今回の後立縦走は、
1)一か月以上も山小屋で半分軟禁されたような状態だった
2)4泊5日と行程が今までになく長い
3)小屋泊ではなく、テント泊で一応とはいえ、寝食一式を背負っている
4)ルートが難路
と、いうわけで、達成感がありました。
山小屋で働くと山にいても山を歩けないです。
休憩時間に毎日山に行くつもりだったので(笑)ちょっと残念。
良く考えると、稜線の小屋では山に行くと言っても行く場所がないですね。ピークまですぐだし(^^;)、一般ルート以外は歩ける場所がないのが稜線・・・
これが山麓の小屋だと森の中なので、秘密のエリアを発見したりする楽しみがもっとあるかもしれません。
一応山に居て山切れになるのは想定はしていましたが、こんなに外に出ることが少ないとは思っていませんでした。
なので、テント泊というのは私の中で必然で…「ああ~外の空気を吸いたい!」と。
何しろ、私だけは雨の日も風の日も白岳の稜線でうずくまっていましたから(笑) 一度なんて、雨の中座っていたら、登山者の方に「小屋はあっちですよ」と声を掛けられたくらいです。いや遭難はしていません(笑)
テント泊だとテントに入ってさえしまえば、人に気を使うことがないし、外壁が薄い(笑)ので、外と中の境界線があいまい。だから、テントの中に居てもなんとなく外だし、空気が感じられるのがいいですよね。
私は今後は、タープ泊にも、とっても惹かれています。
夜中晴れていたら、月夜のまま寝てもいいんじゃないかと思ったくらいです。まぁ自分に霜が降りて、朝びしょ濡れになっちゃうと思いますが。
■ ロングステイ
テント泊で4泊。これはやってみたら簡単でした。
それもそうで、単純な縦走なので、
・宿泊に適したサイトを見つける必要がない
・泊まるのは常に小屋のそば
ですから、水の補給も食料の補給もばっちりあるわけで、さらに人の気配はたっぷりですから、危険に対する配慮も不要。
小屋の周囲での寝泊まりは、ウィルダネスじゃなくて、人里住まいです(笑)
だから、そのような状態だったら、テント泊、あと2日は無理なく続けられそうでした。食事もちょうどあと4食余っていましたし(笑)
台風が来なかったらあと一泊していたかもしれない。ただ31日には降りる用事があったので、どうしても30日には甲府に帰っていたかったので…29日に帰り、30日に休息を入れるのが妥当なところでした。
登山の初心者の場合、山の中にいると、それだけで結構疲れるのですが、その辺は長い時間山小屋にいたので、薄い空気にも慣れたのか、まったく違いを感じませんでした。
高所順応してしまったんじゃないか?というのは、一緒に歩いた二人の人に指摘されたので、そうなのかもしれません。
なので、体力的な面だけでいうと、今回はそんなにチャレンジ山行ではありません。
コースタイムと標高差を知っていたので、計画は自分の体力内。そもそもそんなに大変なことはしていません。
だって、距離にして34kmしかないんですよ。5日もかけて歩いているのに。一日だと6~7kmでしょう。 縦走だからそんなにアップダウンも激しくないわけですし。
それより、延々と歩けそうなワインディングロードをふら~と歩いた…という精神的充足がありました。
空中散歩を延々と歩いてみたかったんです。
途中でよれよれの服の登山者にあったので、「何泊目~?」と聞いたら「7泊目」という答えで、すごくうらやましかったです。
■ テント泊
テント泊については、私はプライバシーの方が、硬くて頑強な壁より重要なタイプらしく、あんまり困難を感じませんでした。
一人になりたい…
人といるより、一人になりたい人っていうのはそれだけ日ごろ人に気を使って生きているタイプの人なんだろうと思います。
昨今、ソロテント泊が増えているのは、そういう意味かも?
人間っていうのは不思議なもので、気を使う人と使わせる人に分かれます。孤独を愛する人は使う側なんでしょうね。
その点では、私はだいぶ成長はしたものの…やっぱり人と一緒に居るより一人でいる方が楽なので
ソロでの山歩きのほうが人と歩くより好きです。
(注:一人だと危険が迫る場合を除く。たとえば、閑散期で熊が出るとか。夏の繁忙期の縦走路には熊は出ません)
一人で二人用テントを使うのはとっても贅沢でした☆
≪シングルウォールのテントが欲しくなりました≫
二人用テントだと、道具は靴を含めて全部中に入るので、前室はそんなにいらない。
さらに、ダブルウォールでも、フライシートはしっかり結露していますし、畳むときは夜明け前なので、テントを乾かす時間はもちろんない。結局重くなったままテントを担ぐので、ダブルウォールのテントのメリットって、何なのだろう???
分かりませんね。夫の強いススメでダブルにしたわけですが…テントは寝るだけで生活しないからなぁ・・・
ので、今回は、シングルウォールテントは結露があると言っても欲しいな!と思いました。縦走用で。
冬はダブルのほうがよさそうです。
■ 困難なルート=集中力
今回のもっとも大きなチャレンジは、岩稜帯。
困難なルートが含まれていたので、”緊張感をどれだけ維持できるか?”という精神的キャパシティにはチャレンジがありました。
集中力の維持時間が長い。
でも、私はこれまでのソフトウェアの仕事でも、集中力の維持時間が普通の人より長いのは分かっていました。
そういう面はタフなのです。むしろ、岩稜帯で必要とされるスキルがどういうものか?わかっていなかったので、自分に不帰ノ嶮や、八峰キレットを通過する岩登りのスキルがあるかどうか?そっちのほうが不安でした。
それから筋力低下が心配でした。 何しろザックがあるし… 背中が重いと、脊柱起立筋と腹筋にかかる負荷が大きいのですが、実は山小屋暮らしは、体力トレーニングと言う意味ではまったく逆効果で、小屋から出れないので体を動かすことができず、下界より運動不足でした。
山小屋バイトは太って帰る、とよく言われますもんね。
運動不足の体で、難しい岩が来たらどうしよう(汗)???と思っていましたが、最初の葱平でバテた以外は大丈夫でした。
葱平は落石が怖いので休憩が許されない。ので、歩きづつけ、天気も良く暑かったのです。
以前、鳳凰三山に夫とテント泊した時も相当バテましたが、アレは水切れでした。なので反省を生かして今回は水も十分んもったつもりでしたが、やっぱりバテた・・・(笑)
≪テント泊縦走用のザック≫
白鳳峠ほどのバテではありませんでしたが、何がつらいって、最後はもうザックが肩に食い込んで痛くて・・・女性は肩の肉が薄いですしね・・・それにやっぱり、暑さの方がバテの元になります。
大型ザックの良いのが欲しいと思ったのですが、これは体に合っているかどうかの問題なので、気長に探すしかないです。
アルパイン系だとハーネスをつけた状態でウエストベルトを外します。
ので、結局は肩で背負うことになります。なので、重量を背負うこと=肩で背負うこと。
でも、夏山の縦走はアルパインの要素がある山ではない。ので、夏の縦走用と割り切って、腰で背負うタイプのザックを買ってもよいかもしれません。
■ 今後登りたい山
私は今回の岩場の縦走で、難かしく(みんなが憧れる)山に対する興味を一切失いました。
なんでそんなところに行こうと思ったのかと言うと、山を登っていると色々人が自慢話をしてきてウザいのです。
槍はその典型です。 槍なんて、体力度3、技術度3の易しい山なのになぁ。
そこで、ジャンダルムに行っておけば一撃で自慢してくる人を黙らせられると思ったのでした(笑)
まぁ必要ありませんね。人は行きたいところに行けばいいんだし。
槍穂、特に槍なんて初級の山だし、穂高なんて、上から人が落石を起こすならまだしも、人が落ちてきたりしますし… 一般ルートなのにヘルメットが必要です。
ヘルメット、今回も必要と思いましたがそれは自分が落ちるかもしれないときの保険用ではなく、人が
石を落とすかもしれないからです。
槍穂は、どんなところか知るために(チェックする)ために登るかもしれませんが、目標とするようなものではありません。
私がこの山域で今行きたいのは、
・船窪岳~烏帽子岳 (船窪小屋)
・朝日岳 (朝日小屋)
・祖母谷温泉~清水岳
・阿曽原温泉(下ノ廊下)
です。
朝日岳については、登山を始めた初期のころから、気になっていました。でも、なかなか足が向かなかったのです。
後は南アルプスの奥と、中央アルプスを1座、どこか歩いておきたいです。
1座でも行ったことがあると、その後その山域の特徴を大まかに把握するのに、役に立ちますから。
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