■冬の雨
今日は甲府は雨だ。最近天気図がカラーになった。今年は温かく、今日なんて、甲府は気温が8度もあり、冬と思えない温かい雨だ。
でも、3年前も、こんな調子で、温かい雨の中、鳳凰三山に出かけた。
鳳凰三山は、9割が樹林帯だ。だから、雨の影響はそう大きくない。雨風は樹林帯の中では、吹きさらしではないことを、それまでの山で学んでいた。
しかし、3年前は、初めての山で雨だったので、緊張は解けなかったし、解かなかった。緊張は良いモチベーションだ。ただ小屋泊だし一般ルートなので、そう心配はしていなかった。
ザックには、細引きを付けたツエルト、コンロ一式、シュラフカバーに入れたスリーピングバッグが入っていた。
万が一があれば、すぐビバークできる、という体制を作っておくのは、冬山では、基本だ。別に冬の雨の日でなくても。
登ると、降りていく人との擦れ違いが多かった。すれ違った中高年登山のリーダーが見せた表情は、「オレ一人だったら行けるんだが・・・」と物語っていた。
今なら、あの表情の意味が分かる。ビビッている人に無理をさせてはならないのだ。後続の人は、うつむいていて、典型的な人の後ろをただ歩くだけの人のようだった。
登山は、恐怖を適切な理性で乗り越えることを愉しむ遊びだ。
だから、怖いという感情を大丈夫だという理性的な判断で、乗り越えたときに、とても大きな喜びがある。
あの日の鳳凰三山の冬の雨は、山が仕掛けた、見せかけの脅しだった。実際、この日、気温は高かったので、冬山としては、雨以外は厳しくなかった。
夫は、シュラフを持たず、普通の八ヶ岳の下界より温かい小屋泊を期待して行った。小屋泊でも、シュラフは持たなくてはならない。シュラフが持てなくても最悪、シュラフカバーだけでも持たなくてはならない。
■ 無理と無理でないは難しい・・・
無理とチャレンジの峻別は実際難しい・・・。
甲斐駒の黒戸尾根は無雪期でも、正直な所、夫には無理では?と思う。
梯子が連続し、高度感があるからだ。それに私は人のスキルは低めに見積もるほうだ。高めに見積もって怪我になると、困るので・・・。
でも、先日夫は、湯河原幕岩の岩の取り付きは3級くらいあったけど、怖がらずに登っていたしなぁ・・・。彼はひょろ型体系なので、岩、実は得意かもしれない。
だから、岩っぽい山も避けずに行けばいいのかもしれない。
でも一方で、人は自分が簡単にできたことは、他の人にも簡単にできると思いがち・・・私のカンタンは、夫のカンタンとは違う。だから、簡単だと言って無理強いするのは良くないことだ。
恐怖心というものは、扱いがやっかいだ。心の幻影が真実を作るから、怖い、と思ったら、物事は怖くなる。
よく引き出される、たとえ話に、荒縄がある。闇夜にとぐろを巻いているヘビと見えたもの・・・それは夜が明けてみたら、単なる荒縄だった、という話。
登山にはそれと似たところがある。思い込みを解消するのは、とても難しいことだ。
■ 登山は自分で自分の自信を積み上げる活動
それでも、登山は、(自信がない)から、(自信がある)に、裏返ることが楽しいという活動だ。
自信をコツコツ積み上げていく・・・
その”自信”は、誰でもない、本人だけが積み上げられる活動だ。
≪一回目の鳳凰三山≫
http://stps2snwmt.blogspot.jp/2013/01/3.html
≪2回目の鳳凰三山≫
http://stps2snwmt.blogspot.jp/2013/12/blog-post_31.html