南アルプスは、山梨に住んでいるのだから、地元の山を味わいたい私のテーマに沿う。
しかし、玄人チックな山が深南部だ。
登山界全体で見た場合、南アルプスは北アと比べ、営業小屋が少なく、また訪れる人の総量も少なく、山体も大きく、したがって、山のステップアップとしては、あとの方に位置する山だ。つまり、超ド級の初心者の行く山ではない。
北ア vs 南ア
人多い 人少ない
小屋多い 小屋少ない
山体手頃 山体大きい
岩稜・展望 森林・展望
隔絶度低い 隔絶度高い
山の味わいとしても、岩稜帯が主たる魅力である北アと比べ、森林限界が山頂付近まである南アは、ある意味、派手さに欠け、日本の自然の細やかさを味わえない人にはあまり人気がない。
しかし、山体の大きさと隔絶度の高さは、健脚向けだ。したがって、ベテランぽい山だ。長時間歩く体力(=健脚)が必要なことから、若い人向けだが、行程の長さは、そのまま行程管理のシビアさ、つまり・・・ちょっと予定外のことが起きただけで、もうワンビバーク必要になるかもしれない・・・、ということで、山のリスク管理能力が必要になる・・・ので、ベテラン向きだ。
したがって、相矛盾する。リスク管理に熟達し、体力は十分なくてはならない。一方、クライミング的なシビアさは必要がない。
リスク管理についても、一歩間違えば奈落の底、とか、ワンビバークでマイナス25度、凍傷になる、というリスクではなく、まぁお腹が減ってしまって歩けないとか、道迷いというリスクだ。ただし、そうなってしまった場合、携帯電波は届かないので、ちゃんと自力で降りてくる根性がすでに備わっている必要がある山域とは言える。
・・・ということで、山のリスク管理能力が磨かれるので、山ヤ教育にも向いている。山岳部の学生であれば、岩登りなどの派手な山へ進む前に、こうしたエリアできっちり山のリスクとは何かをしっかり体得すべきと思う。
そういう山が深南部なわけだが、今回は、その深南部デビューだった。
■ 大根沢山&大無間&小無間山
大根沢山は、”おおねさわやま”と読むのだが、漢字変換の都合上、”だいこんたくさん”と打ち込むと都合が良い(笑)。
その大根沢山は、光岳からの縦走路のさらに南に位置する、マイナーなピークだ。大無間山、小無間山に関しては縦走路から逸れるため、さらにマイナーな山で、100名山や”みんなが行くから山に行きたい”というブーム便乗型登山をしている人には、あまり魅力を感じない山だろう。
この山域は、永野敏夫さんが有名で、『南アルプス深南部』などのガイドブックを出している。このコース自体の記録は掲載されていないが、大根沢山北東尾根や、小無間山北東尾根は出ていたと思う。
無間は、眉間(みけん) → むげん、となった地名のようだ。
■ 初級地図読みの山
その間は一般縦走路だ。
この山行は、そうした地図読みと一般縦走路のミックスで構成されており、その構成は、ツルネ東稜~権現~川俣尾根と同じだった。
つまり、地図読みは初級向け、体力度も易し目に設定され、核心部は尾根の下りと言うことだ。
下調べでは、累積標高約2000m、距離20kmだったが、実際は、GPSログによると、32kmほどだったようだ。下調べでは大変だったと言う記述が多かったが、それは高齢のためのようで、体力度としては、さほど大変な山ではない。行動時間も最大10時間程度に抑えてあり、山の規模としては、山岳会で行く山としては、もっとも一般的体力度に抑えてあった。一般縦走路も混ぜてあるため、控えめな計画と言える。
今回は、素晴らしい天候に恵まれ、紅葉や展望が素晴らしく、地図読みも、要所要所を見極めればよく、バランスの良い山だった。
踏み跡程度はありそう、という予想以上にテープが整備されていたので、歩く人は記録が上がっている以上にいるようだ。
展望の眼下は大抵ナギ |
ただし、尾根の末端は、送電線の巡視路があるが、下りでは見つけにくい。この尾根は樹林が大変美しく、おそらく登りで使うと楽勝だと思われる。
紅葉が良い |
■コースタイム
1日目
スタート7:00
田代沢の頭 11:00
大根沢山 12:30
アザミ沢の頭 14:00
幕営地 14:40
※ 北東尾根登り 約5・5時間
2日目
幕営地 5:40
三方峰 7:30
大無間山頂9:13
中無間 10:20
唐松谷の頭 10:50
小無間山頂 11:30
鉄塔 13:30
下降点 16:00
※ 北東尾根下り 約4時間
■参考になる記録
http://e-hutte.net/yuujima/yujima27/
http://www.geocities.jp/hiroaki_kawaji/oonesawayama/oonesawayama.html
お天気、大快晴! |
遠く伊那方面まで見渡せる |
ところどころの崩落地では、大展望が期待できる |
小無間山北東尾根はゴキゲンな森だ |
小無間山北東尾根で見つけた 通信機器の一部? |
こちらは同行者の記録。