Sunday, May 5, 2013

誰も教えてくれない登山の大切なこと



■ 充実した生活をするための登山
仙丈ヶに行く少し前からなのですが、このところ、山の目標値を再設定しないといけない、と考え始めています。
そもそもなぜ登山をしているのか?というと…
です。
つまり、私にとっては、仕事で自分の能力を高め、限界をプッシュしてきたり、新しい経験を積んだりしたことの代替えなわけですね。収入という成果にならないだけで。
努力というインプット(入力)は同じで、得ているゲインが金銭にならないだけで、精神的充足感などは同じなわけです。同じ努力を実際振り向けていると思います。
友人から見ると、それはもったいないらしい…そういってくれる人を持っていて本当にありがたいと思いました。
生活を少し組み立てなおす必要があるかもしれません。本当は語学の人なのに語学の方は最近お留守なので…TOEICを再度取ってもいいですが…でもなぁ、2年前にIELTSをしたら、すでに十分の力があると出たしなぁ… こっちの方面で能力を高めることに少々ネタ切れ中です。
ヨガも頑張ったほうがいいですが…うーん、とりあえずハーフプライマリーを目指したいと思いましたが、スタジオ通いの予算は出ない…っと。 教える方は順調ですし、今は自前でスタジオを構えるようなタイミングでもないし…。
収入を得る道という意味でのキャリアをあきらめずに済むようになんらかの対策は必要なようです。しかしなぁ…不必要なスキルをUPしても…私の場合、すでに与えられる職責より常にオーバークオリファイド… まぁこれは、体の良い断り文句を聞かされてきただけかもしれませんが。信じるほどお人よしではありません。
■ 目標地点
登山第二章… という感じに最近はなってきているんですが…
一体どこへ連れて行かれるのか?
ちゃんと見極めていないと、”いわゆる”人間くさいカーナビ(行こうと思ったところではない場所に着いてしまうこと。”地頭力”系の書籍で、細谷功氏がネーミングされています。)になってしまっては困るので…ちょっと立ち止まって考えてみることにしました。
そう… そもそも私の目標は、八ヶ岳の全山縦走でした。八ヶ岳の長い稜線を歩いてみたいな~と思ったのです。 
そのためにはアイゼンとピッケルはぜひ必要ということで、ガイドさんの門をたたいたわけですが…そこから少々人間臭いカーナビですね(笑) 要するに目的地への最短ナビから少しそれた。
必要なスキルは、
 ・アイゼン&ピッケル
ではなく、
 ・地図読み
だそうでした。 ふむ・・・反論できない正論。ところが、地図読みはガイド山行で学ぶのは不可能なようです。さらに、一般ルートで整備された山でも不可能な感じ…かといって、ヤブ山に一人で行くには
 ・セルフレスキュー
という別の高度な技術が必要に…
さらに人間臭いカーナビ率UPです…(汗)。セルフレスキューなんて、ちゃんとやれる一般登山者はいるのだろうか…
とはいえ、身についていないものは身についていないもの。 
だから、ヤブ山趣味は一般的に上級登山者の愉しみです。というかヤブ山趣味自体がベテラン臭がぷんぷんするスキルですよね(笑)私には無理。
さらにセルフレスキューの前座というのが、
 ・テント泊 
なぜなら、スキルと言うのは、1)知識、2)体験知 3)本番、のスリーステップ構成だからです。フォーストビバークは、体験としてのテント泊やツエルト泊があれば、慌てず行えるわけですからね。
というわけで、人間らしいカーナビとなった最初の枝道は ”地図読み”(笑)、到着点はビバーク体験。あら~。
■ 山を学ぶ講習会 
山岳総合センターの一般登山者育成の目標に設定されているのは、2コース、下記のとおりです。
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(アルパインコース)パーティーのリーダーとして、無雪期の前穂高岳北尾根程度の岩稜ルートや、積雪期の爺ヶ岳東尾根程度の雪稜ルートを登ることができる
(縦走コース)パーティーのリーダーとして、無雪期の北アルプス一般縦走コースや、積雪期の八ヶ岳一般コース等を登ることができる
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この目標設定は、私の八ヶ岳全山縦走、とぴったり一致していたので、縦走コースに申し込んだのですが…諸事情により、アルパインコースになりました…(汗)
この(汗)というのは、私は脚で歩いて解決できる道を想定していて、岩登りを想定していなかったからです。
岩登りの基本があると、岩場の通過が楽にデキる、という論理には非常に納得感がありますが、なんだか…
地図読みをターゲットにしていて、テント泊に到着する…という前回の流れと似ているような(笑)?
雪稜を歩こうと思って、ボルダリングにたどり着いていたら、なんかな…(汗)。
というわけで、再度確認。私はボルダ―を登りたいわけでもなんでもないんだってこと。
では一体どこを到着点にしたらいいんでしょう??? 
■ 体験知  
登山に必要なのは、
①経験 (山歴)
②知識 (天候、装備、山域研究など)
③技術 (歩行術、ロープワーク)
④体力 
このうち、①の経験は、どうやっても補えません。が、1つの経験から10の事柄を学ぶタイプの人は、基本的に1しか学ばない人と比べたならば、10倍のスピードで学ぶことができます。つまり、体験から学ぼうという意欲でカバーできる。
②の知識については、今は色々な本が出ていますし、ネットも発達し、これも意欲や努力で補うのが比較的容易です。知識に基づく判断力は、山ではとても重要ですが
・基本的な論理力 + 経験
ですから、論理力があれば、あとは経験を深く掘り下げるしかありません。これも意欲の問題。 あとは資質。
③の技術、これは、体験を積み、分かる→出来る に変えていく努力をするしかありません。山のことは山でしか学べません。現場でしか学べないことですね。
最後の④体力…
これだけはどんな人も平等で、積み重ねるのに非常に時間がかかる。そう容易には積み重ならないものですね。
なので、おそらく私たち夫婦が安全に登山を行うにあたって、もっとも不足しているのは、ずばり体力でしょう。
技術の不足で行けない山があっても別に悲しくもなんともありませんが、体力の不足で行けない山があったら、とても悲しいでしょう。
まぁ山は時間さえかければ誰でも登れるのですが。 ”時間を掛ける”のと”時間がかかる”のでは違います。
時間がかかる → 時間を掛けたいときにかけれなくなる
というのは悲しいですね。なので、ここ当面は、体力というのが課題とするのにふさわしそうです。ちなみに去年山の先輩から体力勝負の山に誘われましたが、それは遠すぎた目標点にある山だったので行きませんでしたが、体力、をターゲットにしていた点で、洞察力がすごいなぁと今更ながらに思います。実力があるとはこういうことを言うんでしょうね。
■ 目標の「見える化」
体力UPを目標するとなると、まぁどうしようかしら?ってことになるわけですが…つまりターゲットの設定がねぇ…体力の。
体力なんて「あればあるほどいい」って言われておしまい。さらに「体力がある」ということも何で計測できるのかワカラナイ。
クリシン的には、測定できない目標なんて、達成できるはずがない。
「見えないもの」は「見える化」しないと誰だってモチベーションを維持できないし、達成したかどうかも分からない目標はすでに目標としての機能を失っています。
見える体力目標とは何か? 端的には、体力がないと難しいと言われる山を歩けることかもしれません。あるいは2泊3日の山を1泊二日で歩けるとか…。
そうなるとなんだか古臭い「体力自慢の山」みたいになってしまって、なんだかそそられないんですけよね… ああ~ヤダヤダ。体力自慢。それしか自慢することがないみたいなんだもん。しかし・・・
愉しみながら、体力をアップできる目標値…それを見出すこと…。それは、ちょっとした難題です。
こういうのにこそ、ビール6缶かついで友達と100名山登りまくる、みたいなやり方は、役に立つのかもしれませんね。あるいは100名山とか。 むかーし、小学校のころ、グランドを10周走るたびにシールを一枚くれて、シールを張ると木がどんどん育っていく様子が見える、というのをやり、みんな木が育つのが楽しくて、50周も60周も校庭を走るのが流行りましたが・・・そんな感じ。
■ 等身大
今回の仙丈ヶ岳は、自分たち二人の落ち着く先が良くわかってよかったのです。
私たちは、春の仙丈ヶ岳まで。 
春の仙丈なら、始発6時のバスに乗り、7時歌宿。出発し1時間の林道歩きで8時に北沢峠、テントを張って9時出発、12時小仙丈ヶ岳、13時仙丈ヶ岳が今回のタイムでした。
下山は今回特別な理由により時間をわざとかけてキックステップをしながら降りましたが、普通なら2時間半でしょう。下山15:30、帰りの林道45分、で、すれすれで16時半歌宿帰着も可能そうで、日帰りも出来そうです。
ただバスに間に合うかどうかのスリルを楽しむのでないかぎり、タイトなスケジュールと言うのは微妙にそそられませんが。テントを張らなければ、その時間が休憩に充てられそうです。
不思議だったのは、今回、同じバスだったパーティが、なぜか同じ時間帯に樹林帯にいたこと… バス4時半に間に合うか不安だと言っていましたが…。なんでテントを張ってから出発した私たちと同じスタートなんだろう…まぁいっか。
■ マスターする軌跡に乗らなければ一生マスターしない
このところ、今回の仙丈ヶ岳みたいなフィールドで、講習会で学んだことを夫とシェアする、というのは名案だと思いましたが、夫はそれは名案だとは思っていなかったようです…。 
いつの間にか、GrowApartですね。 いや危険。 登山の趣味に際して、結婚を危機にさらしてはいけない。
夫は登山に関しては、観光客レベルから先に行く軌跡(トラック)には乗っていません。そのことが良くわかった旅でした。
夫にとっては山は学びが面白い場ではなくて、のんびり遊びに行く場・・・なのに、不必要なものを背負って行ってしまう・・・それを辞めることができない、ということは、より安全性を高めるには小屋泊が必要なのだと今回理解できました。
ただこのような人たちは実際テント泊していても多そうです。今回は隣のテントの話声が丸聞こえで、仕方なく聞いてしまったのですが、おじさんが若い職場の女性を連れてきているようで、聞いている限りおじさんの山自慢に若い女性の側が付き合っている感じでした・・・。実は若い女性の側の方がおじさんの保険なのかもしれない・・・ なんだか聞いていて気の毒に。昔部長秘書のような仕事をしていて、退職するとき、同僚の女性に「介護職お疲れ様」と言われたのを思い出します…みんなわかっているんですよね、分かっていないのは本人だけで。
■ パーティの下端に合わせる
私たちは、雪が好きで北八つから始めたわけですが、積雪期の北八ツ以上にいくべきではないですね。まぁちょっとだけリスクを妥協して天狗岳。
去年、悪天候をリスク判断して、お正月の鳳凰三山に行きました。その山行自体は私自身の達成感で一杯だったのですが、判断の責任の重さを痛感して、山行の後、しばらく鬱状態になりました。
なぜなら、スキルアップする予定やつもりにない人を連れていくということは、私自身のスキルでカバーしなくてはいけないという意味だからです。私がリーダー・・・全責任を負うってわけですね。雪崩がない山だろうが、気温が高かろうが、なんだろうが、私が判断したのだから、山行の全責任は私にある。そんなスキルは私にはいまだにないわけです。
今回の仙丈ヶ岳で、だからあれは夫とは行くべきではない山だと分かりました。
登山行為そのものを学ぶ意欲がなければ、ガイド登山でなければ行かないほうがいいですね…いくらアイゼンワークがなく、歩くだけで解決できる道だったとしても…夫と二人で行くのは、安全管理され、スノーシューで歩ける北八つで、小屋泊が最適だ、ということが自覚できました。なぜなら私はガイドスキルはないからなのです。 
登山のリスクと言うのは、リーダーだけがわかっていてもパーティにはなれないのです。メンバーも同じリスクを理解できるレベルでないと。むろん、”連れていける”レベルのガイドは別です。 この場合の””のダブルクオーテーションの意味は、いわゆる、連れていけるという意味で、相手がトコトン無知でもひっぱたいてでも歩かせる、連れていけるスキルがある、という意味です。普通の連れて行くではなくて。。。夫をひきづってでも歩かせるスキルは私にはない。
だから、ガイド登山でない限り、自主山行というのは、結局、そのパーティにとって、”行ける山”。 パーティの中の一番弱いメンバーに合わせるべきだ、という訳ですね。
夫は、登山のための歩き方、正しい重心移動などをマスターしたいとは思っていないので、”初心者にはロープが必要”というそのままを地で行きます。 
この”初心者にはロープが必要”の意味合いを理解するのに私は1年くらいかかったのですが・・・(笑)、夫はいまだに分かっていない…。
まぁ無理もありません。登山の世界、意味が分かるのが難しすぎる言い回しばかりで、現代のIT企業並みに多言語です(汗) 
行間を読む能力がフルに必要なんですよね。 ちなみにこの「初心者にはロープが必要」と言う意味は、アイゼンワークが心もとない人がいる場合はロープで確保してください、アイゼンワークがちゃんとしていれば普通に歩いて通れます、という意味です。
っもう、ほんっとそうならそうと書いておいてほしいなぁ・・・
そして、アイゼンワークとはつまり、片足で立つ、ピッケルと自分の足の2点確保でも安定して歩ける、という意味なので、確保がない自主山行では、たとえば赤岳の道は閉ざされます。
確保があるガイド山行なら、赤岳に行っても良し。つまり裏返すと、アイゼン歩行をマスターする意欲がない=赤岳に自主山行で行けるというのは、そもそも可能性レベルでゼロ、閉ざされる、という意味です。ゆめゆめ誤解してはならぬ(笑)、です。
きちんとキックステップをマスターしようという意識があれば、技術が積み重なり、達成のスピードがどうであろうが、論理的には、いつかは達成できます。
が、そもそもマスターしようという意識がなければ、必要なスキルを得るために成長するためのプログラム上にいないわけで、どれだけ山行回数を重ねようと、スキルアップは決してしません。いたずらに経験値が増えたように感じられる分だけリスクアップです。マスターしていない技術で何度山行に行ってもただのマグレなのです。厳しいようですが・・・誰もそのことは教えてくれない。
というわけで、自分たち自主山行での最適レベルが分かったという意味で収穫の山でした。

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