Friday, May 23, 2014

自立したセカンドになるためには何が必要か?

■ 下地作り 自立したセカンドになるためには何が必要か?
 
セカンドで、先輩について岩登りのルートに行くことができる、というのは、初歩の初歩ですが、それでも、クライミングシステムがどうパートナーの安全を確保しているのか?の理解が出来ていないと、先輩は”登攀ガイド”状態になります。 クライミングスキル以外も、何から何まで面倒みないと行けなくなる。

そのような状態を避け、少なくとも”自立したセカンド”になるためには何が必要か?

ということを考察したいと思います。

連れて行ってもらえる自分づくり、ですね。

■ 岩4回目 + 下積み1年

昨日は、人生4回目の岩、人生3回目のマルチピッチでした。

岩1回目: 十二ヶ岳の岩場 アイゼントレにて、マルチ壁下部岩壁1ピッチをマルチピッチセカンド、フリーはTR
岩2回目: 三つ峠マルチピッチ 右フェイス3Pをセカンド、中央カンテ2Pをセカンド、懸垂下降
岩3回目: 十二ヶ岳の岩場 マルチ壁下部岸壁 つるべ2回 フリーは5.7リード、5.8TR
岩4回目: 小川山 屋根岩2峰セレクション 7P 

こういうのを分かりたい人が適性がある人
小川山屋根岩2峰セレクションは小川山マルチの入門ルートで、これが岩のマルチピッチらしい最初の一歩といえると思います。

何しろ、ホントのルート名があるのはここが初めてです。

これ以前に、学んだことは、ある意味、安全に先輩にくっついて登るための下地作り、といえると思います。








≪下地作り時代の山≫
乾徳山: ハイキングにて、人生初の懸垂下降1回。10m
ロープワーク講習会: 自分で主催 5回連続講座。結びの確認、宙吊りからの脱出練習など
・雪上訓練: 長野県山岳総合センター講習会
・危急時訓練講習会: 長野県山岳総合センター講習会
芦川横沢: 初沢登にて、敗退の練習。懸垂下降、つごう4回。

今年の冬はアイスクライミングのルートも2つ行っています。マルチピッチのクライミングシステムは同じです。私はマルチデビューが沢とアイス。岩は後回しでした。

広河原沢左俣: アイスルート セカンド、またはサード、トップはフリーソロ。懸垂で敗退。 
中津川滑沢: アイスルート  セカンド、一部リード、懸垂で撤退。

これらは敗退を学ぶ上で大事な山行でした。 敗退=自分で自分のケツが拭ける、です。

初心者は敗退をまず学ばないといけない。

ちょうど、まったくカラビナが何か分からない初心者状態から丸一年です。純粋な岩登り技術的には、今回のマルチルートは、Aゼロしたので、ちょっと背伸びもありましたが、将来何ができるようになるために、何をするべきか?が理解できました☆

■ ガチ山1年生

新人育成は、教わる人がアップアップにならないように、急がないことが大事かも?

易しく段階を追って、理解を確実にしてやって行くことが大事、と思います。

つい登りたがっている人は登らせてあげたくなります。が、それは本人のためにならない。

早く成長させよう!と思っても、ロープワークの理解は1年くらいかけたほうが良いかもしれません。

私は半年前の12月に黒富士でワンピッチのリードをしたり、シーズン初めに阿弥陀中央稜でワンピッチのリードをしたりしたときは、まだ自分がやっていることが正しいのか?フォローや自分の安全を確保できているのか?不安がありました。半年ほど前です。

本人が何かわかっていないことがあるのではないか?という不安がある状態での岩は危ない。 落ちたら死ぬからです。

やはり、体験レベル ⇒ 入門レベル ⇒ 初心者レベル ⇒ デビューと進むのがよいと思います。

つまり、デビューするまでに、たくさんの小さなステップアップが必要、ということですね。

また、このデビュー以前のプロセスで一生マルチに連れていけない人も出てくると思います。

体験レベルと入門レベルで習ったことを反復練習し、理解している人だけが先に進めるようにしないと本人が墜死してしまう。

言葉は悪いですがふるい落とさないと、本人の命もがアブナイ。事故を起こしてしまうかもしれません。

意欲がなければ、教えても、依存状態になり、”自分のケツが自分で拭けるヤツ”になりません。

私の場合を例に、これくらいは必要なのではないかというプロセスを考察します。 

☆レベル1) ガチ山101

 1)カラビナ懸垂を教わる 懸垂下降すると言っても10mを一回だけ。
 2)講習会など安全な場所で、基礎のロープワークを教わる。ムンター、クローブヒッチ、エイトノット。
 3)講習会など安全な場所で、懸垂下降とスタカットを教わる
 4)講習会など安全な場所で、立てるところでスタカットを初心者同士でやる
 5)公園など安全な場所で、基本のロープワークを練習する機会を設ける。(5回コース)

・ここまでは、完全に安全確保について理解し、クライミングの言葉を理解する。


☆レベル2)ガチ山106 ガチ山女子0.5年生

 6)山など、リアリティがあるが立てる場所で、1ピッチのスタカット(支点を含め)と懸垂下降を行う。

・まずはクライミングシステム理解の確認
・懸垂下降を体験

☆レベル3)ガチ山 107 ガチ山デビュー夜明け前

 7)歩けるくらいの易しい傾斜のルートに出る。トップ時はフリーソロできるくらいのところでセカンドを 確保する。

・12ヶ岳レベル
・知識を実践につなげる。
・ロープワークの確実性を上げる

☆レベル4)ガチ山 108 ガチ山デビュー、秒待ち

 8)歩けない斜度があるルートにでるために、クライミング力開発に力を注ぐ。

・三つ峠右フェイス一般ルートレベル
・やっとクライミング力が課題となる段階へ。 最低でも5.9くらい
・岩でのマルチがどのような感覚か、なぜクライミング力がいるのか理解するためにゲレンデを経験する

☆レベル5)ガチ山入門レベル 

 9)小川山ルートデビュー。

■ じっくり時間をかけるべし!

これで1年くらいかけたのは、正解だったと思います。

マルチの岩ルートに出るまでの下積みは、長いほうが安全度が絶対に増すと昨日は確信しました。

体験レベルに半年、入門レベルに半年で、初心者レベルに到達する以前に1年かける。これくらいは必要かも?と思います。

というのは、私は、一般の登山者と比べると、かなり勉強熱心なほうで、ブログも見ていただけると分かりますが、かなり本などで、独学しています。

・・・が、そんな私でも1年かかったからです。

そこまで登山に情熱がない人だったら、2年かけても、デビュー戦で死ぬよりマシですよね?

ときどきガイドさんの入門者講習で事故があります。聞くと、「セルフをとって」と言われて、セルフを解除してしまい墜死する、というようなケース…つまり、本人がクライミングシステムを理解していないってことです。そうなるよりマシですよね?

今の人は、自分で自分の安全を確保し、”自分で自分のケツが拭ける”ための技術をお金で解決しすぎのようです。

クライミングでは、自分の安全はお金では買えない。自分が理解するしかない。

今回、先輩は私がムンターで先輩を確保した時、なんかうれしそうでした。それは私がロープワーク自体には不安がなかったからではないかと…。

この先輩からは、結びを習ったわけでも、システムを習ったわけでもないので、先輩としても、どのような段階の場所に連れて行っていいのか?分からず不安だったでしょう。

となると、連れて行くときは、自分が登攀ガイドになって全部の面倒を見る覚悟で(つまり命がけで)連れて行ってくれている、と思います。

いくらクライミンググレードが高く登れても、ロープワークに不安があると、相手側の安全が確保されていないので、組む側は危険が増します。

本来は、自分を危険に陥れる人とは登るべきではない。

しかし、クライミング力はグレードで表現できても、クライミングシステムを理解しているかどうかは、その人に聞いても分かりません。

今は、そこは誰もハッキリ言わない。そして、ちゃんと理解している人を探すにも、ゲレンデなどに誘って、一か八かを受け入れているようです。びっくりですね!私は無理だな~。死にたくないですもん。

実際、私はアイスのゲレンデに行った時、組んだ人がトップロープのビレイのセットをわかっていなかったので、すぐビレイヤーは遠慮してもらい、別の人に頼みました。

■ 技術の冗長性も必要!

私は、先日相方にセカンドの確保を教えたとき、確保器を使用した現代的に進化した道具を使った確保が、初心者は安全だと思いました。墜落しても止まるからです。

が、そういう入り方で習熟するのとは別に、技術の冗長性を初心者も身に着けておくべきだ思います。

昨日は自分自身、それが身についていて助かりました。カラビナ懸垂です。

安全確保を主眼にすると、セカンドオプションとして、道具を用いない、カラビナとロープだけを用いた技術を、オプションとして知っており、熟練ではなくても、”何とか使用できるレベル”にしておくことは、岩ルートデビューの条件だと思いました。そうでないと、何かあったとき、”自分のケツを自分で拭けなく”なります。 確保器落としたくらいで、ヘリは呼べない(笑)。

カラビナ懸垂、ムンターでのセカンド確保、ローワーダウンなどの基本技はやっておくべきですね!

そこで、どういう内容を初心者は理解しないといけないか? けっこうたくさんになり大変です。

メインロープでのセルフ、クローブヒッチ
≪ガチ山 101~106で学ぶべき内容≫
1)ノット 各種
2)スタカットロープシステム理解 
3)支点構築 アンカー、流動分散 セルフビレイ
4)確保理論 どうして、リードがより危険なのか?など、衝撃と停止について。
5)懸垂下降 カラビナ、8環、確保器、バックアップ、仮固定(途中停止



6)宙吊りからの脱出 プルージック、固定ロープのプルージック登攀

≪ガチ 107≫
1)実際山にいって1ピッチのスタカット&懸垂下降をパートナーと交互でやってみる
2)出来なくても、怖いけど、少なくとも死ぬことはない

≪ガチ 108≫
1)敗退の練習。沢。で4~5mの懸垂下降が続く場所で懸垂下降のなれる。
リードのビレイ
セカンドのビレイ

≪ガチ109≫
1)懸垂支点を作れる 
2)リードビレイ
3)セカンドのビレイ

ここまでできれば、先輩は支点は自分がリードで作れば、確実な支点が作れるとわかっているので、
安心して、セカンドとして後輩を連れて行ってくれる、と思います。

クライミングを始めるには、クライミング力そのものより、クライミングシステムがどう安全を確保しているのか?の理解が重要です。











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2 comments:

  1. こんにちは。
    セレクションに行かれたんですね。あのスラブが怖くないなんてすごいですね。
    このルートをいつかちゃんと、安全につるべで行けるようになりたくて、足りないところを勉強しようかなと思ってるんです。
    うーん、ガチ山101で既にアウトです。

    1)カラビナ懸垂はしたことがない、できる人も周りにいないような、、
    2)8の字はOK、クローブヒッチって何?と思ったけど巻き結びですね。結び替えでロープを引き上げたとき、落とさないよう
    ギアループのヌンチャクに固定するといいよ、と教えてもらって使ってます。
    でも両手でしか作れないから片手の練習も必要。ムンターは使う場面も経験もなしです。
    とりあえずやりかただけ勉強したけど実践と紐付してないからこんがらがりそう。
    3)懸垂下降は、セットされたロープをバックアップとか無しのATCで降りるのはできる。支点は作ったことがない。
    スタカットって、要はつるべのことですよね?
    呼び方の違いに棲み分けを感じます。。
    4)5)これは相手と、内容の把握がキモ。基本の、ロープワークとは何を指すのか。

    週末岩場なので、カラビナ懸垂やってみたいけど、まだ今一つぴんとこないです。

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  2. のりのりさん、こんにちは☆ コメントありがとうございます。スラブは意外に怖かったですよ~! 

    クラミング力があるので、ゆっくり楽しみながら、ガチ山化してったらいいんですよ~。私なんかクライミング力がないので、アタフタです(><)

    1)カラビナ懸垂ですが、カラビナを交互に噛ませるのと、ムンターをつけてのと2タイプあります。私はムンターでの懸垂下降で降りました。
    2)そう!むずびめって色々な名前があるらしくって、ややこしー!なんで統一しないんでしょう?マスト結び、半マストと言う本もあります。私はクローブヒッチとムンターで統一しているのは、山岳総合センターの影響です。アルパインだと片手でクローブヒッチみたい。先輩に褒められ、気をよくしています。クローヒッチができれば、ムンターは簡単なはずですが、これが意外に苦戦するんだなぁ。
    3)支点は作れると便利ですよ!懸垂支点とトップロープ支点はとっても似ているので。バックアップありを使うのは、最初に降りる人のためです。最初に降りる人は降りた先に何があるか分からないから、途中停止したりする必要があるってわけなんですね。
    4)スタカットとつるべ。つるべはリードセカンドが入れ替わる。スタカットはスタカットでも、リードセカンドの役割が入れ替わらない場合がありますが、そっちは名前がないみたいで、なんて呼んだらいいのでしょう???私も分かりません。役割固定のスタカット?LFのスタカット??

    5)基本のロープワークと話を指すのか?もうこれは深ーい話になりそうで、各方面から、喧々諤々の議論になりそうなテーマですよ~

    私は、懸垂下降ができる、支点が作れる、は絶対入るのでは?と思います。

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