■山は総合力
山は総合力なんだが、そのことが分からない人は多い。
というのも、総合力って言われても、漠然としていて、つかみどころがないのがその理由だ。
総合力その1は、行き先を自分で選べる力だ。
ガイドブックを見ても良いから、自分の現在の力にあった山を選べなければ、すぐ遭難してしまう。
よくガイドさんの苦言にあるのは、高尾山に行って、その次にすぐに北穂に行ってしまう若い人など。それを自分で選べない人が増えているのが、昨今。
高尾山は山の定数13くらいだが、北穂は60. つまり5倍ほど難しい。天気をシビアに判断しないといけないし、装備もそうだ。
自分に何が出来て、何ができないのか、見極める力、が必要だ。
■ 本チャンクライマーを作る、現実的なプラン
私は今年がマルチピッチ1年生です。一般的に登山をする人は、クライミングをしないので、クライミングは元年です。
最近、北岳バットレス第四尾根を目指して頑張っていますが、1シーズン目での達成には、無理があると結論しつつあります。
一般に
1年目: 単純にスポーツクライミングを愉しむ
2年目: 外岩スポーツルートのリードを開始: (クライミングを始めてから1年後)
3年目: アイスのリード、マルチピッチのリード
となるのが、現実的で、無理のない自然な進捗のようです。そうこうしているうちに、先輩に色々連れて行ってもらって、
・マルチピッチのクライミング自体の経験値を積む
となるのが理想でしょう。マルチピッチは特に経験だと思います。
私の経験から行っても、バリエーションは一般ルートと違い、現場でしか分からないことが多いですから。
会の女性クライマーは、マルチを自分でリードしようと意識し1年かかったそうです。
逆に言えば、プレッシャーではない、内発的な自覚を期待するためには、漫然とよく分からないまま、セカンドとして、先輩の後について、丸2年くらいは、経験値を積むために下肥として、入れてやる必要があるわけですね。
もちろん、そのまま漫然と先輩について歩くと 万年セカンド、になりますから、漫然とではなく、意識的に、自分がトップで登るつもりのほうが上達がより速いわけですが、特に早くトップを登れと言うプレッシャーを与えなければ、自分でトップを登れるという自信が、自然発生的に生まれるのに、これくらいはかかるという意味ではないでしょうか?
クライミングの筋肉は3か月ではつきませんし、マルチではスポーツクライミングのゲレンデと違って落ちれません。
≪本チャンつるべデビューの条件≫
①外岩スポーツクライミングのリードで10a
②支点の作成や懸垂下降が正確に行える
③危険予測が出来る(落石、天候など山の総合力)
です。
そのために必要な経験、を蓄積するために必要な期間が
・楽しいクライミング1年
・意識的な外岩リード1年
だと思います。
三つ峠マルチピッチをセカンドで1度、連れて行ってもらっただけで、2度目にリードしている私は、急ぎすぎだと結論しました。
私は、登山から、一つ一つステップアップしてきた登山者なので、危険予知能力が優れています。
その危険予知能力と言うのは、このままのペースで行けば、怪我をするな、とか、このロープワークの稚拙さで行くと、時間がかかりすぎ、ヘッデン下山になるな、などを含めた危険予知能力です。
ほとんどのセカンド専門登山者の人に欠けているのは、これです。なぜ危険が認知できないのか?というと、ずっとトップに何もかもお任せなので、
自分が出来て、何ができないのか、見極める力
と
そのために自分でプログラムを考えて努力する力
が欠けているからです。 単純に言えば、独学力、です。
もちろん、教えてもらわないとできないことは教えてもらう、という判断を含めて、の独学力、です。
上記の本チャンつるべデビューの条件を考えてみると、私は
①スポーツルート まだ5.7リードレベルです。今は5級マスターを目指しています。
②支点、懸垂下降は、アルパイン1年生としては十分なレベルです。
③危険予測はできますが、予測できた危険に対応する力が、未対応かもしれません。
四尾根は途中で敗退しても、登っても同じくらい時間がかかってしまい、逆に敗退の方が、落石などの危険が大きく難しい、というリスクがあります。
となると、落雷が迫ってきそうだったら、ぬれねずみでビバークするしかなくなります。
時間切れで夕方になってしまったら、夜間登攀はありえないので、またビバーク。
ルートを間違ってしまったら???ビバークして済めばいいけど、進退窮まりますねー。
ギリギリ山頂についたとしても、一般道の下山も夜間は危ないので、できれば、しないほうが好ましい、となると山頂ビバークです。
①はそう急いでもつくものではありませんし、何より、自分の登攀力は、自分自身を守るものです。
他の二つは自分を含め、パートナーを守るものです。
No comments:
Post a Comment