Monday, November 2, 2015

初めて5.9をオンサイトした日のこと

今日は、朝から、どんよりと曇っている。本当は悪天候は昨日のはずだった。

山や、クライミング、大事なイベントがある時に、天気予報が良いほうに外れると、それはまるで、その大事な用事が、歓迎されているように感じる。

手の甲がテーピングなしでジャミングしたせいで、切り傷だらけだ。クラックを登ろう!と思って岩場へいくと、テーピングをしてから行くけれど、ちょっとだけ出てきたときはテーピングしない。

秋は、とても乾燥しているので、クライミングには良い季節なのだが、何しろ喉が渇く。水をたくさん飲む必要があるということが分かった。

■ 成長速度 1年1グレード?

クライミングは、ゆっくり上達中だ。今回は、上達を感じるクライミングだった。

クライミングって本当に、精読というか、思ったような成長速度は得られないものだと思う。

登山で培った期待値とは、成長する速度が全く違うのだ。登山なら、本人が勉強熱心でヤル気があれば、一年あれば、お登りさん登山者(何も知らない)から、山岳会の新人レベル(雪の赤岳で状態が良い時に、標準コースタイムで登れる)になることができる、と思う。

でも、クライミングは、そう簡単に、標準的クライマーにさえなれない。着実性も違う。

今回は、オンサイトがテーマだったのかなぁ・・・。初見リードを3つもした(薫風、地蔵、一般ルート中央)。

初見で登る、っていうのは、精神的なもの、だから、とても意味があるかもしれない。

■ ヨセミテビッグウォールの写真会

土曜の夜は、若いころヨセミテのビッグウォールに登った人が写真の上映会をしてくれた。

私は一般的に言って、山のベテランを尊敬している。

”一般的に言って”と断わりを付けたのは、ニセモノも多いからだ。「自分の昔の山を自慢する人はダメだ」と、私の尊敬する山のベテランでさえも言っていた。

本チャンにバンバン行っていたと豪語する人が、山では地形を見ないで、GPSに誘導される登山をしていた・・・(汗)。ニセモノだ。

山を分かっていないサインは、標高自慢と数自慢、それに体力自慢だ。ついでにグレード自慢も追加しておく。

私はまだ、岩が出るような山を始めて丸1年なので、岩のカルチャー自体が、まだ新参者の域を出ない。大概の新人さんと言うものはそういうもので、そういう人は、やっぱり色々と昔からやっている人の話を聞いたり、カルチャーに触れたりするだけで、とても勉強になるものだ。

つまり、考え方やカルチャーを学ぶ。

ヨセミテの写真は、まるで小川山の岩のようにも見えて、キャンプ4の写真は、「あ、小川山だ!」と思わず言ってしまったほど(笑)。

岩の質が似ているから、小川山が日本のヨセミテ、なんて言われるのだと思った。

私は、海外旅行に行くことがあれば、せっかくだから海外の岩場にも行きたいな~と、一時岩場を検討したことがあり、海外の岩場情報をどうやって集めるのか?というのは、経験が役立つだと思っている。今はネットで検索できるが、それができなかった昔は、色々と情報を得るのが大変だったのではないかなーと思った。

もうひとりのゲストは、若きクライマー。すごく登れる人だ。5.13登っている。クライミング力があると、初めて行く岩場も楽しく登れるんだろうな~と、羨ましい。

彼は、すでにヨセミテに行ったことがある人だったので、私が聞けないような話で、盛り上がっていた。Iさんのほうも、嬉しそうにしていて、ちょっとホッとした。

私自身は、すごいクライマーになる予定はないが、コミュニケーションの結束点としては、私は優れている人ではないか?と自分でも思う。昔から、目利きだったからだ。

■ ビッグウォール

ビッグウォールは、ポーターレッジという空中テントに泊まるし、壁の中で2泊とかする・・・すごいクライミングというイメージだ。

私には考えられないクライミングだが、エイドで登る、という様式を考えると、フリーの高難度を考えるよりは、可能性はあるかもしれない(笑)。ただし、高さが怖い人には、そもそもダメだ。

ヨセミテは、登山者として一度再訪したいなーと思っている。ジョン・ミューアトレイルを歩くついでに、クライミングも出来たらいいな、程度で、クライミングスクールに行けたらいい程度だが、文化に触れてみる、というのは、どういう登山者にも大事なのではないかと思う。

山梨ワインのキザンの1.5リットルもある大きなワインを開けて、楽しく会話が弾み、気が付いたら、11時半・・・そろそろお暇を・・・というゲストを玄関口で引きとめて、12時、明日があるというのに・・・楽しい夜はお名残惜しく更けていった。

山好きの人と山談義をするのは、いつでも歓迎だ。

■ 自立ライン

せめて、5.9が確実にリードでき、5.10Aくらいが、どんな課題でも登れるくらいの登攀力があると、とりつける課題の数も一気に増えるし、どこの岩場へ行っても、楽しめると思う。

その辺が今の目標レベル。その登攀力が自立ラインだ。

どこかのガイドさんは、イレブンまで登れないと、ロープワークは教えない、という方針だそうだが、それは、人工壁ではそれくらい登り込んでいないと、岩に取り付くときに、自分が登れるのかどうかの判断ができないから・・・ではないだろうか???

岩に連れていってくれる人がいれば、人工壁11を頑張る必要はない。もちろん、誰も一緒に行く人がいない段階ではそうするしかないのだが、運よく連れて行ってくれる人がいるのであれば、むしろ、積極的に自然の岩に一杯触って、岩の性質をよく知るほうが良いだろうと思う。

無論、連れて行ってもらう際に、いつかはリードして自立するのが目的だ、ということを分かっていないと困る

だから、今回は、初めて5.9がリードでき、しかも、それがオンサイトだったのが一番大きな収穫だった。

これをまぐれにしないためには、どうしたらいいのだろうか? 

TRで登れた5.10Bは、完全にまぐれグレードになってしまっているし、岩もアイスも登れたところが登れなくなったりするのは、本当に不思議だ。

■ Day1 某ゲレンデクライミング 5.9オンサイト

せっかく遠方から来てもらうので、いつも1泊2日のクライミングになるのだが、今回は、ベースが甲府の我が家だということで、甲府近郊の岩場。

土曜日は、近所のゲレンデに行った。

ここは比較的新しい岩場で、2006年に開拓されているのだが、山火事が起きたために自粛となっている。

私は3度目。

1回目は、他のパーティに混ぜてもらい、連れてきてもらった。

2度目は、自分の会のパートナー候補者を連れて来て登った。

3度目の今回は、ベテランと来て、案内役。

1)まずはエリア全体を把握する。

2)大きく分けて、二つのエリアがあるのだが、私がいったことがないほうは、どの課題がどのルート名なのか、岩を見てもイマヒトツよく分からなかった。

それで、結局、私が分かるほうの岩に移動した。

易しい課題でアップ。私は、初めて、この岩場でオンサイトができた。しかも、小川山でもまだリードしたことのない5.9. 

続けて5.10Aもリードを頑張ったが、最後の1ピッチができず、オンサイトならず・・・。Iさんが登ってみてくれ、ムーブを教えてもらったら、できた。

・・・ということは、やっぱりムーブの引き出しが少ないことが課題なのかもしれない。

 ・5.9オンサイト
 ・トポは分かりにくいと不評
 ・前に登れなかった10.Cの被った所は、ジャミングで手の甲が痛い・・・TRで登れた。
 ・2015年4月19日 一回目の記録
 ・2015年5月5日 2回目の記録 その1

■ Day2 三つ峠 (ゲレンデ)
混雑中・・・

地蔵ルート 
翌、二日目は、三つ峠へ。 非常に混んでいて、大学山岳部と都岳連の岩講習が入っていた。

シマッタ・・・と思った。こういうことなら、別の岩場に行けば良かった・・・と後悔した。

私も講習会に参加する立場だから、講習会に出るような人には好感を持っている。

けれど、講習会や山岳部の訓練が場所を占領してしまうのは、ちょっと迷惑・・・

とはいえ、人数が多すぎて、向こうも責任の所在があいまいだから、譲る、ということもない。

そうなったら、岩場をさっさと変えるに限る・・・なにしろ、上で登る順番待ちで、1時間も待ち、さらに、懸垂支点が開くのに1時間も待ったことがある。

あの時は、寒かったしお腹もすいてくるし、うーん・・・ちょっとこれは・・と思ってしまった。

とはいえ、三つ峠通いは、6回目になった。混んでいたので、6ピッチしか登れなかった(残念)。

 ・三つ峠 各回の記録(一回目2回目3回目4回目5回目


■ 朝一リード

アップに良い、一般ルートが激混みなので、屏風岩右をたどっていく。右のほうがやや空いていた。

「地蔵は登ったことある?」とベテランが聞くので、「ない」というと、「リードしてみたら?」のお達し。

朝一リードは、初めてだ・・・。でも、誰かを連れて行くことになったら、自分が朝一でリードしないといけない立場になるんだな~。

実はまだ、自分がどれくらいのところをリードしていいのかよく分からない。

地蔵はⅤ級-だ。デシマルに換算すると、5.6。だから易しいはずなのだが、とても、そうは見えない・・・。

三つ峠では、いつもⅢ級、Ⅳ級で始める。でも、ベテランはできないことは薦めないはずだし・・・と気を取り直して、リードに取り付く。

朝一は怖い。地蔵ルートは左右あるが、易しいほうの左をリードした。一部Aゼロ。心理的な負担だ。

でも、アルパインの岩場では、今の実力では、という限定つきで、なりふりは、どうでもいいと思った。

もちろん、本来はハーケンを打ちながら前進するのだから、確実にリードできないといけない。

しかし、初心者だから見栄はない(笑)し、実力の余力がすごく少ないのだと思う。

なんというか、自分で自分の実力を客観視することが難しい。まだ私は登りが固いと言われているし、確実に落ちない人になっていない。平たく言うと、クライミングが板についていない、のだ。

朝から落ちて、一日を台無しにするよりはいいと思って、この日はこれで良いとした。

■ フリクションは面白さの要諦

実は、途中で靴を変えた。 アルパイン用のシューズ、岩に乗ってみたらフリクションが信じられなかった。

クライミングが好きな人が、沢を楽しいと感じないのは、フリクションが信じられないから、かもしれないなあ・・・

フリクションが信じられないっていうのは、要するに、登れると思ったのに登れない、と言うことを意味するのだから、楽しいはずがない。
屏風岩 高度感はこんな感じ

私も今年の夏、一度、滝で落ちた。赤茶色にぬめっている沢に、ラバーソールを履いて行ってしまって、普通に平坦な所でも滑るのだった。

それで滝で8mも落ちたのだが、自分のクライミング力のせいではなく、滑りやすい靴のせいだった。8m落ちても無傷。

そのような状況の、ものすごく、マイルドな形式が、フリクションが今一つになったスパイアなのかもしれない。小川山では問題なく履けていた靴が、信用する気になれなかった。

クライミングは、靴で登り方がとても違う。普通の登山道で、底の柔らかい地下足袋で歩くのと、底の堅い冬靴で歩くのではとても違う。

その違いと似た違いがクライミングシューズと登山靴の間にあり、さらにダウントウしたシューズとそうでないシューズの間にある。

一般に素足に近い、柔らかいシューズは設置面積が大きくないとダメ。堅い靴は小さいスタンスにも乗れる。

■ 岳ルート

昼ご飯を食べ、混雑を避けるようにベテランを説得して、岳ルートへ。

岳ルートは、中央カンテの隣にあり、前に相方と来た時に、ついそっちに引きづり込まれそうになったことがある。
岳ルート 上の方がルーファイが難しい

こういう風に上からは見える ビレイ中は寒い
途中で中央カンテとクロスする。4ピッチのルートだ。5.10Aくらいのルートのはずで、私にとってはシビアでも、ベテランにとってはそうでもないハズなんだか、三つ峠のほうが同じグレードでも、難しく感じた。岩の質によるのだろうか?

それに、やっぱり岩場はルートの見極めがとても難しい

三つ峠は、どこにでも支点が打ってあって、特にそうだ。大丈夫だと思っても、うっかり難しいほうのルートに入ってしまうかもしれない・・・。

中央カンテも何回行っても、これで合ってるのかなと思うし・・・。

今回は、フリーの岩場では、感触が良かったのに、アルパインのゲレンデの三つ峠は、とても難しく感じた。

三つ峠は一回目に来た時は、あまり不安を感じることなく登り、2度目から案内役としてリードしているのに・・・だ。どうしてなのだろう?

フリーのゲレンデと比べて、段々や凸凹が多くて、立ちこみやステミングは、とてもやりやすそうなのに・・・。ここは登山靴で登る人たちがいるほどなのだ。

セカンドの時は登山靴で登る練習をしたらいいのかもしれない。

都岳連の講習生の人が二人いて、2回目から人を連れて来ているというと、ビックリしていた。初めて、連れて行ってもらった時、でも、私は全然怖くなかった。

今は怖い。初めての頃は、墜落=経験なし、ロープワーク=理解イマイチ、という状態で、何しろ無知だったから、何も怖くなかったのだろう。

滝だって、2級のをいきなり初心者で登っている。今だったら、ないなーと思うかもしれない。

そういう意味で、無知な間についた自信は、本当の自信ではないのかもしれないなぁ・・・と思う。

そんなこんなで、今回は、充実した二日間だった。

富士山はうっすらだった・・・ 




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