Wednesday, January 16, 2013
平賀文男 『八ケ岳火山群』 と蓼科山
この本はとても面白い!
ずっと八ケ岳の縦走には蓼科山も入れるべきだ、となんとなしに思っていた。
というのは、蓼科山が諏訪湖など遠くから見ると最後のピークにやっぱり見えるから・・・。
でも、蓼科山を八ケ岳縦走の終点とすると、問題が(汗)。
北横岳~蓼科山です。
基本的に冬は全然歩かれていない…(汗)。(まぁまずは夏に縦走したら?とも言えるんだけど…)
12月に出かけた、蓼科山は、天気は悪かったものの、道としてはとてもいい場所でした。
北横岳は雪山入門の山。蓼科山は初級の山。 どちらも単体なら易しい。けど間は・・・
ロープウェーで登る北横岳は、坪庭を一周して、七つ池を見てお終い・・・どうする?麦草峠に向かう? 三ツ岳は岩峰で、「行ってはいけません」と立看板がしてある。 日帰りだとちょっと物足りない。
その点、蓼科山はそれなりの距離と勾配があって山らしい。どうだろう?蓼科山から、北横岳を目差す、というのはありえる線かもしれない??
そう思っていたら、『雪山放浪』にちょうど双子池あたりでテント泊のルートが書いてあった。
テント泊はイキナリ深いラッセルの山でやるのは難しそう・・・まずは安全圏がそばの黒百合ヒュッテがいいな・・・(笑)
ただ、北横岳ヒュッテは、そうした縦走を企てないなら、一体どんな存在意義があるのだろう?という位置にある(笑)。ロープウェーで登った山で45分しか歩かず山小屋泊なんてありえない・・・
12月の蓼科山登山では、そんなことをチラッと考えたのだった。冬季における行動の自由をいかに勝ち取るか・・・?
すると神様が二冊の本を私に送ってきた…1冊がコレ。 平賀文男 『八ケ岳火山群』。
もう一冊はさっきの『雪山放浪』
古い道を現代的な感性で?
■ フォークロア
平賀文男 『八ケ岳火山群』 の良いところは、この近辺の伝承、つまりフォークロアが集められていることだ。
今では八ケ岳を登る登山者に伝えられているのは、富士山の神様「木花柵耶姫(このはなさくやひめ)」と八ケ岳の神様「磐長姫(いわながひめ)」の背比べ話しかない・・・・なんて、寂しすぎる。
何しろ、白駒池なんて、なんで白駒だろう?と思わない人がいないんではないだろうか?
《白駒池のフォークロア》
白駒池には父の病を治そうと祈願した娘さんの話があります。娘は八ケ岳の神様に黄色い花を探すと良いと言われて山に登り、白駒に導かれて、硫黄の湯を発見したそうです。その湯に入ると父親は回復したのだとか・・・それは渋の湯か、渋辰の湯でしょうね・・・硫黄は渋辰野のほうが強いです。
その娘さんは神に感謝し約束を守って白い馬に跨って白駒池に入り、主になってしまったのだとか。つまり、白駒池の主は美しい若い親思いの娘さん、ってことですね。白い馬を白駒池でみるというのは稀有の吉祥ということだそうです。
双子池にも悲しく美しいフォークロアがありました。
《二子池(双子池)の逸話》
昔、小田切村に多賀野某と言って、代々名主を務め、知られた豪農があった。
その息子、興七郎は稀に見る美男で、縁談はたくさんあったが、小作人の一人娘、お染と
恋に落ちた。
両親は驚愕し、興七郎の嘆願もお染の真心も聞き入れず、強引に隣村の豪農の娘との婚約話を
進めてしまった。
その年は大旱魃の年だった。 誰が言うともなく、二子竜神のご信託であるとして、人身御供が
囁かれたが、誰一人自ら求めて犠牲に立つものはなかった。
興七郎は深く何かを決するところがあり、ある夜、恋人お染の名前を叫び続けつつ、二子池の
男池に身を投げた。
それを聞いたお染も同じように二子池に身を投げたが、誤って雌池に身を投げてしまい、運命の皮肉にも、添い遂げることができなかった。
以来、二子池は年に一度、梅雨時に増水して双方が会い通じるようになった。
《その他面白かったフォークロア》
「龍になった甲賀三郎」
http://www.geocities.jp/sizen_junnosuke/ryudensetu8.html
巨人伝説
http://30972253.at.webry.info/201208/article_1.html
蓼科山では、老婆に出会って栗餅を食べさせられそうになったら気をつけなくてはいけない(笑) 大蛇にされてしまう(笑)
■ 北八つ 八峰
平賀文男によると、北八つを形成する8つのピークは
蓼科山、大岳、横岳、縞枯山、茶臼山、丸山、中山、天狗岳
です。(歩いていないのは大岳のみ。)
この縦走を歩くとなると、スズラン峠IN、渋の湯OUT。 そしてどちらも確かにバスが通っていますネ。
縦走もできる。それだけでなく、縦走路の西にも東にも比較的歩かれていない道が通じています。
つまり、縦線は3本あるんだな、実は。
これらのマイナーなコースを取れば、周回コースも取れる。さしづめ海外のトレッキング道みたいな感じですね~。
■ 親湯&渋の湯
古書を読むと、時によって選ばれたもの、選ばれなかったものが分かって面白いです。
”時”と言うよりも、これまでに人々が捨ててきた価値がなんだったのか?が分かる。
すべてが経済優先だったのだ・・・。味気ない。金にならないものは捨てたのが今までの経緯だったんですよねぇ・・・だから逆説的に言うと儲かっていない場所に宝はあるのかもしれない。
例えば、親湯と渋の湯。どちらも山麓の温泉ですが、昔は両方登山起点だったようです。
先ほどの縦走は、蓼科山を省略すれば、渋の湯と親湯をつなぐ一日で歩ける道なのだそうです。
かなりの健脚向けにはなりそうですが、でも確かに道としては歩けそう・・・
今では、渋の湯は、温泉宿としてよりも、登山起点として有名なのではないかと思うのですが、親湯はどちらかというと80’sの大衆観光旅行を思わせる、ドでかい温泉ホテルです。
一度、立ち寄り湯に行ってガッカリ。 近くなら、親湯より、滝の湯に入るべきです。こちらのほうが由緒正しい北八つの温泉ですね。ただ立ち寄り湯1500円と高い! 私たちは定番は小斉の湯(600円)にしていますがこれも掲載がありました。
で、蓼科山のほうにも、春日鉱泉という温泉があることが書いてあるのですが、今では立派な温泉リゾートになっているようです。
http://www.kasuganomori.com/spa/
残念なような、なんともいえないような… この温泉だって、前掛山経由で蓼科山への登山起点であったようなのに、今は山はただの背景となっているようです。
今の時代、アプローチの長いのは嫌われるんですね。
地図を見ると、確かに春日と春日渓谷の字が… 渓谷があれば火山地帯では温泉の可能性があるって訳ですね。
さてと南八ツの研究もします♪ というか南アルプスも研究しないといけないなぁ・・・
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