Tuesday, May 19, 2015

読了 『ザイルを結ぶとき』

■ 工事中

最近、家の前でリフォーム工事をしており、けたたましい音で目を覚まさせられる。

大阪では、工事をする場合は周辺の家に連絡が来る。工期も連絡が来るし、大きな音は午後に出すようなスケジュールだ。ところが、甲府は田舎なので、そういう洗練されたことはやらない。その上、太鼓のように鳴り響く建物の位置関係にある、ということを大工さんらが自ら気が付く・・・という習慣や経験もないようで、大声でウルサイと言ってやらなければ、話声をひそめることさえしないで、何もかもが筒抜けだ。

土地柄として、それほどに呑気で平和だ。素朴というのは、一般的には良い意味で使う言葉だろうが、わたしには甲府の素朴さは、子供っぽい自己中心性に見える。

そういうわけで、家の中から逃げ出す必要があり、昨日は本を持ってスタバに逃げ込んだ。図書館は月曜はどこも休みだからだ。

■ 奥山章 『ザイルを結ぶとき』

それで、読んだのが奥山章の『ザイルを結ぶとき』。

『二人のアキラ』の数珠つなぎ。 奥山章さんの本の方は、山岳会に提出した記録をまとめたものなのではないか?という感じがするカジュアルな文章だった。

大きないびきが上顎ガンの前兆だったとは・・・奥山さんは、ガンに絶望にして、自殺してしまうのだが、その死の引き際が気弱な気がして、男性らしさをある意味感じさせる。男の子の赤ちゃんの方が病気に弱かったり母親にべったりで甘えん坊だったりするのと同じ感じだ。

印象に残ったのは、沢ヤの登山風俗。戦後すぐの沢ヤは、女物の赤い下駄を履いていたのだそうだ。着るもの、持ち物というような風俗を歴史順に並べたらきっと面白いだろう。

フリーの方でも昔はピッタリとしたサイケデリックな柄のタイツを履いていたそうで、ちょっと前にアメリカの雑誌でも、冗談っぽく取り上げられていた。登山なのにラガーシャツを着ていた時代のこともときどき雑誌に見かける。

北岳バットレス中央稜の積雪期登攀は、複数の会にまたがる人たちのパーティだったそうで、それが特に当時としては革新的なことだったようだ。

滑落で首にロープが巻きついて死んでしまった仲間の話など、どうやって首に巻き付いたのか?と回想していたりする。

■ アブナイか危なくないか

最近思うのだが、自分の目で見たもの以外に確証を求めようとする癖は日本人独特かもしれない。平たく言うと、資格主義。 士業には多い。何をするにも資格はあるか?という。

登山こそ、目の前の山の状況と、登山者個人との山と山の対話の世界だと思う。

人物評価にしても、自分が目にした相手という、生情報を基にしない。評判ビジネスと言う言葉があるが、評判ばかりを気にするのは、今住んでいるところが田舎だからだろうか?

アメリカにいるころ、快適だったのは、実力主義の世界だったからだった。ベビーシッターでは、2.5ドルからスタートして、最終的には11ドルもらっていた。ベビーシッターの実力が何で分かるのか? 

ダニエルが自転車から落ちて頭から墜ち、前歯を折った時は、すぐに傷口を水道水で洗い、消毒し、頭は冷やしてやり、ソファに寝かせて、体温を計った。その後に親に連絡して、医者に連れて行ってもらった。

その後こうした救急処置が評価された。日本の人なら普通に誰でもできることだが、海外では普通ではないらしかった。

赤ちゃんは安心できる相手と一緒だとおとなしく一人遊びしてくれる。2歳の子が私の姿が見えなくても安心して遊んでいる姿を見たとき、親は自分がいない間に任せても安心なのだと理解したようだった。

ニュージーランドへ出張で行った時はヘッドハンティングに会ったのは、リーダーではなくサブを務めていた私の方だ。

海外では、みな能書きより、目の前の自分の得た事象を大事にする。だから実力があれば、ステップアップでき、そうでなければはねられるだけだ。

日本の場合は、そんなにシンプルじゃない。会社の昇進であれば色々な人の思惑が絡んでいることが多いし、逆に力があればねじ伏せられる。資格さえあれば実力がなくても良い目に遭えるというのが、資格を求める理由だったりもする。

そう言う意味で、登山者の手記はAという登山者の力を正確に伝える唯一の物なのかもしれない。

15 comments:

  1. ワタイの周りだけかもしれませんが、谷では よくラガーシャツmen/womenを目にしますstill now。
    肩がらみで降りる時に首の皮膚を保護するため、襟付きのほうが良いと聞きました。

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    1. 肩がらみでは本当にそうですよ。ロープを体に引きずるとヒドイ焼け跡を作ります。先輩が肩がらみで確保している時は、首に直接ロープが当たらないように見てあげます。 最近の人は肩がらみしないのは、ウエアが上等すぎてできないためだと思っていました(笑)。

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  2. 私はラガーシャツ愛用派でした。 
    大学山岳会では昔スタイルのニッカーズボン&カッターシャツでしたが、社会人山岳会に入るとそういうスタイルの人がひとりもなく、ラガーシャツ&ジーンズにしました(70年代半ばから)。
    ただ、本物は厚手で重く濡れたら乾かないので長袖で薄手のラグビーシャツ風を選び、またジーンズも同様にゴワゴワした本物ではなく薄手で生地が伸びる感じの裾の少し広がった形のものをはきました。

    あと、70年代末~80年代初めの無雪期はゲレンデも本ちゃんも沢もほとんど運動靴で登りました。
    Ⅴ+(=5.8)くらいまでのピッチなら、固いビブラム底の登山靴よりも足が上がって登りやすく感じましたので。

    タイツの流行は80年代後半です。 これはフランスなどヨーロッパのフリークライマーからの流行でしたが、私はちょっと恥ずかしくて敬遠しました。  女性クライマーには総じてお似合いですが、男性の場合は5.11+くらいは登れないとどうも様になりません。 まあ、フリークライマーの「勝負パンツ」といったところです。  

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    1. お!ラガーシャツ人気ですね。私はお会いしたことなかったんですが、肩がらみで襟が役立つというのは実感するところ。でも肩がらみの出番はほとんどありません。緩傾斜なら確保できるのだそうですが、私はまだ墜落を止めたことはないです。 最近ジーパン風の登山ズポンが売られていますが、ジーパンはコットンなので濡れたときすごく重いですね~ でも帆布だから強そう。
      最近思うのですが、雪がなければ底の固い靴は実は要らないのかも・・・どうなのかなぁ???

      タイツですが、実は去年小川山で見ました。でも、女性と言ってもだいぶ年齢が上のおばちゃんでした。ちょっと不思議な感じでした。フィットネスクラブのスタジオが山に現れたような???

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    2. 肩がらみには、「肩がらみ確保」と「肩がらみ懸垂下降」の2つがあります。
      しかし、ボディー・ビレイは、肩よりも腰、立ちよりも座り、というのが基本の教えなので、普通は肩がらみ確保なんてやりません。 
      大学山岳会での人生初めての懸垂は、肩がらみでした。 ザイルと服の摩擦で制動する訳ですから、このとき襟付きの上着でないと大変なこと(火傷、あざ)になります。
      ただしこれは、天気の良い時に短くてあまり傾斜もなく着地点も悪くない箇所をすばやく下降するときに使うものです。 
      長い距離、空中懸垂、気象条件が悪いなどでは、危険すぎです。

      そういえば昔、峠でじゃらじゃらと道具をたくさんぶら下げて、ああでもないこうでもないと騒々しい割には懸垂でノロノロしてるパーティーがいたので、その脇にザイルを落として肩がらみでササッと下りちゃいました。 100%イヤミです。 でもスッキリした。


      固底でくるぶしまである登山靴は雪山用です。 
      日本の無雪期の山では、アルプスといえど必須とは言えません。 
      足腰の強くない人には足置きを安定化するメリットがあるとよく言われてますが、それも販促用のセリフかなと。 重い山靴より運動靴の方が楽ですし、疲れないです。
        
      昔ながらの山仕事人(林業、送電線監視、林道測量、ボッカなど)も、地下足袋が普通です。 


      タイツは初めのころは山道具屋のものばかりで色・柄が限られてましたが、やがてチャコット(渋谷)などバレー・ダンス・エアロビ衣装の専門店などで買い求める人も増えました。 
      私の3番目の山岳会では、フリークライミング派はタイツ履く輩が増え、ついに片耳ピアス男も出てきて、体育会系でない私も、なんだかなー・・・、とギャップを感じてました。

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    3. 私も初めて教えてもらったのは肩がらみでの懸垂です。でも一回も実戦で使ったことはありません。
      http://stps2snwmt.blogspot.jp/2013/06/blog-post_13.html

      靴は地下足袋よさそうですね!実は沢用に買ったのを持っているので、今度使えないかやってみます。

      山ヤさんの口からチャコットという言葉を聞こうとは・・・ 私は前の趣味がバレエなのですが、バレエで足裏が鍛えられていたせいで、登山での長時間歩行に強いのかなぁと思ったりしています。

      アイスで今冬、まるで歌舞伎町の黒服みたいな若い男性のグループに会いました。硬派なイメージが強かった山男の世界・・・なんとなく異質な感じがしました・・・が登りっぷりがかなりへっぴり腰だったので・・・ちょっとかわいかったです(笑)

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    4. 沢靴と地下足袋タイプとを履き比べると、ワタイの場合は、沢靴のほうが、濡れた岩の細かいことスタンスに立ち込むのが やりやすかったのと、整備された登山道を辿るのが楽でした。丸い岩の上を渡っていくときは、地下足袋タイプのほうが、安定しました。歩き方や、フィールドによるでしょうけど、ワタイの沢登りの場合は、沢靴のほうが、総合的には楽でした。

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    5. 私は初めての沢は 地下足袋&わらじですが・・・ 今はフェルトの大峰です。師匠はアクアステルス。沢靴は一長一短あって難しいですよね。下りの登山道、フエルトを減らさないように歩くのに、地下足袋はいいかも???

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    6. へぇ~そうなんですね!私は下り用の靴を省略しようとしたら、講習会の講師に止められ、それなら、やっぱり要るかな~と思い、アプローチシューズのモジトを持って行ったら快適に下れました。下りも沢靴を履きっぱなしにしたら、師匠がはやくソールが減るから辞めろと・・・でも登山靴を持って行くのは嫌だしね~。小さくなる地下足袋は有力候補です~

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  3. 昔、南アルプスの南部で林道工事測量のバイトをやって、そのときはじめて地下足袋&鉈の山師スタイルを経験しました。 
    がしかし、道なき山の急斜面を縦横無尽に、それもかなりの速さで歩き回るプロに付いてゆくのは本当に大変で、クライミングで鍛えてた筈なのに、びっくりでした。
    彼らは難しい岩場を登ったり懸垂したりはしませんが、Ⅱの山斜面の上り下りはたいしたものです。 
    まあ仕事場ですからあたりまえなんでしょうけど、本当に足腰が強い人たちです。 


    バレエといえば、昔、ゲレンデで、岩登りはスムースな体重移動が必要なんだということで、手で岩を触らずに片足のつま先で岩場にじわーっと立ち込む練習をさせられました。 難しくなれば片手だけ使うとか、いろいろ手を変え品を変えて皆でやる訳で、まあボルダリングみたいなものです。 
    バレエの練習のような動きです。 似てる感じがしますが、似てないかなぁ。

    あと、地面にライターを立てて、片足だけで沈み込んで、口でライターを加えて、再び立ちあがる、なんていうのも、雨の日の余興のひとつです。 体の硬いひとはダメなんです。

    もう膝に負担をかけられない年になってしまったので、そういう遊びは無理ですが・・・。

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    1. へぇ~いろいろ、工夫して遊んでいたんですね~ バレエの時履くバレエシューズというペラペラの布靴と地下足袋は似ている気がします。クライミングはやっぱりクライマーが一番上手かなぁ。バレエの先生に登山していると言うと、先生はダメ―!日焼けはー!と言いそうです(笑)。バランス感覚は軸を寄せるバレエと重心を動かすクライミングではだいぶ違う気がします。

      工事のおじさんの足腰の強さ、は昔の強力さんみたいなものかしら・・・? 私は長時間には強いみたいですが、短期間に短い時間で駆け上がるのは苦手です。今年は少しやせたいので、そういう登り方をしてみても良いかもしれませんね~。

      単独で行くテント泊などの時間がいっぱいある時は、よくストレッチしています・・・ 本当は太陽礼拝をしたいのですが、やったら目立ちすぎるだろうとやっていません・・・(笑)

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    2. 太陽礼拝! やってまっせ

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    3. え~マジですか~!一回両股小屋で、大阪からきたお兄さんに太陽礼拝を教えていたら、小屋の名物おばちゃんの星さんに強烈に印象に残ってしまったようだったのですが・・・Damienさんその人じゃないですよね~(笑)? 自然の中でヨガをすると気持ちが良いです。

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    4. 残念ながら、両股小屋というのは記憶にございません。山小屋には殆ど止まったことがないんです。泊まったことがあるのは、屋久島の高塚小屋(or 新高塚)、薬師山荘、高瀬川沿いの名無避難小屋、、、記憶にある限り、この3つです。
      身体を壊していた時期があり、少しマシになってきた時に、養生太極功という簡単な気功のようなものを習ってたことがあって、そこで教えてもらいました。「太陽礼拝」という用語ではありませんが、お日様のほうを向いて、お日様の気を取り入れる…そうです。沢登りに行って、朝、出発前などにやると、心身がイイ具合になる…と感じています。

      確かにソールはスグ減るので、しょっちゅう張り替えたりしてます。
      要するに、張替頻度up と 山行中に荷物が増えること と比べて、張替頻度upのほうを選んでいるということですね。自分でヤれば そない費用はかからないので。

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    5. ワタシまだ張り替えたことないので、今度チェックしてみないと! 

      今度、太陽礼拝教えてあげますね!AとBがあるんですよ(笑)

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