ヨガの成功は、「身体の存在を意識しなくなることだ」 と言われている。
決してすごいアーサナができることではない。
このことは実はすごい示唆に富んでいる話だ。というのは、趣味の登山者も同じような混乱に迷い込むからだ。
ヨガの例は分かりやすいので、例として使わせてもらう。
ヨガをする多くの人が迷い込む迷宮は、ヨガをしているにもかからわず、というか、ヨガをしているからこそ、筋や腱に、故障を抱える、というものだ。
つまり、自分にはまだ用意が出来ていないアーサナ(ポーズ)を無理して行いたい!と思ってしまうのである。
そこにあるのは、欲であり、無欲を教えるヨガとは、まったく別の方向にある。
そのことに気が付かない人が多いので、すごく悲しいと思っている。
身体の存在を意識しなくなることが、どうして、”成功”とされるのだろうか?
多くの人は、肩こり、腰痛など、健康上の問題を抱えたことがきっかけでヨガを始めるからだ。
肉体は使いすぎれば疲れ、肩は凝り、腰は痛む。そうした当然の原理を除外して、肉体を本来の使用目的、つまり、自分のしたいことの実現の邪魔にならない、ということに使えれば、ヨガは成功していると言えるのだ。
つまり、肉体が本来の姿、本人の意識を実現する道具となるという意味だ。
使っても使っても疲れない、超人的な体を得ることではないので、その点を誤解しないことが重要だ。大抵超人を求めてくる人はヨガとは別の道を歩んでいるが気が付いていない。
■ 趣味の成功とは?
ヨガは趣味で取り組まれることが多い活動であり、登山も同じく趣味だ。
趣味の成功とはなんだろうか?
それは、本業のほうもその趣味があることで、気持ち良く進むと言うことではないだろうか?
人生自体が、その趣味を持ったことで、豊かで有意義になっていく、ということではないだろうか?
そういう意味で、
- 職場外の友人関係の充実
- 夫婦関係の充実
- その趣味をもったことで有意義だと思える時間の過ごし方ができること
- その趣味をっもったことで、他の人の役に立つ何かができること
- その趣味を持ったことで、個性がきらめくこと
は、趣味の成功の尺度だと言うことができると思う。総じて、人生が上向きにならなくてはならない。
たとえば、〇〇大陸の〇〇m峰を登るというのは、趣味ではなくて、本業の登り方だろう。
それはなぜなら、知名を目的にしているからだ。
■知名
もし知名を目的にしていれば…登山史を紐解かなければならない。
いまだ登られていないルートだったり、いまだ登られていない方法だったり、そうしたものを入念に調べなくてはならない。
ヨセミテだって、まだ登られていないスタイルで登る余地がある。
アレックス・ホノルド君は、思いつきでやっているのではなく、しっかり事前に調査をし、何をすれば、栄誉が得られるのか知って、自分の強みを生かしたクライミングをしている。
つまり彼の瞳は ”知名”に向けてしっかりと固定され、ぶれていない。
■ 趣味の成功
しかし、趣味の成功とこうした知名の成功を人は混同しがちだ。
言うまでもないが、名を知られることと、幸福はまったく関係がない。
趣味で登山を楽しみたい人の、最初の動機は何だろうか?
リフレッシュ、日常の退屈紛らわし、仲間づくり、本業では得られない自身の内的成長など、色々だろう。
私は、毎日が充実していたら良いのではないか、と思う。
私の場合は、もともと読書家だが、登山を始める前は、山の本には全く興味がなかった。紀行文を書くことにも興味がなかった。仕事で取扱い説明文を書いていたのだ。
さらに、登山がなかったら、知り合えなかったであろう人たちと知り合いになった。大人になると社会が狭くなりがちなので、社外の友人は非常に重要だ、と思う。
最近、気が付いたのは、
- 家事に必要以上の労力を掛けなくなった
- 不要なものを買わなくなった
- 時間の使い方が上手になった
- 次から次に面白いことが起る
- よく感謝するようになった
などである。何しろブログって時間がかかるので、色々手早くできることは重要だ(笑)。
■成功の尺度を自分で決めること
何が成功で、何が不成功か? 何が幸福で、何が幸福でないのか?
それを自分で決めることは、予想以上に大事なことだ。
そんなことは、どの成功本にも書いてあるのだが、実際にそれを実行している人は少ない。多くの人が、注目や他人からの賞賛を求めている。
本当の幸福は、自分で自分を賞賛することができ(いわゆる”許し”)、他人からの注目を必要としなくなったとき(自己受容)のことだと思う。
人は弱く、弱い自分は受け入れて良いのだ。というか受け入れるしかないのだ。
誰かの期待に沿う自分ではなく、自分の期待に沿う自分であればよいのだ。
まぁそうなってくると、一番難しいのは、自分を知る、ということになるのだけれど・・・。
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