Friday, October 30, 2015

読了 『トラウマ後 成長と回復』

■ 滑落して自分への信頼を失ったこと

去年、岩の帰りに、なんでもないトラバースで、重いザックに体が引かれ、滑落した。

後ろ向きにコケ、後ろ向きのでんぐり返しを、45度くらいの傾斜のある斜面で2回転半くらいした。

幸い、木の切り株に引っかかって止まった。衝撃で側頭部をしこたま、その切株にぶつけた。

木の切り株でラッキーで、もしそれが岩だったら、頭をかち割ってしまって即死だったかもしれない。

でんぐり返しをしている時は、あまりに予想外だったので、びっくりしていた。

身体が柔軟なので、怪我は、どこもなかった。

それより、あまりにあっけなく、自分の体が、ザックの重さに引っ張られて、慣性の法則に従うのに驚いた。

その道は、さして難しくないトラバース。左側は45度くらいに切れ落ちているが、そんな道は、普通だ。岩の帰りなので、一般道ではないが、それでも難路というわけではない。同行者によると8mくらい落ちたそうだ。

頭は1週間は痛みが続き、レントゲンを撮ってもらったが異常はなかった。

■ トラウマ

その後、普通の一般道でも、歩き方が過度に慎重になった。

飛び石で歩けない。

ザックを背負った徒渉での飛び石は特にダメになった。

クライミングは3級、4級でも怖くなった。

当時は、本チャン向けクライミング練習に通っており、これで怖がり癖を付けてはいけないと自分に言い聞かせて、無理に岩に向かった。

ところが、やっぱり無意識でも、腰が引けているのだろう・・・ 登れないし、タノシクナイ。

下山道で走ろうとすると、打った頭に響いて走れない・・・

今思えば、この滑落は、トラウマだった・・・。

トラウマ化しないように、と思って岩に通ったけれど、逆効果だった。

■ 原因

 ・直接は、ザックが重すぎた

 ・したがって、腹筋力、コアが足りていなかった

 ・疲れがたまっている状態で岩に行った (6月の山行は12山行!だった)

ザックは重いと言っても、ロープがプラスになったくらいで、カムを背負っているわけではないので、一般の岩装備だ。

12~13kg位と思う。それで、ザックは後ろに引っ張られても、普通はしりもちをつく程度で、済んでしまう・・・のに、でんぐり返し2回転半・・・

まるで子供が頭が重くて落ちるような感じだった。

大学山岳部などでは、重いザックを背負う山を最初にやらせる。それは、こうした滑落を防ぐためなのだ、と思った

しりもちをついても、問題がないような斜面で、限界ぎりぎりくらいの重さを担いで、山に登る経験が必要だ。

■ トラウマを克服するにはどうしたらいいのか?

トラウマを克服するには一体どうしたらよいのか?

そう思って、手に取った本が、この本だ。

この本によると、トラウマ経験は、その経験があったからこそ、現在の自分がある、と考え、

 ネガティブな経験 → ポジティブな経験

に書き換えるのが必要なのだそうだ。(壊れた花瓶の理論)

一旦怖くなった岩の経験をどうやって、ポジティブな経験に塗り替えるのだろう???

私はよく分からなかったので、結局、冬季に入り、あまり岩をしなくなって、アイスに向かったので、岩のことは、しばらく忘れることになった。

でも、アイスをしても、二点支持が身についていたら、もっと良かったのに・・・と皆に言われる。

フリークライミングの基本が身に着いたら、もっと良いのに・・・と言う意味だ。

自分でも、そう思うけれども、フリーの基本のために、ジムに通うという気持ちに、なかなかなれない上、ジム仲間をいないので、そのままになってしまった。

■ 棚上げ課題

・・・という事情で、クライミング力をあげる、という課題は、ずっと棚上げだった。

今、私がつまづいている点は、

 ・トップロープで登れる課題と、リードできる課題の差が大きい

ことだ。 

クライミング力をどうしたらあげられるんですか?という問いに、

トップロープでガンガン登る

という答えをくれる人は多い・・・でも、岩を前にして、まったくムーブが浮かばない・・・それでは時間の無駄だ。 

そういう状態だったので、今は、しっかり取り組むというより、色々な岩に触れて、岩の種類や体験的な経験を持つ、と言うことを主眼にしていた。

楽しさ重視、というわけだ。それで、なんだか、やっとトラウマが薄れてきたような気がしていた。

沢でのクライミングは、楽に感じた。そうこうしているうちに、四級主体の岩場で、登ったら、面白かったというのが意外だった。

今夏経験した明神主稜程度の、本チャンでの岩は、縦走路の岩場が、危険とむずかしさの度合いを増したもので、フリーの岩とは質的に全く違い、フリーのように、岩に登っていて怖い、という想いは全く湧かない。

■ 滑落して良かったこと?

あの滑落は、何が良かったのだろうか・・・?

歩きの重視か?歩荷力の重視か?

クライミングギアは重い。でも冬山で雪の上を歩くときよりは軽いかもしれない。

一般道で重いザックを背負って歩くのは平気なのに、クライミングギアを入れて、岩場に取り付くほうが難しく感じるのはなぜだろう???

ともかくトラバースでは、慎重になった。 

自分が担げる歩荷力は、控えめに見積もるようになった。

成長は止まったまま・・・ これではいけない・・・一体どうやって、今後成長して行けばよいのだろうか?

と悩んでいたが、最近、リードを経験して、確実性を求めるように登ろうという方向性が見えた。

クライミングも登山も、確実性を犠牲にしてはいけないのかもしれない。


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滑落は防げるか?





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