昨日は山岳総合センターの岩登り講習会でした。
リード講習です。リードというのは岩登りの一つの形態で、最初に登る人ってことです。
岩登りは2人一組でロープを結んで行う(ザイルパートナー)ので、
・先に登る人 (リード、トップともいう)
・後からついていく人(セカンド、フォロワーともいう)
のペアになります。
今回はそのリードを初めて行う人のための講習会。
なんで講習会が必要なのかと言うと、リードする人には登っている間の手間が増えるからです。
通称ヌンチャクと呼ばれる、クイックドローで、支点を取りながら登りますので、その手間のために
登るのがワンランク難しくなります。
ひっかけることをクリッピングと言いますが、クリッピングにも細かなコツがあります。
■ リードより重要なビレイ
実は私はリードをしたいというので行ったわけではなく、ビレイをする練習に行ったのでした。
というのは、実際的に考えて、岩登りの初心者がリードすることは、ハッキリ言って可能性としてはゼロです。
基本的にリードは初心者には関係がありません。
なぜなら、リードとセカンドでは危険度が全く違う上、未熟な人が作った支点や確保は命を預けるには信用できないからです。
というわけで、リードをすること自体には、私は全く興味も関心もありませんでした。
岩登りの初心者にとってむしろ必要な経験は、ビレイです。
初心者がリードすることがない=結局セカンドになる、ということですから、セカンド=ビレイヤー。
確実なビレイ技術の方が、リードする岩登り技術より初心者にとって喫緊の課題であることは自明のことです。
■ 新人獲得?!
今回の講習会、内容は本当に初心者を対象にしているらしく、ハーネスやカラビナの説明からでした(汗)。
マジ、カラビナの種類や用途を知らないレベルの初心者にリードクライミングをさせるのか?!な感じ…
午前中は、そういった初歩的内容の講義とトップロープでの人口岩のクライミング。
午後は、クリップの練習と、バックアップのロープをつけてのリードクライミング。各自1登りづつ。
という内容でしたが、この内容を見ても、「初心者向けの体験レベル」であり、ハイライトをほんの少し触らせ、面白いと思わせて、本格的なトレーニングは他所に譲る、という講習内容であることがうかがえます。
ズバリ、命名は 「リードクライミング体験会」とでも言うべきものでした。
・・・ということは・・・つまり、講習目的は「新人獲得?!」
とはいえ、とても新人とは言えない年齢層の初心者参加者でしたが(笑)
■ ビレイ
私はビレイの練習を目的にしていたので、そのあたりの目標は今回とりあえず、達成しました。
というのも参加者のほとんどが「登りたい人」なので、「ビレイしたい人」は需要たっぷり。
正直言って、私はビレイヤーには基本向いていません。体格が小さいので体重が軽すぎ。
体重差が20kgあるときはビレイをしてはいけないのだそうです。
実際、体重差、ほとんどないだろうという体格の人でグループ分けされていましたが、同じくらいの体格の人のビレイでも、結構大変で、かなりしゃがんだり、踏ん張ったり…。
大変勉強になりました。 私は多少体重差がありそうな山好きの女友達のビレイヤーを務めてあげようかな、という気持ちは十分ありましたが、今回の講習会でのビレイ体験で考えを変えました。
10kg程度の体重差でも、ちょっと私の力では難しそうだな、ということを今回理解しました。
このような講習会をするときは、体重も申請が必要なのに、ない。なんでかなぁ・・・?
■ クリッピングは大変
クリッピングは大変でした。
最後のクリッピングを練習課題とするリードクライミングでは、リードでクリップすることの大変さを経験するには長い壁を登ったほうがよいですが、そうすると初心者の場合、クライミング技術がアップアップで落ちそう(汗)なので、黒子のロープで半ば引きあげです(笑)
ちなみに黒子ロープはトップロープでしたが、3分の1引きあげシステムの方が良かったかも(笑)
トップロープと言うのは上からロープが下がっている状態のことですね。落ちてもロープがあるから大丈夫と言うわけ。
ウケたのは、クリッピングの練習なのに、思わず黒子ロープをクリップしようとしてしまう人が多数なことでした。違うってば~。
■ とりあえず登れはしました
今回、私は1か月半ぶりの壁。ついでに縦走中に突き指したんだったってことをうっかり忘れており、登ってみて思い出しました。
握れないじゃん… 小屋勤めは太ると言われた定説通りに、多少ふっくらして帰ってきましたので(ーー;)、体は重く、正直登るほうはテーマにしていなかったこともあって、まぁどうでもいいやな感じでしたが、そういう諸々のネガティブ要因を割り引いても、12mの垂壁を登れたことは黒子ロープでの引上げシステム(笑)の助力があったとはいえ、良かったです。
だってあの壁、まだ1回しか完登したことがなかったんですよね。
■ 岩登りの愉しみ?まだ分かりません。
帰りの高速道路で、山のクラスメートに彼女が岩登りにハマったわけなど、色々話を聞いてみると、彼女は私などよりうんと前から講習会に出ていて、最初は高所恐怖症で、寝ている壁のクライミングでさえも怖かったのに、今では垂壁を登れるようになったのだそうです。
そうやって自分が到底できないと思っていたことができるようになるのが楽しいのだそう…
そういう話を聞いていると、私が岩登りの愉しみを今の時点で分からないのは当然だな~と思いました。
何しろ、私の山は、逍遥の山。そぞろ歩き。心を俗世間の外に遊ばせること。
岩登りは、ただ登ることだけでアップアップの人にとって、到底、逍遥足り得ません。
後立は不帰や八峰キレットが含まれる一般登山としては難路を含む山でしが、私が後立をテント泊ソロで縦走できたのは、その後立縦走が私にとって逍遥足り得るくらいのスキルが付いたからなんだなぁ…としみじみと感慨深く感じました。
■ 10のスキルで8の山を登る
そう…こういった岩登り講習を受けて触発されることで、ボルダリングジムなどに通わざるを得なくなり、結果として、スキルがアップしたので、一般縦走路の岩場は私にとって楽なもの、となっていました。
(岩登り講習会) + (ボルジム自習) = (一般縦走路での岩場の安全通過)
だから、一般縦走路の岩場を安全に通過したい、という個人登山者は、ひとつレベルが上の岩登り講習会に出て、ボルダリングジム通いを開始しなくてはならないというわけです(笑)
山は、自分のアップアップのスキルが10とすれば、自分で行くとなると8か7の山しか登れません。
10のスキルがあるからといって10の山には登れないのです。
さらに10のスキルがある人が誰か他の人を連れて行くとなると、5の山にしか連れていけないのです。
でも、お山という趣味がこういう話だってことを誰も教えてはくれませんよね。
■ 一般縦走路の岩場を安全に歩きたい人のために
・・・というわけで・・・
一般縦走路の岩場を安全に歩きたい人はたくさんいると思いますが、一般縦走路の岩場では確保技術などがあったところで確保している時間に通過してしまった方がむしろ安全です。
というわけで、一番おすすめはボルジムに通うことです。
それは、ボルダリングが上手になるためではなく、スタンスとホールドを見つけられるようになるため。
課題としては、各ボルダリングジムの5級以上の初級課題だけで十分です。
ジムでの課題に級がつけられており、最初は10級くらいの課題から登りますが、これって登れない人はいないくらいのラクラク課題です。
それを一つずつステップアップするわけですが、5級から下の小さい値がクライマーの領域です。それ以前は”クライマー”の呼称にはかすってさえもいません(笑)
というわけで、クライマーになりたいわけではない人であっても安心して5級までの課題に取り組んだらいい(笑)わけですね。
というか、取り組みましょう。 もしキレットなどに代表される岩場のある山登りをしたいなら。
10級~5級の課題を特に困難と感じず、できるな、と自分で感じられるくらいに登れるようになったら、一般的な登山ガイドのガイド本で、”難しい岩稜帯”とされる場所も難しいとは感じなくなっていること請け合い♪
こちらにグレード表があります。
■ 山小屋にもボルジムを(笑)?
私の疑問は、どうしてこういうことを山のベテランは素人にも分かるように説明してくれないのかしら?ってことなんですが…
このことは山小屋でホントに情報不足であると思いました。
難路、悪場、滑落死するような鎖場がある、そのような山にある山小屋には、その山の一番の難所に合わせて、練習課題として登れる壁を設置して置いたらいいのかも(笑)?
そうすれば、自分が行こうとする道の難度が自分には難しいか易しいかの判断が、登山者各自ででき、スキル不足の人が、そうと理解できずに歩いて行ってしまうことは少なくなるだろうと思いました。
私が見た一般登山者たち(歩き方のおぼつかない人たち)は、本当に一か八かの命がけの鎖場通過をしていました。
それは単純にそこを安全に通過するだけのスキル(ホールドを発見する、スタンスを発見する、マントリングで体を引きあげる、長い時間歩く、長い時間集中力を持続させる)などがないからでした。
私には、安全講習よりボルジムの方が有効でした。
・・・んん、ということは、この記事はボルジム通いのススメ?!
私が思うには65歳以上の高齢者で後立縦走などをしようと言う人たちに最も必要なのは、ガイド登山ではなく、ボルジムの易しい課題、と思いました。
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