■ 雪で山を始めたこと
私と夫は雪で山を始めた。八ヶ岳が近かったからだ。北八つから徐々に本格的な山(=南八つ)へ移行した。
雪で山を始めたことが、山を知る、ということに対して良かったと思う。
山をよく知らないと危険だという基本的認識につながった。もし、大菩薩のハイキングで山を始めたら、山が基本的に危険な所で、その危険が具体的に何かをあらかじめ知らなければならない、という発想を身に着けるのに、何年もかかってしまったかもしれない・・・。
八ヶ岳に行くにも、お天気を調べに調べ、寒さの対策を用心に用心を重ねて行った。大丈夫だったという経験により、少しずつ、適性な装備が分かるようになった。
八つは理解したので、その次は残雪期の北アや谷川方面へ・・・と思ったら、八ヶ岳とは大きく条件が違い、リスクもまた大きかった。白馬主稜へ行きたいと思ったので、後立の山に働きに行った(笑)
八つから一歩出るため、山岳会や講習会を求めたのだが、一般山岳会では、こうした山々へ行くための知識は、残念ながら、あまり累積していないようだった。山岳会に所属したとしても、それでは一生八ヶ岳から外に出られない。
今年は、時期を見て、一緒に谷川方面へ行けるメンバーがいそうで、とてもうれしい!
しかし、もしそういうチャンスがきたら、チャンスをつかめないと行く機会があったとしても、行けない。
・・・ということで、予習をしておく。私の谷川方面の経験は非常に少ないので、全くの初心者と同じことで、この山域は勉強からスタートしないといけない。
以下は、『チャレンジ!アルパイン』から、谷川方面の概要のまとめ。(内は私のコメント)
■ 谷川岳概要
1)天候
・日本海側の影響を受ける (八つは内陸性。南岸低気圧)
・低気圧=雪
・西高東低 = 吹雪 + 大量の降雪 (八つは降雪量が少ない)
2)ポイント
・事前に状況をどう捉えるか?
・現場での状況をどう判断し、行動に反映して行くか?
・標高が低いこと(濡れ) (八つは寒いのであまり濡れは問題にならない)
3)時期
・ルンゼ、スラブ、リッジ = 2月中旬にワンデイ
・ルンゼ・スラブ = 雪崩当然
・出合いを3~4時に出発のこと
・壁 = 12月~3月まで可能
新雪期: ヒョングリの滝、テールリッジ
1~2月: ラッセル ビバーク前提 (ヤツは2月でも探さないとラッセルはできない)
2月中旬以降: 雪が締ってくるとワンデイ可能
4)雪崩れ (八つは雪崩は比較的リスクが少ない。雪が少ないため)
・一ノ倉沢 滝谷、ニの沢、幽ノ沢、衝立スラブ、コップスラブ
・春先の雨
5)天候と積雪状態の判断
例:冬型の気圧配置で、20cmの積雪がある翌日寒気が緩んでかすかに晴天 → ×
(ヤツで雪山をしている人だと出かけてしまうかもしれない)
6)行かない判断
①20cm以上の新雪の直後の晴天 例外:風によりルンゼ内に雪がない場合
②天候を問わず、30~40cm以上の新雪
③雨の後の気温上昇
(真砂尾根の雪崩遭難事故を思い出す・・・新雪後の晴天は誰もが出かけたくなる)
7)プランニング
・初めてで様子が分からない場合は土曜に登り、日曜を予備日にする
・スキー場のサイトで情報収集できる
・コースタイムを常に調整する
予想以上に時間がかかる場合、雪のせいなのか?自分たちの技量のせいなのか?諸条件を総合し、全体の所要時間を都度見直す
8)アプローチ
・ラッセル :出合いまで2時間半以上もかかるようなら、そもそも登れるような状況ではない
・転進先: ピークハント、スキー
9)下降
・吹雪となれば下降点の発見に苦労する = 地形図、コンパス、ビバーク用品必携
10)装備
・濡れ対策 透湿防水手袋
・アバランチギアは、使わなくて良いときしかそもそも登らない 第一の雪崩対策=状況判断
≪関連記事≫
労山の雪崩講習会に出てきました
雪崩講習会の記録
雪崩れ事故を防ぐための講習会 Day1
雪崩れ事故を防ぐための講習会 Day2
2013年11月23日の立山真砂岳での雪崩事故
この事故は、新雪後の晴天という、行ってはいけないという雪崩専門家の常識なのに出かけてしまった事故のようでした。
山岳会のビーコン講習 2014年
同じく 2015年
豪雪のタカマタギ
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