なぜ、ここまでこだわるのか? それは 危険回避、リスク回避が、登山においてはキモだからです!
■ 最大のリスクは何か?
この山行で考えられる最も大きなリスクは、道迷い遭難 です。 もちろん理由は非一般道だからです。
道迷いに陥りそうな箇所という視点で見た場合、地図上の②の部分しか道迷いに陥る余地はありません。
私が遭難救助隊なら、まず第一にここを探すでしょう。(写真の②)
その核心部を拡大したものです。 道迷いになる場合、考えられるとしたら、
北側に入って以降、どんどん尾根から逸れて、ガリーに突っ込み進退窮まって滑落、遭難、ってあり得る線だと思います。(矢印のラインに北上) 縦の棒はガリーの地図記号です。
【問題点】
・トラバースし続けると問題を先送りしているだけ
・尾根から遠ざかる。
・新たな別の問題が出てくることもある。(結果遭難につながらないとも限らない)
一旦北側にトラバースで逃げたものの、ルートの良否を分けるポイントはいかに早く、黄色の尾根に戻るか? ですね。
真ん中の〇のあたりで、GPSのラインが乱れているのは、そこで考えているからです。
ココで写真で現地の状況を検討しましょう。
尾根の末端 |
これは尾根の末端です。岩尾根。まぁ登って登れないことはなさそうですが、登った後も岩が続くと苦しみそうです。
そこでとりあえず回避することになります。
■ 回避パターン1 緑のライン
私の当初の判断は
・緑のライン (主尾根に乗るため南面の斜面にトラバース)
でした。 しかしこの選択肢は、山慣れた人からは合理的ではないという指摘をもらいました。
その理由は
1)植生から北側の方が歩きやすいことが多い
2)沢型=歩きやすい。
の2点でした。
私も植生が南面は植林地であることを考えたのですが、ラインに特徴がないことはあまり判断の根拠とはならないようです。
■ 回避パターン2 ピンクのライン
ピンクのラインは、崖マークを完全に避けられるところまで行ってから尾根に乗る作戦です。
これは歩いたラインより、大きな弧を描き、距離が長くなる、という点で、実際に歩いたラインより優れたラインとは言えないかもしれません。
■ 実際のライン
今回のルート取りは沢の源流と似ているそうです。
・尾根より沢の方が歩きやすいので、可能な限り沢をつめる
・限界的な傾斜になる、その直前で尾根に逃げる
というのがルート取りの典型的なパターンとしてあるそうです。 私もそのイメージがあります。
私も地図読みにおけるリスク回避でロープが欲しい理由は
・尾根の末端
・谷の源頭
の2か所が大抵が急でロープなしにはどうしようもない斜度であることが多いからです。
それは地図からもうかがえます。
それが実際のGPSのラインになった理由ですね。”一旦、北斜面に逃げ、弱点を見つけて黄色の尾根に乗る”です。
■ 弱点のライン取り
この写真のところが実際見つけた弱点のラインになる、ルンゼを詰めたところです。
ココでもよいそうです。そうなると、
・ビレーヤーはどこでセルフを取るか?
・傾斜が緩いのでセルフ無でも行けるが安全策ではない
ではなぜ、真ん中のラインになったか?(水色のライン)
それは、ビレイヤーの確保支点になる安定した立木が目の前に真ん中にあるからです。
と、いうことで、ラインと取る時のポイントをまとめると
1) アンカー
2) ロープの長さ
3) ランニング支点の豊富さ
4) 斜度
となるのかなと思います。 つまり、赤矢印の木を発見するということが今回の二つ目の核心ですね。
ビレイヤーの確保支点はつまり真ん中に見えている木で、それがいちばん重要だと言うことです。
ゲレンデでロープワークしているとビレイヤーはアンカーを取っていません。
のでゲレンデでしかやっていないと気が付かないかもしれませんが・・・
実はビレイヤーのセルフビレイはパーティ全体のアンカーとなる重要な支点です。
少なくともリードするトップが安定した支点にたどり着くまでは安心できません。
ここが登り終わりの尾根に出たところです。平で安定しています。
これを見ると尾根の上に踏み跡は続いていますから、この先にまだ北側斜面にトラバースできる箇所があるのかもしれません。
”登り始めはたいてい不安定で、最初の安定した木に達して安心する”という定番のパターンに、ほぼ合致するそうです。
■ ロープワークによる悪場の切り抜け方
いや~私の心配はだいぶ解消されました。
私がロープワークを求めたのは
・尾根の終点
・沢の源頭
の2点が大概急すぎるからです。 心配で知らない尾根歩きなんかできません(笑)
しかしこの経験で、そうした難所、悪場が出てきたときの逃げ方が一つ理解できました。
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