Tuesday, April 8, 2014

クライミング手順の確認&初心者は何につまづくか?

■ セカンドのビレイをロープアップより先にするクライミングの手順

前に書いた、クライミングの手順ですが、私はロープアップしてから、セカンドのビレイと教わり、『イラストクライミング』にもそう書いてありますが・・・、師匠は逆でやっているそうです。そのほうが合理的だと私も思います。但し確保器だけセットして、ロープのセットは最後に。そうしないとロープが重くなるので。


 ≪単純なクライミングシステム≫
1)アンザイレンする(ダブルの場合は右左のロープを決める)
2)ビレイオン (ビレイヤーもアンカー=ビレイヤーのセルフ、重要!)
3)リードする&中間支点を取る
4)終了点についたら、リードしている人は、デイジーを掛け、メインロープでセルフを取る。
5)セカンドのビレイをセット 
6)「ビレイ解除」とコール。
7)セカンドの「解除」のコールを確認したらロープアップ
8)セカンドの「ロープいっぱい」のコールの後、「登っていいよ」
9)「登ります」・・・・・・

  ★ポイントは、ロープアップ前にセカンドのビレイをセットすること

理由:
1)ロープアップが終われば即登攀になる
2)相手が何をやっているのか解からない時間がなくなる
3)セカンドのビレイ解除があってから間が開かない

なので、セカンドはビレイ解除したらすぐ登り始めなので、ビレイ解除してから、モタモタしてると「早く登って」と言われてしまいます(笑)


■シングルピッチのクライミングとの比較

普通に1ピッチでシングルロープで登るトップロープクライミングしかしていないと、クライミングシステムの全体像が分からないかもしれません。


                              シングル     マルチ
1)アンザイレンする            しないこともある     する
2)ビレイオン                      する        する
3)リードクライム&中間支点を取る        する        する
4)終了点についたら、リードしている人は、   しない       する
デイジーを邪魔にならない箇所に掛け、
メインロープでセルフをとり取る。
5)セカンドのビレイをセット           しない       する
6)「ビレイ解除」とコール。           しない       する
7)ロープアップ                  しない       する
8)「登っていいよ」                しない       する
9)「登ります」                   しない       する  

≪トップロープの場合≫
・ビレイ器にロープが通っていたらOKなので、アンザイレンもしない場合がある。
・登り詰めて、ローワーダウンなので、終了点での作業がない。          

≪リードの場合≫
・中間支点を作りながら登る
・終了点ではセルフを取り、トップロープへの架け替え作業を行う。

というわけで、1ピッチのクライミングで登って降りるだけだと、ものすごーく簡略化できるわけですね。

4)~9)の手順がないわけですし、一番最初に習う懸垂下降がない。

■ 最初に教わるのは懸垂下降

登ることを教わる前に、降りることを教わります。というか、教えるべきです。

というのは、登れても降りれない…降りる方が難しい。登れるより降りれるほうが山では重要。

という理由からです。 

私は沢に連れて行ってもらった時も「敗退の練習です」と降りる方メインで連れて行ってもらいました。

意味が分かっていませんでしたが、登れるより先に敗退できる力をつけないと登りには行けない。登れても降りれなかったら遭難です(><)。

なので、懸垂下降はセカンドだろうが、何だろうが出来なくてはいけない。

まずは、懸垂支点。懸垂支点ができれば、それにビナを噛ませるだけなので、トップロープの支点はすぐ作れます。

なので、”出来るようになるべし”な順番で言うと・・・

1)懸垂下降
2)登ること
3)リード
4)トップロープ支点
5)マルチ

なのかもしれません。 

■ どういう人が最もアブナイか

時々雑誌などで苦言を見ます…「昨今の登る技術ばかりに視点を置いた…云々」

それがなるほど、と思ったのは、登れる人もクライミングシステムの理解がないということが分かったから…。

たしかに…マトリックスを作るとこうなります。

 
 登れる

 登れない
 
 理解している 

 理解していない 

                         
1)登れて、理解している人  
2)登れなくて、理解している人 
3)登れて、理解していない人   
4)登れなくて、理解もしていない人 

で、どういう人がアブナイかを考えると・・・・

                           危険度
1)登れて、理解している人   → リーダー向き 危なくない
2)登れなくて、理解している人 → 登れないので危険な所に行けず、危なくない
3)登れて、理解していない人   → もっともアブナイ  
4)登れなくて、理解もしていない人 → まったく圏外なので危なくない

3)クライミングシステムの理解がなく、一人で懸垂下降出来ず、登れても降りることができない人が一番危ない。

つまり、いうなれば、「自分は登れる」と思っているセカンドの人が一番危ないってわけですね…

そうなると、世の中にあるクライミング教室は、登ることはできてもクライミングシステムを知らない人を作ってしまうので、最もアブナイ人材を量産しているってことになりますが・・・(汗)

マルチのクライミングシステム理解懸垂下降の技術がそれだけ大事だよ、ということになります…

■ パートナーの組み合わせ

私の相方だった女性は、クライミング講習でクラミング力はあるので、クライミング力の無い私とだと、クライミング力があるほうがリードした方が良いので、相方がリードになりますが・・・でも、セカンドの確保がたぶんまだできないし、クライミングシステムの理解が足りないので、トップは登れない…

となると、この二人の組み合わせなら、安全面では、私がトップをした方がマシなことになりますが、私はクライミング力がないので、易しいところしか行けない。

つまり、二人合わせると、1+1=2になっていないで、お互いが足を引っ張り合う関係になってしまいます・・・(^^;)

というわけで、結局、二人だと、相方はシステムを理解し、私はクライミング力を上げるのが課題。

私が相方にシステムを教え、相方が私にクライミングを教えるためには・・・うーん・・・、

・歩ける場所で、マルチの練習をし、
・ゲレンデでトップロープクラミング

かなぁ・・・。

■ ”リーダー”講習

私は大町にある山岳総合センターで、リーダー講習に出たことが初めての講習会でした。

山を教わらないと!と思って、受けた講習が即この”リーダー”講習だったのです。

なぜダブルクオーテーションで”リーダー”としたかというと、これがとても重要だからです。

リーダー=リードする人です。

クライミングの場合、先頭を務めるリードクライマー=リーダーがやるべきことと、フォロー=セカンドやサードの人がやるべきことが大きく異なります。

ずっとフォローで登るなら、

・支点のセットの仕方、
・セカンドのビレイ方法、

を覚える必要がないからです。そうなると、クライミングしていても、クライミングシステムの全体像は見えないわけですね。

たとえば、フィックスロープも同じで、通過するだけなら技術らしい技術は要りません。

一度、講師に散々叱られました・・・。それは、フィクスを通過して先頭にたどり着いたからです。講師としては、張り方を教える予定だったそうです。それは言われていなかったので、単純な誤解でしたが、基本的にリーダー講習ということの意味が分からないのだと講師は思ってしまったのです。

それは正解で、分からないようなレベルの研修生を相手にしている、ということに認識が、その時点では講師になかったようです…それくらい、チグハグな講習でしたが、おかげで独学に弾みがつきました。

たとえば、フィックスロープを張る技術=リーダーの技術です。
・どこに支点を取るか、
・どうロープの流れを作るか、
・どのくらいの強さでロープをピシッとはるか?

などは、経験が要ります。結び目もスリングが使えればいいけど、無ければ、支点となる立木などに直接固定しないといけなくなります。

というわけで、同じ出るなら”リーダー”講習に出ないとダメです…が、私は”カラビナも初めて買います♪”、という段階で出てしまい…(^^;)、あとになって、なぜこの講習会が”リーダー”講習会なのか?を理解しました。

が、他の講習生も私とどっこいなレベルというか、私より不勉強な人が多かったです(ホントビックリしちゃった)。

本来、大町の山岳総合センターのリーダー講習は、山岳会で新人時代が終わり、後進をマルチのカンタンルートくらいには連れて行けるようになるために行く講習だったのかもしれません…(そう書いてあるほうが親切だと思いますけど、書いてない…)

というわけで、最初からマルチピッチのシステムを盲目的になぞることで覚えました…(^^;)

盲目的な覚え方は私にあっておらず、すごく嫌でした。もう、ホント、ビックリしました。確保理論も知らないのにスタンディングアックスビレイですからね~(汗)。

■ 教わらなかった基本

そういう訳なので、カラビナの扱い自体を今改めて学んでいます…

コレです。あまりに当然のことなので、講師も教えることが思いつかなかったんだろうなぁ…。

その1)カラビナは常に狭いほうを持つ

その2)右利きなら、ビレイループにつけている時、安全環は常に左向きにしておく。
    確保器も常に同じ向きで掛ける。

その3)支点に掛けるときは、安全環はその逆で右になる。掛け方は常に同じ操作にしておく。

私なんて、クローブヒッチを作る時、ロープを上からかけるか、下からくぐらせるか?どっちが良いのか?そんなことで躓いていました…(^^;)

ああ~大変だった。

≪関連記事≫
懸垂下降の復習  http://stps2snwmt.blogspot.jp/2013/05/blog-post_29.html

クローブヒッチの作り方 http://stps2snwmt.blogspot.jp/2013/04/blog-post_6259.html

つるべ方式 http://stps2snwmt.blogspot.jp/2013/05/blog-post_20.html

自己確保の考察 http://stps2snwmt.blogspot.jp/2013/05/blog-post_21.html

自己確保の考察2 http://stps2snwmt.blogspot.jp/2013/05/blog-post_4463.html

支点の研究 http://stps2snwmt.blogspot.jp/2014/01/blog-post_7244.html

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