Wednesday, May 13, 2015

いがみあっている山の人たち

■ 細分化の弊害

山のカテゴリーが細分化された、と良く言われる。

それはどういう意味か? 丸一年アルパインをやって分かった。

 みんなが自分の山だけが、ザ・登山だ!と思っている

と言う意味だった・・・(汗)。

それが、現象としては何に現れるか?というと、一番極端で分かりやすい例としては、

 高慢ちきなフリークライマー

グレードを鼻にかけた人たち。

アイスにもいる。アイスの場合はギアが凄いので、クライミングを知らない一般登山者の目には、ギアを背負っているだけで、誰でもすごく見えるので、それだけで自分までもすごくなったかのようにふるまう、高慢ちきな人もいる・・・。

クライミングを始めた頃…それはつまり、去年の今頃のことなんだが…フリーのクライマーとアルパインのクライマーがお互いのことを否定し合っているのを知って、びっくりした。

普通に一般登山からクライミングへステップアップした人は、フリーとアルパインの違いなんて、分かっていないので、互いにキライあっていると教えてくれないと、戸惑う。

その後、沢ヤと岩ヤが互いを否定し合っているのを知って、さらにビックリ。細かいことで言うと、スポーツクライミングの人は、人工壁には行っても、山の外岩には行かない。

そういうのは、互いにもっているギアを監視しあって、シャーロックホームズ顔負けの推理で、自分と違う人種の匂いを嗅ぎ分け、相手を否定したり、けん制したりしているのだ。

 だから気を付けないといけない・・・ 

たとえば、知らないで、チューバ―のATCをマルチに持って行くと、それだけでスポーツクライミングしかしないつもりのヘタレだと馬鹿にされる。知らないのではなく、

 ”自分と違う人種”は排除する決まり

になっているのだ(笑)。狭量な世界だ。それを知って、

 現在、ウンザリ中。

■ 例・・・ご参考に

そういう例はいとまがなく、

1)高所登山の人は高所登山だけが山だと思っており、地図読みもロープワークも覚える気がない
   → ビリーフ: そんなものは家来(シェルパ)がやるものだ・・・

2)アルパインの人は里山を低山と言って馬鹿にし、地図読みができず、すぐ道を間違える
  → ビリーフ: 標高が低い山は価値がない

3)クライマーは「花?ばかばかしい」と思っている(特に若い人)
   → ビリーフ: クライミングだけが価値

4)縦走の人は重い荷物を担いでナンボなので、荷の軽いトレランを馬鹿にしている
   → ビリーフ:  歩荷力だけが価値

5)山男は、山ガールに「お前らみたいなチャラチャラしたやつは山に来るな」と思っている
   → ビリーフ: 男同志の縦社会の連帯だけが価値

6)岩ヤは”濡れた岩”はキライだと言って、沢をやらない
   → ビリーフ: 濡れたら滑るし、面白くない

7)テント泊の人は、小屋泊を馬鹿にしている
  → ビリーフ: お金持ち否定

8)アイスの人はアイスがアルパインの頂点だと思っていて、ゲレンデトップロープしかやっていないのに自信満々
  → ビリーフ: 高額ギア至上主義

9)古い山ヤさんは、ヤマレコピープルを馬鹿にしている
 → ビリーフ: ハイテク嫌い

10)ヤマレコピープルは山岳会を古臭いと言って馬鹿にしている
 → ビリーフ: ローテク嫌い

11)百名山登山者は、何個山に行ったか?だけが価値だと思っている
 → ビリーフ: 数量・効率至上主義

12)中高年登山者は、槍穂と北鎌尾根(ステータス)が登山だと思っている
 → ビリーフ: 横並び主義 

13)クライミングジムの人は、外岩には行かないし、ジャンダルムも知らない
→ ビリーフ: ナルシシズム

14)一般登山者はアルパインなどの本格的登山を必要以上に危険だと思って毛嫌いしている
→ ビリーフ: 体力主義

15)山岳会はガイド登山を馬鹿にしている
→ ビリーフ: 能力至上主義

16)そのくせ海外に行くときはツアー会社に丸投げ 
→ ビリーフ: 海外恐怖症

17)ガイド登山者は、個人山行の人を無謀と言って馬鹿にしている
→ ビリーフ: 100%安全主義 

18)個人山行の人は、犬の散歩と言ってガイド登山を馬鹿にしている
→ ビリーフ: 能力至上主義

19)団体登山者は単独行者を金がない人たちとして哀れれんでいる
→ ビリーフ:  商業主義

20)若い人は老人は山に来るなと思っている
 → ビリーフ: 体力主義 

21)高齢者は若いものに負けまいと片意地張って高山にのぼろうとする
 → ビリーフ: 体力主義

と、まぁ大体こんな感じ。

みんな基本的には
 
 食わず嫌い

が横行中だ。 めんどくさいときは、十派ひとからげに

 すごいですね~

と言っておけば、間違いない(笑)

■ 有名と無名

多くの人が、山に行く動機は

 1)人を感心させたい 

 2)有名になりたい

 3)もてたい

なんじゃないだろうか?というのが、こうした観察を基にした、私の疑念だ(笑)。

純粋に

 愉しみたい

と思っている人って、一体どこにいるんだろう???

断っておくが、山の愉しみは、山上ビアガーデンではないはず…山で下界の居酒屋並みの宴会するのは、山を否定していることになると思う。そもそも、山に居酒屋はない。お酒はほどほどに。お酒に飲まれるほど飲んではいけません。タバコも同じく。酒を飲むならキャンプ場で。酔っぱらったせいで、山の斜面から転がり落ちた人を見ています。

男性は

 ワルを気取りたい

という誘惑には気をつけましょう。 安全が犠牲になります。二十歳を超えると、それはカッコ良いのではなく、

 子供っぽい

と表現されます。

 モテたい

というのは、男性にとっては、抗しがたい衝動のようにお見受けしているのですが・・・、それには非常に良く効きそうな、一節を沢登りの本に発見しました。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
「女は決して弱くない。強いな!と思う場面がいくらでもあった。新人だろうと必要以上にべたべたしたようなフォローをするな。俺たちのそんな気持ちと行動が彼女たちを一人前の山ヤにすることを遅らせるんだ。

それとな、彼女がかわいいと思って山へ誘っているだろ。そして、3~4回ついてくると男はすぐ勘違いするんだ。彼女、俺に気があるってな。大マチガイ!彼女は山へ行きたいだけなんだ、技術を学びたいだけなんだ。

5回目の山行中、お前は山のことなんか考えてないよな。考えているのはただ一つさ。彼女は突然、まったく予期せぬ愛の告白や、最悪の場合はレイプって自体にもなりかねない・・・。

最悪は本当に最悪だけど、愛の告白だって十分な破壊力を持ってんだよな。男の勝手な思い違いで、会にいずらくなってやめちゃったり、山をやめちゃったりな。まぁ若いころの自己批判でもあるんだけど、男の勝手な思い違いがけっこう女をつぶしてしまうんだよ。

お前が彼女を本当に好きなら、会の先輩と新人という力関係を一切利用しないで口説いてみろ。ちんけな山岳会なんぞの組織的な地位をつかって口説くな。平場での男と女、一対一でやってみろ!」
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー吉川栄一 「沢登り 入門ガイド」P51

だそうです(笑)。 

 浮気したい

って言われてもねぇ・・・。同じく、浮気願望のある女性は、山なんて来ないと思います。どこに行っているのかなぁ???アドバイスしてあげたいけど、女性はあんまり浮気願望ある人自体が少ないので、周囲にも見当たりません・・・。


■ 指針?

冬の沢~
一体何を指針にすれば、素晴らしい山が楽しめるのか?

 1)自分が担げる荷の範囲内で山を愉しむ

 2)山は山そのもの、景色や植生、山にあるもの、岩、崖、渓流、森林、花、動物、空や太陽

  =人工物ではないもの、を愉しむ

ということにとりあえずしたいと思います。

多分フリークライミングがそんなに好きではないのは、人工物であるクライミングシューズのフリクションを愉しんでいるからかもしれないなぁ・・・(笑)

今年は、とりあえず沢です。 

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10 comments:

  1. 「浮気したい♪」と言われてみたい人生だった…。

    #問題発言?

    今回も なかなかオモロイ記事っすね。

    ちなみに妻との初デートは沢登りでした…
    山岳会での出会いではないから、吉川さんにドヤされずに済むかな…

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    Replies
    1. 奥さんも沢に連れて行ってあげてくださいね~!

      知り合いの高所登山好きの女性は、山でナンパされたがっていました・・・若いシングルの女性は、同じく若い男性に連れて行ってもらいたがっていますが、基本、男性の側が女性を選ぶ、という力関係にあるらしく、登れない女性だと人気が↓みたいでした・・・ でも、微妙で、その男性より登れてもダメみたいですし・・・ 難しいですねぇ(笑)

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    2. 妻は沢の景色は好きですが、基本的に誘っても来ません。次の日、クタクタになるのが嫌らしいっす。
      チビも連れて年に1~2回、行くか行かないか程度です。
      チビらは濡れるとスグに唇紫になるので…、これまた既に嫌がってます。年に2~3回、行ってましたけど。
      チビらはプールのほうが好きです。

      「ナンパされたい高所登山好き女性」! それは貴重な情報ですねぇ…。
      私の知人には高値で売れそうです。

      女性が男性を選んだ身近な例もありますよ♪

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    3. ナンパされたい女性を落とすのは大変ですよ~ 基本、凄い山男の妻を目指している人ですから、そんじょの山男には落ちませんから。 小屋を経営しているか、ガイドをやっているか、それくらいは、最低限ないと・・・(笑)

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    4. かなり具体的に絞り込まれてますネ♪ 素晴らしい!

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  2. このコメントは消してもらってもいいんですけど
    じっぱひとからげ の 「ぱ」を「派」にしてるのは 登山界の色んな「派」閥を指して あえて ということですか?(^^;)
    十把一絡げ が普通の漢字みたいっすけど。

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    Replies
    1. あら!ホントだ!うまいことオヤジギャグみたいになってる! 

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    2. 十把の一つ一つの把が それぞれ違う楽しみ方をしている
      ということだと思いますが、
      その違いについて お互いが足を引っ張り合うのではなく、
      お互いの違いから学び合ったり、「使える」と思うことは取り入れるべきやし
      そのようにイイ意味で刺激しあってる人たちの実例も知ってますけど
      サクっと こういう記事を書いてしまえるのがKinnyさんの「強み」やなと思います。

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    3. これをぜーんぶ逆さにしたらいい関係になるんですよね。

      山をやっている人は自分を高めるために人を下げる人、つまり、相手を知りもしないで、「女のくせに大丈夫なの」「地図なんて読めるの?」「一人で行けないんじゃないの」と馬鹿にすることで始める人が多いです。 

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    4. Damienさん、ビリーフはBeliefです。 想定できる、背後の価値観を書いてみました。

      ”ということはどういうことか?”という思考ツールを活用してみた。

      この記事、超人気で、怖ろしいほどにアクセス数が伸びています・・・ 黒船?! 

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