Thursday, August 7, 2014

山岳ドクター 15人いても活用されず・・・

■ 山岳ドクター 15人いても活用されず・・・

おととい、TBSの報道番組NEWS23で、国際山岳医が紹介されていました。

「遭難多発“救える命” 山岳ドクターを増やせ」という特集です。

めったに見ないTVですが、録画してみました。

■ 指摘

山岳ドクターは日本で15人しかいないそうです。 で山岳ドクターを増やせ!がその主張ですが、山岳ドクターが増えるのは、もちろん、結構なことなのですが、ポイントは、現在存在している15人も、出動していない、という点です。

なぜ、たった15人しかいなくて(つまり、てんてこ舞いに忙しいはずで)、増員が急務とされる山岳ドクターが全然活用されないのか?

は、この特集を見る際のポイント、のような気がしました。

考えられる理由その①

 高山特有の健康留意点って、別にプロでなくても、1時間程度の机上講習で学ぶことができる(だだどこの岳連もやっていないけどね~、講習そのものを(^^;))

 ≪関連記事≫ 大町の夏山机上講習   

           その内容の概要
   

考えられる理由その②

 下界での医師不足で、山岳遭難に回るより、下界での治療でより医師の存在が求められている

考えられる理由その③

 経済的問題。 山岳ドクターが高額。 医師としても収入にならない。
 季節により、出動頻度も違うので、常駐しているわけにも行かないのでは?

考えらえる理由その④
 
 医療との連携がうまく行っていない。山岳ドクターと言え、通常の医療現場にいれば、今携わっている医療を放り出して、山岳救助に向かえない。

■ 日赤の救急救命講習を受けましょう

大町の山岳総合センターの『リーダー講習』では、日赤の救急救命法を受講することが、必修です。

つまり、登山でリーダーをやるような人は、全員、これくらいは知っておきなさい、ってことですね。

逆に言えば、知らなかったらリーダー失格。

で、日赤の救急救命法は、日本の救急救命のスタンダードです。 日赤ってエライですよね。

地味で、人々にあまり顧みられない、けれども、大事な活動をコツコツと続けています。

大体、ダサくて地味なことほど、実は大切なことです。



≪関連記事≫

日赤の救急救命 受講1日目

救急救命法 ガイドライン

お母さんになるのは、誰しもが不安なものですが、日赤では子供の救急救命もやっているので、お母さんになる前に受けておくと安心かもしれません。

日赤に救急救命講習のリピーター率はとっても高く、内容はすごく良いです。 一回受けておくと次回から、継続的にお知らせが来ます。 かなりおススメ☆

■ 水を飲みましょう

最近では、夏山の一般登山者の主力の、中高年が高齢者にシフトしています。

つまり、60代だった人たちが、70代、80代に突入しつつあり、そういう人たちが、山で持病を発病する事例が増えています。

大雑把に

 若い人 ⇒ 転滑落事故
 高齢者 ⇒ 持病・疾病の発病

発病を誘発する原因NO1は、水を飲まないこと、です。

古い山ヤさんは、水を飲まないことに美学を感じていますが、それは捨てましょう。2%の脱水で、10%のパフォーマンス低下、というのが、山岳界の最新常識です。

高度による、空気の薄さは受け入れるしかないリスクですが、脱水は予防出来ます。

持病の発病は、つまり 「いつまでも若くないんだよ」

ってことなんですが、三浦雄一郎さんがもてはやされるように、高齢者の心理的ニーズとして、一番根強いニーズは、

  老いには直面したくない

というものです。 私もヨガを教えているから分かります。

ただトレーニングで、老いを遅らせることは出来ますが、停止させることはできません。当然ですよね。 老いとの戦いに必死すぎると、自分の老いを、愛すべき、肯定すべきもの、とは感じられず、トレーニングの失敗と、とらえることになってしまいます。トレーニングは、気持ち良く老いるためのもの、という位置づけの方が良いと思います。

老いは、誰にでも起こるものです。老いを敵視したり、老いをネガティブにとらえる、その視点そのものこそ、狭量というものです。

■ 皆がOnly1の時代

山が大きければ大きいほど良い、困難であれば困難なほど良い

という、画一的な価値観を捨て、「面白い山」を目指せば、山は、老いた人を追い返す存在ではなく、むしろ、寄り添ってくれる存在ではないか?と思います。

そもそも、オーソドックスなアルパインの本流だって、今、行き詰まりの時代ですしね!

何しろ、ピオレドール賞だって、NO1を決めるのを辞めました。全隊受賞、と言ったり、マルチプルアワード、と言ったりしています。 要するに、「優れた登山」をしている人には、みんな賞を上げましょう、と言う話です。

一番をつけれない、とか、一番をつけない、というのは、価値観の多様性、が、アルパインクライミングの本流においても、重視されようになったからです。

今はオイラがNo1の時代ではなく、皆がOnly1の時代です。

ちょっと話がずれましたが、古い価値観の転換はすでに起きていることだ、という話です。山岳ドクター増員の話は、たぶん古い価値観に属し、皆が日赤救命救急講習を受ける世界は、新しい価値観に属すのではないか?と思うのですが、どうでしょうか?

こんな素晴らしい講習を格安で受けれる国は、ホント日本くらいです。素晴らしい国です。

≪山岳医サイト≫
登山事故を防止するための体力科学的な研究

山岳医療情報



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