■ 平均点が失墜している現実
この本は、登山をして、だいぶ体力がついたな~と感じるのと、一般に言われている
”体力がある”
”体力がない”
ってだいぶ、実感との乖離があるなーと思ったので読みました。
ちなみに私の体力は、40代の女性の平均です。
その体力は、
中高年を主体とした現代の山の世界では・・・ → ダントツに体力がある
アルパインクライミングの世界では・・・ → 全然、体力不足
になります(^^;)。
具体的には・・・
≪一般コースタイム6時間の尾根≫
中高年登山者 7時間 登山人口の79%な感じ
中高年の健脚者 5時間 5%
私 4時間20分 5%
30代男性 3時間30分 10%
アルパイン 3時間 1%
というような現実です。たぶん、昔は、一般コースタイムは5時間くらいだったのが、現代的事情を反映して、6時間に設定されているようなことになっています。
まるで日本社会の縮図のようです。
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一般登山者の山、山屋さんの山
■ 運動の目的
一般的に言って運動の目的は、健康増進です。
で健康増進のためにすべきことは、各年代で異なります。
20代以前の体を作っている時期 = 高負荷をかけて、限界を伸ばす
30代~50代 = 獲得した体力が落ちないように維持をする
60代以上 = 衰えを緩やかにする世代
です。30代以上にとって、やせ我慢をして負荷を増大させるのは、健康増進にとってはまったく合理的な戦略ではありません。 30代~50代は節制を身に着ける世代。
60代以上になると、体に故障を抱えていることが普通になるので、定期的な健診を受けて、故障の早期発見につなげる世代です。
つまり
20代 = どんどん大きな山を目指す世代
30~50代 = 自分のペースで、無理せず登る世代
60代以降 = 衰えを緩やかにするために山に登る世代
です。どんどん大きな山に登るにしても、最初は小さな山でスタートでしょうから、他の世代と交流することもあるでしょう。
例えば、大学生は北岳バットレス四尾根にいきなり登っても懲りて帰ってきて終わりでしょう。でも、30~50代は、コツコツ自分のペースで積み上げた結果の山が四尾根と言うケースに限って登るべきでしょう。60代であれば、長く岩登りを続けてきた人だけがクールダウンくらいの気分で登る場合に限って登る山でしょう。
20代であれば、体調が少し悪くても山に行っていればそのうち治るはありかもしれませんが、不調の予防が目的である他の世代では、体調が悪いことはそのまま山に行かないことを意味するべきでしょう。
運動に対する心の在り方が年代によって変化するように、登山に対する心のあり方も、年齢相応に変えていくべきでしょう。
■ 自然を楽しみながら、体を上部に保つ
この本の終わりの方の記述です。
1.自分の現在の健康状態を正しく把握する
2.自分の特性に合わせて、段階的に鍛錬する、あるいは維持する
3.継続的な活動計画を立てて、実践する
4.繰り返し(定期的に) 健康状態をチェックする
5.不調が生じたら、一旦回復に専念するが、活動可能になったら、負荷量を調節して、速やかに活動を再開する
■ 近郊登山
つまりホームベースの山を持て、ということのようです。
・一日つぶさないで取り組める
・天気が多少悪くても予定通りこなせる
・いざという時のバックアップが得られやすい
・そこそこ標高差があり、道が整備されてる
・時間の短縮を図る
・歩荷をあえて増やす
・遭難防止になる
登山の実力は、好天の環境で予想通りのルートを踏破したという経験よりは、いざという時にどこまで耐えられるか、どんな環境までなら切り抜けられるかというところにあります。
登山の実力をつけるためには、「どの山頂を踏むか」だけでなく、どう登るかにこだわる必要があります。
・・・とあります。
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