Tuesday, July 8, 2014

お金をもらっても一緒に歩きたくない人もいる

■ お金をもらっても一緒に歩きたくない人

しばらく前に、まぁこれは!というような、変なおばちゃんと沢登りに行きました。

まず、アプローチの林道をわいわいと楽しくしゃべりながら、歩いていると・・・おばちゃん、遅れる・・・のはいいのだが、その後の発言が問題だった。

「これ以上早く歩くんだったら、ワタクシ帰らせていただきます!」

そこはなんてことのない車道で、中高年3人はしゃべりながら歩いていたが、おばちゃんは、

  ”みんな強いな~!ちょっと待って~(汗)”

ではなく、

  ”ワタクシ、帰らせていただきます!”

でした(汗)。 往年の岩ヤだと、聞いていたので、びっくりしたのだった。 ホントに山ヤなんだろうか?

その後、そのおばちゃんは、その時帰ってもらった方が良かったんじゃないか?というくらいの横暴ぶりを発揮した。沢でも、幕営地でも、自己中心的で、自分だけが正しい、というような人だった。

しかし、このおばちゃんは岩ヤだそうだったが、登りを見ていると、とても岩が上手に登れそうには見えなかった。実際、沢での歩き方も、雑で力任せだった。

私は、この沢山行は、おばちゃんの横暴に耐えるための時間に思え、翌日は、もう途中で引き返して一人で先に山を下りようかと思ったくらい(笑)だった。踵を返して、帰らないことに忍耐を要した。

この日の主役は、沢歩きではなく、この自己チューおばちゃんだったからだ。

■ テントを背負ってあげても一緒に歩きたい人

一方、去年小屋で出会った山おばちゃんが先日、広島からやってきた。

の二人の山おばちゃんは”ステキな2人組”だった。

ふたりで車を運転して広島から。愉快な仲間だった。

おばちゃんたちは、廻り目平に、自分たちでテントを張り、山5連チャンにも関わらず、疲れを見せず(実際は多少は疲れていたのかもしれない)、そして、まったく、愚痴や文句を言わない人たちだった。

しかし、このおばちゃんたちは、残念ながら、本格的な山に触れる機会があまりなかったようで、山の企画の仕方が残念だった。

傍目に、山そのものより、登ったピークの数が優先されているように見え、それがガツガツとした中高年の百名山稼ぎを連想させた。(断っておくと、一番楽な大弛で金峰山を登ってピースサイン、というような登り方はしていない。)

残念だったのは、単純に、それだけの日数とそれだけの脚力があれば、その山域の特徴を味わうような、もっと良い山行が組めるのが誰にも一目瞭然だったからだ。

このおばちゃん二人組に会った時、私は強く、”おばちゃんたちを連れて歩きたい!”と思った。

それは私がテントを背負うことになっても、金峰山を表参道から登ってみてもらいたかったし、甲斐駒仙丈ヶ岳とバスに時間を使うくらいなら、普通に甲斐駒に黒戸尾根から十分登れた。

むしろ、花の時期というなら、八ヶ岳が最適で、易しすぎるというなら、縦走すればいいのだった。

しかし、おばちゃんたちは自分たちには縦走は無理だと、頭から信じ混んでいる様子だったし、ザックは不必要なオヤツが一杯入っているようだった。 

つまり、ハイキングの価値観が更新されないまま、脚だけが健脚化してしまったのだ。

■ チャンスの差

この二者のおばちゃんの差は、チャンスの差だけだ。

一方は、大都会で、山へのアクセスもよく、山岳会が多い環境。

一方は、地方都市で、山にも、機会にも恵まれない。

横暴だった自己チュー山おばちゃんは、ガツガツとあれにも行かせろ、これにも行かせろと、長年山岳会の万年初心者をやって歩いたのだろう。

実際、この沢山行も初心者向きのルートだから、アルパイン1年生の私がついでに歩いたら、と呼ばれたわけで、長年アルパインをやっている人には、易しいルートだった。

そのおばちゃんがダメ山ヤである証拠に、おばちゃんの自慢は、会の新人を最近ムンターで引きげたことらしかったが、60歳は超えている、おばちゃんの年になるまで、新人を教育するという責務を背負わずに来れた・・・ということが、驚きだった。つまり、山歴ん十年の間、受け取る一方の人だったのだ。だからこそ、の、「これ以上早く歩くならワタクシ帰らせていただきます!」だったのだ、と合点が行った。この沢山行でも、主賓待遇で、受け取る一方だが、その自覚がない。

私はこの差をどう考えていいのか分からない。山の神様は不公平だ、とも思う。

しかし、分かることもある。

前者は、お金を払ってもらっても、一緒に行きたくない人であり、後者はわたしがテントを背負ってでも、ぜひとも山を知ってもらいたい人だ。

(まぁ、私が山を知ってもらう、というほどの、スゴイ山やではないことは、この際、棚上げして、だが。)



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