Tuesday, November 24, 2015

確実さを求めること

■ 墜落を止めてもらう経験を積む

私はクライミングに関しては、死と直結するので、例えば、ノットが曖昧とか、不確実なまま進むのが、嫌だな~という感覚があった。

ビレイは特に・・・だ。 落ちるというより、墜落しても止めてもらえるという確信が必要だ。

相手が、わたしをきちんとビレイできるかどうか、分からないままに進むのは不確実性を含んでおり、一か八かの一種だと思う。

それは、初心者同志はお互い様。

なので、互いをビレイし合い、落ちる経験を積めば、相手が確実にビレイしてくれるかどうか分かる。


わざとだ、と分かるのは、そんなところで落ちるようなクライマーではないからだ。

わざと落ちる=パートナー候補。候補生でない人と結び合っている時に落ちて余計なリスクをしょい込んでも仕方ない。

先輩が自分のビレイで落ちたら光栄と心すべし。

・・・というわけで、私も同じようにすべきだと思う・・・のだが、先輩と私の違いは、私が初心者であること。

先輩のように、しれ~と安全そうな場所で落ちれない・・・どこなら落ちていいんだ?

人工壁に行くということも、なかなか、遠くから来てもらっている人とはない。最初から、岩となると、結果としては落ちないところしか登らないとなる。

外岩=落ちない、となるので、いつまでたっても、ベテラン以外は、リードのビレイを任せられる人が出てこない(汗)。

ので、私が絶対に落ちないところしかリードできない。

結果、連れて行ける岩場が非常に限られてしまう。

■ 人工壁

ということで、本来は人工壁は、クライミング技術を高めるところ、というよりも、大概のビレイを確認し合うところ。

ということなのだが、前の会の人は、初心者過ぎて、そこらへんも分かっておらず、先輩にトップロープを張ってもらい、ビレイしてもらって、登るのがクライミングと思い込んでいる状態から、全然進まなかった(汗)。

何しろ入会年度では、より後輩にあたる初心者の私にトップロープを張ってもらおうとしていたくらいだからなぁ・・・(ため息)。

自分にビレイヤーとしての責務があると考える、という段階が無いと、何年たっても、ずっとお願いしまーす、で、自立しない。

お互い様が成立しないのだ・・・。

先輩は落ちないからロープは持っているだけでいい、というセリフ自体が、周囲のクライマーを戦慄させ、自分は無責任ビレイヤーでーすと自ら発言しているような状態なんだが・・・(汗)。

■ 魔がさす = 「ま、いっか」

今回のクライミングで、一度、クライマーが一ピン目を取る前に草で滑って落ちてしまった。

ロープを結び合っていた二人は、いつもリードし合っており、夫婦クライマーなので、互いに相手を危険に陥れたいと思ってやったことではない。夫婦でなくても、そんな人はいないとは思うが。

ただ、初めて取り付くときは取った1ピン目だったが、2回目、3回目のリードだから、気が緩んで、取らなかったのだ。1ピン目、リングボルトだったし・・・。

また、お手本をしてくれる、ベテランは、1ピン目が遠い。 それは、ベテランは、その課題を何回も、それこそ何十回も登って、慣れているからだ。

しかし、クラックなどで、カムでのピンの取り方も学ぼうとしている初心者の場合、そういう姿を目の当たりにした場合も、支点を取る事に対して、「ま、いっか」という気持ちが働く。大げさかな、とおもtってしまうのだ。

「ま、いっか」は色々な所で入り込む。 でも、入りこませては行けない場所が1ピン目だ。

■ 1ピン目

こちらが1ピン目の重要性が述べられている記事。

1本目の中間支点

私は、

 1ピン目はビレイヤーの為

と自覚しているので、クライマーが取らなくても、自分で勝手に1ピン目はクリップしている。

ダブルの時は少々特殊で、カラビナを別々にして、両方のロープに1ピン目をクリップしている。

シングルでもダブルでも、クライマーが自分で支点を取ったら、落ちてもそのピンが止めるので、ビレイヤーが取ったピンは外しても構わない。

(でもカムなら私は残しておく。カムは外れる可能性があるからだ。)

■ 転落と滑落

今回、転落が起きた、ビレイポイントは立てる場所だった。足場も別に悪くはなかった。

それでも、あわや・・・というところで、悪いことが起れば下まで落ちれてしまうところだった。

そう思ったのは監督者も同じようで、慌てて、体を張って止めに入っていた。

転落と滑落は少し違う。

人間の体は転がる形だと傾斜があまりきつくなくても、コロコロと転がれてしまうのだ。転がると加速がつく。

私は転落経験と滑落経験がある。

どちらも8m落ちたが、転落だと頭を打って、大事に至る可能性があったし、実際、1週間は打った頭が痛く、2週間は響いて走ることができなかった。それでも岩に行った私はエライ!と思う。

しかし、ラバーソールが滑ったために滑落しただけの滝場での滑落では、同じ8mでも滑り落ちて、足で受け止めただけなので、どこも打たず、別に心理的にも強い影響は出なかった。

もちろん、滑った後は慎重になり、滝の落ち口付近の傾斜が変わるところでは、念のためトップに
「ちょっとコンテ」とお助け紐でつながってもらったが・・・。

あの転落と滑落は、わたしにリスクの違いを実感させるために起った事件かもしれない。

山で、頭を下にして落ちるということは、ほとんど死を意味するのだ。アンコントロールを意味するからだ。

それはただズリズリと墜ちた程度の経験の人にはわからないかもしれない。

滑落と転落はだいぶ違い、でんぐり返しで転がると、どこまでも落ちれ、大きな怪我につながる。

■ 気を緩めてはいけない箇所

今回は、1ピン目に「ま、いっか」が入り込んだ。そして、ヒヤリハットが起った。

その他、決して「ま、いっか」を入り込ませてはいけない箇所はどこだろうか?

1) パートナーチェック 

2) 1ピン目

3) 終了点の、架け替えなど、何か作業をするときの、セルフビレイ

4) 懸垂の下り始めのセットのチェック、テンションのチェック

5) 核心部へ入る前の、カム固め取り

6) 登り始めのロープジャムの解消

7) 懸垂のすっぽ抜け防止のチェック

8) マルチプル懸垂での、下降器を外す前のセルフビレイ

9) フリーでのヘルメット (頭を下にする可能性があれば被った方が良い。ベテランは被らない)

大抵は立てる場所でのセルフのように、一見別にイラナイように見えたりする。

■ ベテランは例外扱い

また、ベテランと初心者は違う

そこは、ベテランには、何百回というクライミングの実績の積み重ねがある。そこは全く違うと思った方が良い。

ベテランだって経験を積んでいる段階では、同じように臆病に安全対策を施してきて、その結果、ヘルメットをかぶる必要が無くなる程度まで成長した、ということなのだ。

そうした例外は、何十年のキャリアの上にある特権、と思うべきなのだろう。

■ 大げさすぎる安全対策

逆に初心者時代は、大げさすぎる安全対策をしがちだ。

ゲレンデでのフリーなら大げさでも特に問題にならないので、大げさな位でもよい。

例えば、流動分散に使う、二つのペツルボルトに対して、安全環付カラビナを使うなどだ。

これは大げさで、ロープは下にしか魅かれないので、パワーポイント以外はストレートゲートビナで十分だとされている。

逆に安環付きを常に持ってくる習慣が、ストレートゲートビナの軽視につながると良くない。安環付は中間支点には使えない。なので、長いルートへ行くアルパインでは、逆に中間支点が欲しいときに安環付では、転用できなくて、困ってしまう。

担げる重さという限りある資源を有効に安全の向上へ回すためには、不利だったりもするのだ。

もちろん、ペツルの課題をゲレンデで登るときには関係ない話だ。

他に初心者を思わせる大げさな支点としては、前に見た例は、トップロープの支点に2枚の安全環付ビナを互い違いにして使っていたが、そもそも支点にしている木が直径5cmしかないもの。その5cmの立木の後ろに、大きな太い立木があったので、本末転倒になっていた・・・(^^;)。

安環2枚にしても、立木が折れてしまっては意味がないので、安環2枚の余裕があるなら、太い立木にスリングを掛けてくれたほうが良い。

■ 力加減が分かるのがベテラン

そんなこんなで、結論すると、初心者は力を抜くところと、抜いてはいけない箇所が分からない。

力を抜いては行けないところで抜き、入れすぎのところで入れてしまう。

そういう時代は誰にでもあり、それは色々と考えたり、経験を蓄積したりして、ちょうど良い加減を覚えていく、ということになる。

それは、説明されることがとても少ないがために、よく分からないのだ。

ただ大事なことは、

 「こんなところでは落ちない」という考えを前提にした行為は危険

ということだ。

”こんなところで落ちる”のが初心者であるのだから。 

次に問題になるのは、初心者の目安は何年目か?ということであるが、それは登山頻度が異なるからには、人によってまちまちだ。

岩を舐めている間、山を舐めている間は、脱初心者から程遠いかもしれない。




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