Monday, July 28, 2014

御坂山塊の研究と鶴ヶ鳥屋山のまとめ

昨日は、正直な所、季節に全くそぐわない山に行っていましたが、不思議と満足感に浸っています。

山で得られる心の充足、というものは何によるものだろうか…と考えずにはいられません。

今日は、ボランティアで3泊4日の予定が入っていましたが、結局キャンセルしてしまいました。私は子供を相手にする方が好きなので、子供相手のボランティア活動は、ずっと楽しみにしていましたが、なんとなく今年は違う方向性に集中した方が良いような気がしたからです。選択と集中。

■林道と山

昨日は、朝4時半に家を出ました。快調に幹線道路を飛ばし、旧道に入っていくつかトンネルを超え、急なカーブを何度も回って、笹子駅についたら、小一時間でした。予想通り。

朝はまだ涼しく、これは快調な出だし!と気分よく、目的の黒野田林道に向かいました。が、快調だったのはここまで。林道は起点のゲートが閉鎖されていました。ガーン・・・。

前日の調査では、県のHPには特に規制情報が出ていなかった。この林道に至る道は、あと二つあるので、その両方を試すのですが、ダート道…(汗)。こんな道なら四駆で来ればよかった・・・。途中で挫折し、ダート無で歩ける道に変えようと、同行者に相談の電話を…。

今日の同行者は山岳会の先輩です。先輩の家と私の家は山をはさんで反対側なので、それぞれ家に近い側から登り、途中でランデブーするという計画が、私の提案でしたが、そもそも、私の側の林道が開いていないので、登れない。さっそく登山口敗退です(笑)

先輩は「待っていてあげるから、ぐるっと峠を越えておいで」。さすが先輩。こういうとき「…ったく、もう」と言われると「もう帰ります…」と言いそうになりますよね。傷口に塩を塗らないのが重要っと。

私は「せっかく早起きしたのに、あーあ~」と思いつつも、旧道へ戻り、指示通り峠越えの道を選んで、飛ばします。先輩の言った通り、こっちの道はあまり通る車はなさそうではありましたが、通常の走りやすい二車線の林道でした。

これまた先輩の話通り、意外に早く着き、目的の黒野田林道の反対側へ。なぜか林道終点のほうはゲートが開いています。ここから登る人の方が多いってことですね。この林道は、笹子側にある黒野田集落と御坂側にある、宝集落を結ぶ林道です。車線は細く、落石や路上の障害物が多く、あまりメンテナンスはされていなさそうですが、たぶん、バイク乗りの人などは、カーブを楽しむために通るのかな?

以前、瑞牆山へ行くのに、観音峠を通ってしまい、その時に通った林道がひどく悪くて、車酔いしてしまったのですが、その時を思い出しました。もうほとんど人が住まなくなった集落を結んでいたり、あるいは、かつてはあったであろう林業のためにつけられた、舗装された作業道、というような道は、今ではもう使う人がいなくなり、放置されている、といった状況です。

今ではそういう道を使う人は、バイク乗りか、里山登山愛好家か、沢があれば釣りの人たちなど趣味の人たち、あるいは都会の喧騒を逃れて田舎暮らしを始めた”新入植者”と言えるような人たちとなったようです。

たぶん、こうした林道は全く別の理由で道路予算が出されていると思いますが…。そういう意味では、趣味の登山者は漁夫の利を得ている側ですね。

この鶴ヶ鳥屋山も、この林道が始点でなければ(つまり山麓の駅起点だと)、ちょっと登るのは大変かもしれません。

こうした林道がほぼ稜線付近を通過するおかげで、つらい山麓からの急登の登りを割愛できるからです。林道から上がれば小一時間ですが、中央線の沿線駅などの山麓から上がれば3時間です。



























ピークへ至るまでのドラマ、アップダウンが、一つの山の持ち味とすると、それがなくなってしまっているということで、こうした林道によるショートカットは山の味わいを損なうもの、とする見方もあるかもしれません。たとえば、大弛から登る金峰山が金峰山の味わいをそこなっている、ようにです。

■ 御坂山塊

ただ、わたしに言わせれば、御坂山塊は、御坂山塊全体で、一つの山という感じです。

御坂山塊は、甲府と富士吉田側を隔てる自然の要塞。一つ一つのピークについている山名は、〇〇山、とはいうけれど、限りなくP1、P2、P3…に近い感じがします。

実際、稜線を歩いていても、すぐピークが来ます。規模が小さい。

なので、一つのピークへ至るまでに山麓から歩くという苦労はそんなに重要な物語には感じられません。たとえば後立なら、八方尾根と遠見尾根は一つ隔てただけなのに、だいぶ色合いが違う尾根ですが、そういう特色は各ピークへ続く尾根には感じられそうにありません。表情が似ている。

もちろん、テーマが古の古道を味わうだったりしたら、恋人に会うために峠を越えなくてはならなかった往時をしのぶためにあえて、山麓から登る、というのもあるかもしれませんが・・・。

今回は、そうした狙いはないので、こうした林道は自然破壊の一端ではあるよなぁ~とは思いつつも…やはり利用してしまいます。

余談ですが、こうしたあまり活用されていない社会資本を見るたびに日本は豊かな国だなと思います。もうどこにも開発の余地がないというか、税の無駄遣いという放蕩はやりつくされた感があります。

日本から出ることがない人には、あまり気が付く機会がないかもしれませんが、アメリカやオーストラリアなど大きな国土のある国は、これほど国土の隅々まで全国画一のチェーン店が隙間なく並び、建売戸建住宅が隙間なく並び、あるいは、使われない林道が網の目のように張り巡らされることはあまりありません。例えプロ野球選手が済むような豪邸であってさえ、買い物の不便を受け入れなくてはいけないアメリカ。日本ではそれがなくどんな田舎にもちょっと行けばスーパーコンビニがあります。まるでICチップのように、集積具合がすごいのが日本。

この集積具合を行かない手はない、というわけで、お気楽にサクッと縦走路の上がってしまいます(笑)。

■ どこからどこまでが御坂山塊なのか?

鶴ヶ鳥屋山は早くもきのこが一杯でした。毒々しい色の、大きな笠のきのこが数種類。見るからに食べたら死にそうなキノコたちです。

私は鶴ヶ鳥屋山こそが、御坂山塊の主稜線の終点ではないか?と思いました。1374mです。

どこからどこまでが御坂山塊なのか?と思ったので、ちょっと調べました。現代登山全集です。

この本の御坂山塊概略図によると、御坂山塊は、

                                       釈迦ヶ岳

                                         |

パノラマ台ー三方分山ー女坂峠ー五湖山ー王岳ー鍵掛峠ー鬼ヶ岳ー金山ー大石峠ー見付峠ー黒岳ー御坂峠ー清八峠ー本社ヶ丸ー鶴ヶ鳥屋山

                               十二ヶ岳-毛無山         三つ峠-天上山

となっています。御坂の稜線から十二ヶ岳と三つ峠だけが南側にボコッと飛び出ていている。その二つともが岩場をもつ、というのは面白い偶然ですね。

顕著なピークが9つ。峠が5つ。 北に飛び出しているのは釈迦ヶ岳のみ。

■ 花?

高山植物の専門家によると、花は辺縁の山に多いのだそうです。

でも、思うのですが、御坂山塊の”辺縁”は、主稜線からハズれた、三つ峠と十二ヶ岳、そして釈迦ヶ岳かもしれません。

三つ峠はアツモリソウをはじめとする様々な高山植物で有名ですし、十二ヶ岳も花の山です。そして釈迦が岳は麓にスズランの自生地があるからです。

辺縁と言えるのは、主稜線の末端ではなく、過酷な環境の稜線から、一歩里へ近づいたというか、地形的に変化があって、雨が集まりやすく、風の影響が緩和される、場所のことなのかもしれません。

■ 21座と12座

ちなみに鶴ヶ鳥屋山は山梨百名山ではありません。

が、都留市二十一秀峰というのに入るそうです。何を持って秀峰とするのか、その基準をこそ重要なものなので、教えてもらいたいですが…(^^;)。

鶴ヶ鳥屋山は、展望はほとんど期待できません(笑)

こうした市町村が決めた山リストは、なんとなく厚かましさというか、ただ言っちゃっただけ感というか、あさましい感じを感じさせます。

というのも、山岳地形を無視しており、人間中心の価値観が現れているからです。行政区画というものは、人が決めた区画であって、自然の地形の成り立ちを大体において無視している。

ので、あまり山ヤにとって魅力的なリストにはならない。のは仕方ないかもしれません。山ヤは山自体が好きなので。山好きな人が山の良しあしを楽しく議論して、投票でもして決めればいいのでしょうが。


一応こちらのサイトに、詳しく、各山の記載が載っています。

http://alpine.sppd.ne.jp/mt_list/turu21.html


ちなみに山梨百名山というのも私はあんまり好きではありませんが、山岳県でないと百を数えるほど山がないのだそうで(たとえば茨城とか平坦で山がない)、百も頂があることが、稀有な状況ではあるようです。

山梨ならでは!と言えるかも? お隣の長野は信州百名山ってのをもっているようですが、知名度的にはあまり聞かないのは、単純に山梨に住んでいるからかな?

大月市も秀麗富嶽十二景というのを制定しています。こちらは写真家の白旗四郎さんを制定者に選んでおり、展望についてはお墨付きつき。山ヤにも魅力がある山リストに仕上がっています。が、大菩薩あたりが多いですね。展望を求めて登るには良い選択肢かもしれません。良さそうなリストなので上げておきます。


≪十二景≫

1番山頂 雁ヶ腹摺山(1874メートル)&姥子山(1503メートル)

2番山頂 牛奥ノ雁ケ腹摺山(1995メートル)&小金沢山(2014.3メートル)

3番山頂 大蔵高丸(1781メートル)&ハマイバ(1752.0メートル)

4番山頂 滝子山(1590.3メートル)&笹子雁ヶ腹摺山(1357.7メートル)

5番山頂 奈良倉山(1348.9メートル)

6番山頂 扇山(1138メートル)

7番山頂 百蔵山(1003.4メートル)

8番山頂 岩殿山(634メートル)&お伊勢山(丘陵地・約550メートル)

9番山頂 高畑山(981.9メートル)&倉岳山(990.1メートル)

10番山頂 九鬼山(970.0メートル)

11番山頂 高川山(975.7メートル)

12番山頂 本社ケ丸(1630.8メートル)&清八山(1593メートル)


富士山の展望をみるなら、やはり空気が澄み、遠望が開ける冬が良い時期と思います。あるいは勝沼がピンクに染まる桃の花の時期ですね。

小金沢山って地味な山なのに唯一2000メートルを超えていました!

登った人の感想サイト
■ 道迷い要注意

私は小さい里山を歩くときは、地図読みの練習に使えないか?という視点で尾根を見ています。

林道があると、それはフェールセーフ(ちょっとくらいコンパスの方角を間違えても林道に降りれる)という事なので、結構候補になりますが、この辺の縦走路から派生する尾根は、御坂側は結構歩かれているような感じでした。濃い踏み跡があるピークがいくつかありました。

その濃い踏み跡について行って、つい縦走路を踏み外しそうになることもありました(^^;)。そこはさすが先輩が「ちょっと待って」とちゃんと道を見つけてくれました。

笹子側は車で入れる登山口は清八峠のみのようです。ほかは駅起点です。

地図で縦走路を見ると、単純に東から西へ歩くだけのようですが、大きな目でみると、鶴ヶ鳥屋山から本社ヶ丸までは、ゆるやかにカーブを描いており、うっかり三つ峠の麓の駅に降りる尾根に乗りそうになります。

というわけで道迷いには要注意

■ まとめ

縦走路の稜線は、太くなったり細くなったりしながら、東西に流れていました。小さなコルでは、風が心地よく、やっぱり山はいいなぁ・・・。途中断崖絶壁の岩を発見したりもしました。

でも、鶴ヶ鳥屋山は、花の山とは言えないと思う。

展望の山ともいえないかもしれない・・・とすると、一体どういう目的で入る山なのだろうか?ということになりますが、気軽な健康ウォーキング、ってことかなぁ。

中央線沿線の、初狩、笹子あたりは、商店も少なく、コンビニも稀ですが、山としてみると、駅近物件というか、駅からピークまで2Kmくらいしかないほど、線路に山が肉薄していたりします。

駅からピークが近いと言うことは急ということでもありますが、健脚者はそういうのは平気です。まぁ地味だし、静かすぎて、初心者には向かないと思います。

でも、電車で遊びに来ていると、駅から近いというのは、大きなメリットなので、山ガールの皆さんは何人かで歩くといいかもしれません。

ということで、鶴ヶ鳥屋山のまとめ。


1)駅起点、駅終了で縦走できます

2)林道が山頂付近まで通っています

3)急ですが、健脚者の人には難所はありません

4)季節は冬がおススメです

5)温泉などの余禄はあまり期待できません

6)尾根を間違って下る、道迷い要注意

7)展望はあまり期待できません

8)良い山です♪

≪関連記事≫





No comments:

Post a Comment