Monday, November 9, 2015

なだらかな山のリスク

昨今、中高年登山者の遭難が激増している。

遭難原因のNo1は、道迷い

なので、巷では地図読み講座が花盛りなのだが、問題点は、地図読みができる、できない以前にあると思う。

その問題点とは、

初心者特有の誤解

だ。

その誤解を解くため、という理由だけでも、地図読みは実施する価値があると思う。

■ 山の初心者特有の誤解

誤解その① 

  なだらかな山=易しい山

「私たちが登っているのは丘だから!丘」と自己卑下して言っているおばちゃん登山者を、よくみますが、山がなだらかだからと言って、舐めてかかると、道迷いで遭難します。

中高年の誤解で、もっとも多いのは、これではないか?と思います。

正解は

  なだらか=地形が分かりにくい 

です。また

  なだらか=遮るものがない

だった場合も同様です。風が強ければ、低体温症で死んでしまいます。

  なだらか=樹林帯

だった場合も、地形が分からなければ東西南北が分からず、コンパスによるストレートウォークができない人は、遭難します。

誤解その②

  花がある山=易しい山

高山植物が咲き乱れる条件とはなんでしょうか?

要するに風しょう地帯ということです。風などの気候条件が厳しく環境を敢えて選んで咲いているのが高山植物なのです。

つまり

  高山植物があるところ=環境条件が厳しいところ

です。高山植物を趣味にしたいなら、クライミングジムに10回は行くべきです。

誤解その③

  近い山=易しい山

駅から歩けるような山だから・・・と言って、そんなすごい山はやっていないから、と、遠足の装備で済ませている人を良く見かけます。

  近い山=里山=作業道が入り乱れる山

です。道迷いが起りやすいのは、様々な作業道が入っている里山です。里山に山菜取りやきのこ取りに入る人も同じです。

その上、問題は、近いからといって計画書を出すことを 「何を大げさな」と考える人がいることです。これは近所の沢も同じです。

酷い人になると、何も言わないで行ったりします。何も言わないで行っていい山は、ホームグランドの山で、一般ルートに入る時だけです。それでも何かあった場合、携帯が入ること前提です。

誤解その④

  沢登りよりクライミングが危ない

あらゆる登山携帯の中で最も危険が大きい登山形態が沢登りです。クライミングは墜落を前提としています。つまり墜落しても死にません。

  クライミングの中では危険とされているアイスクライミングだって、中間支点があります。

沢登りでは中間支点が、そもそもありません。したがって、万が一のミスは一切許されません。

■ まとめ

なだらかな山のリスク    対策
・道迷い             地図読み
・低体温症            ウエア&ビバーク経験

高山植物のある山のリスク
・低体温症         
・転滑落             クライミングジムへ行く

近い山のリスク
・装備不備
・道迷い
・ビバーク不備
・携帯電話不備          携帯電話を持つ
・山行計画書を提出しない    計画書を提出する

沢登りのリスク
・滑落してもヘリは来ない
・携帯が通じない