すっごいラッセル! 残雪期とはいえ、表面が10~20センチほどクラストした最中雪と岩と灌木の道は、今では歩く人もいない静かなルートということもあって、とても時間がかかりました。
実は、予定していた金峰山八幡尾根には、かすりも出来ず、いにしえの古道、表参道である黒平ルートから金峰山に登っただけのピークハントとなりました。
今回は、その時間がかかるってことを勉強しに行ったのかな(笑)?
私の少ない知識では、ひざ下ラッセルで、1.5倍、膝上で2倍、それ以上だと3倍の時間がかかるそうです。
今回は膝上ラッセルで2倍かかっています。 膝上ってより、「ハイハイラッセル」って感じでした(笑)。四つん這いが一番早い。
■ 番狂わせな出発
今回は天気の読みがとても難しかった! 週間天気予報で週末の天気を見ていましたが、ずっと信頼度C…(汗) の悪天候。日曜は雨の予報でした・・・(><)
ところが、前日の午後になって、遅らせることを決定した当本人の三上ガイドから「やっぱり明日行く!」とメールが!!ドタキャンの真反対ですね!!!大慌てでメンバーに連絡を取り、食当だったので食材の買い出しに… 慌ててパッキング!
夫はキャンセルのつもりでその夜は世話になっている上司の送別会だったので飲み会では大いに飲むつもりだったみたいなのですが…「アルコール摂取は控えめにします…」と休憩時間にメールをくれたうえ、早引きして帰ってきて、パッキングしてから、飲み会へ(笑)結局午前様で帰ってきましたけど、大慌ての山行…なんだか興奮して良く眠れなかった(汗)
結局当日は7時集合を8時に遅らせてもらいました。
■ 意外に明るく活力のある里山…黒平
計画していた金峰山への道は、いにしえの古道、と言うだけに一体どんな秘境かしら?と期待と不安交じりでした。 三上ガイドによると、原全教さんとか、100年前の先人の足跡をたどる旅。
なのに…山麓はとても明るく、のびやかな里山でした。黒平っていいところです。
今回の食当でザックが頭上以上の高さに… ザックの調整は前日に済ませておかないと背負った時気持ち悪い~!
登山口。意外にちゃんとしてる。
すごく快適なカラマツ林の中。
水晶盗掘禁止って・・・看板があるから、水晶が取れる土地なんだと分かる感じ?
この日はついでに猟に出るおじさんたちの集まりも見かけ…車が15台近く通る…
人の気配が意外にもある道じゃん! もしかすると山梨は意外に古い山仕事の伝統が色濃く残っているのかも
しれません。だってちゃんと猟に出るおじさんたちに会うなんて…
実は前回金峰山に登った時も下山でイノシシ狩りの一団に会ったのでした。でも、ひと気があって手入れされている里山と言うのはいいけど、撃たれるのはごめんですから、明るい色合いのウエアを着ておくに限りますね!
こうした事情から、このバリエーションルートは意外にも秘密の…というより、あけっぴろげで明るい道でした。
何しろ、先週出かけたところの八ヶ岳の権現岳の小泉ルートより、ピンクテープがいっぱい!
ルートファインディングなんて不要!でした。
サルノコシカケかとおもった。
水晶峠もすぐ。
何デザイン?な標識。 モダンデザイン?
水晶峠付近からはしっかりと雪があり、沢の出会いで尾根に乗り、ほんの少し行くとすぐに御室小屋に出ます。昭文社の地図(山と高原)には迷マークがついていますが、迷うことはないくらいピンクテープが盛りだくさん! ほぼ5mおきについているので、どんな人も迷うことはあるまいと思えました。
この水晶峠のあたりにある沢では、アコウ平からの道が合流するので、三上さんはそれを見たかったらしく・・・ひとりでどっかに行ってしまった!! 私とOさんは、沢のトラバースで地味~な感じのピンチに陥っていました(涙)数メートルのことで進路を間違ったら思いもがけず、危険なところをトラバースする羽目に・・・ 先輩、どっかいっちゃうし(><)
でもラッセルとっても大変!
こんなのが登山道から見えます。
御室小屋。
廃屋ですが、ちゃんとトイレ棟もあり、この時期は匂いも出ないので快適。暑くなると、どうかな・・・。
■ テント泊焚火は宴会!
というわけで、緊迫した冬山とは全く違い、鼻歌交じりの、のんびりハイキング気分だったわけです。
御室小屋に着くとまずは焚火。 そして整地して、テントを張り、本日の宴会の早速始まりです。
お尻の乾燥中・・・。いいオケツでしょうか(笑)?! メンバーの膝の上に乗っかっているのは名犬ナナちゃん。
この日はあまり冷えなかったこともあって、10時近くまでちびちび飲みながら宴会。
最初は料理はガスで、と聞いていたのですが、夫が張り切ってかまどをこしらえてくれた(近くに手頃な石がいっぱいあり、廃屋のよく乾燥した木も手に入った)のでかまど宴会になりました(^^v)
焚火だと、とても火力が強いので、やっぱり、鍋ではなくて タンドールチキンにすればよかった、と後悔。
ホイルで包めばなんだって焼ける。
■ 火の粉が飛んでもOKなレイヤリング
今年の春は、とっても温かいのでウエアは悩みました…冬のジャケットはイラナイだろうな…と。
でも夜は冷えるだろうし…それに山頂は風が強いでしょう…。ついでに焚火は結構火の粉が飛ぶので、化繊は焼け焦げが心配…
靴下を乾かそうと火に近づけすぎて、大きな穴を二か所も開けてしまった人も…火の扱いは慎重に。
私は出発前、アレコレ考えた末、結局、化繊の普段着に、防風性のあるペラペラのフーディニを重ね、行動中はそれで行くことに。この
組み合わせは温かいことは確認済みです。 で、行動が終わったら、ダウンを来て、火の粉予防にネルシャツを今回は持っていきました。このレイヤリングは正解でした。
下は普通に冬の登山パンツでしたが夜はダウンパンツを履きました。
■ 表参道
御室小屋があり、表参道が始まる標高2000m地点から2500m越えの金峰山山頂までの、標高差およそ500m、距離にして、2kmちょいくらい(法面距離なら約4km)・・・・これはタイヘンでした!
夏の標準コースタイム2:10を行くのに、5時間! (と言っても小一時間ほど片手回し岩で岩に登って遊んでいた ^^;)
これが肩手回しの岩です! なんで片手回し?!
岩の上から・・・五丈岩も見える。
モアイみたいな岩の横を通ります。
梯子も数か所あり。
山の先輩がカラビナの説明をしてくれます。
この大きなスラブ(片手回しっていう地名です)の上はセルフを取りながら、一人ずつ行きます。
ここ結構高度感あって怖いよ~。この岩の上…心の中で「怖くない。怖くない」「下、見ない。下、見ない。」と唱えながら登りました(笑)
肩手回し岩。
早くも懸垂下降が必要な場面に・・・(汗)
ロープっていいやつですね!!
急ですねぇ。
ラッセル深いねぇ。
できたトレース。
休憩適地。
そんなこんな道で~ワイルドでした☆ いやもうコースタイム当初の計画通りにはいかないだろうことは、なんとなくもう途中でわかりました。登山中ずっと、左手に見える八幡尾根が・・・「八幡尾根待ってろよ!」って感じ(笑)?
結局、金峰山山頂には12時にしか到着できなかったので、その時点で八幡尾根に下ることはコースタイム的に不可能な選択肢になってしまいました(涙)。
行きたかったな、八幡尾根。なんかあの稜線を歩いてみたいな~と思ったんですよね。
こんな森をラッセルします。
うっとりするゴキゲンな森ですね~!! また行きたい!!!
山頂下の岩登り。
ルートは明瞭!青空はまぶしく、風は微風! 素敵な登山日和です! ああ、あと一泊できたら!!
富士山!
山頂12時・・・ということで選択肢①は、黒平ピストン。
だけど…登りには5時間かかった道ですが、それは御室小屋までの区間だけのこと。前日に登った分は入っていない。 黒平の集落から、御室小屋までの道のりも、道の半分はラッセルがあり、夏道では4時間20分の道を5時間かかっている…ラッセルありの登りでトータル10時間の道…は下山では、いくら早くても5時間には短縮しないのではないか…やっぱり6時間くらいは見るのが妥当でしょう。となると、ヘッドライトをつけての行軍・・・
しかし、12時山頂での体力メーターのレベルゲージを見てみると…みんな結構ガソリン切れそう…(汗)
12時+6時間はアリエナイです…多少の休憩をはさまねば…
八幡尾根からエスケープとして考えていた尾根なども一応、候補として考えてみましたが、どう考えても疲れた状況で未知のルートを取るのは理性的な選択肢とは言い難い…。
八幡尾根に行くには、あと一泊のテント泊が必要ですね…
というわけで、リアリスティックに考えた場合、最短で降りれ、全員がおなじみで歩いたことがある、増富ルートを下ることになりました。増富ルートなら一般道でラッセル不要。前回歩いた時も13時すぎに下山開始して、16時に降りています。3時間で降りれる。
結局、山の先輩の奥様に車でお迎えに来てもらいました(m_ _m)。その後、集合場所へ戻り、黒平に置いた車を回収することになったのでした。いや~ 迎えに来てくれる人がいたからセーフ・・・
■ ワイルドで楽しめる表参道
金峰山表参道は、御室小屋の北から始まります。御室小屋は廃墟化していますが、その前には、数段とはいえ、きちんと成形された古い石段が階段状に積まれ、参道らしい風格がうかがえます。
いきなり急登です。といってもずっと急登なんですが…(^^;)いや~足腰にくる道でしたねー!!
2000mを超えているのでしっかり雪も残っています。
← わかります?石段なんです。 写ってるのは80ℓのザックを背負った山の先輩☆ いつも世話になっています☆
急登の最初のご挨拶は大きな一枚岩。30mくらいありそうなスラブの上を歩きます。ごっつい鎖が渡してあるのですが、足元がチェーンスパイクだったので、ちょっと不安でした…。
山の先輩から自己確保の方法を教わり、自分たちで鎖にセルフビレイします。
カラビナは必ず2枚必要です。そうでないと、鎖のつなぎ目などでカラビナを付け替えるときに確保ゼロの瞬間ができてしまいますから。
基本は自己確保用のカラビナは安全環付です。大きさもちゃんと鎖全体をカラビナで掴めるようなサイズが必要です。
そのスラブの上を突破したと思ったら、その先にはすぐに懸垂下降が必要な急な下り…。ここでまたロープ登場です。ムンタという結び目を習いました。ロープワークに初めて触れた旅。
さらに崩落痕の開始点と思しき、滑りやすい砂地のトラバース。
ああ~忙しいコースね~!
そして、アラ?っと言う間に、最初のハイライト、片手回し岩に到着。
せっかくなので、ここに登ろう!というワケでザイルを出してくれます。登るときは、フリクションノットで登ります。降りるときは懸垂下降2回目。 しかし、ロープワークは別途勉強が必要です。セルフレスキューは課題ですね。
片手回し岩は写真で見るより実物を見ると、でっかくて、どうしてこういう形の岩がここにポツンと残ってしまったんだろう?と興味を魅かれます。 金峰山はあちこちにこんな風に岩の突起が樹林帯の中からニョキっと出ていて、それぞれの岩に名前がついているようです。七人行者とか。
小規模なアップダウンはありますが、基本的に急登です。そして、雪が…。去年ツルネ東稜も初級のバリエーションルートで、踏まれていないため、上部が5センチくらいクラストした最中雪でしたが今年の雪は上部20cmくらいがクラストした最中雪です(><) うまく割らずに歩けたらいいのですが4対6か、3対7くらいで、上に乗ると割れてしまう…ので、結局ラッセルになるんですが…これで体力と時間を消耗します。
トップは時どき選手交代しながら登るのに…やっぱりとっても大変でした…。
心配していたお天気は大どんでん返し! この日は快晴で…山にいることが、こよなく幸せに感じられる日… 素晴らしいお天気になった。
金峰山はイメージが暗かったけど、なんのなんの、本当に明るい山梨の愛すべき里山です。
この黒平ルートはぜひまた夏にも登ってみたいな~と思いました。すっごく整備が行き届いているので、一般道より安全なくらいかもしれません。
それに
マイナーなので人が来ない! 大・大・満足な、残雪期テント泊宴会山行となりました!!