Wednesday, April 22, 2015

『ふたりのアキラ』

■ 実用書→小説?

私は登山を趣味にしているので、登山関係の本を読むのですが、最初のうちは初心者だったので、余暇のための読書というより、

 山の常識を知識として仕入れるための読書

で、本の良しあしは、実用書としての良しあしでした。 山に役立つ知識を取り入れるための本ですね。

それで、よく遭難関係は最初の頃読みました。赤岳に登るなら、安本訴訟は知っているべきでしょうし、落ちたら何と言う川に落ちるのか?立場川へすってんころりん、です。そういうのは、どの山でも一緒で、西穂に登った時は、松本深志高校の落雷事故について知りました。

あとは山小屋オヤジの・・・とか、登山のABC・・・みたいな本は、よく読みました。去年はアルパイン1年生ですから、クライミングの技術書や赤本、そういうものが主たる読書の対象です。

技術書、マニュアル、実用書、トポ、ガイド本・・・そのあたりは、もう過ぎつつあるのか、今度読んだ本は、『ふたりのアキラ』です。

■ 読了 『ふたりのアキラ』

この本は、アルパインをやる人におすすめです。二人のアキラとは、松濤明奥山章のアキラです。

ただ松濤明さんは、『風雪のビバーク』で知られてしまったため、印象が強くなってしまったかもしれません。どのような人だったのか?伝説化されてしまった感があります。

この二人のアキラでは、松濤明さんについては、1時間半の出会いがあっただけです。至って普通の人。

私が驚いたのは、それだけしか接点がない人を迎えに、お正月の厳冬期に西穂に登ってしまう、山田美枝子さんご本人です… 臆病と自称されていますが、臆病な人が厳冬期に一人で西穂行きますかね?? いや~すごい女性だな~と思いました。『氷壁』では、恋人役のモデルとなったそうですが、実際はその1時間半の出会いだそうです。

それで相手は遭難死してしまうのです…
 
  我々ガ死ンデ
  死ガイハ水ニトケ、ヤガテ海ニ入リ、
  魚ヲ肥ヤシ、又人ノ身体ヲ作ル、
  個人ハカリノ姿 グルグルマワル
 
を残して…。 私は思うのですが、死ななくても、このようなことは山にいればいつも感じますね。自分が世界のほんの小さな一部でしかない、という感覚です。

一方奥山章ですが、奥山章さんとは結婚していた人です。奥山章さんは第二次RCCを立ち上げた人ですが、この当時の人たちのアルパインにかける情熱はすごかったのですね。最後は自殺してしまうのですが、山がないなら人生もイラナイ、というくらいの山キチ度です…今の時代、それくらいの想いを傾ける対象を持っている人は少ないのではないでしょうか?

それ以外にも古川純一さんも出てくるし、バラバラに読んで知っていた名前が統一感のある横糸でつながった感じになりました。

読むべき本をまとめると・・・


■女性クライマーについて

女性は山の世界では、昔からいるので、山の世界に来た当初は

 意外に男女平等主義なんだな~

と思っていました。が、この本でよく読むと、

 当時の女性クライマーはセカンド専門。

アレ? どんな場所に行ってもセカンドです。何がびっくりしたって、それがごく当然とされていたことです。

今の時代は、セカンドというのは、過渡的な地位と認識されていると思います。相手がどんなにへたっぴであっても、です。基本がつるべですから。

私自身、セカンドで登っているときの心境としては、”まだ”セカンドでしか登らせてもらえない…という気持ちです。

やはり登った、と感じられるのは、リードしている本人、トップですから。トップの方が数段楽しいのです。

そういう点もへぇ~と時代がだいぶ変わったことを感じる『二人のアキラ』でした。

ところで平塚晶人さんは、読図の大家だと勝手に思っていました・・・。ノンフィクションの人だったんですね。

 
■ 中高年登山?

ついでに市毛さんの本も読んだのですが・・・今の山ガールが読んでも、たぶん、この方角には魅力を感じないだろうな~と思ったりしました・・・スイマセン。



なんとなく、みんなが私を誘導しようとしていた先はココだったのかなぁとおもったりもしないでもない・・・けど、全然今の時代には、違う場所、違う山ライフ、違う理想像を思って、ガチ系な山女子は山に登っていると思います・・・。

■ 『ハンターガール』

 
最近、山の世界でホットなのは、若い人の狩猟への取り組みです。服部文祥さんの影響もあるのかな?この本は、狩猟免許を持っているけれど、猟銃ではなく、罠猟の人の方です。

そして、動機はフランス料理のジビエ料理を作りたい!

そのために、ジビエが欲しい!

です。つまり料理家の目線から、肉としてみた猟です。 

私はヨガを教えている関係上、ラクトオボベジタリアンです。ヨガでは、肉を食べないのです。

とはいえ、ごくたまに卵を使いますし、外食で宴会があれば、普通にいただきます。そこは別にしておかないと、日本ではベジタリアンは理解が難しいと思います。でも家の中に肉があったのは、思い出せないほど遠くの過去です・・・。

類書で読むと楽しいのは、以下の本です。レイモンド・カーバーは特に外国の本ですが、今の日本の肉食の感覚に最も近いと思われるので入れました。

2 comments:

  1. 本の ご紹介ありがとうございます。内2冊だけ読んだことあります。

    今、読んでるのはコレ↓
    http://www.amazon.co.jp/dp/4635140075
    読み易さとは裏腹に書いてることは結構大変なことだったり、示唆に富む話です。

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    1. 感謝されない医者ですね、読みましたよ~ 凍傷の話、すごいですよね・・・ 指が無くなったってことは受け入れがたいことですよね、誰にとっても・・・ 鈴木ガイドもおススメの本でした

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