甲府は、まるで空気が張りつめてはちきれんばかりの飽和度で、時おり、決壊するように雨が降ってはやんだりの、変なお天気でした。
今日も、すっきりしないお天気。スッキリしない空に引きずられ、すっきりしない気分(ーー;)。
■ 人工壁でも苦節一年!!
ブログを書くと、去年の今頃、自分が何をしていたか?が、はっきり分かります。(去年の今頃の日記
)
そうすると、今自分が何をすべきか? 明らかになる・・・
今年の夏山バイトは短期に抑えておくことにしました。というのは、私にも、やっと岩ブームが来た・・ようだからです。もったいない!
私にとっては、ボルダリングでのクライミングって面白さがイマイチ、ピンと来ず、クライミングが面白いと感じられるまでに、苦節1年(笑)。
成長の軌跡を一旦振り返ります・・・。 教える立場にある方、ご参考に(笑)。
私はどちらかというと、クライミングの才能があまりない登山者の実例です。女性ですし、中高年と言われる年齢で始めています。
・どのような順番で
・どのような内容を身に着けたか?
・どのような成長スピードだったか?
・攻撃力と防御力のバランスのためには何を学ばせたら良いか?
山との出会いは十人十色で、クライミングシューズを履いたその日にクライミングウォールのてっぺんまで行けてしまう人もいます。
ただ・・・(登れても危険の認識の無い人)が一番危ないです。つまり、才能で登れる人は新人の時期に落ちて死ぬリスクで言うと、才能がなく登れない人より高い。
なまじっか登れるため、登りたくなり、安全を確保する技術や知識がないままに、突進してしまうと、ゲレンデなどであっても、本格的な危険にさらされることになり、危険です。
登るの上手でも1ピン目で墜ちてはいけないのを知らず、一ピン目で落ちることはあります。
でも、あんまりゆっくり成長させ、本人が腐ると、コレも困る。才能をつぶしてしまいます。
なので、登れない人のほうが登れる人より、ゆっくり成長し、その分、防御力が増え、安全マージンが取れます。
へたくそ組は防御力UPを自らの進むべき道と念じ、自信を持ちましょう(笑)
■ 山は独学の方が楽しい
私は基本的に独学の人です。お受験も、英語も、プログラミングも独学。
私が思うには、独学できないような分野は、適性がない、ということです。
自分が自ら学ぶことができない分野は、たぶん適した分野ではない。なので、独学でだいぶやってきたことを考えると、私は登山に適性があったのでしょう。
私は、たぶん山岳会に入会した時点(3月)で、白紙状態でなかったので、それは受け入れる側にとっては勝手が違うな!という風になったかもしれません。
実際、私が接しているメンバーを見ると、私は白紙で入ったとは言えないなと思います。
入会した時点で、”本格的な山”が何を意味するのか、分かって入っていました。
自分が何が分かっていて、何が分かっていないのか、分かっている状態ですね。
普通の人はここまで来るのに大変で、一生来ない人もいます。
なので、初期の新人教育はほとんど省ける状態です。要するにそこのところは、もう済ませてきたという感じですね。で、そこを教えるのが一番難しいのです。
しかし、去年の4月は、完璧に白紙だったと思います。
ので、私はまだ山岳会は入会して3か月ですが、たぶん山岳会に入会して、丸一年くらいの状態にあると思います。
ちょっと成長の軌跡をまとめておきます。山岳総合センターの講習は、夏山机上講習までしか受けていませんが、一応の山ヤ初期教育の枠組みとして参考になると思います。
余談ですが、辞めたのは、こんな人たちと登ったら死んじゃう、と思ったからです。講習は良い内容でしたが、攻撃力は評価されても、防御力は軽視されている印象でした。私が講習会に求めるものは防御力をつけさせてくれることでしたから、辞めました。そして、防御力がしっかりした山岳会という視点で、入会する会を選びました。
■ 成長の軌跡
2013年1月 悪天候の鳳凰三山に行き、これ以上の山をするには
登山技術を教わる必要があると自覚する
ここから、登山学校などを模索
2013年2月 無名山塾の冬山講習に参加
とても気に入り、入会を検討する。 検討中、公立の登山学校を発見・・・
~ ここまで前振り~
2013年4月 山岳総合センターのリーダー講習に参加。
7日 エイトノット、ムンター、クローブヒッチを初めて学ぶ
http://stps2snwmt.blogspot.jp/2013/04/blog-post_8.html
20日 生まれて初めて懸垂下降をする
25日 クライミングシューズ1足目を買う
≪主な出来事≫
・初心者岩セットを揃える。
・ロープワークを始めて学ぶ。
・初めて懸垂下降をする(カラビナ、8環、ATC)
2013年5月(GW) 2度の雪上講習を受ける、雪上歩行をマスター
12日 初めてエルク主催の体験クライミングを行う@小瀬
この時は、インドアウォールは上まで行けたが、外の人工壁は
ハングした箇所で敗退。
≪主な出来事≫
・ボルダリングジム通いを始める
・『生と死の分岐点』を読み始める
・このころはリードとトップロープの違いも良く分かっていない。
2013年6月 ロープワーク講習会を主催する。全5回の講習。
23日 敗退の練習に沢に行く。懸垂都合4回。
http://stps2snwmt.blogspot.jp/2013/06/blog-post_24.html
http://stps2snwmt.blogspot.jp/2013/06/blog-post_8965.html
≪主な出来事≫
・沢装備を買う
・ロープワークを学ぶ
・懸垂下降を学ぶ
・クライミングシステムに興味を持つ
2013年7月1日 夏山机上講習
16日 七倉沢での危急時講習会
・初めて沢泊。
・初めてハーケンを打つ
・初めてフィックスを張る
≪主な出来事≫
・ボルダリングジム通い継続
・7月1日 初めて人工壁でトップアウト。
・ボルダリングを始めて約2か月、10回ほど。クライミングシューズ2足目を買う。
・7月中旬、講習会の翌日に小屋入り。~8月一杯 夏山小屋バイト
・ 小屋入りしたので、ボルダリングジムは中止
2013年9月 甲府の暑さに参り、体調悪化により、山お休み。
2013年10月13日 初の東沢釜の沢 (講習会)
≪主な出来事≫
・沢登りで沢泊を経験する
・風邪を引き、熱を出している中、『フリークライミング小史』を読む
2013年11月 冬季シーズン突入 11月をボルダリングに充てる
≪主な出来事≫
・ボルダリングジム1か月券を買う
・講習会の限界を感じ、途中退場を決める。山岳会を模索し始める。
≪参考≫
・山はEndlesslyInteresting
2013年12月1日 講習会の参加を辞めることを決意し、お見合い中の山岳会の月例山行に参加。
5日 師匠と初の山へ行く。お見合い。
15日 富士山雪上講習
13日 アイスクライミング
≪主な出来事≫
・講習会の限界を理解し、山岳会へ転身する
・尻切れトンボを補うため、講習会を併用する
・講習会の他、個人的なネットワークでの仲間づくりを模索し始める。
2014年 1月12日 師匠と甲斐駒に行く 4年越しの山
≪主な出来事≫
・やっと師匠につくことを納得する
・ルートデビューする
・先輩のリードをビレイし墜落をわざとしてもらう
・ガイド講習でリードをビレイする
2014年2月 大雪で裏山ラッセル
≪主な出来事≫
・阿弥陀北陵、峰の松目、を逃し、山岳会は二つ所属する必要があることを理解する
・100年に一度の大雪により山が充実しない
・リードのビレイで先輩の墜落を止める
2014年3月 二つの山岳会に入会する
入会のいきさつ
≪主な出来事≫
・山岳会に入会する
・雪洞泊を逃す
2014年4月 春山合宿に全力投球
5日 岩、ルートデビュー
13日 パートナーと春山
≪主な出来事≫
・習慣的に人工壁に通い始める
・山岳会の山行を理解しはじめる
・スポーツクライミングでの常習的なビレイ&クライミングを始める
2014年5月(GW)春山合宿 鹿島槍鎌尾根
18日 十二ヶ岳の岩場で5.7を初リードして岩に目覚める
≪主な出来事≫
・始めて、小瀬の人工壁(外)でトップアウトできるようになる。
■ 体験から入門への間に時間を掛ける
こうしてみると、やはり、
体験→入門→初級→中級→上級
と 易から難の流れ を維持して行く中で
体験 → 入門 の部分にはしっかり時間を掛けた方が良いのではないか?と思います。
学ぶ時間をそこで登山者に与える。そこで自分で学べないと、やはり教えても教え損になるかもしれない。
たとえば、私はアイスクライミングの体験に1年目行き、丸一年何もせず、翌年、いきなり、アイスのゲレンデに行っています。翌年アックスを握るのが初めてでも、南沢小滝が登れました。ただし、その間にボルダリングジムに通って、クライミングそのものに理解を深めています。
このクライミングジムに通うというのは、自助努力で、これが欠けていると、体験クライミング→入門クライミングと同じように、駒を進めても、まったく違う結果が出てしまいます。
体験 → 入門 までに1年。 途中のスキルアップは各自。
岩だけを見ると、去年の13年4月の時点でボルダリングしか知らない。5月にでたエルクの体験クライミングでは、人工壁は半分しか登れていない。7月に別の人工壁トップアウト達成。11月までクライミングを休み、11月のみ特訓。冬季シーズンもほぼクライミングジム通いを休み、結局、4月に再開、ルートデビュー後、5月に外岩で初リードし、やっとクライミングに目覚める、という調子です。最近やっと小瀬の外壁は、上まで行けるようになりました。 ここまでに苦節1年(笑)。
沢も、2012年体験レベルの海沢へ。一年空いて、13年、自分の道具で、敗退のための芦川横沢、入門の定番東沢釜の沢、というわけで、体験レベルから入門に入るまでに1年あります。
体験と入門の差はそれだけ大きいということではないか?と思います。
体験レベルでは、道具は借りています。入門レベルの1回目で、やりたいと確信したら、買う。必要なモノを買わない人は山は登らなくていいかもしれない・・・。道具っていうのも、登山者が差し出す代償の一部なのかもしれません(^^;)
まぁ私は去年の夏山バイトは差し出さねばならなかった犠牲と感じています・・・。今年もバイトはする予定ですが、短期にとどめようと思っています。今、岩ブームなのでその方が大事。
■ 時間を掛けるのは悪いことではない
たとえば、積雪期の赤岳も私は登るのに、4年かけています。一方天狗岳はガイド登山でピッケルの使用法を教えてもらいたい、と思うまでに、3回登り、4回目で教えてもらっています。
一般的なガイド登山の登山者は、自分で登れる山にガイドと行くことはしないのではないでしょうか?またガイドに連れられて一度登った山に、復習登山することはないのではないでしょうか?
そこのところが、自分の山に落とし込むかどうかの分かれ目だと思います。
たぶん、赤岳は、登山者としての初期でも、体力的・技術的にも別に登れたと思います。が、それだとうまく行ったラッキーの山にしかならず、”そこからの山”ではなく、”それだけの山”になっていたと思います。
大人から始めた趣味では、入門の前に丁寧なワンステップが要ります。
山岳部などの人たちは、いきなり赤岳が入門の山で良いのだと思います。4月に山岳部に入会して、クライミングウォールを毎週登り、いきなり春山合宿で雪上テント泊でも大丈夫なのが若さでしょう。
しかし、30代であっても、大人から始めた人たちを教育する、となると、それでは、熱い湯にいきなりドボン!と入れることになってしまいます。大人は体力も知力も下がり坂でのスタートだからです。
バレエでも大人から始めた人は、入門の前に、丁寧なストレッチという意味で、ヨガが必要なくらいです…そうしないとゆがみが取れないからです。
同じことで登山でも、ハイキングの山に一杯行き、登山ということに対するゆがみを取る、のが大事かもしれません。ゆがみと言うのは都会生活の常識というようなことです。
少なくとも、一人でお花摘みができず、冬山でパジャマを持ってきてしまうような人は、まだゆがみがとれていないかも・・・。クライミングで1ピン目で落ちたり、冬山でヘッドライトを探さないと出てこないような人もです。
そういうわけで、大人と子供には別の戦略が要ります。 そこまでの手助けは、特定の先輩や師匠が行うものと言うより、周囲の人から、自然に登山者自身が盗んで学ぶ、もののような気がします。
■ 試案
登山者の育成は、攻撃力と防御力の二本立てです。どっちが重要かというと、当然防御力です。
でも、防御力は面白くなく、攻撃力は面白い。
好き嫌いして、面白いことだけやっていると、アブナイ登山者に育ちます。
クライミング(攻撃力養成) ロープワーク(防御力養成)
ボルダリングジム 易しい課題に習熟 ロープワーク入門
↓ ↓
夏山の岩稜帯縦走で成果を実感してもらう 懸垂下降体験レベル
↓ ↓
クライミング強化月間 敗退スキルの積み上げる
↓ ↓
ショートルートゲレンデ 沢、敗退主体のルート
↓ ↓
インドアリード セカンドとして体験的ルートに行く
↓ ↓
アウトドアリード 2人で登る セカンドとして入門的ルートにいく
↓ ↓
アウトドアルート リードを経験する
↓
つるべを練習する
と、こんなところでどうでしょうか?
つるべを練習する意欲が自然に湧くようになるまでに、1年くらいの期間を掛けたほうが良いような?
そうでないと、いくら先輩が念仏のように耳元でロープワークを唱えても、ロープワークやクライミングのシステムって頭に入りません。
私は何度も同じ本を読み返して、ロープシステムを頭に入れました。というか、読みたくなってしまったんですよね…自然と。私はビビりなので、山で危険なのはイヤなのです。
つるべとそうでない、のってどう違うのか?それが分からないうちは、要するに、つるべの練習はしなくていいっていう意味ですね。
攻撃力と防御力の両方が整って初めて危険が伴うルートにチャレンジできる。
逆に言うと、そうしたルートにチャレンジするための代償は、自ら学ぶってことで、時間がかかるってことです。
時間と労力を省略したい方は、ガイド登山が向いています。昨今は、同じ発想で山岳会に来る人が多いです・・・困った傾向です。
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