Monday, December 29, 2014

あぶないクライマーとは?

■あぶないクライマーとは?

『岳人備忘録』は46人の”岳人”のインタビューで成り立っており、『ビヨンドリスク』の日本版と言われています。

その『岳人備忘録』から、「”危ない”クライマー(登山者)とは?」というインタビュー項目だけを引用します。

以下引用。

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山野井泰史
山にいて山が見えない人。山を理解できない人。危険なことやっていても、危険を認識できない人。クライマーとしては致命的です。

尾形好雄 
己を知らない人。実戦経験が少なく、知識かぶれの人は危ないですね。

遠藤由加
危ない人、多すぎるからなぁ。クライミングや山が好きと言うより、登ったという実績や結果だけを欲しがる、そういう純粋じゃない人って、とてもあぶない。過程を無視する、無理をする、実力に合わないルートに行きたがるっていう意味で。あと、どんどん進化している新らしい技術や知識を吸収しようとしない人も多い。

大木哲
身の丈をわきまえない人。人に連れられていくだけだと自分を顧みないし、山も見ないから上手にならない。小さな山でいいから、自分で計画して登ってみるといい。積み重ねることの大切さを知ってほしい。

山田哲哉
自然とは何をしでかすかわからないからシステム化できないし、ルールもつくれないということを理解して、山の事象の全部に想像をめぐらせていかないとだめなんじゃないかな。山の状況が悪いときって、ぼくらがどうあがいたって所詮まともに相手できるものではないのに、「いや、オレはこれを持っているから大丈夫」とか。でも、ビーコンがあれば必ず助かるものではない。あれとこれをやったから、短絡的にもう次はこれをやってもいいだろうというのではなく、自分のトータルな力をもう少し冷静に見ることも必要でしょう。

若林岩雄
危ないことを知らない、というか無頓着な登山者。自分の都合だけで状況を判断してしまう人。

加藤慶信
何の根拠もなく自分にはリスクが降りかかってこないと思っている人。

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■ 安全な計画 危ないの反対は、ゆとりのある計画、控えめな計画

危ないを考えたのは、その反対の、”安全”とは何か?を思考するためです。

登山においては計画から、”安全”が始まります。

自立した登山者は、”安全”な計画を立てなくてはなりません。その場合、安全な計画とは何か?

それは、

・ゆとりのマージンが大きい計画

つまり、

・失敗しても挽回可能な計画

です。

例えば、4時間登りにかかる山に、8時に里で集合だと、その計画は、自動的に山頂を目指していないことになります。事前情報で4時間かかると分かっているからです。

8時に集合してから、登山口まで、例えば小1時間かかるとして、9時出発だと、4時間をプラスすれば、13時になってしまい、それではギリギリになるからです。

下りには登り程の時間がかからないのが普通ですが、そうと分かっている相手なら大丈夫ですが、
初対面だと登りも下りも、コースタイムより余計に時間がかかる可能性もあります。

そういう風に考えると

1)9時登山口出発のプラン →ゆとりの無いプラン

2)8時登山口出発のプラン →ふうつのプラン

3)7時登山口出発のプラン →ゆとりのあるプラン

4)10時登山口出発のプラン → 議論の多いプラン(コントロバーシャルなプラン)

となります。4)を議論の多いプランとしたのは、足が揃っていれば可能だからです。私もコースタイムより早く歩けたりしますので、余裕があることが多く、例えば一度行ったことがある山で、自分のタイムを分かっていれば、というような、条件付きでOKプランとなります。しかし、基本はやはり、控えめな計画にしないといけません。予備が必要です。

私はそのようにゆとりがあるプランのことを ”保守的なプラン”という風に呼んでいました。

しかし、師匠によると”保守的”という言葉は、あまり正確に意図を伝えていないのではないか?ということでした。

私が保守的、という言葉を使ったのは、英語的にコンサバティブというと、ネガティブな意味がなく、控えめ、という意味合いがあるからです。しかし、より正確には

・ゆとりが多い
・控えめ
・安全マージンが多い

というような計画が登山では重要だと思っています。

特に
・後戻り可能(退路を断たない)
・失敗した場合の保険がある
・不確定要因が少ない

です。

例えば、

・まったく登山道が無い未知の道はピストンを基本とする
・下山は一般道を使う

原則的には

・ゆとりがあること
・冗長性があること
・フェイルセーフがあること

を重要視しています。 自分の力が10だとすると、8の力で計画する。それを普通は一体どういう言葉で表しているのかなぁ・・・

山は早立ち早着き

と良く言いますが・・・ 危険な登山者、というのは、こうしたゆとりがない計画をする登山者ではないか?と思うのですが・・・

参考
三浦雄一郎さん
河野千鶴子さん


2 comments:

  1. いつも以上に素晴らしい記事ですね。有難うございます。自分が危険な登山者に該当することが よく分かりました♪フェイルセーフはあるつもりやし、新しい技術はチェックしてるつもりやけど、他は全て「あ、これ、オレのことやーん」てな感じです。

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    1. Damienさん、危険な登山者に入るんですか?  私は今年、色々な人と登って、ダメなパートナーと言うのは、相手の命を軽んじて、当然だと思っているクライマーだと確信しました。

      私が支点技術を重要視するのは、相手の命を重要視するからです。 始点や技術を軽視する人は相手を必要のないリスクに陥れます・・・ロープが出ない山でも、無理な計画、強気の計画の人はそうです。 一緒にいる方が、単独より、アブナイ相手です。 そういう人とは山を歩けないな~と思いました。

      一緒にいくほうがひとりで行くより危険なら、一緒に行かない方がいいです・・・。

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