インパクトフォースと言うのは、衝撃荷重という日本語に訳されています。
つまりバンジージャンプのように人が落ちたときに、落ちたものが受ける衝撃のこと。
誰でも想像すれば分かりますが、ゴムにつながったものが落ちると、びよーんとなって落ちたものは壊れない。
けれども、伸びない紐でつながっていて落ちると、人体は紐から真っ二つにちぎれてしまいます。
昔のロープは スタティックロープ、つまり伸びない紐だったそうで、そういう場合、クライマーが落ちると、胴体がちぎれてしまいます…(汗)
今はそういうことがないように、ゴムと同じく伸びるロープが使われているそうです。
まぁだから、クライミングロープはゴムなんですよね。伸びる。
■ 怪我を防ぐため?
しかし、そうは言っても、落ちれば、びよーんとなっても、衝撃は感じるはずですよね?
人体がギリギリ耐えることができる衝撃は12kNだそうです。前に岳人の連載に載っていました。国立登山研究所の確保理論のテキストにもそう載っています。このテキストは、コンパクトに必要な知識がまとまっていて、超おススメです。
国立登山研究所の確保理論のPDFへ Go!
しかし、12kNというのは、ギリギリ耐えられるというラインで、8kNでも人体は腰椎骨折などの憂き目に合うのだそうです(>0<)。
高所特殊技術の広場
こちらのサイトには8kNでギリギリでも墜落で、半身不随、とあります。怖いですね。
8knというのは、ロープの衝撃荷重が大体そのくらいで合格ラインにされています。が、人体にかかる衝撃は小さければ小さいほど良いわけで、もっと小さいといいですね。でも、そうすると今度は伸びが大きくなり、つまりたくさん伸びる=グランドフォールしやすいということになります。
伸びと衝撃吸収能力は、相反する性質です。よく衝撃を吸収して伸びないロープ、なんてありません。
私の買ったロープは伸び率が36%~28%くらいあるので、10m出していたら、3m伸びてしまいますね。けっこうたくさん落ちるので、流さなくていいロープかもしれない。
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【衝撃荷重】 1=7.8kN、½=5.9kN、∞=9.0kN
【対墜落回数】 1=5、½=15、∞=37
【伸び率】 1=36%、½=32.3%、∞=28%
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そして、ツインの使用では、インパクトフォースが9Knです。つまり、ツインで使用していて、落下係数2で墜ちたら、腰椎確実にダメですね。
■ 腰椎骨折?
墜落で多いのは腰椎骨折です。まぁ腰で支えるロープにつながっているので、理解できる話ですよね。
つまり落下するときは、頭が下にならないようにしないといけません。
腰椎って…腰痛と同じで、強さは背筋力と正比例です。
一般に女性の方が男性より腹筋は弱いですが、男性の場合は体重もリスクになります。
妊婦は腰痛がつきものです。それはお腹が出るとそれを補うように腰椎が反るからです。それと同じで、メタボでお腹が出てくると、腰痛がつきものになります。
で、落ちたときに、腰椎骨折する人としない人の分かれ目も、腹筋です。
≪実験≫
1)ハーネスにぶら下がる
2)頭を下にする
3)元の座った体制に腹筋で戻る
つまり、これがクライミングで体型で人が差別?(笑)を受ける理由ですね。お腹が大きく、体重が重いと、ビレイヤーが大変なだけでなく、本人もリスクが大きいのです。
体幹の力を鍛えましょう!!!
余談ですが、お腹をへこますには、お腹が元のサイズ以上に膨らむほど食べない、が基本です。人間は自分の今持っている腹筋で押し戻せないほど胃を膨らませるようには作られていないみたい・・・
■ 目撃事例 3つ
私は、プロのガイドさんのアイスクライミングの講習を受けたことがあるのですが、プロなのにチェストハーネスをつけていました。
後ろの人はチェストハーネスしている |
それから私の師匠もアイスではチェストハーネスしています。
ツールラックを兼ねているそうです。
世界に名だたるビッグウォールに行ったクライマーや、K2経験者ってクライミングは上級者というか、上級を超えて、クライミングの本を書くような人ですから、熟達者のはずです。
熟達者がチェストハーネスがいるっていうのなら、初心者はもっと必要なのでは…(^^;)?
というわけで、探し回ってマウンテンダックスのチェストハーネスを買いました☆ 定価4000円弱でした。
私は体幹の力は標準と比べ少ないほうではないと思うし、体重も重くはないですが、落ちない自信はない。
ので、作戦は、小さな金額で買える安心は買う。お金で買えない安心は頑張って勉強する、です。
このダックスのチェストハーネス、今、品薄で、あちこち探し回らないと手に入りません(^^;)。メーカーも次いつ出す予定か、”予定は未定”だそうです。
私はへたくそなので、”普通はコケないよな~”ってところも、やっぱりヘルメット!って感じです(笑)
プロだってそうしているんですから、何も恥ずかしいことはありませんよね!
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