■ 健脚さん?
山の先輩が、「コースタイム早いね。健脚だね」と褒めてくれた(^^) うれしいけど・・・ 私たち全然健脚じゃないような気がする(汗)
日曜に行った金峰山の瑞垣山荘から登るルートは往復8時間の道。森の中を緩やかに高度を上げる。西側についた登山道ってのはネアカなことが多い。
砂払いの直下でランチの大休止したときは11時過ぎ。そこから1時間半もかけて山頂に行ったので、全然健脚じゃないような(笑)?
・ヤマレコで一緒に登った人たちのコースタイムを一応調べてみたんだけど、金峰山往復8時間は健脚ではなくてフツーみたいでした。
・ヤマケイのガイドブックも本屋でチェックしたら往復8時間で載っていました。
ので、標準コースタイム通りみたい。健脚ではありませんね(笑) 金峰山、瑞牆コースは往復8時間の道です。
■ 一緒に登った人たちから学ぶ
私たちが出会った登山者たちの中では体力がありそうな人たちは、お天気に気力が萎えて、むしろ早めに下山してしまったみたいだった。登山口にはすでに10台止まっていた。朝早くから登り、私たちが登っているタイミングでは、ラッセルを嫌って下山中の男性が二人いた。彼らのほうが体力ありそうだった。実際ヤマレコでみると早い。彼らが登れなかったのは、こういう風に表現してはなんだけど、強い気持ちの問題なんだろうな。体力でも技術でもなくて、単に登ることに意味が見いだせなくなったのだろう。
一緒に登った人たち(つまり後発部隊)は、初心者が多いと見て取れた。
同い年くらいのご夫婦、仲良し3人組の男性パーティ、ランドネ系のウエアを着たカップル、の3組だった。ご夫婦は砂払いノ頭で撤退決定。ランドネ系のカップルも少し先へ行ったのにすぐ降りてきてしまっていた。どうしたのかな?3人組はこの中でもとても苦しそうに登っていて、2450辺りで下山中にすれ違い、そこで大体13時だったから、下山が日暮れに間に合ったかな~、とちょこっとだけ心配で、ヤマレコを後で見たら、17時に降りていた。 まっくらにはなっていないからよかった~。
■ 下山が早いのは体力関係ありません
私たちは30分くらいの差で登頂したことになるけど、下山は16時回っていなかったから、登りではなく、下山で時間を稼いだことになる・・・
下山のほうがコースタイムが速いのは・・・たぶん体力ではない(笑)。たぶん歩き慣れの問題で、下山は体力がなくても、何度も山に登っていれば勝手に早くなってくるみたいだ。 雪は転んでも痛くないから、勇気をもってサクサク降りれるんだからね(笑)
心理的問題だ。慣れと。あとは下山で膝を痛める人が多いので、それは内転筋が弱っているんだな。内転筋は日ごろ使われない足の内側の筋肉です。どちらにしてもあまりパワー(体力)は関係ない。
■ 研究不足 & 経験
金峰山の瑞垣ルートは、なだらかでゴキゲンな森。明るくって健康的だった。だから、実は「わ~♪」って思っている間に砂払いノ頭までついてしまったんだな~(笑) 苦を忘れる楽しさってわけで(^^) さらに上はもっと「わ~☆」だった。
実は登る前は往復7時間の山のつもりだったんだった。研究不足。
それで4時間で山頂に登れるから、8時スタートで、12時山頂でOKと思っていた。ところが登頂は13時になってしまった。
ただ心の中に、下山はそんなにかからないという見積もりがあったから、13時に引き返すのでOKと頭を切り替えた。 +3時間で下山でまぁなんとかなるか~と。登ってきた感触で下山はそれくらいだと思ったのだ。さらに日が長くなってきているのも知っていた。
だから、研究不足を経験が補ったのだ。
砂払いで下山を決めたご夫婦のご主人は「え?降りるの?まだ早いのに?」と私がいうと、「でも、下山には5時間かかりますよね」と言っていた。・・・たぶん、私たちが雪山にチャレンジして2年目くらいのあたりにいるのかな・・とその返事で思った。
私は下山には登り以下の時間しかかからないとは思ったんだけど、足はそれぞれなので黙っておいた。 この方はこの経験で「そうか下山は登りより掛からないんだ」という経験を積んで、次回は同じ時間に出発しても砂払いノ頭より上に行こう!と思うだろう、と思う。
■ 森林限界を超える前に一本
ちなみに、その砂払いノ頭の下で大休止したのは、もうすぐで森林限界が終わりそうだったからだ。
大休止するタイミングはここしかないな~と思ったのでした。森林限界以上に行くと風が強い。そうすると、休憩どころじゃないよな~ってわけで(^^)。
稜線に入る前で一本、というのは、経験が教えること。ルートガイドにもよく読めば書いてある。
けれど常識を働かせることでも休憩適地は発見できる。というのは、周りの樹木を見ていたら樹高が低くなるので、そろそろ森林限界に近づいたんだな~と、ルート自体は初めて来た場所で知らなくても、山の様子でわかるから。
でも常識もなくて、周りの木々を見ても連想できなくても、実は地図を事前に見ていれば、どこでランチ休憩すべきか分かる。地図を見るとちゃんとどこから稜線に出るのかわかる。事前の予習や計画の念入りさは、経験を補うんだな。
・大休止する場所は風のない場所=森林限界手前で
・事前に地図を見て森林限界はどのあたりか、稜線歩きはどこからか、確認しておこう!
もし大休止するタイミングを逃せば、すきっ腹で山頂付近の吹きさらしのシビアな環境に身をさらさなくてはならない(汗)。
すきっ腹だとイライラもするし、元気もないし、楽しくないだろう・・・ お弁当は山頂で食べるもの、というのは夏だけなのだ。
■ 行動食
この日は私たちは”だめだめコンビ”。 実は、装備の中に買ったばかりの1リットルの保温水筒を入れたはずなのに忘れてきてしまい、ランチにするはずだったカップヌードル食べれず・・・(汗)
おまけに行動食の買い出しにコンビニに寄るはずだったのに、須玉ICを降りてから、コンビニが見当たらず・・・結局、ランチは夫はソイジョイ、私はオートミールバー、そして、行動食は黒砂糖とナッツ、黒豆だったのでした。
ただこれは正解だったみたいで、普段のチョコ系のよりパワー維持できたような気がする・・・行動食にナッツや豆類はいいかもしれない。黒砂糖は凍ってしまって、飴ちゃんのように口の中で溶かす羽目になった。お腹も結局行動中は別にばてたりもなかった。もともと小食なのがいいのかもしれない。
反省はやっぱり飲み物・・・水筒を忘れて行ったせいで・・・行動中500ccしか水分を取っていない。
雪を溶かしてもよかったんだけど、そこまでするほどでもないと思ったのだ。そのせいだと思うのだけど、下山のとき富士見平のあたりで軽い頭痛を感じた。下山した時15:30に富士見平で、まだ日も高く、時間にはゆとりがあったし、水場があるから水を補給したらよかったんだけど・・・結局めんどくささに負けた。あと20分の道だし、めんどくさいと思って辞めてしまったんだな。
だから登山の中ですべてのリスクを排除したとは全然言えない。
楽しい山だったけど・・・水分を取らなくても体力が持つ程度の山だったから楽しかっただけ。
たとえば、もう少し工程が長い場合、たとえばあと1時間長かったら、水を補給しなかったことは、大きな過ちになる。水がなかったら、雪を解かさねばならないし、溶かすのは意外に時間がかかるのだ。ついで、溶かしている燃料も無駄になる。それに寒い中雪を解かすと、体が冷える。そうしてバテてしまったら、楽しいどころか、「え~ん(><)」となって懲りていたかもしれない。
確かに、富士見平での頭痛は、車に乗ったらほっとして忘れるくらいのことだったけど・・・でも、ほとんどすべての山の体調不良は脱水からスタートする。
というわけで、反省は
・体を脱水させない
学べた点は
・豆マメしい行動食はいいみたい
だった。
■ 地図の反省
実はこの日は日帰りと言うのもあって、地図は紙媒体を携帯していない。スマホのFieldAccessでOKと思っていたのだ。
実際にも、トレースがあり、たとえトレースがないにしても、夏道は樹林帯の中であっても予想がつきそうだったし、iPhoneのGPS機能でナビ的に使用しながら進行できたと思う。まず登りで道迷いのリスクはなさそうだった。
雪道の場合、帰りは自分のトレースを伝って帰れる。だから紙の地図がなくても、本人が無理をしない限り、問題が発生することはない。
けれど・・・でも、もし、スマホを落としたら?現在地をロストしてしまう。スマホを落として、そして歩いているつもりの下山道が実は別の山に続く道だったりしたら?
私は山の地図が好きなので、近所のピークの位置関係が頭に入っていたから、あれが小川山であれが鉄山で・・・と一応の方角とピークが頭に入っていたけど、夫の方はそんなに山に興味がないので、まったく違うルートの踏み跡に下山のつもりでうっかり入って行ってしまうリスクはゼロではない。実際、大日岩の手前で地図を見たくらいで、こんなに長かったっけな?もしや・・と一瞬よぎったのだ。地図を見たら、ちゃんと下山路を歩いていてあと10分ほどだったのだけど。
たとえば、夫と私、どちらかが足でもくじいて、バラバラに行動することになったとする。その時はちょっと心配だ。最短で確実に下山してほしいときに、そうできないかもしれない。まぁこのお山はエスケープルートなどなく、ただ今歩いた道をそのまま下山するだけのお山だったけど。でも夜になったら怖いんだからなぁ(笑)
雪洞も作れない山だし、ツエルトをかぶって温かい飲み物でも作って暇をつぶすしかない。そういうことを山でやったことがなかったら、心理的にすごく追い込められて、やっぱりお家に帰りたいから、暗くても歩こう!なんて思ってしまうかもしれない。で、暗くても歩こう!で歩けたらいいけど、暗くて迷ってしまったら、目も当てられない。雪はなくても気温は昼間でも-10度の山だから、無防備にビバークしていたら死んでしまう。火を起こせるか?起こせまい。
というわけで・・・日暮れまでに確実に下山しているのは初心者にとっては重要なポイントだ。
山で日が暮れてしまうことに対して、対応力がないからだ。
というわけで、登山3年目に入り、3年目の雪山では、脇が甘くなっている、という自戒は忘れてはいけなさそうだ。
■ 体力は普通の夫婦です
私たち夫婦は、体力はごく平均的ではないかと思う。
都会にいた頃は、ジムに通ってマシントレーニングをしていたが、ちっとも効果が出ず(ってサボるからなんだけど…^^;)万年初心者みたいな感じだった。つまり、ジムでも平均を押し上げる側にはいなかった。
ただ、体力がなくても、こういう思考回路を山登りで育ててきたことが、私たちの山のリスクを回避させていると思います。
それは、ラッキーさ半分、勉強熱心の努力半分でしょうね。
やっぱり山の本などをよく読むと、リスクとリスク回避の方法が書かれているので、想像力をたくましくして、自分たちに当てはめてみる。
それは簡単に言うと、 山と足があっている というセリフになるんですが・・・このセリフの意味が分かるようになるまでにずいぶんたくさんの山の本を読んだような気がします(^^;)
■ 山で死なないためには、謙虚さが必要なようです
なぜたくさんの山の本を読んだかというと・・・大自然=ウィルダネスについて、自分が無知だと自覚があったからです。
本当に子供のころはアウトドアを恐れていました。動物も、寒いのも、高いのも、怖い。怖いのは無知だから。
無知を知っているから備えるんですね。それは山に向き合う態度という点でみると、謙虚ということになります。
謙虚な姿勢で山に臨めば、体力や経験が少なくても、山の事故のリスクを最低限にできる。 それは本当ではないかと思います。
でもほとんどの人は山の本を読みたくても、時間がなくて読めなかったりもすると思う。
だから今山の読書が許される時間的ゆとりを持っていること=時間リッチであることは、本当にありがたいこと。私たちの資産です。
つまり山梨に転勤で来ていなければ、私たち夫婦だって、ごくフツーに都会から時間の無理をしてやってきて何が何でも登頂したいと無理をしてしまったり、時間と経験の不足をお金で買うためにガイド登山に資金をつぎ込むしかない登山者になってしまったかもしれない。つまり金で経験と技術を買う方向に向かわざるを得なかったかもしれない。
そう思えば、こうした思考回路をできるのは、環境の許してくれたことで、別に何も自慢になることではない。できることをやる。それが大事なこと。
今こうした内容の山に登れること自体が、ありがたく感謝すべきことなのだなぁと改めて思うのでした。
金峰山は反省も多い山でしたが、私たちのちょうど身の丈に合った素晴らしい山でした。
■ シェア
そして、とりあえず、ほかの登山者の皆さんに何か仲間としてシェアできることがあるとすれば・・・
時間があるから考えることができる、その思考プロセスをシェアすることかな、と思うのでした。
私は(書くこと)と(考えること)が得意で職業的にもテクニカルライターとして(難しいことをわかりやすく説明すること)に力を注いで来たので。