Tuesday, May 21, 2013

自己確保の考察2 自己確保はナイロンスリングで


■ スリングの使い分け 

もうひとつ分からなかったこと…それは、

 ・結び目を作ってデイジーチェーンのようにしておいたスリングでの自己確保

です。

立木などに自己確保する際、120cmのスリングに3つほど結び目を作っておき、その先にカラビナを一枚通しておきます。立木が出てきたら、ぐるっと巻いて、パチンと止めれば自己確保完了。

ただ…『教科書になかった登山術』では、このスリング版デイジーチェーンより、プルージック用のコードによるカウテールが良いとされています。


ここでは、それを考察します。

結論: ダイニーマのスリングは荷重がかかる可能性のある、セルフビレイには徹底的に不向きです。

■スリングの ”衝撃吸収能力” の順番

衝撃吸収能力 大
 ↑
 
 ①ロープ 
 ②ナイロン 結び目あり  結び目がショックアブゾーバーになる
 ③ナイロン 結び目なし  
 ④ダイニーマ 結び目なし
 ③ダイニーマ 結び目あり 結び目に衝撃が集中する
 
 ↓
 小

ダイニーマは軽くて強い素材ですが、動荷重がかかる用途には向かない。
http://www.f5.dion.ne.jp/~mitsu_g/report127.htm  ダイニーマ製スリングの弱点を知ろう!から引用)

★要点のまとめ

ダイニーマは伸びがないので、衝撃荷重はすべてクライマーやビレイ点に集中する

・ナイロン製スリングは結び目があると衝撃吸収力が増すが、落下係数2には耐えられない。

 (※落下係数1=スリングの長さ分、落ちること。落下係数2=スリングの2倍の長さ落ちること)

・ダイニーマは落下係数1でも結び目があると破断する

・ダイニーマは衝撃を伝えるので、ハーケンやボルトのハンガーに直接結んではいけない。

・衝撃荷重の大きさは落下距離による。


★ダイニーマスリング使用の注意点

特徴       使用法
 ・軽い      → ナイロンなら1本のところ、2本持てる
 ・細い      → かさばらず、ナイロンなら1本のところ、2本持てる
 ・吸水性がない → 雪上、沢に向く 
 ・熱に弱い    → プルージックに向かない
 ・伸びない    → 静荷重しか掛けてはいけない

セルフビレイは最後の砦、ですからね。

これらの事実から導けることは、

①スリングの長さは、短ければ短いほど、落下係数が小さくなる。(が、支点に近くなり、動きにくくなる)

②常に支点より下にいないと、落下係数が倍増し、破断の危険性が増す。

③ナイロンには結び目OK。 ダイニーマには結び目NG。

④ダイニーマスリングは自己確保には使わない。


■ 机上講習してほしい

落下係数とか、実は講習会などでは習っていません。 どうしてこういう重要な知識を机上講習でやらないのかな?

スリングの強度や落下係数の話は非常に重要だし、キチンと学ばないと、独学でなかなかやらない部分だと思います。

私の場合、本をよく読んでいるいるから、なんとかなっているけど…いきなり合宿の実技講習って・・・。

やっぱり今はYouTubuとかビデオもいろいろ出ているので、机上講習をしてほしいと思いました。

そうでにないと、ランナウトの危険性なども、理解できないのではないだろうか・・・

(※ランナウトとは、中間支点を取らずに、どんどん登って行ってしまい、墜ちたときにロープの長さがビレイヤーがいる地点より下になってしまうこと)

私はビレイヤーになるのに自信がないんだな・・・だから。

参考サイト: http://dmmclimbing.com/knowledge/how-to-break-nylon-dyneema-slings/




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