せっかく今年は雪崩講習も受けたのですが、その知識を自分の身を守ることに生かせるか?というと、なかなか難しいです・・・。
■ 春山の雪崩
春山の雪崩は、危険があるものとして、誰もが第一に思いつくのは、全層雪崩です。 全般的な気温上昇で緩くなった雪が大地を削る、雪崩です。
雪崩れには
・点発生 vs 面発生
・全層 vs 表層
・乾いた雪 vs 湿った雪
の区別があります。
春の雪は、湿った雪です。そして、怖いのは、点発生より、面発生の雪崩。さらに表層雪崩より、もちろん雪の量が多い全層が怖いです。
今年の春山では、いくつかのタイプの雪崩を見ました。鹿島槍鎌尾根では、ちょっと判断に悩む雪しわや雪割れがありました。
それらを考察します。
■ 点発生表層湿雪雪崩
この写真は、リッジを歩いた刺激で、点発生の雪崩が起った後を示しています。この日の雪はぐずぐずの湿り雪です。冬靴の中まで ぐちょぐちょ。
この日は、予報での気温が 6時で-1度、12時で5度と気温が高いです。(実際の気温って山では計りにくく、一応温度計はあるのですが、体温などを拾ってしまって相対的目安くらいにしかならない・・・)
ちなみに この日前後の予報での気温はこんな感じです。
5/1 0:00 0℃ 6:00 -1℃ 12:00 0℃ 18:00 0℃
5/2 0:00 -1℃ 6:00 -1℃ 12:00 5℃ 18:00 2℃
実際、入山した5/1の夜は、取り付きの幕営地では、夜半は雨でした。山頂付近は雪だったようです。おそらくこのくさび型にきれいにはがれているのは、前日降った雪です。
実際とっても雪が緩く、完全に濡れた雪でした。 手袋が雪で濡れ、絞ると水が絞れるくらいです。
登りでも、かなり雪が緩く、自分が歩いたところから、点発生の、雪崩の支流が起き、それが谷に向かって、本流になって雪崩れていきます。でも、速度は遅く、スローモーションな雪崩でした。
ただ結論から言うと、この雪崩は危険性は小さかったのでは?と思います。 こちらのサイトから考えました。
参考サイト: http://nadare.jp/knowledge/index2.html
参考サイト: http://nadare.jp/knowledge/index2.html
≪点発生ではどうか?≫
・点発生雪崩の場合、警戒すべき場合は、乾雪の雪崩。今回は湿り雪。
・点発生雪崩でも、地形の罠が組み合わさることで雪崩リスクは増大するが、今回は地形が扇状に広がる地形で、追い込まれる地形ではない。
≪表層雪崩はどうか?≫
・表層雪崩で危険があるのは、雪の量と重さの問題。湿雪でかつ、量が多いと、大変危険。
・今回は、表層雪崩が起っているものの、量が少ないため、危険の量としてはそれほど大きくない。
・ただし、夜半に気温がゼロ度を超える場合は、要警戒。
・夜間を通して0℃以上の気温、強い日射やまとまった降雨は、湿雪雪崩に関係する典型的な気象状況。
今回はこれに当てはまるようです。強い日射と高い気温。
ーーーーーーーーーーーーーーーー
●湿雪の点発生表層雪崩
降雪や吹雪の直後に、強い日射が当たった場合に起こりやすい。 急激な温度上昇や降雨の場合にも起こりやすい。 これは新雪が水分を含むと、粒子同士の結合が日射によって選択的に溶かされて、効率良く「ざらめ雪」(=雪の粒子の球形化)が作られる理由による。
更に新雪は多くの水分を保持できる為に、「濡れざらめ雪」に変態して、流動性が高まって崩れやすい。 ゆえに急斜面やルンゼに陽が当たり出すと、起り始めることになる。 このパターンは、寒い夜間や早朝は寒気で融雪が完全に止まっており、比較的安全と言える。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーー
■ 怖い!雪割れ、雪しわ…全層雪崩の予兆
私がこの雪崩より怖いなと思ったのは、雪割れです…
全層雪崩は大規模で大きく、地表までごっそりはがれる雪崩です。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
全層雪崩
表面まで、一度に積雪の全てが崩れ落ちるタイプである。 湿雪雪崩が大半で、通常は発生域にクラックと、下方ではコブ状の「雪しわ」と呼ばれる前兆現象が現われる場合が多い。 最初はゆっくりと動き始める為に、避難することは可能である。 その為なのか、全層雪崩による大規模な山岳遭難の事例は少ない。
今回はこれに当てはまるようです。強い日射と高い気温。
ーーーーーーーーーーーーーーーー
●湿雪の点発生表層雪崩
降雪や吹雪の直後に、強い日射が当たった場合に起こりやすい。 急激な温度上昇や降雨の場合にも起こりやすい。 これは新雪が水分を含むと、粒子同士の結合が日射によって選択的に溶かされて、効率良く「ざらめ雪」(=雪の粒子の球形化)が作られる理由による。
更に新雪は多くの水分を保持できる為に、「濡れざらめ雪」に変態して、流動性が高まって崩れやすい。 ゆえに急斜面やルンゼに陽が当たり出すと、起り始めることになる。 このパターンは、寒い夜間や早朝は寒気で融雪が完全に止まっており、比較的安全と言える。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーー
http://www011.upp.so-net.ne.jp/CAC/soshiki/koushuu/nadarekiso.htm より引用。
■ 怖い!雪割れ、雪しわ…全層雪崩の予兆
私がこの雪崩より怖いなと思ったのは、雪割れです…
全層雪崩は大規模で大きく、地表までごっそりはがれる雪崩です。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
全層雪崩
表面まで、一度に積雪の全てが崩れ落ちるタイプである。 湿雪雪崩が大半で、通常は発生域にクラックと、下方ではコブ状の「雪しわ」と呼ばれる前兆現象が現われる場合が多い。 最初はゆっくりと動き始める為に、避難することは可能である。 その為なのか、全層雪崩による大規模な山岳遭難の事例は少ない。
=雪温は0℃、気温はプラス
特に狭い谷筋では逃げ場が得られず危険となる。 このパターンも、寒い夜間や早朝は寒気で融雪が完全に止まっており、比較的安全
全層雪崩は、気温の最も上がる12:00~15:00が最多で、次いで9:00~12:00が多いという特徴を持っている。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
総合すると、5/2の、雪崩れリスクは比較的、低かった、といえそうな気がするのですが・・・。
岳沢も、鹿島槍大冷沢も比較的、広い沢で逃げ場があるので。
■ 全層雪崩?
実は、岳沢で見ています。 西穂高沢の隣の、間ノ岳沢が今年は全層雪崩をしており・・・すっかり土色です。
両隣の沢はどちらもしっかり雪が付いているのに・・・ 一番右は天狗沢、土が見えているのが間ノ岳沢、その隣の隣が西穂高沢。
私はこういうのを見ると、全部詰めてみたくなるのですが・・・みんなはならないかなぁ・・・。
しかし、なんで間ノ岳沢だけが全層なのか? よく分かりません。
しかし、まとまった降雨の後などは、積雪層がすべて雪崩れる面発生湿雪全層雪崩に注意。
No comments:
Post a Comment