Sunday, October 11, 2015

経験から何を学んだか? ・・・山岳会を考える その13

加湿器ゲット
今日はとてものんびりした良い日だった。夫と甲府を散策し、寺崎コーヒーでまったりコーヒーの本を読んだ。

空気が乾燥して非常につらいので、何とかならないかと思っていたら、無印で超音波のアロマ・ディフューザーが安くなっていた。

空気が乾燥していると岩はフリクションが良くなると言われていて、秋は岩に良い季節だ。もちろん、山の上のほうの岩はもう雪が付いてしまっているので、近郊の岩場のシーズンインだ。

■ 勇気をもらった出会い

さて、山岳会での庇護を捨て、個人でやっていく選択肢を選んだわけだが・・・それには、ある出会いが背中を押している。

フリークライマーのモウアラさんとの出会いだ。

誰かが頑張っているのを見て、「自分も頑張らねば!」と思ったら、それは、その人のように自分もするべきだ、という意味だ

彼女の記録を見ていると、ゆとりが多いことに気が付く。それは自分でリードするが基本だからだ。

私も行ったことがあるルートで考えると、屋根岩2峰があるが、岩に対する記憶が格段に多い。つまり私よりもゆとりがあるということだ。

自分も頑張ろうと思える人というのは、つまり、憧れの対象ということだ。

ということは、彼女のスタイルは、私が憧れるクライミングスタイル、という意味だ。

彼女は、現時点で、凄く登れるわけではない。でも、一切ズルがない。 

クライミングは個人的な戦いだ。岩と自分との対話。それは山と自分との対話と同じ。

■ ビレイヤー問題

フリーでやっている人は、会には所属しない人が多い。それはフリーの場合、支点が整備されているので、昔ながらの知恵などの重要性が低いことによる。

ぶっちゃけ、ケミカルボルトなら、ビレイヤーなんて誰でも良い。

ところが、私がいた会では、ケミカルなら誰でもよいような条件下でのビレイも任せられない人しかいなかった・・・。つまり、ビレイヤーとしては、その辺のあんちゃんより下だった(ーー;)。

これは、どういう機序でそうなってしまうのか?というと・・・ 以下のように考えられる。

アルパインでは、フリーと違って、決して落ちられない。したがって、落ちないようなルートにしか行かない。特に後輩のビレイが不確実な状態では、不可抗力の事故以外は絶対に落ちない、歩けるようなところしか行かない。

落ちないところしか行かない結果、ビレイは経験が積めない。したがってビレイがマスターできない。その上重要性も認識できず、ただロープを持っているだけになってしまう。

という訳で、落ちること前提のフリークライミングでも、アルパインと同じビレイをしてしまう。

・・・というのが、おそらく事情だろうと思われる。

 ・落ちたらグランド必至のだらりんビレイ
 ・リードのビレイで引っ張り落とす

など、普通はフリーの人が初心者で口うるさく言われることを言われないまま、つまり、初歩の初歩で躓いたまま、経年してしまう・・・ということになる。(と、好意的に解釈している。)

実際、私は人工壁にクライミング練習で、リード練習しようとし、引っ張り落とされそうになった(汗)。ルートでは、登り出す前ではなく、登り終わってから、ザックからロープを出していた・・・(汗)。

というわけで、会内ではフリーを上達するためのビレイヤーが見つけられなかった。

■ ポジティブバイアス + 不信条件 = 我慢しない

最近読んだ心理学の本によると、人間は、そもそも信頼で始めるそうだ。ポジティブバイアスが人間の基本。

そうすると、信頼が裏切られる、という経験を作ることになる。

これは心理学的には、不信条件という条件付けを与えられたことになるそうだ。

不信条件(当てにならない)という条件下での判断は、平たく言えば、”もう我慢しない”である。

我慢というものは、基本的に未来への期待によって支えられているのである。

将来良いビレイヤーになってくれるという期待があるから、今現在の下手なビレイというリスクを受け入れるわけだ。

山岳会の場合は例えば、将来、北岳バットレス四尾根に行けるという期待が、今危険なビレイを甘んじて受け入れるとか、会の面倒な雑務を引き受けるとかなどの、コストを負う(=我慢)、動機となるわけだ。

振り返ってみると、パートナーがいない、山行もないということは、その会の中での、未来への期待が持てないと言うことを意味した。

だから、やめることが自然な成り行きとなったのだろう・・・と今日は納得した。

■ 不信は抑制を外す

したがって、私が退会した理由は、再三、不信が重なったから、だ。

落ちれるビレイをしてくれる人が会内に先輩以外に見つからなかった。

忍耐が足りないと言われそうだが、私はすでに引っ張り落とされそうになった分を含め、3回、危ない橋を渡った。3回は私には十分な我慢と思えた。

もしそれ以上、私が自分の命を粗末に扱うと、私自身も他の人の命を粗末に扱うリスクが出てくる。

人間は自分が我慢したんだから、相手も我慢してくれる、と思うのが普通だからだ。

例えば、落ちてしまう確率が、たったの5%だったとする。5%が3回重なると、確率はどうなるか?

5%×5%×5%=1.25%となるのではない。5%+5%+5%=15%なのだ。この辺は誤解が多いと思われる。

この辺がアルパインでリスク受容が楽観的で結果として遭難が減らない原因なのではないか?と思うのだが、どうなのだろうか。

■ ビレイヤー

私の主たる問題は、今現在はクライミング力をあげること。

クライミング力をあげるには、ビレイヤーが必要だ。ところが、ビレイが信頼できる相手がいない。

いわゆる”パートナー”となると、今度は事が大げさになりすぎる。

フリーで落ちれる程度の信頼関係が結べる相手は、”パートナー”という言葉が連想させるほど、特殊な存在ではない。フリーを一応知っている人なら、だれでもOKなわけだからだ。

”パートナー”という関係性は、ただちに、”独占”を連結してしまう人が多く、特に男性に多いような気がするのは、気のせいという訳ではないと思う。

というわけで、目下のところ、ビレイヤー問題がネックだ。

■ 対策

対策は3つ・・・

 1)ボルダリングでお茶を濁す
 2)夫にビレイヤーをお願いする(現在説得中)
 3)新人を育てる
 4)ソロクライミング

最低でも、週に1回はボルダリングジムに通う必要があるなーと感じている。週一で外岩に行けたら御の字。

結局、私は難しい道(自分の力で登る)の方を選ぶことにしたのだから、その分たくさんの下積みが必要だ。

安全を考えると、これは山岳会に属していてもいなくても同じで、誰でも11辺りまでは、つまり危なっかしさが無くなるまでは、どちらにせよ支払わないといけないことだ。

私はのんびりと鈍行列車で行くつもりだったのが、そんな悠長は行っていられず、特急列車で行かなくてはならなくなったが・・・。

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3 comments:

  1. どうも、初めてレスポンスします。
    当会への批判記事の掲載、ご苦労様です。
    先日、貴女の退会後最初の例会があったのですが、天敵がいなくなった会員のビッグマウスが2倍くらいになってしまった。やれやれ。(匿名)

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  2. 落ちる確率が5%の試行を3回行って落ちる確率は

     1-0.95^3=約14%

    と計算するのです.

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    1. ご指摘ありがとうございます。大雑把ですみません。

      趣旨を念のために言いますと、これは”ロシアンルーレットの空砲が一つ減っただけの状態”を分かってもらうために書いているもので、死ぬ確率が徐々に高まっている、ということを指摘したいという趣旨です。

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