今日はちょっと地図読み上の疑問点を確認したくて出かけたのでした。
丸で囲っている部分です。ここは尾根と尾根がぶつかる連結部でコルになっており、東尾根の末端が岩で終わっています。取り付きが課題です。
結論: ここは直登しても、南面に逃げても良い。
■ 尾根の末端は急なことが多い
この黒富士東尾根、尾根の末端は急なことが多いということの典型例で、尾根と尾根の連結部ですが、コルに当たっている東の末端部分は岩で終わっています。
疑問だったのはこの岩の処理でした。 岩は東面からみると、登るのは一切不可能な感じです。西から見てみたかったのですが、降りるのも不可能な感じでした。
前回は北側の谷に逸れ、岩を遠巻きに眺めながら、弱点を探し、一番、短いクライミングで済ませられるルンゼでロープをだし、ワンピッチでした(赤い線)。
ただ私が地図を見て考えていたルートは南面に岩を避けて、その先にある尾根に取り付くと言うことでした。
上から東に進んで降りていくと、この尾根のどん詰まりで岩場に行き当たり、ロープで降りたとしても、降りた地点も結構急で確保がいりそうに見えます。
しかし、地図を見たり、下から登って行くと、南面は平坦なので、南面に逃げてもいいのではないか?と思えます。
南面は岩の絶壁でしたが、その下部を大きくトラバースする方向に鹿道がついていましたので、少し遠回りすれば、歩けそうです。
ただ、今回私たちは、ほぼ直登するルートで岩に攀じ登りました(笑)
岩の基部はもろくて、引っ張ると崩れ落ちそうな岩でしたが、岩から立木が一杯生えており、その根っこに足を置けるので、なんとかほぼ直登。
ここは尾根と尾根の連結部のコルです。結局尾根の終点は急なことが多い、という法則そのままで、その時の処理はどちらかの斜面にトラバース気味に巻いてみて、弱点を探すしかない、と分かりました。
■ 初心者は何が分からないか?
初心者が、何が分からないか?
ということを考えると、まず、
1)地図を見て、どう作戦を立てるのか?が分からない。
と思います。
次に
2)どこを歩いたらいいのか分からない。
と思います。
やっと最後が
3)ルートファインディング
だと思います。 現在地は作戦を立てていれば、地図を見なくても、大体分かります。
■ 1)作戦の立て方
山を歩くとき、基本的には、登りと下りを分けて考えるのが自然な流れです。
この黒富士も
1)まずはピークまで (行程1) 登り
2)次は黒富士峠まで(行程2) 縦走路
3)下山(行程3) 下り
と考えます。
黒富士峠までは稜線なので縦走ですから、登り、下り、に、縦走路、を付け足して、3行程です。
次に登りの工程をさらに細分化します。 これは地図を見ないと作戦が立てられません。
この東尾根は、頂上の1633から3つのパートに成り立っているのが地図から分かります。
1)ピークから尾根の末端、
2)尾根と尾根がぶつかるコルの部分。
3)さらに燕岩岩脈という尾根部分。
地図をみると、黒富士東尾根は、東に出た尾根が、1275から始まる燕岩岩脈に連結しています。
登りですので、下から考えると
1) 取り付き ~ 1275のピーク
2) 1275のピーク ~東尾根の末端
3) 東尾根 ~ 黒富士ピーク
です。 画像では青い線が入っています。
次に 1)の解決を考えます。 「1275へどう行くか?」です。
燕岩岩脈からはよく見ると東に枝尾根が出ています。それがaのピークに連結していますので、まずをそれを使う。その後はしばらく尾根どおりに歩くだけです。bの1275のピークまで。
つぎに2)を考えます。 「どうやって、1275のピークbから次の尾根の末端dに行くか?」です。
まずはbで方向を変え、cに向かいます。初めての場合だとここで西にコンパスを当てます。予定通りコルが出てきたら、cだな、あっているなと分かります。他の方向にコルはないからです。
cから目指す点はdですが、そのまま西へ進むと、dへ行くのに難関があり、岩マークがあります。
この岩の処理は、現地で確認するしかありません。見て考えます。ここが核心部です。
最後に3)です。「eにどういくか?」 もう簡単です。 dから先はまた素直に尾根とおりに歩いていけば自然と山頂1633のeに着きます。
3)では最終的なピークが見えるまで手前のピークが偽ピークで見え、「着いた!」とおもったら、「まだあった」ということになりますが、それより先がないのがピークですので、歩いていれば分かります。
地図を見るとすれば、ちょっとアイゼンをつけたい時に適地を発見するなどの用途です。
■ 2)どこを歩くのか?
もう、先の作戦の立て方、で出ていますが(^^;)
答え)尾根に取り付く
です。 鹿はよくトラバースを使っています。けれど、人間は尾根を歩くのが道迷いの危険が一番少ないです。
ただし岩尾根は尾根の終点ピークから先に行けないくらい急に切れおちていたりします。その上、登るより下るのが難しいので、下れないところを登ってしまい、退路を断たれないようにしないといけません。
■ 3)ルーファイ
基本=尾根を歩く、
けれども、尾根を歩けない、という判断が出たところで、トラバースが課題になります。
基本は、なだらかな方
です。できるだけ登りやすそうなところを探す。
今回は私は、燕岩岩脈のところでルーファイを誤り、行きづまり下に見えている鹿道に降りるのにロープを出しました。あってよかったロープ、ですが、無ければ一旦下って、トラバースし直しです。
尾根上の小さなピークは巻くことが多いです。特に展望がない樹林帯の中のピークは巻かれることがおおいですが、もし左右が切れ墜ちていて、痩せた尾根だったり、岩峰だと巻くことはできません。
結局、人間が歩く道は尾根がいちばんの基本なのです。
尾根通りに行くとアップダウンが多くてしんどいから、トラバースでちょっとサボる、というのが基本の歩き方です。
困難な部分、岩とか、崖とかが出てきたら? 敗退です。
■ 道迷い⇒転落死
山の初心者に地図を読め、地図を読め、とうるさいのは、なぜか?
それは登山の遭難死の4割が、道迷いから崖や谷に転落死してしまう、という経緯をたどるものが多いからです。
しかし、なぜ道に迷ってしまうのか?を考えると、それは、尾根が道であると知らないからではないだろうか?と思います。
登山者の多くは、道を見ていても山そのものの地形は見ていません。
登山道から1m逸れただけで、大変悪いことをしているような気にさせられるのは、高山植物の保護などの植生を荒らす、という事情があるからだと知らないので、登山道がないとどこも歩けない。
特に町で地図を見るときは、道を見るわけですから、道がない山では、何を見ていいのか分からないのでは?、と思います。
というわけで、地図読みの初歩は
1)尾根が歩くべき道であると知っている
2)ピークとコルが現在地確認ポイントだと知っている
の2点ではなかろうか?と思います。
この2点が分かっており、地図を見て、これから歩くルートの作戦を立てられれば、それはもう地図読みは初級を脱したということかなと思います。
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