■ 黒富士
金峰山は奥秩父の盟主ですが、甲府から見ると奥秩父は全然奥ではありません(笑)。
奥というには程遠い、のほほんの開けた日向の心地よい山ばかりです。それもそのはずで、茅ヶ岳山麓の明野は、日本一日照時間が長い場所で知られています。ので、甲府の奥は、晴天率が日本一高い山々と言ってもいいのかもしれません。
盟主金峰山の手前には昇仙峡があり、仙人の全国組合集会所のような岩峰がにょきにょきと生えた面白い地形が続いています。
とはいえ、仙人と言っても、小春日和の山々は、冷たい滝を浴びて修業している仙人というより、お酒を飲んで昼寝していそうな酒仙が住んでいそうな山々です(笑)。
昇仙峡の奥、奥昇仙峡といえる場所には、金峰山の前衛の山々が連なっています。有名なのは深田久弥が亡くなった茅ヶ岳ですが、実は、この辺一帯は地質学的には黒富士火山帯と呼ばれています。
そういう意味では奥昇仙峡の盟主は黒富士と言っていいのかもしれません。知名度というのは世が決めることなので。
黒富士の名の由来は、ピークの形です。黒い富士のようにきれいに見える、と言うわけ。
6月に偵察した時は、残念ながら白い富士山と並ぶ黒い富士の姿を見ることができませんでした。
おススメ参考サイト: http://yuyusyumi.hobby-web.net/yamanikki/gazoutukiyamanikki/kohu-ga-ya/masugata555-1.htm
富士山と黒富士 (山田哲也さんの本を読みましょう) |
■ 燕岩岩脈を歩く
今回は、燕岩岩脈を登って黒富士にのぼっちゃおう!という企画です。とても楽しかった&勉強になった。
地形を読むという意味で、誤解が少なくとも一つは解けました。
私が想定して行った作戦のラインは、山の先輩の想定と大体同じだそうでした。
問題の個所は2つ
1)燕岩岩脈の取り付き
学び) 地形が明確な場所が迷わない
上の図の①の箇所で、私が描いていった作戦は、”方角を頼りに漠然とした斜面を上がる”ことでした。すり鉢状でどこでも歩ける緩やかな斜面だと思ったので。その通りの場所でした。
しかし実際の先輩の作戦は、地図にはうっすらとしか現れていない東面に出た尾根を歩くほうを薦められました。
尾根がうっすらとしか地図上で表現されていないとき、尾根を歩く必然性と言うものが私にはまだ見えていませんでした。
尾根に自分が乗ったかどうか?というのは、となりの谷が見えているかどうか?で判断する。
これは私には盲点でした。
つまり谷の存在を現在地の同定に使うという視点です。
私が選んでいたのは、うっすらとした谷でした。それは傾斜が緩く歩き気やすいだろうと思ったからです。すり鉢の底のようなうっすらとした谷を左手に明瞭な尾根を見上げつつ歩こうと思っていたわけです。
つまり尾根に挟まれていれば、そこは谷なので。詰めれば、尾根に乗るだろうということでした。
右手に見えるのが燕岩岩脈 |
取り付きの平野 |
尾根がうっすらとしか地図上には表現されていなくても、片側はかなり切れた地形的には、はっきりした尾根でした。
2) 黒富士東尾根取り付き
②の箇所です。
この箇所では黒富士から延びる東尾根が90度曲がっています。尾根と尾根がぶつかるところは鞍部なので、となりの1275のピークの尾根とぶつかる鞍部に出ます。
ここは南面は実際には地図で想像するより急で危なそうな場所でした。が尾根を見る限り、岩尾根のようで、登るのは躊躇される感じでした。北面の斜面も崩れたルンゼでガレており、落石危険地帯(笑)
鞍部はとても良いテント泊適地のようでした。(ただ熊もそう思うようでお昼寝の跡がありました)
ここで黒富士東尾根に乗るために、南側斜面を使うか、北側を使うか、その判断がよく分かりませんでした。
このようにくぼんだ所は落石の巣です |
重要!: ルンゼ(小さな岩の崩落通り道)では落石注意。具体的には、前の人が頭上にいることがないように!
そのためには
・先行者との間を空けるか、
・下になりそうなときは足早に通り過ぎる、
・逆に間隔を詰め楽石があっても落ち始めで加速度がついていない段階の場所にいる
です。
この2点以外はルートファインディングには特に難所を感じませんでした。
懸垂中です |
無論、ロープワークはつたなく課題は大ありでした(笑)。
■ 下山
下山は一般道ですので気楽です。ただし、問題は稜線を伝ってあるく区間である黒富士ー枡形山ー黒富士峠区間ではなく、黒富士峠~マウントピア黒平の沢沿いの区間です。
私はすでに歩いたことがある道です。
天狗岩 |
私はこの道は歩いたことがあったのですが、こういう事実を把握せず、谷間を詰めて峠に出るとおおざっぱにしか考えていませんでした。
それはあってはいるんですが、さすがO型というか、大雑把すぎますね。谷間にいる間の現在地同定は、
見える尾根終点と差し込む枝沢(沢は枯れることがあるので難しい)
さらに谷間から見える小ピークの同定は課題でした。
この辺りはばち岩、燕岩、と岩の見どころが多いです。
■ 課題
というわけで課題を整理すると
・尾根の取り付きの選択
・ロープワーク習熟
・谷間での現在地同定
でした。
今回のルート図とヤマレコ。
■ おまけ
1275のピークから金峰山
ゆとりの山行計画なので、ランチは贅沢に小一時間。
帰りもゆとりをかまして、のんびり蕎麦でも食べていましたとさ~(笑)
こちらは連れて行ってくれた山の先輩のブログ。 http://mtgd3chan.blogspot.jp/2013/11/blog-post_24.html
欲しいスキルをリクエストすると、ふさわしい山を考えてくれると言う稀有なガイド業をしています(笑)
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