活保障などの保護政策です。アメリカの米は日本の米より安いですが安い理由は、ソニーのラジオがアメリカのラジオより安かったのと同じように、採算度外視で価格を抑えているからです。)
と言いますと、生活保障などの保護政策です。アメリカの米は日本の米より安いですが安い理由は、ソニーのラジオがアメリカのラジオより安かったのと同じように、採算度外視で価格を抑えているからです。)
■ ワイン用のブドウ
さて、早速、ですが、山梨のワインの発展と言う未来をみますと、
ワイン用ブドウの安定的生産
が、現状の課題となっているそうです。ブドウ生産と言えば、勝沼が有名ですが、特区となっているのは、韮崎と北杜市。
近年は、温暖化により、旧来のブドウ産地、勝沼はヒートアイランド化が激しく、ワイン用ブドウに求められる糖度や、病害虫の被害の少なさ、育てやすさという点では、県の北部に軍配が上がるようです。
今回も、知人で勝沼でブドウをしている方が、小淵沢で収穫するブドウの糖度にびっくりされていました。なんと25度もあるのだそうです。(一般に22度以上必要だそうです)
というわけで、小淵沢へ。収穫は、私の好きなブドウの、メルロー。カベルネ・フランなど。
小さなヴィンヤードなので、その畑で捕れたブドウ全部を使って作るワインを目指しているそうです。
収穫に集まったのは、上記のような、知り合いのつてで、田舎の素晴らしさを知っている都会人多数。
■ 楽しい時間でした
収穫というのは、農業の中では比較的ラクで、素人にも取り付きやすい作業。何をすればいいか、見えていますもんね。
ただ、農業って、規模をまとめると、単調でツマラナイのです・・・。小さな規模の畑とはいえ、一人でコツコツやるとなると、寂しく、切なくなってくるかもしれないなぁ・・・。
私は明野に小さな畑を一時期借りていましたが、1年で手放しました。15分の作業のために1時間の運転をしていては、全然エコでないからです(^^;) それに小さな畑は、10×10mほどで年間5万円も賃料を払っていたので、普通においしい野菜を買う方が有益でした。
でも、とりあえず、野菜を作るのに、畝を立てたり、土を耕し、肥料を入れ、マルチングし・・・という作業の地味さは分かります(笑)。 すぐに成果が見える収穫は、喜びを体現する世界です。
それも、たくさんの人とやると楽しいです♪
ただ昨日は意外に風が強くて、寒かった。山用のウエアを着て行って良かったです。上着を脱ぐことなく、過ごしてしまいました。
■ 1本の木から1ワイン
収穫したブドウがほとんど干しブドウになっていたので、一体こんなカラカラのブドウから、どれくらいのワインが取れるのか、心配になってしまいました・・・。
その答えは・・・1本の木から1ボトル、だそうです。 商業的に成り立っているワイナリーは、2.5本くらい作れるそうです。
木が若かったりすると、そうそう人間に都合よく作るわけにもいかない。とりあえず、ワイン1本で一つの木としましょう。
■ 一家で年5万円のワイン消費
ちなみに、日本のワイン消費量は年々上がっています。(資料)
一人当たりワイン消費量は、2.3リットル。
私はアメリカに若いころ2年いたのですが、あちらの人たちはダース買いです。日本ではビールがそうなのでしょうかね?フランスは40~50リットル、アメリカでも9リットルも飲んでいるそうです。
私は、デイリーワイン派で、月に3~4本ワインを飲んでいます。となると、一か月4本のブドウの木が必要です。一年だと48本。約50本のブドウの木があれば、我が家のワイン需要は満たせる(笑)。
50本なら面倒みれそう(笑)。ワインは大体1000円以下のしか買っていない・・・スイマセン(^^;)
それは原価ではないのですが、とりあえず地頭力的計算式で、それで試算しますと、50本のワイン×1000円=5万円/年。
そんなにワインを買っていたとは驚きです!でも750ml/1000円として、日本の国民平均2.3リットルだと3000円強なので、平均の10倍以上の消費者です。
■ ワイン畑にしてどらくらい?
消費者としての感覚を離れ、生産する立場から考えると、年間5万円の労働対価で、50本のワインの木の面倒を見て、ワインに醸造するまでをやるとなると、労働の採算的にどうなのでしょう?
日本の貧困ラインは、150万円/年ですから、年収150万円を目標とすると、50本/5万円で割ると、1500本の木が必要になります。
1500本のブドウの木の面倒をみるのは、感覚的に言うと、そう大変そうでもないような?
小規模農家で、なんとかなりそうな量です。もちろん畑がまとまっている、などの条件が必要そうですが。大体ブドウの木は1ヘクタール当たり5,000から10,000本植えられるのだそうです。 1ヘクタールは大体10反ですから、3分の一として、3~4反が必要な土地面積。
逆を言えば、1000円/本で売るとすれば、1500本のワインが作れたら、ギリギリ貧困ラインは超える売上高と言うことです。(家飲みワインの相場は1500円以下)
もちろん、これは原価計算が入っていないですから、純収入でみると、もっと下がります(とはいえ、サラリーマンの年収も純収入とは言えず売上高に相当します)。
貧困ラインで考えず、収入300万円を目指すには、単純に倍すればよく、山梨県の平均年収450万円を目指すには、3倍すれば良く好都合です。
300万円売上コース
生産量で倍の3000本にするか、収量を1本あたり2本にあげる、価格で倍の2000円にする
450万円売上コース
生産量3倍4500本、価格で3000円とする。
日本のデイリーワイン価格が1500円とし、今後これが上がる傾向は経済動向からなさそうですから、1500円をターゲットに450万円を目指すと・・・1本の木で1本のワインとすれば9000本、
2本とすれば4500本のブドウの木が必要になりますね。
日本の生産では採算ラインに乗らないとされる、1本千円以下で買えるワインですが、その価格を実現しているのは、世界の経済格差ということになるのですが、2000年代に入り、日本の経済的優位性は後退しており、例えば、オーストラリアなど、一か月600ドルの賃料ではどこにも住むことができません。600ドルは週の賃料です。
海外を旅すると、日本の経済的地位の移り変わりが色濃く感じられます。日本が経済力No1であった時代はすでに30年前。
大学の時は10万円のパック旅行で一流ホテルに泊まれたのに、今では、場末のスプリングが沈むようなのにしか泊まれません(笑)。
余談ですが逆に海外からの観光客にとっては日本を目的地とした旅行は格安化しています。近年ではニセコがオーストラリア資本が進出したりしていて、ビックリです。世界の状況は激変中で知らぬは日本人ばかり、という状況です。
北杜市も、ニセコと似た事情の部分がありますね!日本の偉大なる自然景観は、日本人だけが独り占めしておくにはもったいない美しい自然ではないかと思います。
No comments:
Post a Comment