さて、さらに『生と死の分岐点』の要約を続けます。
次はロープの話が出てきました。 ロープは思ってもいないシーンで切れています。そしてちゃんとした理由があるようです。
他山の石として、そこから学ぶべきことは…
■ ロープ自体を良く知ることが大切
登山用のロープと言うのは非常に信頼性が高いものです。
ロープ自体の使用上の注意点は
①ロープを岩角に掛けない → 中間支点を取る
です。ロープは基本的にゴムで、伸び縮みするもの。なので、縦には強いが横には弱い。もしどうしても岩角にかかるようであれば、中間支点を取るべきなのだそうです。
岩角にかかった場合の耐荷重について試験されているそうですが…テスト報告書などのオリジナル資料は出てきませんでした。このネット時代に…。
なのでやっぱりテストされているから大丈夫、という考え方は不味いかもしれません。テストはされても保証はされないですから。
http://blog.livedoor.jp/nccnet1/archives/51092133.html
http://hitanakayama.blog91.fc2.com/?no=24
②ロープの種類を間違えない
ダブル用をシングルで使わない。
これは ロープには種類がある、という知識で防げる間違いかもしれません。初心者のうちにキチンと各種類のロープと耐荷重試験について教わっておくと予防になると思います。
この本は古いので、ロープ落下試験の規格は変わっているかもしれませんが、ダブルロープで55kg、シングルで80kgで空中落下高度4.7mから落として(支点は岩かどではなくカラビナ)、墜落5回で切れてはならない。ツインの場合は、墜落12回で切れてはいけない。だそうです。
体重が軽くてよかったと思えるのはこの場面だけ?でも体重80kg以上の人なんてゴロゴロいそうですが…だってザック20kgとかですから、私みたいに小柄でも総重量にすると60kgになってしまいますけど… 重い人はロープにぶら下がるにはリスクが大きい…。
③何がロープを痛めるのか?の知識を持つ
ロープを痛めるのは、
・懸垂下降
・トップロープ :ロープは通常の10倍痛む
だそうです。劣化についてはそう神経質になる必要はなさそうなものの、基本的な情報として
・ロープにバッテリー液(硫酸)がかかると切れる
は知っておいてよさそうです。ガソリンくらいは大丈夫だそうですが、それでもゴム製品なのでゴム製品の一般的な保存状態は守っていた方が良いような気がします。
ここから注意した方が良いのは、ロープにサインペンなどで印をつけないということです。サインペンの成分が不明なのですから。
④ 接着テープが巻かれたロープを信用してはいけない
ロープの準備として、最初にキンクを取るためにロープを一旦ばらして、まとめなおしますが…
この手順はこのためにあるのではないか?と思います。
ロープを販売した業者が接着テープでつながれたロープを50m売ったという事例がドイツにもあるそうです。 外皮でつながっているだけで中身はつながっていないロープにぶら下がるということは、ロープではなく外皮にぶら下がるということですね。
ロープにテープを巻く慣習はないようですが、ロープ自体の確認をおろそかにしてはいけない、という当たり前すぎて、絶対に万人が見落とすことを戒めている、ってわけです。
自分のロープであると名前を書きたくなってもロープには何も細工をしないほうが賢明のようです。
あとこれ、実はちょっとしたところにロープが引っかかって不便ですよね。岩に掛けたロープが回収できないので、結局、登り返し・・・じゃあそもそもロープなしで登れる場所だね~なんてシーンが浮かびます(笑)
⑤ 素性の分かったロープを使う
登山用ロープは信頼性が高い。ただし、そのロープの履歴(由来)を知っている場合のみ。決して、どういう経歴があるかワカラナイ、素性の分からないロープに命を預けるようなクライミングをしてはならない。
のは、③や④のケースがあるからです。ネットショッピングにもっとも向かないのがロープかも?
■ ○○Kn ニュートン
ロープの端っこにはよく、22Knなどと書いてあります。
1N=質量1kgの物体に1m/s2の加速度を生じさせる力。
1kN = 1000N = 約100kgf
これでもよくわかったとは言い難いですが、100gのりんごが落下すると1kgの重さと同じ衝撃がある、ということです。
12kNが人体が耐えられる最大の衝撃だそうですが…そんなに耐えれるのだろうか…いや~。
ついでに落下係数も勉強しておきましょう。
落下係数は衝撃の強さを表します。私は計算式を誤解していました。
4.6mの高さから落下。支点は2.3mの高さにある。ロープの長さは支点から2,6m出ている。この場合、落下距離が4.6mになるので落下係数2と思っていたのですが違いますね。
落下係数 = 4.6(落下距離) ÷ 2.6(支点からのロープ全長) = 1.77 だそうです。
落下係数は最大2だそうです。
5mクライミングして、2.5mのところで支点をとり、2.5m登ったところで墜落した場合、ロープの全長は5mですから、
5m ÷ 5m =1 となり落下係数1となるのだそうです。
こちらに非常によいサイトがあります。思わず長いこと読みふけってしまいました・・・(^^)
http://www.lostarrow.co.jp/support/ti_133.html
ちなみに実際は落下による衝撃は理論値より、はるかに大きくなるそうです。
こうした知識は読むだけでは分かりづらいし、式を見ただけで嫌になる人も多数いそうなので、こういうのこそ、ビビっている初心者のうちに机上講習してもらいたいものです。
これは必要なビビりだと思うのですが…いかがでしょう?
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