Saturday, November 7, 2015

ナビゲーション表を作る経験を一度は持ちましょう

■ 地図ではなく、地形を読む

地図読み・・・という言葉を使うから、誤解が多くなるのかなぁ・・・と思いますが、地図読みというのは、

地形読み

のことです。

地図読みの基本は尾根です。

尾根歩きの基本は、ピークとコルです。

 ・ピーク =4方向の内、4方向が下がっている地形のことです。

 ・コル = 4方向の内、2方向が下がっている地形のことです。

 ・尾根 = ピークから派生する、3方向が下がっている地形です。1方向だけ上がっています。

 ・谷 = ピークから派生する、1方向が下がっている地形です。3方向が上がっています。

したがって、1方向だけが決まる、という点で、尾根は登りさえすれば、誰もが同じ場所(ピーク)に着きます。

■ 尾根の基本

尾根の基本は、ピークとコルです。ピークとコルが現在地確認ポイントです。コルは鞍部、峠とも言います。

ピークとコルの連続が稜線(主脈)です。ピークとコルをつなげるとルートができます。各ピークからは尾根が張り出しています。主脈以外は、下に向かい、下界に連結されています。

尾根の隣は、かならず谷です。

ピークとコルが現在地確認ポイントということが分かる=基本、です。

ピークには、広いピークと、狭いピークがあり、楽なのは狭いピークです。ピークとピークの間は、かならずコルです。

■ ベアリング表

しばらく前のヤマケイで、地図読みにベアリング表を作っていました。ベアリングというのは、2点間の角度を出すことです。

したがってベアリング表といえば、角度をあらかじめ図っていくことになりますが、大事なのは、一度で良いので、ピークとコルを連結して、自分でルートを作成する経験を持つことだと思います。

ピークとコルが分かっていることが山の基本です。

ベアリング表という言葉が、あまり一般的でないので、ナビゲーション表、という言葉で代替えしますと、例えばナビゲーション表とはこのようなものです。 ずいぶん昔の中津森のケースです。

実際は、一度こうした精読のような緻密な山行をして、感覚を掴んでしまえば、何度もこうしたことをする必要はなく、大体の進路取り(地形読みやルートファインディング)はできるようになります。

 ・地図読みは、最初のプランニングですること
 
 ・地形読みは、実際の山行ですること

 ・ルートファインディングは、現場で、藪などの障害物を避けて、歩きやすい場所を見出すこと

です。ルーファイだけであれば、地図は見る必要がないです。目視によるナビゲーションです。

≪ナビゲーション表例≫

 距離  標高
①285m +200m 1へ
②260m +178m 2へ緩
③400m +141m 3の尾根の頭まで
④243m +110m 4のP1471まで
⑤コルへ東進  5へ
⑥405m -115 6のP1344まで(中津森)
⑦208m -53m 7のコルへ
⑧200m +58m 8の尾根の頭へ
⑨185m +53m 9のPへ      
⑩208m -24m 10のコルへ  
⑪228m +81m 11のPへ    
⑫172m +22m 12の尾根の頭へ
⑬161m +39m 13のP1521へ(御巣鷹山)へ
⑭220m -63m 14の北東支尾根の頭へ 
⑮339m -139m 15の下山ポイントへ

こちらのサイトにベアリング表のひな形エクセルファイルがアップされています。)


■ 間違いやすい地形 vs 顕著な地形

上記の地図の例で挙げますと・・・

≪間違いやすいところ≫
・広い尾根や広いコル   例: 2-3の間   
・ルートの方角が変わるところ 例:1~4以降と5~6の区間、6~7区間、8~9区間 などなど
・平坦なところ

≪顕著な地形≫
・痩せ尾根
・痩せたコル

≪目印になる地形≫
・崖
・沢
・崩落地形

これくらいのことを、山行前にルートから読み取っておけば、実際の山行ではずいぶん楽になります。

ルートを作る時は、直線的ラインで作りますが、実際に歩くときは、登りでは尾根ばかりを使い、下りでは、谷地形を降りる、それが一番地形的には合理性があります。

合理性と言うのは、3方向と1方向、というように、誰が歩いても、この1方向しか行くまい、という意味です。

結局、地形を読む山歩きでは、尾根の脇、山腹の斜面というのはほとんど通りません。地形的合理性がないからです。つまりトラバースというのは、あまり出てこないものなのです。

いつ出てくるか?というと、小さなピークを巻くときです。それでも、ピークを登って降りた方が、地形的に合理性があるので、結局は道迷いが少なかったりします。

この地図は、ずいぶん昔の、地図読み山行の予習のものですが、計画が直線的なのに対し、実際に歩いたGPSの軌跡は、常に尾根を拾っていることが分かります。

人間は登りでは尾根を行くのが、もっとも地形的に分かりやすいものなのですよね~ 

尾根は登り方向が一方向、つまり、上しか方向性がないってこと。

生きること、成長すること、老いることは、一方向しかなく、だから山は人生に例えられてしまうのかもしれません。

≪参考になるサイト≫

地図読みの基本がまとまったPDFがこちらにあります。
http://timber-line.net/image/readmap.pdf

≪用語≫
ストレートウォーク
エイミングオフ


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